GAMSHARA SUMMER NIGHT CARNIVAL~ROAD TO 20th ANNVIVERSARY~
(2023年7月9日・日・門司赤煉瓦プレイス)
イントロダクション
6月末、おそらく世界初となる小倉城での天守閣プロレスが、8月末に行われるという発表があった。
その話題にすっかり持っていかれた感があった本大会。
しかし、今大会は事前に参戦選手(および関係者)の豪華さでは、かなり界隈で反響があり、滅多に見られない顔合わせでも注目を集めていた。
中でも西日本社会人プロレスで独特な存在感を放っていたフィシモス・ウォリアーの参戦は、大ニュースとしてがむしゃらマニアの一部では、歓喜の声が上がっていた。
選手じゃないのに、ポスターのど真ん中に配置され、誰よりも目立っているフィシモス・ウォリアーはもともとリングアナである。
そもそもがむしゃらプロレスは長くSHIGEKICHI&K.Kのダブルリングアナがいるため、わざわざ他所からリングアナを呼ばなくても大丈夫なんだが、そこを敢えて外部から刺激をいれてくるあたりが、がむしゃららしいともいえる。
もちろん試合も楽しみなんだが、それだけみていたら足元をすくわれるかもしれないのだ。
下関→門司赤煉瓦
外は朝からあいにくの雨天。高速の一部が通行止めになるほどの降り方で、下道は日曜日という事もあって、大渋滞。
雨の止み間を待って出たのだが、だいたい皆考えるのは同じようである。
しかし、この荒天により乱魔と山内が会場にたどり着けず、カードは大幅に変更となった。
オープニング
オープニングアクトはSMITH代表とSHIGEKICHIリングアナによる、がむしゃらプロレス下半期の日程発表があった。
9月10日は恒例のGAM1。10月は久々の開催になる八児大会、そして掉尾を飾るGAMUSHARA MANIAは初進出になる西日本総合展示場本館大会が決定した。
これはビッグニュースである。最近では九州プロレス以外、どこの団体もやっていない北九州最大の箱と言ってもいい場所である。
そこにチャレンジして行こうと言うんだから、過去最大のイベントになることは間違いないだろう。
そしてスペシャルゲストとして、OPGの翼レフェリーと、リングアナのフィモシス・ウォリアーとともに大会のスタートを告げた。
第一試合「がむしゃらプロレス vs OPG」
(シングルマッチ/30分1本勝負)
×尾原毅 vs 上原智也○(9分51秒ノーザンライトボム)
一応、OPG対がむしゃらという体になっているが、上原は今話題の「全包連」のメンバーでもある。
しかも、Twitterで標的を尾原毅に定め、試合を全包連カラーに染めようと画策していたのだ。
果たして一試合目から悪ノリ炸裂になるのか?会場中が「ええやん、ええやん」になるのか?
注目は狙われた尾原毅である。OPG…いや、全包連の企みに生真面目な尾原はどうなるのだろうか?
試合序盤は、上原が尾原の蹴りを警戒し、蹴りの間合いに入らないように用心している場面が見られた。
しかし上原が自分から蹴り合いを申し込むと、尾原もそれに乗ってきて、試合は非常に白熱していた。
ここまではほとんどジョロキアの上原と言ってもいい内容だったのだが、そこに真っ向勝負で乗っかった尾原は、セコンドについている フィモシス・ウォーリアーに目が行っていなかった。
レフェリーの足を引っ張って、外に連れ出すと全包連の翼レフェリーがリングイン。
その隙を狙って上原が尾原の足を刈ってテイクダウン。
これでしたたかにダメージを負った尾原は、そのまま超高角度ノーザンライトボムによってカウント3つ を聞いてしまった。
ある意味「ボディスラムだー!」というセリフが聞こえてきそうな一撃だった。
上原は試合途中から交代した翼レフェリーとともに、尾原を全包連に勧誘する。
最後は尾原に半ば強引に全包連Tシャツを着せて、次の試合のセコンドにつかせるという、ある意味暴挙に出た。さあ 第2試合はどうなるのだろうか?
第二試合「全包連だョ!全員集合」
(タッグマッチ/30分1本勝負)
×KENZO & 豪右衛門 vs ○原口知弥 & レオパルドン横山
(14分47秒フライングソーセージ)
二試合目にして、全包連がついに姿を現す。
残念ながら「全員集合」はまたのお楽しみになったけれど、先のお楽しみができたと思ってその日を待ちたいと思う。
フィモシス・ウォリアーの前口上によって、全包連全員が呼び込まれ、ほぼ全メンバーが鳴り物や被り物で入場してきた。
試合前からものすごくけたたましい大騒動が繰り広げられ、会場は早くもカオス一色!
最初は大KENZOコールを嫌がって、一旦帰りかけた横山だったが、「横ヤン」コールに煽られて、再度リングイン!ええやん、ええやん!
試合が始まると4人が4とも実力者なので、真っ向からのぶつかり合いで見せていく。
この中では キャリアが一番下になるKENZOだが、他の3人に負けないくらいの存在感が出ていたのは大したもんだと思う。
さすが全包連尊師に任命されただけのことはある。
一進一退の白熱した攻防の末、4人が4人とも 空中弾を仕掛けるという、ジュニアみたいな派手目の試合になったのは、スゴオイ!
最後は原口のフライングボディプレス 2連発によってKENZOが沈むことになったが、結果的には「全包連ここにあり!」ということを見せつけることになった。
これもワノココロを忘れずにみんなで「ええやん」した結果だと思う。
最後も全包連全員でけたたましく帰って行ったのだが、これによって全包連がなんとなく会場も受け入れたようで、好意的な反応が寄せられていた。
押忍! ええやんええやん! シューーーーーーーーーー🤌
第三試合「Speed, Fly and “Muscle”」
(タッグマッチ/30分1本勝負)
○HAGGAR & 久保希望 vs アストロZ & ×YASU
(13分26秒バズソーキック→エメラルドフロウジョン)
柳井でアストロZと対戦して、苦杯を舐めたHAGGARにチャンス到来。
アストロZとは早くも「再会」となるカードにもなっている。ここに久保が入ることでどういう化学反応がおきるか、楽しみな顔合わせである。
四者四様の思惑が絡み合った好カード、さあ蓋をあけたらどうなるだろう?
序盤はアストロZと久保による、基本に忠実なレスリングの攻防からスタート。
前の試合があまりにもけたたましすぎたので、その余韻をかき消すかのように静かな立ち上がりからスタートしたのはよかったと思う。
ここでポイントになったのが、いつもより シェイプボディになっていた 久保の動きであった。
もともと ヘビー級と言っていい体つきなのだが、久保は時々体を絞ってキレを良くしている時があり、今回はそれが功を奏してジュニアらしいスピーディーな試合運びに一役買っていたように思う。
アストロZとYASU組は山口県タッグとして活動していることが多く、連携もスムーズ。この中に混じってパワーファイターであるHAGGERが翻弄されないかという 懸念はあったものの、急成長を遂げているHAGGERは難なくこの流れについていった。
山口県コンビはスピードと空中戦で撹乱して、自分のペースに掴みたいところだったが、HAGGERの強烈な打撃によって、徐々に ダメージが積み重なっていったように思う。
このHAGGERの急成長ぶりは2人にとってかなり誤算だったのではないだろうか?
HAGGERがフィニッシュにいく、その前にYASUに決めたバズソーキックが非常に強烈で、これでとどめを刺されたといっていいだろう。
終わってみれば、HAGGERの持ち味が十分に発揮されていた試合だった。
ここで、15分の休憩。休憩明けには謎の宇宙人が襲来するのだが・・・。
第四試合「がむしゃら的夏の自由研究〜異星人来襲〜」
(タッグマッチ/疲れん程度1本勝負)
×パンチ君 & ×ダイナマイト九州 vs ×リキ・ライタ & ○ISODA(19分54秒呪い)
OPGの岡山武道館では、オープニングを飾るロイヤルランブルで、独特な存在感を放つ宇宙人ISODAが、がむしゃら初登場!
ただ、OPGの層はおそろしく厚い。ISODAがOPGではみせたことのない顔を出してくる可能性もある。
果たして迎え撃つ九州組は食われずに済むだろうか?
序盤は九州とリキ・ライタの絡みからスタート。
入場からなぜかパイナップルを持っていた、九州はそのパイナップルを落下させてリキをいたぶっていく。
今回の九州はなぜかヒールモードになっていたようで、ちょっとサディスティックな攻撃が見られた。
しかし いつもの風景が繰り広げられるにつれて、コーナーに控えているISODAが気になってしょうがない。
ただ立っているだけなのだが、その存在感が異様なのである。
そしてISODAがスティックを片手に登場したら、他の3人やレフェリーまで操って自由自在に動かし始めた!
このスティックのすごいところは誰がもっても異能力を発揮してしまうところなのだ。従ってパンチくんがもっても同じ事ができる!
ダイナマイト九州の見せ場でもある「九州、九州」のムーブすら意のままに操ってしまうのだから異星人恐るべし!
さらにピラミッドパワーを使って、謎のダンスを踊ったあと、他の三人を「ISODA化」してしまうあたりは、もはや人知を超えた何かがおきたとしか言いようがない。
最後は試合続行不可能と見たKENTAレフェリーがISODAの勝ちを告げたが、ここでいきなりミスター鏡餅が乱入し、ISODAを一刺し。
さらに凶器の包丁を受け取ったKENTAレフェリーもISODAを一刺し!
ドラマティックなBGMと共にぐったり倒れたISODA。
4人が4人とも倒れたまま動かない。どうしていいのかわからなく、途方にくれるKENTAレフェリー。
すると4人が4人とも、しれっと立ち上がり、カーテンコールよろしくお辞儀をして去って行った。一体この光景は何だったのだろう?会場がポカーンとしている中、 私は終始一人で大爆笑していたのだった。
セミファイナル「Dream Tuber vs Re:ZARD」
(タッグマッチ/30分1本勝負)
嵐弾次郎 & ×HIROYA & SMITH vs 陽樹 & サムソン澤田 & ○鉄生
(23分06秒急角度ロケットランチャー)
こちらはヘビー級が勢揃いしたバチバチファイトが期待できる顔あわせ。
最近ユニットとしてのDream Tuberはすっかり影が薄くなっていた感があるけれど、シングル&タッグのベルトを独占するRe:ZARDは美味しい相手には違いない。
暑い夏を前にしてボルテージ最高潮のぶつかり合いを期待したい。
序盤はHIROYAとサムソンによる静かな立ち上がりからスタート。
しかしSMITHと陽樹にスイッチしてから、いきなりヒートアップ。
基本真っ向勝負をしない SMITHに対して、いつもだと我を忘れてしまう陽樹がSMITHのお株を奪うように、目潰しをしたりして対策を練ってきてるのは さすがタッグ王者。
また嵐弾次郎と鉄生の絡みは「これぞヘビー級の真っ向勝負」という感じでガツンガツンという音がするような、激しいぶつかり合いを見せていく。
途中で弾次郎のマスクはぎを挟んで、さらっとラフプレイにもでてくる鉄生。
試合はどんどんヒートアップし、もつれ出た両軍が場外で激しくやり合う。
この中で、サムソンにゴムパッチンを決めてみせるSMITHはいつも通りだったけれど、陽樹とHIROYAが場外で激しくやり合い、ここで スイッチが入ってしまったHIROYAは後半から暴走を始めていく。
途中SMITHや嵐弾次郎が入って軌道修正していくのだが、若いHIROYAは、タッグベルトを奪っていたRe:ZARDに対してガンガン向かっていく。
だが、それを嘲笑うかのように鉄生や陽樹、サムソンは上手にいなしていく。
Re:ZARDはリングに戻ると、チームワークに終始。普段あまり組むことのないDREAM TUBERは翻弄されていく。
最後はRe:ZARDの連携がうまくはまり、HIROYAを孤立させ、鉄生のダイビング ヘッドバッドが決まり、3カウント。
収まりのつかないHIROYAはマイクで罵倒されたことにカッとなって、嵐弾次郎の静止も振り切って、何度となくゴングのなる中、大乱闘を繰り広げる。
しかしそれも後の祭り。終わってみれば チーム力の差を見せつけたRe:ZARDの圧勝だった。
メインイベント・GWA Jr.ヘビー級選手権
60分1本勝負
○【挑戦者】トゥルエノ・ゲレーロ vs ×【王者】MIKIHISA
(13分11秒垂直落下式スワントーンボム)
☆第15代王者が防衛に失敗、挑戦者が第16代 Jr.ヘビー級王者に
難敵アストロZを下して盤石の王者ぶりをみせているMIKIHISAの前に立ち塞がったのは、長らくタッグ王者として君臨していたトゥエルノ・ゲレーロ。
タッグ王座を失って、身軽になったゲレーロが新たに狙いを定めたのがGWAジュニアだった。前回のユニット対抗戦では挑戦者が勝利している。
とはいえ、6人タッグと共に二冠王でもあるMIKIHISAもここで負けるつもりはさらさらないだろう。
さて、注目のタイトル戦はどうなるだろうか。
序盤からゲレーロが狙っていったのは、MIKIHISAの足殺し。
鋭いキックを得意とするMIKIHISAに対して足関節を中心にグラウンドで圧倒していくゲレーロ。
順当とも言える攻め方 だが、グラウンドは決してMIKIHISAも苦手にはしていない。
しかし攻めめられれば攻めめられるほど、痛い方の足で蹴ってしまうのはレスラーの性というものである。
いつもだと相手が痛がるMIKIHISAの蹴りだが、この日は少し鋭さを欠いていたように思う。
MIKIHISAは場外に出てゲレーロを蹴りで追い込んでいく。しかしゲレーロ がよけた瞬間にMIKIHISAの蹴りがコーナーポストに直撃してしまい、悶絶。
これが結局勝敗を分けてしまったように思う。
そこからは王者が追いかけ、挑戦者が追い抜かれまいとするような試合展開になっていった。
こうなるとチャンピオンが劣勢を跳ね返すのは難しい。
痛めた足はそれだけハンデになっていたのである。
一方 ゲレーロ は大きなダメージを負うことがなく、リングに戻ってからも余裕の展開。
落ち着いた試合運びで自分のリズムを作っていたように思う。
見事チャンピオンに帰り咲いたゲレーロは、会場に来ているお父さんに対して感謝の意を述べ、「 3・2・1 がむしゃらー!」 で大会を締めた。
後記
全試合終了後 外に出ると全包連のメンバーとISODA選手がお見送りしていた。
流れで私も記念撮影をしてもらい、いい記念になった。
終わってみれば全試合カラーが違っていて、どれも外れがなかった。
これでまだ20周年イヤーが途中なのだから、今後どれだけ盛り上がるんだろうと思うと、恐ろしくなってくる。
それでも年末に向けて、がむしゃらプロレスは更にスピードUPして盛り上がっていくことだけは間違いないと思う。
大満足で帰路に着いたのは良かったのだが、大雨の影響で高速がストップしており、下道は大渋滞。
いつもだったら40分ちょっとで帰れるところが、大回りして1時間以上かけてやっと家にたどり着いた。
結構クタクタになったけれど、良い思い出になったと思う。
天候の悪い中集まってくれた選手たち、お客さん、全てに感謝したい。ありがとうございました 。