プロレスリングFREEDOMS「いざゆけ無敵の自由軍団2026」
(2026年5月30日・土・門司赤煉瓦プレイス:観衆115人)
イントロダクション
FREEDOMSの北九州大会は、最初から現在にいたるまで途切れることなく、生で見続けている数少ないケースだ。
がむしゃらプロレスの有料大会も2009年からずっと見てきているが、どちらももはや奇跡としか言いようがない。大概の場合、なんらかの形でいけなくなることが多くあるからだ。
FREEDOMS連続観戦における最大の危機は、やはり4年前の血液がんによる入院だった。月1回×6回の抗がん剤治療スケジュールに、がむしゃらプロレスとFREEDOMSの大会がかぶってしまったのである。
しかし、どうしてもプロレスが見たい私は、きつい抗がん剤治療を無理やり月2回にしてもらい、がむしゃらもFREEDOMSも無理やり観戦した。

この時はまだ治療のキツさを舐めていたのだが、今思うのは、「よくあんなことができて生還できたな」という、信じられない気持ちしか残っていない。
さて、今回の九州ツアーは、カリスマ・葛西純がNJPWの『BEST OF THE SUPER Jr.』に参戦中というなか、そちらを休んで九州二連戦に登場する。
毎大会激しい試合をしているデスマッチのカリスマが、北九州でどれだけ暴れ倒すのか? 楽しみしかない。
下関→門司赤煉瓦プレイス
この日は5月とは思えない好天で、朝から気温も高い一日だった。

午前中は就労支援で働いていたので車は駐車場に置いていたわけだが、仕事終わりで乗り込むと、たちまち汗が吹き出るくらいに車内が焼けついている。
出かけるまで少し時間があるので、一旦自宅に戻り、服薬して小休止してから再出発した。
しかし、関門トンネルが相変わらずの渋滞で超ノロノロ運転になり、窓から刺す陽射しに耐えながら、料金所までの順番を待つ。
その後も門司赤煉瓦プレイスまでの道は結構混雑しており、ようやく着いた赤煉瓦の駐車場は、一気に300円値上がりしていた。

そのため、いつも通り少し離れた場所に車を停めて、徒歩で会場へ向かう。
会場はすでに開いており、HIROYAと杉浦透がお出迎え。売店でタオルとパンフレットを購入して座席に座ると、ようやく汗がひいていった。

オープニング
オープニングアクトは、セミファイナルでタッグを組む杉浦透とHIROYA。


なぜか矢野通(新日本プロレス)をもじった「スギウラ・トオ・ルー!」を飽きずに繰り返す。久々に見るが、実にあつ苦しかった(笑)。

第一試合
シングルマッチ(時間無制限一本勝負)
◯マンモス佐々木 vs ×五十嵐玲也 (6分36秒*29歳 → 片エビ固め)
五十嵐は2024年に高校卒業と同時に覆面MANIAでデビューし、OSWを経てFREEDOMSに入団した期待のニューフェイス。他方、1997年12月8日デビューのマンモス佐々木は、来年でキャリア30年を迎える。

実はFMW時代に、デビュー間もないマンモスの試合を見ているのだが、巡り巡って、こうして若手を受けて立つベテランとしてのマンモス佐々木を見るのも非常に感慨深いものがある。


新進気鋭の若者がベテランに挑むも、高い壁はあまりに厚い。

一所懸命やっているのはわかるのだが、ところどころ技のミスも目立つ。リングに上がれば先輩・後輩もないので、もっとガツガツといって、「マンモスを平らげてやる!」くらいの気迫があっても良かったと思う。

スギウラマンが団体内の実質No.3にいるのも、最初から自分を格下扱いしていなかったからで、新人時代からある意味で厚かましさがあった。

キャラクターとして五十嵐が杉浦と同じになる必要はないが、ガツガツ行く姿勢は参考にしても良かったのではないだろうか。

そのスギウラマンは途中からセコンドに入り、五十嵐へ大声で檄を飛ばすも、マンモスの余裕は終始崩れない。
FREEDOMSには一応ジュニアのタイトルはあるが、基本的なマッチメイクは無差別で行われている。

最後は、マンモスの必殺技・29歳(垂直落下式ブレーンバスター)でトドメを刺された。
第二試合
◆がむしゃらプロレス提供試合
シングルマッチ
×鉄生 vs ◯トゥルエノ・ゲレーロ (5分50秒 逆さ押さえ込み)
このカード自体は、イベント試合を中心にそこそこ組まれてきた。

当然、スーパーヘビー級の鉄生が有利かと思いきや、身体の硬さという弱点をつかれて負けるパターンも多々あり、対ジュニア戦士への戦績はそれほど良くはない。


がむしゃらプロレスのイベントを含む対外試合ではよく見かける「ジュニア対ヘビー」のシングルマッチだが、鉄生にはパワーがある代わりに、身体の硬さという欠点がある。

現在、タッグパートナーになっているYASUと対戦したときにも、苦い体験をしてきている。
序盤は鉄生とゲレーロが真正面からバチバチと激しくやり合う。


これは一見すると鉄生のフィールド(有利な展開)みたいに思えるが、事はそう簡単ではない。

鉄生が有利なように見せかけて、徐々にゲレーロが巧みに“アリの巣地獄”へと誘っていく。


結局、パワー勝負で熱くなった鉄生を、終盤の執拗な丸め込みで捕らえ、ゲレーロが技ありの勝利を決めた。

第三試合
◆ 6人タッグマッチ(時間無制限一本勝負)
ガイア・ホックス&●カイザー・ゼエン&正岡大介 vs ◯ヴァンヴェール・ジャック&ヴァンヴェール・ネグロ&CoCo (11分40秒 シューティングスタープレス → 片エビ固め)
北九州大会の常連になったヴァンヴェールファミリーは、今回全員集合。
対戦相手のメンバーは、これまた強敵揃いだ。いくら若いジャックやCoCoがいるとはいえ、経験以上のダメージを食らいそうな気がする。
ファミリーの絆が、この試練を跳ね返すことができるだろうか。

家族総登場で、久々の対FREEDOMSに挑むヴァンヴェール親子だが、先制したのはガイアらのチームだった。


序盤からCoCoが捕まり、場外戦でも連携を分断されてしまうヴァンヴェールファミリー。


しかし、CoCoが自らの窮地を自力で脱出する粘り強さを見せ、これに燃えた兄と父親が反撃に転じる。




特に、近年様々な団体で経験を積んできているジャックの動きは目覚ましく、登場するだけで試合の流れを変えてしまう。
子どもたちの活躍に呼応して、親父まで珍しく空中弾を見せるなど、非常に白熱した試合になっていく。

もちろん、正岡の巧さや、台湾チーム(ガイア&カイザー)のスピードもなんら劣るものではない。

最後は、ガイア・ホックスの持つジュニアタイトルを狙うジャックが、自ら前哨戦を制した。
試合後、マイクを握ってお互いが熱い気持ちをぶつけ合う。

本当は北九州大会を、次の熊本大会の前哨戦にはしてほしくなかったという思いもあるが、この両チームなら、これからも熱い、熱い闘いを続けてくれるに違いない。

第四試合
◆シングルマッチ(時間無制限一本勝負)
◯進祐哉 vs ×神威 (8分18秒 4の字ジャックナイフ固め)
長い欠場からカムバックしてきた神威と、FREEDOMSに再入団してきた進が、このタイミングでシングルマッチを行うのは、どこか感慨深いものがある。
神威の旧・入場テーマ曲は、かつての団体「WMF」のテーマ曲だった。
そして、マンモス佐々木は「チームFMW」のアレンジバージョンをエントランスで使用している。
FMWからWMFへの歴史を考えると、実はこれも非常に胸に刺さるものがある。
こうして積み重ねられた時間が次のドラマを生んでいく――これもプロレスの魅力の一つだ。

復帰した神威の新テーマ曲は、Adoの「うっせえわ」。
これがプロレスの入場テーマ曲に使われる日が来ようとは!


ある意味で、色々と思うところはあった。
ただ、もしかしたら次に見る時にはテーマ曲が変わっている可能性があるため、これが最後になるかもしれない。

試合自体は、激しいデスマッチの多いFREEDOMSの中では珍しい「職人同士」の内容になった。

もしかすると地味に映るかもしれないが、逆に他の選手がギラギラしている分、反対にこれが個性となり得る可能性はある。

そうしたテクニック合戦の攻防は二転三転していく中で、NOAH時代に手に入れた進の「4の字ジャックナイフ固め」が決まり手に!

近年、小川良成教室の経験者が多々使用し、昇華してきた必殺技だが、こうした形で受け継がれ、使われていくのは非常に興味深いなと思わされた。
セミファイナル
◆ タッグマッチ(時間無制限一本勝負)
◯ビオレント・ジャック&平田智也 vs 杉浦透&×HIROYA
(13分24秒 ※アマトゥラン → 片逆エビ固め)
FREEDOMS道場で日夜練習を重ね、時に様々な団体にも上がっているHIROYAが、セミファイナルに起用された。

これは要するに、九州ではなかなか見られないHIROYAの「武者修行」を生観戦できる貴重な機会と捉えていいだろう。


しかし、対戦相手は“怪獣”ビオレント・ジャックに、体格的にもキャリア的に FREEDOMSでも実力をつけてきている平田智也の二人。


そうなると、一筋縄ではいかないことは十分予想できる。
さて、がむしゃらプロレスでは無双になりつつあるHIROYAが、ここから「全国区」になり得るだろうか。

北九州代表として満を持して登場したHIROYAだが、やはり怪獣ジャックと、今が伸び盛りの平田は強敵すぎた。

がむしゃらの中では飛び抜けた実力者ぶりを見せつけるHIROYAだが、一旦プロの中に混じると、若手の一人でしかない。
練習量も試合数も圧倒的に違う以上、経験値の差がありすぎるのは仕方のないことだ。

この中では、スギウラマンとジャックの安定感が抜群すぎた。
味方にいれば頼もしいが、敵に回れば厄介極まりない。若手の部類に入る平田だって、ベルトに絡めるほどの実力があるのだ。

しかし、殿が常日頃から口にする「リングに上がる以上、プロもアマも関係ない」ということは真実であり、同じリングに上がる以上、HIROYAも今以上に実力を上げていく必要がある。

インディの至宝以上の存在になるために、HIROYAはこの壁を越えていかなければならないのである。
メインイベント
◆タッグマッチ(時間無制限一本勝負)
◯葛西純&佐々木貴 vs 竹田誠志&×植木嵩行
(12分31秒 クロスアーム式シュティミュレーション)
プロレスリングFREEDOMSが北九州に初進出した際のメインイベントが、殿(佐々木貴)と葛西純の最強コンビだった。対するは、ある意味現在のFREEDOMSでは“最狂”といえる竹田誠志と植木嵩行。

できることなら、この顔合わせでデスマッチが見たかったけれど、北九州に血を流して暴れられる会場がない以上、それは仕方がない。


しかし、それでも何とかできる力を持っているのがこのメンバーだ。でなければ、デスマッチのできない北九州を「西の聖地」としてファンの間に浸透させることはできなかったはずなのである。
ゴングが鳴ると、いきなり場外戦に繰り出して、激しい闘いがあちこちで展開される。


場外戦で厄介なのは、観客側の逃げ場の問題だ。特に今回は南側にステップが設置されたため、私が移動するためには後ろに下がらざるを得ない。



しかし、ただでさえ狭い門司赤煉瓦プレイスのフロアでは、素早く逃げるのはなかなか困難な状況だ。

そんな中、椅子が飛び交い、選手が取っ組み合いをしているわけだから、観客も結構大変な目に遭うのは間違いない。こちらもそれを承知でチケットを買ったのだから、「恨みっこなし」というやつである。

デスマッチでもなく、ハードコアでもなく、しかし“やりすぎ”くらいの戦いがあちこちで繰り広げられる。まさに「自由すぎる闘い(FREEDOMS)」だ。

結局、葛西が植木を仕留めて、聖地凱旋を白星で飾った。

エンディング
まずマイクを取った葛西が、新日本プロレスの『BEST OF THE SUPER Jr.』優勝と、第100代IWGPジュニアヘビー級王座の戴冠を力強く宣言。
続いて殿は、生涯にわたって北九州を「FREEDOMSの聖地」にすると宣言した。

その後、リングサイドにいた、本日が誕生日だというお客さんをリングに招いて記念撮影が行われた。最後は素晴らしいハッピーエンドで大会は終了した。

ダムスの宴
今回は、殿が前売りチケット等の回収のために熊本へ先乗りしたため、大会後のファンミーティング「宴」には、葛西、杉浦、平田の3名が参加。


私は前回の宴を初めて欠席してしまったのだが、昨年末の殿の宴で復活し、今回が2回目の参加となる。

その内容はどれも表には公言できないものばかりで、非常に楽しかった。
葛西のお子さんである葛西陽向のポートレートを購入してサインしてもらった話を振ると、あの“デスマッチのカリスマ”が一人の「親父さん」の顔になっていたのが印象的だった。

3選手が22時の新幹線で熊本入りするため、21時半で強制終了という慌ただしさはあったものの、とても楽しい時間を過ごすことができた。
後記
1年半ぶりのFREEDOMS観戦は、最高に楽しかった。
翌日5月31日は、九州では久々にデスマッチが行われる熊本大会。本来なら観に行きたいと思ってはいたのだが、なんとなくチケットを取らないでいたら、5月末に友人の訃報が飛び込んできた。
お別れ会にはたくさんの方々が来られており、臨時駐車場が作られるほどだった。

散会後、他地域から来た友人たちと久々に昔話に花が咲き、帰りは新幹線の駅まで送り届けてお別れとなった。

「いつもそこにある」とは思わず、会える時にはその時間を思い切り楽しむことが大切なのだな、と思い知らされた二日間だった。

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