[プロレス観戦記] 九州北部豪雨災害復興支援イベント”GAMSHARA POWER PROJECT~俺たちにできることを~”

九州北部豪雨災害復興支援イベント”GAMSHARA POWER PROJECT~俺たちにできることを~”

折しもあの豪雨災害から約半年。真夏の暑さがウソみたいに凍えつくような寒さに震えながら小倉入りする羽目になった。紫川沿いにある井筒屋新館は横を通ると河風が容赦なく襲い掛かってくる。しかし中に入ってしまうと今度は暖房効果で暑くて仕方ない。

さて、本大会は事前にカードの発表がない。ということは、観戦記の中で事前に書ける内容がないということに等しい。書く側としては実をいうととても大変なのだ。

今回は、西日本の社会人団体のオールスターがそろう場である以上、カード的には通常のがむしゃらのストーリーにない方がいい。理想は79年の8・27のような感じ。ただしこういうのを日常でやってしまうと、今の新日っぽくなってしまい、面白くなくなる。

だから普段のストーリーとはあまり関係ない、いかにもお祭りな感じがいいとな、とはおもっていた。

後に発表されたメインのタッグタイトル戦以外は選手にさえ知らされていない対戦カード。果たして何がでてくるか?大変楽しみにしてきた。

オープニングアクトは美原が一人で出てきて、あとから九州が入ってくるという形で進行。SHIGEKICHIアナとK・Kアナにつないだ後、歌いながらドン・タッカーが登場。そのあと全選手入場式があったが、なんせ参戦選手が多すぎて、リングに上がってしまったら後ろの選手が見えないというありさま。リング上から選手がお菓子を投げ入れ大会はスタートした。

▼オープニング6人タッグマッチ(30分1本勝負)
①×モミチャンチン & KOZZY & バルドル vs BIG-T & ○MIKIHISA & 豪右衛門
(8分00秒)

山口、松江、鳥取連合軍に対するはgWo九州組の三人。MIKIHISA&豪右衛門にBIG-Tを交えた三人は最近よく組んでいるような気がするが、さしずめ前タッグチャンピオンはTの教育係といったところか。Tが大化けするならこういう場でこそ、先輩二人を出し抜くくらいの活躍をみせないといけないと私は思う。

とはいえ、それだと普段のがむしゃらプロレスの観方とあまり変わらないので、やっぱりあまり目にすることができない敵陣の方に興味が行ってしまう。ジュニアのバルドル、襲撃手にして10月の大会でも存在感を示したKOZZY、そして力自慢のモミチャンチンというのは初顔合わせながら、チームとしてバランスが取れている。

MIKIHISAと豪右衛門の「計算」を私なりに想像すると、この中で狙いを定めるとしたら、おそらくモミチャンチンだろうと思った。バルドル、KOZZYはデータも少ないし、軽量だからといってバルドル狙いだと相手にも見透かされる。そこへいくと、もはや常連選手でもあるモミチャンチンは実をいうと「狙いやすい」。ましてや相手は実力派でありながら、「急造」チーム。

正直言うと、MIKIHISAとKOZZYにはお互いの持ち味を生かして、がんがん蹴りあってほしかったところだが、オープニングバウトということを踏まえてか、そこは控えめに。Tもこの中では頑張った方だと思う。いつもこのペースで行けると、試合後の「かわいがり」もなくなって・・・・いくのかな?

最後はgWoの連携で見事に孤立したモミチャンチンをMIKIHISAが締めあげてギブアップ勝ち。ベルトは落としたけど確実にMIKIHISA&豪右衛門は成長し続けていることを印象付けた試合だった。

 

▼力 雷汰デビュー戦(20分1本勝負)
②×力 雷汰 vs ○尾原 毅
(8分46秒)

当初、小倉北でデビューする予定だった力は負傷によってデビューが延期された。小倉北のデビューもレアではあるけど、がむしゃらが初めて開催するパステルホール大会でデビューするというタイミング。やっぱり「もっている」人間は何か違う。

対戦相手はXとされていたが、まあ予想通り尾原だった。正直年齢がいってからのデビューというのはとても厳しいものだけど、辛めに採点してもこの日の力は頑張っていたと思う。序盤のグラウンド勝負で、教わったことをすべて出そうという気持ちがマスクの下から伝わってきた。特に首に攻撃を絞ってしつこく攻めていく姿勢は好感が持てた。

しかし残念ながらスタンドになると尾原のなすがまま蹴られ殴られるという形でほぼ棒立ち状態。これは致し方ない部分もあるが、マスクで表情が見えない分、なんとか立ち向かう意思を全身で表現していってほしい。もちろん尾原だけでなく先輩選手からの倍返しは覚悟の上だろうけど、それは新人だからこそ許される表現でもある。やられてもやられても立ち上がることでいえば、美原輔というこれ以上ないお手本もいる。

美原がキャリア的に新人枠から脱しようとしているタイミングで力がデビューしたのも幸運といえるだろう。おそらく尾原が一切情けをかけず、怪我した足に向かって容赦ない蹴りと関節で勝負に来たのも、力に対する最大限の敬意の表れだったのではないかと思う。

うかうかしているとこの後にデビューを控えた練習生もいる。美原同様、気が付いたら「お前はもう新人ではない」といわれる日が力にもくる。その時までぜひ頭角を現してがむしゃらの新しい顔になってほしいと思っている。

▼タッグマッチ(30分1本勝負)
③グレートカグラ & ×タカ☆ヒロ vs ○ドラゴンウォリアー & 久保 希望
(10分29秒)

佐賀プロの旗揚げ以来、久々に見るタカ☆ヒロは、私が知らない間に、いつの間にかチームJOKERに入っていた。一方、12月の大野城ですでにタッグを組んでいるナスティサイドは二人ともサンタの格好でプレゼントを配りまくる。しかもサンタの格好をしたまんま試合をするのだが、これにじれたJOKERが悪の連携で襲い掛かってくる。前半はこれにつかまったドラゴンが防戦一方になったため、会場からは大ドラゴンコールがおこった。

ところが、久保は手にしたもみの木をそのまま凶器に使用。あちこちにもみの葉がとっ散らかるというとんでもない荒業を披露。凶悪サンタの非道な攻撃が試合の流れをかえってしまった。「プレゼントを配ったんだから応援してね」という割には攻撃は極悪非道なナスティ。いっけんすると悪のチーム同士の抗争にみえたが、意外にもナスティの連携は堅実で計算されつくしていた。

松江の誇る極悪軍団を分断したナスティは久保が場外へムーンサルトを決めると、リング内にいるタカ☆ヒロに、ドラゴンが必殺のスゥインギングネックブリーカーを決めて実質KO。どっちでもフォールが取れる曲者チームとして頭角を現しそうな感じがしてきた。ナスティはこういうところが侮れない。第三のユニットと侮っているとこの日のJOKERみたいに結構痛い目に会う可能性があるかもしれないなと思った。

▼タッグマッチ(30分1本勝負)
④×ZAKA & 山内 拓也 & TOSSHI & ○トゥルエノ・ゲレーロ
(15分25秒)

ZAKA&山内はOPGでジョロキアというチームを組んでいる極悪ユニット、という触れ込みだったが、実際は結構実力派のジュニアユニットでもあった。一方TOSSHI&ゲレーロというのは、かつてTOP OF THE SUPER GAMUSHARAの決勝で闘ったもの同士。あのトーナメントでデビューしたゲレーロが現・ジュニアチャンピオンであり、ブランクあけてLCR入りしたTOSSHIとは現在は敵味方。まあ2人ががむしゃらを代表する選手とは言え、即席感は半端ない。

しかし、ゲレーロはこれまたサンタの格好で試合をして、悪役三人をなぜかいらつかせる。ZAKAと山内はある意味あっけにとられていたが、同じコーナーにいるTOSSHIが相当イライラしていたのが見ていて面白かった。

とはいえ、ふざけ半分で試合をしていたゲレーロも相手が強敵とみるやスイッチを切りかえる。TOSSHIと口論しながらとっさに息のあった場外弾を披露したり、TOSSHIの蹴りやゲレーロのスリーアミーゴスでジョロキアを次第に追い詰めていき、最後はゲレーロがスワントーンで勝負を決めた。

敗れたとはいえ、OPGの二人は紛れもない実力者だったし、ジュニアのトーナメントだけでなく、タッグのトーナメントにもでてきてほしいチームだった。やはりゴールデンエッグスと覇権を争っている力は伊達ではないなと感じた。

新しいライバル登場に燃えたゲレーロは試合後、2月のジュニアトーナメントにジョロキアの出場を要請。これに応えた?形で2月にZAKAと山内が乗り込んでくる。果たしてシングルプレイヤーとしての彼らはどんな実力をもっているのか?興味は尽きない。

▼タッグマッチ(30分1本勝負)
⑤×原口 知哉 & ALLマイティ井上 vs C4 & ○KENTA
(11分09秒)

だらずの新鋭・原口と山陰の実力者にして、仕事の関係でプロレス「休業」を宣言したALLマイティ。すでにおなじみの井上には大きなコールが飛ぶ。今を時めくLCRにも引けをとらない人気ぶりである。その井上とKENTAとは少なからず因縁がある。まだベビーフェイスだったころの健大が、マットに寝かせたままの井上に、胸元めがけてしつこいくらいチョップを放つ攻撃をしかけていた。ベビーフェイスがやると非難の的だったこの攻撃も、善悪どっちのムーブも受け入れられるLCRに加入してからは、なぜかKENTAは、あまり見せようとはしていなかった。

ところが、相手が井上ということで狙っていた?KENTAは「久々にやるぞ」といってチョップ攻撃に転じた。ベビー時代にはあれだけ非難をあびていたこの攻撃も、今や大喝采をあびるのだから、つくづくLCRへ入ったことがKENTAにとってはプラスになっていたようだ。

とはいえ、地味にこの技を嫌がっていた井上も「挽回」とばかりにKENTAを寝かせて、これまたチョップを振り下ろす。逃げ場がない分、地味に効くこの攻撃で両者の胸は真っ赤に腫れ上がる。

昔のKENTAならここでやりきって終わりだったのだろうが、LCRのKENTAはその先までみていた。狙っていないようでしっかり原口をターゲットにしていた黄色い軍団は、井上を分断すると、原口にむけてのスーパーノヴァ2連発で見事フォール勝ち。C4も力だけではなく、プロレスの動きがしっかり身についてきた感じがした。今後、どういう形でC4が本戦出力を発揮していくのか楽しみである。

▼6人タッグマッチ(30分1本勝負)
⑥ジェリーK & ○上原 智也 & 尾原 毅 vs ×ダイナマイト LCR 九州 & Barong & 鉄生
(14分56秒)

これぞオールスターに相応しいカード。がむしゃらでは別ユニットに入っているゴールデンエッグスだが(ジェリーK=gWo、上原=ナスティ)、久々のゴールデンエッグスとしての登場はまさかの尾原毅を加えた編成に。当然ゴールデンエッグスとチームを組んでいくと、ミッションとして誰であろうと「踊らなければならない」。がむしゃらでは陽樹が最初の「犠牲者」になるはずだったが、台風のおかげでお鉢が尾原に回ってきてしまった。

しかし、アメリカンプロレスの信奉者であるゴールデンエッグスと、Uの遺伝子を受け継ぐ尾原の合体はやはりオールスターならではという感じがしていい。実は尾原にないものはゴールデンエッグスにあって、尾原が持っているものはゴールデンエッグスにない。ましてや自身が「タッグが苦手」という尾原が、タッグのオーソリティーと組んでどういう化学反応を示すのか?興味は尽きない。

一方、いきなり九州を混ぜられたLCRは明らかに困惑している。本当はお笑いを飲み込むだけの度量があるとよかったのかもしれないが、当日発表でもないとこんなカードは実現しないし、心の準備もできていなかったのだろう。ある意味敵対するより面倒なことになってしまった。よってBarongと鉄生は通常通りのタッグワークで試合を作ろうとしたら、九州がマイペースで流れをぶった切るというとんでもない形になっていった。

九州の一連のムーブを受けたゴールデンエッグスはさすがにしかめっ面していたが、調子に乗った九州が二発目を仕掛けたら尾原が背後からキックを叩き込むという「お約束」もあって、試合は終始、明るく、楽しい試合になっていた。

試合後、憮然として立ち去るLCRを呼び止めたジェリーK。「4月の復讐をする時が来た。だが、そのリングはここじゃない。2月25日、岡山でお前らを待つ!」とOPG岡山武道館大会へ、鉄生&KENTAの参戦を要求。これに応じた鉄生は「言葉の使い方が違うだろ。来いじゃなくてきてください、だろ?」とすごみながらも岡山参戦を受諾。かくしてOPG最大のビッグマッチにおいて、4月のタッグリーグで敗戦を喫したゴールデンエッグスのリベンジマッチが決定した!

▼セミファイナル うどん秋月Presents 6人タッグマッチ(30分1本勝負)
⑦乱魔 & クレイジーH & ×陽樹 vs ライジングHAYATO & ○ラウザ & SMITH
(14分54秒)

OPG関西の雄・乱魔と、現・OPGのチャンピオンとして君臨しているクレイジーHに陽樹を加えたなかなか魅力的なチーム。対するは愛媛の誇る四国統一チャンピオン・ライジングHAYATOと、前・山陰統一ヘビー級選手権者ラウザ、そして現・GWAシングルチャンピオンのスミスというこれまた豪華な組み合わせ。これぞまさにオールスターである。

しかし、現在進行形としての因縁がある陽樹はSMITHをどうしても意識せざるを得ない。ところが前哨戦になると途端に手の内を見せなくなる傾向があるSMITHは、陽樹との真っ向勝負には応じない。一見冷静にさばいていたようにみえた陽樹だが、内心イライラしていたのではないだろうか?

むしろ、おまつり・イベント大好きなSMITHは、OPG勢とはこれ見よがしに積極的に絡みまくる。普段ならダメージが刻まれるため、相手の受けているようで受けないものだが、SMITHはむしろ自分からクレイジーHや、乱魔の攻撃を喰らいに行っていったように見えた。それでいて陽樹をあたかもスルーするかのようにしていくんだから、前哨戦も何もあったものではない。

そういう陽樹の姿を対角線から見ていくと、たぶんラウザにしろ、HAYATOにしろ「組しやすい」と思ったのではないだろうか?初登場のライジングHAYATOも後援についたキューティーエリーもいい味出していた。試合は孤立した陽樹を、ラウザが仕留める形で決着が付いたが、陽樹的にはSMITHばかりをみていたら、横からラウザにかっさらわれた感じがしたのかもしれない。試合後はSMITHのことを忘れたかのようにラウザに突っかかっていく。しかし、そういう陽樹をたぶんSMITHも内心で」「しめしめ」と思ったいたかもしれない。お祭りの裏にある人間模様がとても興味深い一戦だった。

▼メインイベント GWA無差別級タッグ選手権試合(45分1本勝負)
⑧×美原 輔 & マツエデラックス vs YASU & ○土屋クレイジー
(16分23秒)

事前に発表があったのはこのカードだけ。9月に美原と対戦した前タッグ王者・マツエデラックスが、たっての希望で美原をパートナーに指名したことで実現したのだ。

がむしゃら初のパステルホールのメインにして、年内二度目のタイトル挑戦。こんなツキはなかなか呼び込めるものではない。美原のツキのよさは、もはや才能といってもいい。人柄がいくらよくても、プロレスがいくらうまくても、チャンスというのはめぐって来ないときはこないものである。だいたい諸先輩陣がいくらわめいてもアピールしても、なかなかタイトルマッチが実現しなかった場面は、何度となく見てきている。

別に美原がえこひいきされているわけではない。でもだからといって時期尚早とも思わない。だからこそ受けるだけでははじき返させられるチャンピオンの壁は厚いと思わざるを得なかった。

マツエデラックスも自分が美原を起用した以上、自分がなんとかしないといけないという使命感みたいなものがあったのだろう。ミステリコ・ヤマトと組んでいた時のような自然体な雰囲気を感じなかった。なんとなく孤立しがちになる美原とデラックスにはタッグでもっとも大事な「阿吽の呼吸」が感じられなかった。これは挑戦者チームには致命的だったといわざるを得ない。

逆に土屋&YASUには4月からタッグ奪取まで戦い抜いてきた信頼関係をもとにした阿吽の呼吸があった。時に声をかけあい、時に指示を出しながら縦横無尽に動き回るチャンピオンチーム。正直、gWoの乱入やボス・大向美智子の介入は付け足しに過ぎなかったと私は思う。

実際、前説で美原コールより土屋コールの方が大きかったことを、美原はしきりに悔しがっていたが、それはチャンピオンチームが防衛したあとも大して変わっていなかった。それは土屋とYASUが観客ともつないできた信頼関係の証だったと思う。もしかすると試合以前に、根本的なところで大差がついていた試合だったのかもしれない。

とはいえ、美原にとってタイプの違うチャンピオンチームと王座戦ができた経験はとても得難いものになっただろう。でもあえていうなら「よくやった。頑張ったね」で終わる試合は2017年を最後にしてほしいとも思う。

 

試合後、土屋はチャレンジャーチームに謝意を述べ、次週に自身とライジングHAYATOが出場するFREEDAMSの「群雄割拠2」への抱負を述べた後、「たくさんの災害はあったけれど、みなさんはもう立ち上がっている。我々にできることはその背中をちょっと押すことだけだ。」と久々に熱いマイク。YASUがリング上に全選手を上げて大会を締めた。

全6団体30数余の選手が参戦した豪華なオールスター戦はこうして幕を閉じた。でもまだまだ北九州では見られていない選手も多い。来年のがむしゃらプロレス15周年に向けて、がむしゃら内のストーリーとともに、西日本を巻き込んだ大きなうねりが2018年にも巻き起こっていきそうな気がしている。素晴らしい大会だった。個人的には長年の夢だった社会人オールスター戦をこういう形で目撃できたことは、幸運というほかない。ありがとうございました。








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