[プロレス観戦記] プロレス戦国時代 群雄割拠其の三 ~出でよ、戦国乱世の若武者たちよ!~

せかぷろ
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イントロダクション

昨年の「其の一」に続き、1年ぶりの後楽園ホール。実は今年行くつもりではなかった。群雄割拠以外の観戦が難しいことも理由の一つだったが、やはり毎年東京に行くというのは懐の負担もさることながら、身体へのダメージも考慮せねばならないからだ。まあ、結果的に別件で上京することになってしまったわけだが、行くからには楽しみたい。

今回はがむしゃらプロレスから陽樹が単身参戦。前回はがむしゃらプロレス単体のパッケージを提供する形だったが、今回はスギウラマンこと杉浦透とのシングルマッチが用意された!

杉浦といえば2017年のFREEDAMS熊本大会で、トゥエルノ・ゲレーロとシングルマッチを行い、完膚なきまでに叩き潰した実績がある。FREEDAMSの姿勢は終始一貫していて、お世話になっている団体にはプロアマ問わず義理堅いが、リングに上がれば情け容赦しない。

しかし、陽樹も社会人として月曜の仕事を休んでまで平日の後楽園に乗り込む以上、思い出づくりなんかでわざわざ出場するわけではない。ましてや、ほぼFREEDAMSからの「逆指名」に近い形でシングルを組まれた以上、受けて立つのがレスラーというものだろう。

個人的にはどうしてもがむしゃらとFREEDAMSの関連性に目が行きがちだが、がむしゃらプロレスにも出場経験がある、愛媛プロレスのライジングHAYATO も参戦。メインでは、昨年末開催された群雄割拠其の二で、勝ち上がった琉球ドラゴンプロレスが、天下統一幟旗をかけた初防衛戦を行う。

昨年夏の群雄割拠はいろんなローカル団体が見られて面白かったが、今回はまた違った面白さがある。普段のFREEDAMSとも違う「群雄割拠」で、今回はどのような化学反応が生まれるだろうか?

オープニング

この日は朝からあちこちウロウロしていたせいで、昼過ぎには疲労困憊。台風対策で水道橋に宿をとり、早めにチェックインさせてもらい、仮眠とっていたら、いつのまにか夕方に。

慌てて宿出てホールに向かい、チケット引き換えたら、殿登場!真っ先に私を見つけて握手してくれた。ピンクの林祥弘Tシャツはやはりめだつらしい(笑)着てきて正解だった、かな?でも、林Tシャツ着て応援するのは、昨年来の宿題だったから、私に似合わないとか、そういう問題ではない(笑)

後楽園と言えばやはり階段待ち。すでに指定席なんで、階段待ちする必要ないのだが、ここに来ると安心してしまうのが、プロレスファンの性というやつだろう。同じく待っているファンが新宿FACEの500円ドリンクに文句を言っていた。どうもダブのファンらしい。いろんな地域のファンが集結しているのも群雄割拠らしい。

落書きにつっこむのもなんなんだが、猪木対谷津は実現していたら、維新軍対正規軍の綱引きマッチの再戦だったし、百田の五冠は…(笑)まあ、実現していたらプロレスの歴史は明らかに変わっていただろう。

やはり後楽園ホールに入るとテンションが上がる。しばらくして、FREEDAMSと言うか、群雄割拠恒例の前説開始。出てきたのは、プロデューサー、佐々木貴ではなく、なぜか試合のないバキューンマスク。

なぜか本物同様声が裏返るわ、カンペ読んでるけど、ところどころつっかえるわ、で序盤からグダグダになりそうな雰囲気を見かねた本物の佐々木貴が登場。途中からバキューンマスクに変わって宣言文を読み上げてしまった。でもやはり本物も声が裏返っていた(笑)

◇第一試合:FREEDOMS対タコスパタッグマッチ

神威、●ドラゴン・リブレ(片エビ固め 10分37秒)タコヤキ―ダー、アルティメットスパイダーjr◯(※セントーンアトミコ)

FREEDAMS対大阪勢の対戦。西日本だが、大阪勢の試合をみる機会がそれほどない中、タコヤキーダーやアルティメットスパイダーの試合が見られるのは嬉しい限り。タコスパは、スパイダーのテーマ曲のDJ OZMA「Spiderman」にのって、息の合ったダンスで入場。会場を沸かせる。

今回はところどころに大阪成分が絶妙に混ぜられており、笑いのスパイスで大会にアクセントをつけていた。特に掴みとして、タコスパの同士討ちや、お笑い攻撃は、FREEDAMS勢とは全く異なるスタイル。しかもわかりやすい。

明らかに試合の流れはタコスパが支配していた。しかし、経験の少ないリブレも神威に遅れをとるまい、と必死になってついていっていたし、すくなくともお笑い攻撃でオタオタするような場面は見られなかった。

で、決める時はキッチリ決めて来るのもタコスパの魅力。この2人はやはり面白い。くいしんぼうとかとはまた違うカラーのプロレスだし、ぜひまた見てみたいとおもった。

第二試合:◇FREEDOMS対PUZZLEプロモーション&新台湾プロレス6人タッグマッチ

マンモス佐々木、◯GENTARO、平田智也(サムソンクラッチ 11分3秒)闘魚、戦熊、ヘイセンバーグ●

最近はネットの発達で、外国の情報も比較的入手しやすく、昭和のように未知の強豪というのも、なかなかお目にかかれなくなった。しかし、それはあくまでプロレスが盛んなアメリカやメキシコなどの話であって、プロレス後進国では話が別。

台湾は近年、DDTに上がっているレッカなどの選手たちによって注目を集めつつあるが、まだ規模的には決して大きいとは言えない。果たして新台湾プロレスには、どんな選手たちがいて、どんな試合をするのだろうか?興味はつきない。

全体的に見ていて思ったのはスタミナの差と、動き。どちらも若くてデカイ台湾勢が明らかに見劣りしていた。とりあえず覚えた技を全部出さないと気が済まないと言う点では、プロと言うよりアマチュアに近い。

しかも、FREEDAMS勢は平田を含めて控えに立つと必ずエプロンサイドに立って出番を待つが、台湾勢はリング下に降りて呼吸を整えていた。これでは自ら「スタミナ切れしてます」と言っているようなもの。正直力量の差がありすぎた。

とはいえ、こういう経験の少ない選手を引っ張って試合を組み立てるのも先輩レスラーの役割。逆に叩き潰して力量の差をみせつける選択もできる。

特に計画していたわけではないんだろうが、FREEDAMS勢はそのあたりの意思疎通もできていたようだった。その中でキラリと光ったのがGENTAROのサムソンクラッチ。

普段から「プロレスは3カウントで決まる競技」と言う信念をもつ、鮮やかな丸め込み。すでに体力をかなり消耗していた台湾勢はマンモスと平田に阻まれカットにも入れなかった。対抗戦と言いつつ、FREEDAMSの手のひらの上で踊らされていた印象はいなめない。ただ新台湾勢にとって、この試合がよい経験になることを祈るばかりである。

第三試合:◇ダムズ&DEWA&紫焔イケメン群雄割拠タッグマッチ

●愛澤No.1&進No.2(片エビ固め 10分6秒)正岡大介◯&政岡純(※ロークラ改)

昨年試合をみたプロレスリングDEWAとプロレスリング紫焔に、FREEDAMSの進と正岡が入ったイケメンタッグマッチ。去年の印象だとDEWAの場合、菊地毅に全部持っていかれた印象が強いし、大阪の紫焔に関してはあまり覚えていない。なので、この機会にぜひ覚えて帰りたいと思う。

しかし、第一試合に続いて、なぜかこの試合もお笑いテイストに。進はなぜか「進No.2」とコールされ、愛澤の下におかれ、読みが同じ「ダブルまさおか」は既に「まさおかー!」の声援で主に正岡が混乱している。

しかも、試合は愛澤No.1テイストで進んでいくので、なかなか正岡も政岡も主導権が握れない。当然進も手練れなので、若い政岡あたりは苦戦するかも、と予想していた。

だが、見た目イケメンと言うだけでなく、政岡はかなり高い身体能力を持っていた。加えてプロレスの試合勘もかなりいい。試合後、みていたメンバーの評価では、gWo転向前のYASUに似ていると言う意見が多かった。私もYASUと政岡を対戦させたいと考えていたし、これは遠くない将来にみてみたいと思う。

愛澤が好き勝手やっているようで、意外とそうでもない連携を披露するNo.1&2を、ダブルまさおかはなかなか切り崩せない。面白いのは、No.2になった進が徹底的に愛澤のサポートに回っていたことで、チームとして能していた。逆にダブルまさおかは、特に政岡に対して始終面白くなさそうな、先輩の大介が明暗を分けたかもしれない。

最後は意地になった正岡がランニングダブル二―アタック(ロークラ改)で愛澤から勝利・・・したのだが、愛澤たちを蹴散らした正岡は、返す刀で味方の政岡までノックアウトしてしまった。まあ、先輩に嫉妬された?政岡は痛い目にもあったが、ある意味本望だったかもしれない。

第四試合:◇FREEDOMS対がむしゃらプロレスシングルマッチ

◯杉浦透(体固め 10分1秒)陽樹●
※オーバーイージー

6月のFREEDAMS北九州大会において突如勃発した陽樹と杉浦の因縁。多少唐突な感は否めなかったが、もともと陽樹が杉浦と対戦したいという希望を持っていたことは知っていた。

まさか、こんな形で後楽園に闘いの舞台を移すことになるとは、我々も陽樹本人も思いもしていなかったので、バタバタでスケジュール調整して、なんとか東京行く目処がついた。

試合前からツイートで舌戦を仕掛けてくる杉浦は気合満点。一方「想い出作りにきたわけではない」と意気込む陽樹も気合十分。体格差でいうと、両者にそんなに差はない。

さて、試合を追いながら感想を加えていこう。序盤から杉浦を奇襲した陽樹。そのまま場外にダイブしようとするが、当然大したダメージがない杉浦はハナから受けるつもりはない。ならばとエプロンサイドから陽樹はドロップキックを試みるが、飛距離が不十分であたりもしなかったため、この場外攻撃で陽樹の動きがガクッと悪くなった。

後で本人に聞いたら床に腰を痛打したらしい。しかし、こういう自爆ミスを見逃す杉浦ではない。ここから寝ては怒涛の腰攻撃と、立っては記憶も身体も吹っ飛ぶ打撃で、非情な攻めをみせる杉浦。

陽樹も鉄生とのやりとりでいつも大概激しい打撃戦をやっているが、この日の杉浦の一発一発は鉄生のレベルをはるかにこえていた。もちろんがむしゃらに参戦経験があり、陽樹の打たれ強さは誰より知っている杉浦だからこそできたといえるだろうが、それにしてもこの日の杉浦の攻めは鬼神の如き迫力があった。

熊本でゲレーロを仕留めたキャメルクラッチも炸裂!しかもゲレーロの時より腰攻めに重点を置く撤退ぶり。みていてこれはヤバいと思ったのか、コーナーに登った杉浦の足を、セコンドの藤田ミノルが引っ張ろうとしたくらい、陽樹は窮地に立たされていた。そもそも藤田が介入したタイミングも絶妙に不自然だったことが、余計陽樹ピンチと言う具合に見えてしまった。あれは本当に咄嗟に身体が動いたのだろう。百戦錬磨の藤田ミノルが慌てるくらいヤバかったのだ。

こういう状態なんで当然陽樹は自分のことで精一杯に。声援こそ聞こえていたそうだが、ダメージが深くほぼ一方的な試合になった。対して状況のみえている杉浦は要所要所で「おら!社会人レスラーはこんなもんか?」と陽樹だけでなく、観客にも聞こえるように毒づく。この一言が陽樹の無意識による反撃につながった。

自らがヒールになることで陽樹に歓声を集める杉浦の読みはあたり、我々だけでなく、かなりの観客が陽樹コールを送り出した。次第に熱くなる試合だったが、いかんせん腰を痛めた陽樹は意地だけで杉浦に摑みかかるが、正直逆転できる力は残っていなかった。ここらで潮時とみた杉浦は容赦なく陽樹にとどめを刺した。

試合後、健闘を称え握手しようとする杉浦の顔を張り飛ばした陽樹。最後の意地を使い果たして精魂ともに燃え尽きたようだった。

厳しい言い方をすれば、アクシデントもセコンドの介入も勝ちパターンに繋げられなかった点では陽樹の完全なる完敗だった。しかし、痛めた箇所をこれでもか、と攻め立てた杉浦の愛ある叩き潰しはむしろ清々しいくらいだった。

こういう試合は、ノーサイドにならないくらいがちょうどいい。この体験を北九州に持ち帰った陽樹がどう変貌するか、9月のGAM1が楽しみになってきた。

第五試合:◇なにわ☆凡女美ィーナス対チームでらタッグマッチ

“救世忍者”乱丸&●ハイビスカスみぃ(エビ固め 0分16秒)高井憲吾◯&グランパショマスク4号(※パワーボム)

最近だとやはりDDTのマジ卍内でKO-D6人タッグ選手権がALL OUT対センダイガールズの間で争われたが、近年男女の体格差がそんなにない以上、男対女の闘いも普通になっていくのだろう。

そこへいくと、アップルみゆき時代から男子に混じって試合していた、ハイビスカスみぃは、いわば男女対決のオーソリティともいえる存在。もちろん乱丸もそうだし、対する高井も経験豊富なベテラン。この組み合わせでつまらない試合になろうはずがないだろう。

「試合を、興行を、空気を持っていっちゃう奴こそプロレスラーである」と言うのは、かつて週刊プロレスの名物編集長だったターザン山本さん。であるならば陽樹には気の毒だが、前の試合の空気まで持って行ってしまった凡女美ィーナスと高井組はまさにプロレスラーだった。

凡女美ィーナスの入場テーマはボン・ジョビというくらいだから、「You Give Love A Bad Name」(禁じられた愛)なのだが、この曲って1986年の曲だから、乱丸もみぃも「リアルタイム世代」ではないのだが、私はもろ20代の時によく聞いていたので、この曲が流れると「懐かしいなあ」と思ってしまう。まあ、本人たちにはそんな感覚もないだろう。

そもそも姿形が似ていると言う理由だけで、いきなりドレイク森松ならぬ「ドレイク高井」が出てきて、ああもこうもない内に、 みぃをパワーボム葬で秒殺!たまらず乱丸が再試合を要求。レフェリーも「わかった、わかった。大阪のおばちゃん(話が)長いから」と言う理由ですんなり再試合。

◇再試合

◯“救世忍者”乱丸&ハイビスカスみぃ(体固め 4分28秒)高井憲吾&グランパショマスク4号●(※マンゲアタック)

しかし、ここからはグランパショマスクのお下劣殺法が全開に。微妙に前を隠したナマケツ攻撃の数々にさらに翻弄されるみぃ。お得意の嘘泣きも高井に無視され、ツリガネ固めで顔をナマケツに突っ込まれる。

乱丸の金縛りの術もレフェリーにまで効いてしまい、勝てそうで勝てない凡女。しかし、グランパショマスクのチン○攻撃に、乱丸がまさかのマ○ゲ(註・伏せ字は私判断です。本人たちはモロに口にしていました…汗)攻撃で、大逆転。

こうして、せっかく頑張った陽樹の激闘も見事なくらい全部かき消されたお下劣マッチは凡女が勝利。しかし、乱丸は最後までマ○ゲを連呼しながら引き上げて行った。あれは単に言いたかっただけなんじゃないのかな?(笑)

 

第六試合:◇ロス・ノマダス対BADBOY6人タッグマッチ

ビオレント・ジャック&●ミエド・エクストレモ&シクロペ(クリプトス・ポリジュウム 8分59秒)拳剛&Ken45°◯&卍丸

2012年に解散したみちのくプロレスのヒールユニット、九龍解散を受けて結成されたのが、BADBOY。途中メンバー変更がありながら、現在まで続いている。

とはいえ、みちのくもまた西日本には縁がない団体。昔は出稼ぎと称して日本各地を巡業していたが、自らが先鞭をつけたローカル団体が各地にできると、東北ローカルというアイデンティティだけでは勝負しにくいのかもしれない。

とはいえ、さすが九龍時代から培われた悪の連携はダテではない。自然にベビーフェイスの外国チーム対日本人ヒールチームと言う色分けのはっきりした試合になった。下手したら前の試合に持っていかれかねなかっただけに、まっとうなプロレスに終始したメンバーの判断は正しかったと思う。

しかし、チームワークでは一日の長があるはずのロス・ノマダスの誤算はやはりミエドがつかまりすぎたこと。やはりそれだけBADBOYが狡猾だったとも言えるわけだが、後半でノマダスが3人連続の空中弾を仕掛けても単発攻撃にしかならなかったのは、明らかにBADBOYの分断作戦が奏功していたからだろう。

ミエドを事実上見殺しにしたと言う意味ではBADBOYが一枚も二枚も上手だったのだ。

第六試合:◇unchain対ダブプロレス6人タッグマッチ

◯竹田誠志&葛西純&吹本賢児(アンクルホールド 9分37秒)谷嵜なおき“brother”YASSHI&近野剣心●

群雄割拠其の一ではメインをつとめたダブプロレス。団体単独で東京だけでなく、博多にも上陸した。今勢いのある団体。これに百戦錬磨のunchain がどう対抗していくか?

ダブといいながら、この試合に出る3人はもともとはドラゴンゲート出身(近野は武藤塾経由での入団になる)。純粋にダブプロレスといっていいかどうかはともかくやはりunchain にあわせた試合をしていては、対抗戦の意味がない。

一応、試合中に音楽をかけるという点では、ダブに有利な形になるはずだったが、いざ音楽が懸かりだすとノリノリで場外乱闘をはじめてしまったのは、3人の合体テーマ曲で入場してきたunchainの方だった。特に葛西と竹田は音楽に合わせるかのようにリズミカルな乱闘を繰り広げて、ダブのお株を奪ってしまった。

これではまずいと思ったのか、近野はドラゲー退団後に進んだ総合格闘技ベースの動きで一矢報いようとするが、これで火が付いたのがU-FILE CAMP出身の竹田誠司である。Uの遺伝子を持つデスマッチファイターは、近野がそうくるならばと、Uスタイルにシフトチェンジ。逆に近野をきりきり舞いさせていく。

こんな感じでダブがなんとか自分の土俵で勝負しようとすると、unchainが同じ土俵で、しかもダブ以上の切り札を切ってくるので、途中から防戦一方に。なんとかドラゲー仕込みのスピード連携で反撃に出ようとするが、流れが単発すぎて勝ちパターンにつながらない。

しかも途中からunchainは近野狙いで試合を進め始めた。谷崎やYASSHIをリング下にたたき出すと、竹田が近野のキックをとらえて裏アキレス腱固め。なんとかロープに逃げると今度はアンクルホールド。多彩な関節技を繰りだす竹田の引き出しの前に、ついに力尽きた近野はギブアップ。

あらためてデスマッチの頂点に君臨する竹田の底力をみた思いだった。こういう試合はなかなか新鮮だったし、竹田も手ごたえを感じていたようにみえた。もしかするとUスタイルで再戦というのも面白いかもしれないが、ダブとしてはなめられたまま終われまい。この後どう続いていくかが楽しみである。

セミファイナル:◇群雄割拠殿方軍対群雄割拠若武者選抜軍“下剋上”6人タッグマッチ

◯佐々木貴&グルクンマスク&吉田和則(片エビ固め 11分30秒)香取貴大●&ライジングHAYATO&木下亨平
(※D-ガイスト)

イーグルの香取、愛媛のライジングHAYATO 、そしてダブプロレスの木下とイキのいい3人がベテラン相手に下剋上する試合。愛媛プロレスだけは新興団体であるがゆえに、若いライジングHAYATO が実は団体のトップでもあるのだが、置かれた立ち位置はがむしゃらプロレスの陽樹と変わらないと私はみていた。

どういうことかと言うと、年齢的には大差ない3人だが、立場が微妙に違う。香取と木下は下から先輩を追いあげる立場。しかし、新興団体の愛媛には先達がいない。と言うことは、ライジングHAYATO には団体内に追い抜く先輩がいないことになる。

この試合でもう一つ気になったのは、若手3人の中でライジングHAYATO がまっさきにスタミナ切れをおこしていた。これはみたまんまの印象だし、そう外れてはいまい。

ダブやイーグルはリング上では敵対していても、練習を見てくれる先輩がいる。だが、愛媛にはそういう存在がいない。加えてライジングHAYATO はシングル向きのプレイヤーなうえに、四国タッグの王者でありながらタッグワークもそれほどうまくない。

私の見方が正しいかどうかはともかくとして、殿らベテランチームはまず真っ先にHAYATOをガス欠にして、2対3の状況を作り出していた。この辺がキャリアのなせる業である。加えて、殿もグルクンも吉田も息が乱れていない。対する香取にしろ、木の下にしてもライジングほどではないが、青息吐息。

若さだけではどうにもならないうまさやスタミナ配分という土俵で勝負してしまうとどうしても分が悪いのは事実。若手にはベテランにはない勢いがあるのだけど、それだけでは勝てる要素としては弱いのだ。

試合は終始ベテラン組が実に危なげなく勝つべくして勝った。試合後、なおも食って掛かろうとする若手陣を頼もしそうに見ながらも、殿の顔からは最後まで余裕があったし、それを消せなかったという意味ではこの試合は若手陣の完全敗北だったと思う。

メインイベント:◇天下統一幟旗争奪6人タッグマッチ 琉球ドラゴンプロレス対道頓堀プロレス

◯美ら海セイバー&首里ジョー&ヒージャーキッドマン(片エビ固め 17分42秒)TORU&三原一晃&織部克巳●

(※ファイヤーバードスプラッシュ 琉球ドラゴンプロレス天下統一幟旗、初防衛に成功)

昨年末の天下統一トーナメントを勝ち上がった琉球ドラゴンが、道頓堀からの刺客を迎え撃つ防衛戦。三原は2018年8月現在、桜島なおきと共に九州プロレスタッグ王者でもある。

皮肉なもんで沖縄も大阪(道頓堀)も、その源流を辿れば、スペル・デルフィンに行き着く。どっちもデルフィンともめたおかげで現在の形になっているのも共通しているのだが、そこから派生した流れが再び一つになって交わるというのは、長い間プロレスをみていると、感慨深いものがある。

本人やカードを組んだマッチメーカーが意識しなくても、サイドストーリーや歴史が織り込まれている。こういうダイナミズムは他のスポーツではまずお目にはかかれない。プロレス独特の特徴ではないだろうか?

さて、これはある意味想像通りという試合になった。というのも群雄割拠というのは地方の団体が主役でもあるのだが、基本主催しているのは佐々木貴であり、プロレスリングFREEDAMSである。いわばよそ様の主催興行、しかも後楽園という大舞台で、FREEDAMSでない団体が大トリを任されるというのは、大変光栄なことだし、同時に非常に重い責任を負う事でもある。

下手な試合をしたら群雄割拠というブランドに傷がついてしまうし、メインに起用してくれたプロデューサー・佐々木貴に顔向けできないと考えるのが普通だろう。そうなってくると、自然と力も入るし、気合もはいろう。

ここまでは予想通りだったのだが、予想に反していたのは道頓堀も琉球も下手したらプロレスの範疇を超えかねないバチバチファイトで会場を大いにわかせていたことだった。コーナーマットやロープには「ふる」のではなく「たたきつける」かのように相手を破壊しにかかっている。

どうかしたらリングが壊れるのではないかと思うくらい思いきりたたきつぶしにでていた。こんな闘いをみせられては見ている側も熱が入って当然だろう。意地の張り合いではどっちも全く引く気がなかったといえると思う。

琉球は途中、首里ジョーがローンバトルになり、あわやという場面にも追いこまれたけど、大「ジョー」コールに後押しされて首里ジョーが驚異的な粘りを見せる。特に三原の攻撃は手厳しく、何度も窮地に追い込まれたが、琉球の意地がわずかに上回っていたんだろうか?

最後は大乱戦を制した琉球が連携で織部を捕獲。とどめは美ら海セイバーのファイヤーバードスプラッシュで織部からピンフォール勝ち。これで決まらなかったらどうなっていたかわからないくらいにきわどかった。

試合後、天下統一旗をうけとったセイバーは「どんな団体でも挑戦を受ける」と高らかに宣言。長時間に及ぶ大会を締めくくった。

後記

正直これほど熱のこもった大会がたった300数十人の人間にしか目撃されていないというのはなんとももったいないと思った。実際、もっと多くの人にみてもらいたいし、この熱を感じに後楽園にきてほしい。そう思わずにはいられなかった。

試合後、食事をして思い思いのことを語ったけど、本当に皆みにいったメンバーは心から楽しめていたと思う。もっとこの輪が大きく広がってほしい。そう願わずにはいられない。また来年機会があったらいってみたいと思っている。

本当に素晴らしい大会だった。

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