GAMSHARA SUMMER NIGHT CARNIVAL 2024~SMITH GAME~
(2024年7月28日(日):門司赤煉瓦プレイス)
イントロダクション
約20年近く心療内科に通っている私は、近年の介護生活で鬱がぶり返したこともあり、六月から就労支援の施設で、リスタートをはじめた。
しかし、土曜が休みにならなくなった事と、自分の障害年金申請と父の手術が重なり、企救丘には行くことができず、日曜のみの参加になった。
本来の体調なら、山口初開催のG1まで視野に入れていたが、当然こちらも断念。
ただ、自分の中でプロレス熱が下がっているせいか、それほど悔しいという感覚はない。
焦る気はないけど、一つの事を突き詰めて40年以上も経過すれば、こんな事もあるだろう。
さて、そんなテンション低めの中でも4月から楽しみにしていたのが、SMITH GAMEと題された本大会。
なんといっても、がむしゃらプロレス代表になってから、裏方に回る事が多かった(ようにみえた)SMITHが、久々に自分全開のプロデュース大会を開くのだ。
ゲレーロのRe:ZARD入りを含め、内外に問題を抱えている(ようにみえる)がむしゃらプロレスにとって、この大会はある意味起爆剤、ある意味劇薬になりそうな予感がする。
果たして、どうなるか?
下関→門司赤煉瓦
朝から猛暑の中、車を走らせて赤煉瓦へ。あまりの暑さのせいか、いつもなら結構混むトンネル前や、199号線が意外とスムーズに行けて、あっという間に到着。
しかし、さすがにこの猛暑で開場を待つわけにはいかないと思い、しばらく車内で涼んでから、会場入り口に向かうと既に結構な人がいた。
今回は西日本総合展示場でもパフォーマンスした愛◆Dreamが再登場。その上、ダイナマイト九州のテーマ曲を手がけたMATTONも参戦するなど、久々にプロレス以外の出し物も充実している。
したがって、いつものがむしゃらプロレスにプラス、愛◆DreamのファンやMATTONの音楽を聴いている層が混じっているため、開場を待つ客層が随分違っていた。
オープニング
オープニングアクトでは派手な靴履いたプロデューサーSMITH自らが登場。
2月に自身が欠場して以来、皆が好き放題しはじめた事にご立腹な代表は、がむしゃらプロレスに試練を用意したという。
その前に愛◆Dreamを呼び込んで、まず一曲披露。続いてメンバー紹介に入ろうとしたところで、テーマ曲が鳴りRe:ZARDが登場。
サムソン澤田がマイクでSMITHプロデュースの明るく楽しいを恐怖に陥れると宣告すると、またしてもテーマ曲が代わり今度はHIROYA、KENZO、HAGGARが乱入し、愛◆Dreamを救出!
嵐弾次郎を加えた四人で新チーム「Panzer4」結成をアピールすると、再び愛◆Dreamが2曲披露して、混乱と華麗なオープニングはなんとか無事終了。
SMITHプロデューサーが仕切り直しで、大会スタートを告げて、SMITHGAME は始まった!
第一試合
▼8人タッグマッチ(30分1本勝負)
○ブラック★スティック & ブラック★スティック メガ & ブラック★スティック スカイ & ブラック★スティック スティール vs ポール・ブレイザー & パンチ君 & 竹ちゃんマン & ×ダイナマイト九州
(16分03秒)
土曜日の企救丘に続いて、連続参戦となるポールは第一試合で、個性的なメンバーに放り込まれた。
まあ、そうは言ってもこのメンバーなら、ポールの扱い方も心得てるだろうが、ポールを含めた全メンバーが美味しいところをとりにくるはずだから、これは注目せざるをえないだろう。
今回は、ダイナマイト九州の入場テーマ曲を担当したMATTONがリング上で生歌を披露。ノリノリで入ってきた九州だが、いつもならお客さんにダメ出しするのに、なぜかMATTONからダメ出しされて、入場をやり直していた。
一方増殖した黒棒軍団は試合しないメンバーも含めて明らかに何処かでみたような人たちばかりだが、多分気のせいだろう。
この中でもやはりポールは美味しいポジションをきちんと押さえて、笑いにつなげていく。
とはいえ、黒棒軍団に対して多勢に無勢の九州組は、レフェリーも含めて「身体の一部」と言い張る、数々の黒い棒に大苦戦。
結局、終始黒棒軍団のペースで試合は進み、九州自ら黒星を喫す事になってしまった。
収まりがつなかい九州は、然るべき時に黒棒軍団相手に、6人タッグ防衛戦を行うと宣言。
ポールはその場にいたけど、SMITHには許可得たんだろうか?果たしてタイトルの行方はどうなるんだろうか?
第二試合
▼タッグマッチ(30分1本勝負)
〇上原智也 & 土屋クレイジー vs ×HAGGAR & HIROYA
(15分39秒)
第二試合はバチバチ感強めの好カード。最近は対Re:ZARDの因縁が目立つHIROYAとしたら、HAGGARを引っ張り上げて、難敵である上原&土屋とどう対峙していくのか?
後半のがむしゃらプロレスの展望を見ていく上ではキーになりそうな顔合わせだけに、こちらも期待がもてそうだ。
新ユニットパンツァーフォー初試合がこの試合になった。オープニングアクトで、Re:ZARDを蹴散らした勢いで、HIROYA&HAGGARとしては是非とも勝利したい。
しかし、初タッグとはいえ、もともと個の力が抜きん出ているのが、上原と土屋である。
一見するとシングルプレイヤーっぽい二人だが、実はタッグでも十分な実績を持っているので、即席タッグと侮ることはできない。
案の定、上原と土屋は手堅くHAGGARに狙いを定めて、ローンバトルに持っていくが、HIROYAは敢えて必要以上に助けには入らず、敢えてHAGGARの自力脱出を促しているかのようにみえた。
結局、HIROYAが出ると多少流れは変わるものの、老獪な上原&土屋にHAGGARが終始翻弄され黒星スタート。
Panzer4としては苦い船出になった。しかし、これからトップを目指す以上、HAGGARは上原や土屋は越えなければならない高い壁である。
そういう意味ではSMITHプロデューサーが課した試練の中では、一番わかりやすかった試合だったように思う。
第三試合
▼タッグマッチ(30分1本勝負)
×サムソン澤田 & 陽樹 vs 久保希望 & ○イマバリタオル・マスカラス
(11分35秒)
前回、KENZOの執念にベルトを奪われた、Re:ZARDの前タッグ王者チームは、初参戦になるイマバリタオル・マスカラスと遭遇。
記憶違いでなければ、所属の愛媛プロレスでは、プロとも対戦経験がある有望株だし、ベテランの久保がリードする分、チームとしては問題なさそうな感じはする。
一方で対戦相手がやや偏っていた感じがするRe:ZARDチームとしては、新顔との対戦はある意味気分転換には持ってこい。
このタイミングで何か掴んでおきたいのは、多分四者四様にあるのではないだろうか?
こちらもRe:ZARDがイマバリタオルを孤立させる。しかし2019年デビューとはいえ、かつては土屋クレイジーも巻いた、四国統一ヘビー級王者の肩書きは伊達ではない。
マスカラスの名前を冠した割には、イマバリタオルは相手の技を受けて、カウンターで返すスタイルのレスラーだった。
それを可能にしたのが、イマバリタオルの驚異的な身体能力!これには会場がどっとどよめく。
がむしゃらもジュニア戦線が固定化してしまい、かつてのような華やかな試合が見られなくなって久しい。
そういう意味ではジュニアではないが、華麗な空中殺法を繰り出すイマバリタオルは、がむしゃらのお客さんが待望していた存在だったのかもしれない。
パートナーの久保もイマバリタオルを好フォローし、チャンスが来るのを待つ形で試合は進んでいく。そんな中、粘り強く耐え抜いたイマバリタオルが自ら逆転勝利!
愛媛プロレスは、なかなかこちらでは見られないけど、こうして次々と人材が現れてくるのは、素晴らしいこと。
できるなら現地で観戦したいけど、しばらくは難しいかなあ。
第四試合
▼シングルマッチ(30分1本勝負)
×トゥルエノ・ゲレーロ vs ○レイパロマ
(10分30秒)
これほど予想がつきにくいカードもなかなかない。発表された時もそうだが、いまだに試合内容がどう転んでいくのか、想像もつかない。
2024年は新日本プロレスの広島大会にも参戦したレイ・パロマが、久々となるがむしゃらプロレス登場になる。
その新日本ですらおのれを貫き通したレイ・パロマが今更自分のスタイルを封印するとは考えにくい。
ゲレーロと共にメキシコにルーツがありながら、ファイトスタイルは正反対。ましてやヒールターンして間もないゲレーロとしてみれば、どこまでパロマワールドに付き合うのか?
そして、Re:ZARD入りした黒いゲレーロは、敢えてパロマの世界には簡単に踏み込もうとしない。
ならばと、パロマの方から基礎的なムーブで、ゲレーロを自分の世界に引き摺り込もうとする。
しかし、それはあくまで序盤の話。中盤にお約束のタイツズリ下がりを披露してからは、新日本でも炸裂したパロマワールドが全開に!
パロマのテーマ曲ではないが、まさに「見せるが勝ちだぜ」と言わんばかりの張り切りぶりで、こうなるとさしものゲレーロでも打つ手なし。
ある程度は予測していたであろう、パロマの下半身攻撃だが、皆が想像した以上にパロマがノリノリで試合していたため、何回も「アウト」になりそうなシーンまで生み出してしまった。
結局見えそうで見えない押さえ込み、丸め込みを制したパロマが技アリの勝利!
しかし、SMITH GAMEの趣旨からすると、ゲレーロがどこかしら楽しそうに試合をしていたため、試練になったかどうかは何とも言えない。
セミファイナル
▼GWA無差別級タッグ選手権(60分1本勝負)
MIKIHISA & ×尾原毅 vs 嵐弾次郎 & ○KENZO
(20分51秒)
MIKIHISAはある意味NASTY OUTSIDERSの核みたいな選手で、シングルとしてもタッグとしても実績がある。
正パートナーは豪右衛門になるが、NASTY入りの経緯には尾原毅が絡んでおり、ある意味師弟タッグとなる。
そういう意味では現チャンピオンと同じ構図を持ったチーム同士の対決になるわけで、単なるタイトルマッチとしてだけではない意味合いが出てくる。
この新旧師弟対決はチームカラーもはっきり違うし、個性と個性がぶつかり合う、真っ向勝負とはまた異なる内容が期待できる。
それだけに一人だけキャリアが浅いKENZOが先輩3人に埋もれず、試合の主導権を握ることができるかどうかが鍵になりそうだ。
尾原&MIKIHISAの強烈なキック攻撃に、防戦気味になる王者チーム。特に弾次郎は、尾原のローキックに手を焼き、なかなか自分のペースで試合ができない。
チャレンジャーチームは、的がでかいチャンピオンチームを面白いくらい蹴り倒す。
確かにダメージは与えられるのだが、単に的がでかいだけではなく、打たれ強いという点で、尾原&MIKIHISAは決定打を打ち込めなかったのが誤算だった。
結局、弾次郎の宮津湾トーンボムから、KENZOのフライングボディプレス2連発で、尾原を粉砕。初防衛に成功した。
とはいえ、尾原のローキックをはじめとする各種蹴り技は、王者組に確かな爪痕を残していたのは事実。
ある意味最大の難敵を退けた王者組だが、まだ鉄壁というほどではない。次にどんなチャレンジャーが登場するか、それ次第では、弾次郎&KENZOの試練はこれからも続いていきそうな気配が濃厚である。
メインイベント
▼スペシャルタッグマッチ(60分1本勝負)
⑥×ZAKA & 鉄生 vs ○グレートムタイガー & SMITH
(14分42秒)
このカードには実は深い意味合いがある。
私の記憶違いでなければ、ZAKAのデビュー戦の相手は、今回がむしゃら初参戦になるグレートムタイガーだったという。
岡山で聞いた話だが、若き日のZAKAはその試合でムタイガーにボッコボコにされたそうだ。
それから時を経て、長期の休業から復帰したZAKAが、OPGではなくがむしゃらプロレスのリングで、再びムタイガーとあいまみえるというのもドラマティックな話ではある。
ちなみに、鉄生もボコられたわけではないが、若手時代はSMITHに散々な目にあっているため、ある意味ZAKAと立場的には近いものがある。
もちろんZAKAとSMITH、ムタイガー対鉄生という顔合わせも新鮮なだけに、どう転んでも何かが生まれそうなカードであることは間違いないだろう。
先発はムタイガーとZAKA。組み合う前にZAKAはムタイガーが自身の恩師である事を会場で告白。
序盤は自身のルーツを確かめ合うかのような攻防で、じっくりしたレスリングを見せていくが、代わってSMITHと鉄生が出てくると、いきなり試合は荒れ模様になっていく。
愛◆Dreamの歌のコーナーを強制中断した際、ゲレーロがSMITHを抑え込んで、サムソン澤田が罵倒する場面があったのだが、Re:ZARDはそもそもSMITH GAMEに対して快く思ってはいない。
しかし、せっかくの代表タッグ結成でノリノリのSMITHは、ムタイガーをフォローしつつ、しっかり自分も目立っていく。
更に、ムタイガーはトペに、タイガースープレックスにと大活躍!普段から鍛錬は欠かさないムタイガーだが、年齢を感じさせないコンディションで、岡山武道館でも見たことがないくらいの動きを披露。
これには「(恩師だったのは)10年前の話だ!」と言い直していたZAKAもタジタジ。
若さと勢いなら間違いなくRe:ZARDが優位だったはずだが、ムタイガーが想像以上に楽しんで試合をしていたのは計算違いだったといえるかもしれない。
最後は、ムタイガーの高角度パワーボムで愛弟子?ZAKAを沈め、代表タッグ快勝で、プロデュース大会のメインを締め括った。
エンディング
勝利したSMITHは、プロデュース大会の成功にご満悦で「用意してきた試練を乗り越えたメンバーで、次の大会も盛り上げていきます!」と宣言。
自ら教え子のZAKAをフォールし大活躍のムタイガーの労を労いながら、SMITHはマイクを2本用意。
仕事の都合でなかなか遠征が難しいムタイガーは、念願の赤煉瓦初試合を満喫したようで、まずは感謝の意を伝える。
しかし、ムタイガーと来れば、マイクアピールだけでは終わらない。
OPGではだいたい大会前にムタイガーの歌で試合前の空気を温めているのだが、今回はなんとSMITH代表とともにデュエットを披露!
試合も盛り上がったが、こちらも大ウケ。見事にSMITHGAMEは大盛況で幕を閉じた。
後記
約二ヶ月半ぶりの生観戦で、満足度の高い大会ではあったが、個人的にはSMITH代表が用意した試練が少し弱かったかな?というのが気になった点。
これは、軸足がプロデューサー寄りだったドン・タッカーと、選手兼任でプレイヤー寄りのSMITHとの決定的な違いかもしれない。
前代表は、選手が嫌がろうがなんだろうが、面白ければ容赦なくそっちを選択するガキ大将みたいな人だった。
何よりサプライズが大好きだったから、仕掛けも何重にも用意して、お客さんだけでなく、選手やスタッフまで驚かせていた。
時間的な配分もあるし、他団体選手とのバランスも考えると、サプライズに時間割くと明らかに大会がボリューミーになりすぎるきらいはあったが、それがかつてのがむしゃらプロレスの持ち味だった。
今大会はサプライズがオープニングアクトで終わってしまい、試合自体は比較的淡々と進んでしまった印象がある。
2024年に5年ぶりに来日したWWEは、テレビ収録はもちろん、ライブのみのハウスショーでも、事前の発表どおりのカードをやらない事で知られている。
逆に年間最大の大会レッスルマニアでは決められたカードは変えないまでも、これでもかとサプライズをぶちこんでくる。
2024年のDAY2では、大観衆がその演出に酔いしれていた。
世界一の団体ですら、ギリギリまで何が起こるかわからないのだから、発表されたカードがただ単に消化されていくだけでは、試練と謳ったにしては、ちょっと弱いかなと思う。
とはいえ、プロデュース大会はある意味プロレス脳が試されるので、代表だけでなく、いろんな選手が仕切ってみるのはアリかもしれない。
何が飛び出すかわからないがむしゃらプロレスは、決してWWEにだって引けを取らないだけのポテンシャルはある。あとはその見せ方次第じゃないかな?
あとは、会場でも話題になっていたヤジ問題。これはプロレス界やスポーツ界全体にガイドラインがあるわけではないので、非常に難しい問題だが、一歩間違うとハラスメントになりかねないセンシティブな時代だけに、先行してプロ団体が提示している観戦マナーを参考にルール作りをするしかないだろう。
北九州のスポーツ観戦層はジャンルを問わず熱いのだが、熱さがすぎてサッカーなどでも問題になっているので、皆が気持ちよく「今日はよかったね!」と帰路につけるような大会をお願いしたい。
そういう意味ではWWEユニバースはある意味、理想型の1つではないかと思う。全部が全部真似をする必要はないけれど。
次回はがむしゃら戦士最強決定戦「GAM1 CLIMAX」!ここから後半のがむしゃらプロレスがどうなっていくのか?楽しみに待ちたいと思う。
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