[プロレス観戦記] DDTレスリングとんこつ2017

DDTレスリングとんこつ2017(【会場】福岡・博多スターレーン【観衆】450人:満員)

大日が終わって博多駅で遅めの昼食。16時台はスターレーン内のお店が休業時間中で食べる場所がないためである。しかし行きは小降りだった雨が、この瞬間だけ土砂降りになり冬なのにずぶぬれになってしまった。まあ、スターレーンの空調は無駄によくきいているので乾くだろうと思って、そのまま場内に入った。

大日もそうだったが、DDTも結果的に満員になった。やはり定期的に開催している強みというのはあるんだろう。

オープニングはKO-D6人タッグ王者のALL OUTが登場。大会はスタートした。

▼オープニングマッチ 30分一本勝負
高尾蒼馬&○アントーニオ本多 vs 大鷲透&平田一喜●
8分51秒 アナコンダバイス

総選挙で堂々6位入りを果たした高尾は今やスターの風格を身にまとったオーラ全開で入場。かつては平田同様、大社長の下でいろんなことやらされていたけど、一本立ちして確実に実になっているとみた。

対する平田はいつもの「Tokyo go!」ではなく、大鷲のテーマに乗ってひっそり入場。なんでも油断していたら「久々にやられた」という。要は命より大事な?コスチューム一式を盗まれたのだ。まさか、犯人は元・モンスターアーミーのあの人…?

と思ったら、やはり平田のコスチュームを着たアントンが、なぜかアカペラで「Tokyo go!」を歌いながら(しかも途中から全く違う曲になっていた)入場。平田はペースをつかめないまま、始終高尾とアントンに捕らえられてローンバトルに。

が、早くもアントンが「ギブアップ」宣言して「ごんぎつね」をはじめたもんだから、あまりに出番がない大鷲班長が「俺、このまま終わり?」と焦り出す。

何とかチャンスをつかんで大鷲が攻勢に転じ、平田がコスチュームを取り返していよいよマグナムダンス!会場のボルテージは最高潮に!しかし夏場くらいから、「GO、GO、GO、GO」にあわせて平田がボコられる流れは変わらず。この日もアントンに腹パンチされて平田は悶絶。

結果的に平田はアナコンダバイスで締め上げられギブアップ負け。試合時間わずか9分弱にしては中身が濃すぎる内容だった。

▼第二試合 30分一本勝負
石井慧介&梅田公太&●岩崎孝樹 vs 相島勇人&大石真翔&勝俣瞬馬○
7分51秒 エビ固め
※フットスタンプ

NωAに相島が入っているということは、まさか相島が踊って入ってくるのか?と思いきや、普通に相島のテーマ曲で入場。いきのいい若手イジメに生き甲斐を感じている相島先輩はノリノリで、先発を譲られると「俺?」っていう顔をしながら内心嬉しそう。

全く年齢を感じさせないコンディションで梅田や岩崎を追い込んで行く。ツアーとかで出ていく体力はないかもしれないけど、単発参戦だと全然問題ない。どこかの団体に所属することはもうないだろうけど、こうしてたまに試合してくれるだけでも往年のファンとしてはうれしい限り。

さて、どちらかといえばキャラ先行の勝俣が普通に試合することの方がレアっちゃレアな話。果たして期待通り勝俣は同じDNAのメンバーとバチバチやりあう。やや先行して人気が出た勝俣への嫉妬を隠そうともせず、梅田と岩崎はバチバチ蹴りをいれていくが、これにムキになってやり返そうとする勝俣もまたよかった。

まこりんと石井はどっちかというと試合をコントロールする立場で参加していたようにみえた。もうベテランといっていい彼らもまたDDTらしいともいえる。

圧巻は勝俣がフットスタンプを連打したフィニッシュでこの入り方がえげつなかった。内心勝俣もバリバリに意識している岩崎と梅田への無言のメッセージとも考えられる。蹴られた分はやりかえすという若手らしいすがすがしさがあった試合だった。

▼第三試合 30分一本勝負
○入江茂弘 vs 上野勇希●
9分45秒 体固め
※ビーストボンバー

上野が入江から学ぶべきことはたくさんあるだろう。いわばチャレンジマッチなんだが、正直爪痕が残せたかどうかは微妙なところ。でも重量級の入江に食らいつこうという気迫は感じられた。握手も拒否していたし、秘めたる思いは数々あるのだろうとは思ったが、いかんせん実力の差はいかんともしがたい。

それ以上に入江が一発一発を鬼の形相で上野に叩き込んでいたのが印象的だった。すがりつこうとする上野を払いのけてなおも攻撃を畳みかけていく姿は「鬼教官」さながらといってもいい。とにかくすべてが厳しかった。

それでも上野がここでシングルを組まれた意味を考えると、DDTが団体として彼に期待していることには間違いあるまい。最後は改めて握手を求めた入江の手を払いのけた上野。その意気やよし!入江も会場に拍手を求めて、上野の健闘を称えた。これも素晴らしい試合だった。

▼第四試合 30分一本勝負
○遠藤哲哉&マッド・ポーリー vs アズールドラゴン&渡瀬瑞基●
9分3秒 片エビ固め
※旋回式トーチャーラックボム

かつては竹下との二枚看板をはっていた遠藤。しかし現状、竹下は実質チームリーダー(ALL OUT)でもあり、6人タッグとシングルの二冠王。対して遠藤は無冠。この差はでかい。

竹下と大きく差をあけられた遠藤としてみたら、話題でもひところ上に行かれた渡瀬に対してのライバル心もメラメラと感じるものがあったのだろう。それはともかくヒールターンして、やっと悪役らしくなってきた感じがある。一方のアズールは渡瀬をコントロールしつつ、自身のアピールにつなげたいところ。

しかしDAMNATIONとしてチーム力を蓄えている遠藤とポーリーはやはり急造タッグと比べると差がありすぎる。やはり悪の連携がさえわたるDAMNATIONの方が一枚も二枚も上手だったように思う。

空中戦で渡瀬につきあいながらも旋回式トーチャーラックで、パワーの差をも見せつけた遠藤。黙して語らぬ本心は「こんなところで終わってたまるか」という竹下への怨念というか執念だったのかもしれないなと私は思っていた。

▼第五試合 博多名物!ワンダフル!ビューティフル!アンビリーバブル!エニウェアフォール!スクランブルバンクハウス4WAYマッチ 30分一本勝負
○佐々木大輔 vs 男色ディーノ vs 高木三四郎 vs MAO●
13分52秒 クロス・フェースロックwith有刺鉄線バット

これはもう四方に戦場が広がっていくDDTらしさを存分に発揮できる試合形式。こうなるとどこを見たいか、一早く品定めをしてみていくしかない。そこで佐々木が勝手にスターレーンのシャッターをあけた時点で「よし、外へ行こう」とは決めていた。

結局、外に出ていったのはほぼ全員だったのだが、ロビーで数珠繋ぎになった選手の上を、男色先生がナイトメアでうさぎ跳びしたり、大社長が階段落ちしてもう少しでスターレーンの外に出ようとしたため、松井レフェリーがガチで怒りだしたり、それをみた大社長が社長なのに「やべえ、松井に怒られる」といいながらもう一回階段落ちしたりとやりたい放題。

実際スターレーンの外は交通量も多いので、仮に許可を申請しても難しいのだから、松井さんが怒るのも無理はない。この光景を一階でみていた藤田ミノルがあっけにとられてびっくりしていた(笑)

さらに戦場が場内に戻って代車に乗せた男色先生をMAOが大社長めがけて発射したものの、見事に誤爆して土下座するはめになったり、はちゃめちゃすぎる展開。飯伏がいたらさらにめちゃくちゃになっていたかもしれないが、今いるメンバーでもここまでできるというのは、DDTここにありを見せつけられたと思う。

本当に楽しい試合だった。

▼セミファイナル Road to D王GPスペシャルシングルマッチ 30分一本勝負
○HARASHIMA vs 樋口和貞●
11分53秒 片エビ固め
※蒼魔刀

2015年にまだDNA所属だった樋口は「いつでもどこでも挑戦権」を駆使して当時KO-D王者だったHARASHIMAに挑戦。デビュー以来初黒星を喫している。あれから二年。所属もDNAからDDTに変わり、再びHARASHIMAとシングルで対峙した樋口。しかしほかの試合でみるようなダイナミックで力あふれる樋口の姿はこの試合でみることはできなかった。

逆に言うと樋口のよさを殺してでも、丁寧にHARASHIMAは勝負にでていた。徹底した足殺しにキックを使い、あきらかに樋口が嫌がっているところを関節技で畳みかけていったりする。余裕がなくて相手のよさをつぶしたりしたのではなく、単に多くの引き出しがHARASHIMAにあって、そのひとつを開けたにすぎない試合だったように思う。

実際、足殺しが要因ではないのだろうけど、樋口がHARASHIMAを追い込んでいたような場面はほとんど見られなかった。逆にHARASHIMAは一度対戦した経験をもとに常に冷静だった。この余裕を消せない限り、樋口がHARASHIMAを超えていくのは相当難しいだろうなあとしか思えなかった。

最後の蒼魔刀もまたえぐい形で樋口に刺さったため、実質KOに近い形でHARASHIMAが完全勝利!ここまで樋口とHARASHIMAに大きな差があるとは思いもよらなかった。カードとしては魅力的な顔合わせだったけど、名勝負にはならなかった。プロレスというのは本当に難しいものである。

▼メインイベント KO-D6人タッグ選手権試合 60分一本勝負
<王者組>竹下幸之介&彰人&●ディエゴ vs KUDO&坂口征夫&高梨将弘○<挑戦者組>
21分28秒 エビ固め
※タカタニック。ALL OUTが2度目の防衛に失敗、酒呑童子が第32代王者組となる。

12月24日でディエゴが母国チリに帰国するため、正直防衛ってありなのかなあと思いつつも、試合はそう簡単にはいかない。チームとしては歴史が長い酒呑童子は6人タッグのスペシャリストという自負もあるのだろう。

最初からディエゴに的をしぼって効果的に攻撃を繰り出していく高梨にのっかって、KUDOと坂口がこれまた厳しい打撃技でどんどん追い込んでいく。しかし根性と粘りでことごとく返していくディエゴに触発されて竹下と彰人も奮起。これで試合は一進一退の好勝負に!

高梨は普段はお調子者のように見せてるが、実は確かなテクニックに裏打ちされた実力者でもある。この試合のキーマンはまさに高梨だった。KUDOも坂口も高梨にかけている節があちこちでうかがえた。このメンバーに対する信頼という意味では、ALL OUTだって負けてはいないだろう。しかし酒呑童子の信頼力は、その上をいくものだった。

正直ディエゴはよく粘ったし、あわや防衛したまま帰国も夢ではないと思わせた。でも一度失敗したタカタニックを何度も仕掛けてついにフィニッシュにもっていった、この高梨の執念に関しては、お見事というほかなかった。

試合後、ディエゴに健闘を称える「らしくない」ことをした高梨だったが、その後「そんなわけねーだろ、ばーか!」と悪態をついていた。しかし結局はディエゴにしっかり博多のお客さんにあいさつさせるあたり、高梨の隠せない人のよさがみえた気がした。

大日と久々に二大会通しでみたけど、どちらもとても面白かった。それぞれに課題はあったものの、らしさ前回でこれぞ大日、これぞDDTといえるものだった。来年はいつ見に行けるかはわからないけど、また観に行きたいなと思っている。








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