北九州商工会議所設立50周年記念 | 小倉まちなか賑わい創出イベント | がむしゃらプロレス×アニソンライブ
(2013年10月20日・日:小倉城大手門前広場・天守閣前)
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イントロダクション
北九州市政50周年を記念して毎週のようにお祭りをしている北九州市。
この日は11日早いハロウィンで街中はまるで全部がコスプレ会場のような状態。各所で様々なイベントが進行しており、中にはどさくさに紛れてアニメのコスをハロウィンバージョンに改装した強者や、初めてコスプレするであろう初老紳士や淑女まで様々な人が仮装していたのには驚いた。
どちらかというと暴力や公害(高度成長期のころの話)など負のイメージが強い北九州市が何とか表の顔を作り出したいと必死になっているのは何となく伝わってきた。
そんなハロウィンとはまた別に商工会のイベントの一環で史上初の小倉城プロレスが決行されたのが本大会。
やっぱりこの場所は簡単にプロレス団体が行って借りられるところではない。商工会の顔があって、その商工会に信頼されたがむしゃらだからこそできたイベントなのだ。
オープニング
ところが、さっきも言った通りイベントが同時進行してて、しかも小倉城内でも別なイベントをやっていたのでお客さんが市内に拡散してしまっていた。しかも今回のチラシがかなりまだ残っていたようで、私が小倉城に着いたときにはメンバーがまだ必死にチラシ配りをしてる最中だった。
今回はアニソンライブ+地元ご当地アイドルのミニライブが入ってメインがプロレスという構成。彼女たちはあるあるCITY関係で入った感じでプロレスのリングをよく知らないみたいだった。
対照的にアニソンシンガーたちはリング上でのパフォーマンスにもすっかり慣れた感じ。
その差は声量、ダンス、靴の有無でも圧倒的に差をつけていた。彼女たちの応援隊はお構いなしに声援を飛ばしていたけど、プロレス側としては正直アニソンメンバー以下のパフォーマンスにしか見えなかった。プロよりすごいアマがいるという意味ではがむしゃららしいと言えばらしいけど、アニソンメンバーのスキルの高さにはただ舌を巻くばかりだった。
でもそうは言ってもなかなか出足が鈍く、思ったほど人も集まってない中とうとうプロレスパートが始まってしまった。
第一試合:(30分1本勝負)
●ニコラス今中ジョリー 対 ○鉄生(7分38秒)
実はこのカードが変更後のカード。
セクシーロージーの欠場を受けて急に決まったカード。
最近、すっかりスミスの横が定位置になってるニコラスは、トーナメントよりこういう一見さんの見てるつかみを任せるにはうってつけの人材。
本人も勝ち負けより、より派手な技を出したいという気持ちが強いようなので、じゃそれをすべて受け止めるとなるとやっぱ頑丈な鉄生はうってつけの相手。
少々蹴っても殴っても倒れない相手だからこそ思い切っていける。
実は試合前ニコラスとちょっと話をして「思い切りやりたいことやって本人が満足して終われるならそれでもいいかな?急に組まれた試合だし」と思っていた。
要するにGAM1とは異なってハードルがぐっと下がったのだ。で、視点をニコラス中心から鉄生中心に切り替えてみた方が面白いなと軌道修正した。
特に相手がベビーフェイスである以上、自分がいかにしてよりヒールらしい仕事ができるかどうかに専念したうえで、本戦へ向けて現在模索してるものも試すことができる。
伸び盛りの鉄生にはまだまだ成長に必要なたくさんの課題があってそれをクリアしていくにはこういう試合こそ大事になってくる。
ここ最近の鉄生の試合見てるとラリアットで決着がつくことが多くて、本来の必殺技である鋼鉄の喉輪をアピールしてピンフォールという流れがなかなかできにくかったこともあって、その辺を今後どうしていくのかなと思っていた。
やっぱ自分で思い描いてるプロレスを体験するためにはDEIZELとかスミスとかが相手では思う通りにはさせてくれない。
いわば出す技もタイミングも全部読めるニコラスだからこそ、普通の喉輪と鋼鉄の喉輪の違いが出せたりもしていたんで、そこはよかったかなと思う。
12月の大物との対戦を控えて、すでに先を見てる鉄生と、今のところ特に課題がないニコラスとの差がこんなところにも出てしまっていたのだ。こうなると、ニコラスには次の課題が見えてこないから次のストーリーも生まれてこない。こうしてチャンスは逃げていくのだ。
言い方は悪いが後輩の踏み台役としてはニコラスは十分仕事をした。
プロレスではそういう役割を担う選手も必要なことは必要。それも大切なことだし、それを誰かが引き受けないと全体の底上げにはならない。
ただし、ニコラスがかませ犬で終わるには惜しい素材だからこそこの試合でも同僚、関係者がそろいもそろって厳しいダメ出しをしていたんだと思う。
ここ数試合のニコラスを見てると悪い意味での安定感は抜群で、今回もキック、関節、空中戦、自爆!とできることは全部やっていた。
だからできるがゆえに見る側が高い期待さえしなければ、何も問題はないんだけどね・・・・それで本当にいいのか?って話なんだけど。こればかりは本人でない以上どうしようもできない。
そういえば、昔スーパーストロングマシンを指して馬場さんが「なんでもできる選手なんですけどこれは!というものがないんですよねえ。」と解説で苦言を呈していたのをなんとなく思い出した。
たぶんその時馬場さんが感じてたであろうと想像できる感覚に近いものを、この日ニコラスにダメ出ししてた人は感じていたんじゃないのかなあ?
第二試合:(30分1本勝負)
SMITH&ダイナマイト九州&●パンチくん 対 菊タロー&ブラック☆スティック&○タシロショウスケ(12分32秒)
現チャンピオンの12月の王座戦に向けての前哨戦はこの試合が最初で最後。調整の試合がこれでいいの?という感じだけど、そこで手の内をすべてさらすほどSMITHはお人よしではない。
イベント開始前、リング上でバックを取る練習をしていたタシロの姿を柔軟しながら横目でしっかり見ていたNIKKYとSMITH。相変わらず自分の手の内は練習中でも全く見せようとしない。
まあ、練習で柔軟はとても大切な要素ではあるんだけど、それでいて人の手の内はしっかり探っているというベテランならではの厄介さが垣間見えた一瞬だった。
試合は九州がマイクで珍しく相手を挑発してそのまま急襲。ゆる~く場外乱闘へ。
ちゃっかり会場の空いた席に座って休んでる黒棒とSMITH。本当に人を食ってるというかなんというか、プロの菊タローが無茶苦茶頑張っていても相変わらずSMITHはSMITHのまま。
エクスプロイダーもジャイアントスイングも本当に調整程度に出しはしたが、ほとんど酔っ払いのパンチくんと何気にプロと絡むことが多い九州がやりたい放題して試合はSMITH軍が終始リード。
しかし、この中で埋もれるようでは九州のレインメーカーはほど遠い。急成長を見せるタシロはこの日も振り抜き型のチョップを炸裂させて八面六臂の大活躍。試合途中に見せたレインメーカー(技の方)はなんとなくぎこちなかったけど、もしあれでフィニッシュを取ろうと思ったらできないことはないなと思わせる破壊力。あれはやはり上背がある方が仕掛けやすいのかな?
つなぎで使うには惜しいので磨くのであれば今回もフィニッシュになった上からドン!などを交えてより攻撃力をUPさせてほしい。
この中で言うとお笑いでは先輩の菊タローにパンチくんやがばいじいちゃんが挑むシングルも見たいなと思った。
菊タローと言えばくいしんぼうとの長年にわたる攻防が有名だけど、せっかくこれだけできる素材が九州にいるのでやっぱ新しい名物試合を生み出していってほしいなあと思う。
第三試合:(30分1本勝負)
北九州商工会議所創立50周年記念タッグマッチ ○林祥弘&YASU 対 陽樹&●TOSSHI(13分35秒)
勝った方が商工会一日広報部長の栄誉を担い、街の清掃活動に出るという名誉と若干の罰ゲームの匂いが漂った試合。
注目は悪役同士で抗争している陽樹が、同タイプでベビーの林とどう向かい合うか?やっぱりGAM1で優勝したのは林だが、直接対決していないことと、現タッグ王者としての陽樹の意地が林に向けられていれば面白い試合になるなとは思っていた。
もともと肉弾戦には定評のある陽樹だがこの日は口でも終始、OVER tHE LIMITを圧倒。「この宇部市民が!(最初は山口市民って言ってたけど^^)」と北九市民であることを散々アピールする。
なぜかホームの北九在住者がヒールで、アウェイなはずの山口県民がベビーというのもややねじれてはいたんだけど、手の合うYASUとTOSSHIのクオリティーの高い攻防を挟んでダイナミックな林と陽樹の攻防がいいアクセントになってとても締まった見応えのある攻防になった。
やっぱり大舞台のメインを任されることが決まった林にも鉄生同様、小倉城の向こうにあるリバーウォーク(北九州芸術劇場)を見据えた闘い方をしていたのは、ごく当然と言えば当然か。
やっぱり以前はただなんとなく組んでいた山口県人組も回を重ねるごとに進化が見え始め連携でもクレージークレバーを圧倒。
今回はマネージャー抜き、しかもセコンドはうるさいタイプのジェロニモ一人というハンデはあったにせよ、ここまでなかなか結果が出なかったオーバーザリミットにとってはこの試合で勝てたのは明るい材料だろう。
勝って栄誉を得た林組にくるみんにとてもよく似た総合司会の人が「CCのくるみんをどう思います?」とインタビューするとなぜか林は不機嫌そうに総合司会を睨みつつ「下でうろうろされて邪魔です」とはっきり言った。
裏のメッセージがばりばりのやりとりになんか、この後一筋縄ではいかない因縁が渦巻き始めたが(笑)将来的に二冠王を狙っている陽樹としてみればSMITHより林と戦った方が手の合う試合を作ることができるだろうなと思った。
やってみないとわからないけど、鉄生との憎悪を超えたバトルもいいけど、本来持ってるスキルをぶつけ合うというのもまた悪くない。そもそもベビー対ヒールなんだからかみ合って当然なんだし^^
でもそうそうたやすく未来予想が描けるほどSMITHはたやすい相手ではない。
あんまり未来ばかり見てると足元すくわれるからねえ。そういえば、打ち上げに林は来てたけど、SMITHの姿はなかった。そういう意味ではもう戦いは始まってるのだ。
後記
終わってみれば城壁の上からもお客さんが見てる、フルハウス状態。大成功と言っていいだろう。
やはり地域貢献と北九州をこよなく愛する気持ちがある限りがむしゃらは今後も走り続けるだろう。いい大会でした。ありがとうございました^^