[プロレス観戦記] FM KITAQ presents‼︎がむしゃらプロレス 真夏の最強戦士決定戦‼︎『GAM1 CLIMAX’2017』~ 疾風怒濤~観戦記

がむしゃらプロレス観戦記

FM KITAQ presents‼︎がむしゃらプロレス 真夏の最強戦士決定戦‼︎『GAM1 CLIMAX’2017』~ 疾風怒濤~観戦記(2017年7月30日(日)会場/門司赤煉瓦プレイス)

【エントリー8選手】

◆KENTA (6年連続6回目出場)

◆陽 樹 (5年連続5回目出場)

◆鉄 生 (6年連続6回目出場)

◆豪右衛門(4年連続4回目出場)

◆野本一輝(3年連続3回目出場)

◆SMITH (2年連続4回目出場)

◆尾原 毅 (初出場)

◆美原 輔 (初出場)

いつもより開始時間が早まった今年のGAM1。そのせいか、いつもは端折りがちだったオープニングアクトがやたら長い。まず前説のゲレーロとKAG大塚が登場。ところが、持ちネタが尽きてしまったために、ロープワークをやるはめに。しかしやはり現役から遠ざかっているKAGはMCほどのキレがない。続いてドン・タッカーが出てくると、そのゲレーロが凱に代わるチーム名をドンの前で発表。その名も「ドリーム・チューバ―」!ドンはさかんに「TUBE?」と聞き返すが、世代ではないゲレーロは「?」になっている。

なんかグダグダ感が半端ないが、切り替えてGAM1入場式を経て、いよいよ本番がスタート。さて今年のGAM1はどんなドラマが待っているだろうか?

▼GAM1トーナメントAブロック1回戦 第1試合(30分1本勝負)
①×美原 輔 vs ○KENTA
(5分43秒)

5年連続一回戦敗退のKENTAは、もはやここで勝たねば何をいわれるかわからない立場。対する美原はデビュー以来シングル二戦目。普通に考えたら、KENTAの勝ちは揺るがない。

入場式でも見せていたKENTAのペイントは彼なりの意欲の現れと私は見たが、その意欲を削ぐかのように美原が肘でペイントを剥いでしまった。

ただ、美原がよかったのはここまで。ドロップキックのタイミングはKENTAにスカされ、スタナーを仕掛けながらことごとく返されてしまった。デビュー後、シングルマッチ二戦目がGAM1というのは、やはり美原には酷だったかもしれない。

逆にKENTAには数々の修羅場をくぐった経験があり、ベルトを巻いた体験もある。たぶん私が想像するに、KENTAの課題はGAM1に勝つことだけで、それさえクリアすれば、彼の思う「自由なプロレス」が実現できるかもしれない。

美原については常々「おもしろい」と評価はしているKENTA。だが、この日に限っては、美原輔がKENTAの眼中にはなかった気がする。

▼GAM1トーナメントBブロック1回戦 第1試合(30分1本勝負)
②○野本一輝 vs ×尾原 毅
(9分56秒)

2009年の小倉北の第1試合で野本一輝がデビューした時の対戦相手こそ、尾原毅である。共に蹴りと関節技を多用する両者は、睨み合うだけで緊張感を醸し出す。それはやはりこの2人にしか出せない空気だと私は思う。

野本一輝はいいものを持ちながら、肝心なところで勝ちを急いでことを為損じてきた。具体的にはスリーパーにとらえながら、こらえきれずにゴッチ式パイルの体勢に移行して、切り返された後に敗北というシーンを何回見てきたことか!

しかし、この日の野本は尾原の切り返しを警戒してか、執拗なスリーパー攻撃に終始。尾原の息の根を止めんとするかのように、しつこくしつこく絞め技をくりだしていく。

ところどころ尾原がカウンターできりかえすものの、こちらはダメージがたまる前に野本がエスケープをはかる。一番効いたのは、野本がリング下におりて、たっぷり時間稼ぎをしたあたり。まるで往年のリック・フレアーのよう…というと、持ち上げすぎになるだろうか?

確かに休めるという点では尾原にも利点がありそうな気がする。しかし、よくみていくと、どことなく尾原が焦れているように私には感じられた。

一見すると同タイプにみられがちな2人だが、実は微妙に異なる点がある。それは尾原が大のU信者であり、Uインターをバックボーンにしているのとは対照的に、野本はことプロレスに関しては雑食であるということ。

だから、普段みせない野本のしつこさや、微妙な間合い外しに、尾原のリズムが狂わされていったのだと考えると、私としては凄く腑に落ちるのだ。

結果として野本のフィニッシャーであるゴッチ式パイルを決めた後、さらにだめ押しでスリーパーをしかけ、あえなく尾原毅陥落!

関節技のスペシャリストをしめ落とした野本は試合後「歴代王者に勝ってきた俺がチャンピオンに挑戦できないのは、おかしくないか?」と、尾原のもつインターコンチネンタルのベルトに挑戦を表明。

このアピールをGAM1でやることの是非は置いておくとして、優勝大本命の1人尾原毅が一回戦敗退という結果は大波乱と呼んでいいだろう。

▼GAM1トーナメントAブロック1回戦 第2試合(30分1本勝負)
③○陽樹 vs ×豪右衛門
(6分47秒)

昨年は優勝大本命と目されながら、一回戦でSMITHに痛い敗戦を喫し、そこから泥沼のような連敗街道をひた走るはめになった陽樹。しかし、先の対マツエデラックス戦でがむしゃらの選手としては初めて、デラックスからピンフォール勝ちをおさめている。

ああいう巨漢でかつ真っ向勝負を挑むタイプに、陽樹はめっぽう強い。そこへ行くと、ほぼデラックス寄りな豪右衛門は、陽樹の得意とするタイプである。

果たして、ここ最近の不調がウソのように本来の輝きを取り戻してきた陽樹に対して、珍しく後手後手に回り出す豪右衛門。がむしゃら一の肉体派であり、パワーファイトでは他の追随を許さない豪右衛門にしては珍しい光景である。

とはいえ元々シングルプレイヤーのポテンシャルがとても高い豪右衛門。しかしタッグチャンピオンとして、タッグの闘いに慣れてしまった分、いきなりシングルプレイヤーとしての闘いが若干疎かになっていたのかもしれないと私は思った。

ここからは完全に私の推測だが、ゲレーロのように、メキシコ修行時代にシングル未経験で、いきなりジュニアのトーナメントで頭角をあらわす選手もいれば、美原のように、シングルの経験不足がそのまま結果に反映される場合もある。

豪右衛門の場合は、どちらかといえば美原寄りなのかな、と私は思った。特に豪右衛門はタッグチャンピオンとしての闘いに誇りを持っていた。それだけに無冠の陽樹とは違うメンタルで挑んでいた可能性も考えられる。

いずれにしても、陽樹からは何処かしら余裕を感じられた。その余裕で豪右衛門をのんでしまった試合。それが私が体感した印象だった。

▼GAM1トーナメントBブロック1回戦 第2試合(30分1本勝負)
④○SMITH vs ×鉄生
(6分23秒)

あるあるシティ大会で、絶対王者SMITHからベルトを奪い、新時代の扉をあけたのが鉄生だった。あの時は記憶を飛ばしながら、何度も何度もダイビングヘッドバットを繰り出して、痛めているSMITHの肘を徹底して破壊しにかかった。

あの時の鉄生には、必死さはあっても、余裕がなかった。だが、SMITHからバトンを受け、gWoを抜けて一国一城の主となった鉄生には、以前にない余裕が生まれ、SMITHに対峙していた。

しかし、針の穴から堤を崩すのが、SMITHのやり方である。それは時を経て、ますますいやらしさを増していた。

鉄生という堤の穴はズバリ身体の硬さである。仮にSMITHに勝利しても、先に待つのは関節技に長けた野本か、尾原。であれば、出たとこ勝負のワンデイトーナメントでは、かなり不利に働く可能性が高い。

事実、鉄生は昨年はさんざん肘を攻められ、ボロボロになりながら優勝を勝ち取った。幸か不幸か決勝の相手はSMITHを破ったAllマイティ井上。あれがもし井上のかわりにSMITHが勝ち上がっていたら鉄生の優勝がありえたかどうか?

それを思うと、このブロックに入れられた時点で、鉄生の連覇は厳しいと言わざるを得なかった。

身体の硬さだけではない。おなじ相手に連敗を許さないSMITHは入場テーマ曲にも仕掛けを施してきた。あのT田議員の「このハゲ〜!」と秘書を罵倒するあの声を、サンプリングして自身の入場テーマ曲の冒頭に持ってきたのだ。鉄生も驚いていたみたいだったが、観客も度肝を抜かされた。

この時点でSMITHの策に会場中が巻き込まれていたのだ。考えてみれば、第一回GAM1でSMITHが、当時の絶対王者マスクドPTを散々「いい人」呼ばわりしまくり、メンタル面で追い詰めた前歴を考えると、今回SMITHがとった作戦は、まさに序の口。既に鉄生という堤には針の穴があいていたのだ。

フィニッシュも鉄生が余力を残している段階で、投げ技を連発したSMITHが強引に抑え込む。当然鉄生は暴れてフォールを許すまいとするが、身体の硬さが仇になり、肩は動くが上がらない状態に!

SMITHが用意した奥の手は押さえ込みだった。角度によっては鉄生が返したようにみえたかもしれないが、私はたまたま真正面にいたせいか、鉄生の肩がしっかりマットに押さえられていたのを見ることができた。

レフェリーも実にしっかり確認した上でカウント3をいれたため、全く罪はないが、収まらないのは鉄生で、散々悪態をついたあと、レフェリーに暴行。憤懣やるかたない鉄生とLCRファンを尻目にしたり顔のSMITH。我々はまんまとはめられたのだ。

▼Dream Tuber vs LCR ユニット対抗戦6人タッグマッチ(30分1本勝負)
⑤×タシロショウスケ & ジェロニモ & トゥルエノ・ゲレーロ vs Barong & Barong-rapizo & ○C4
(10分00秒)

チーム凱改め、ドリームチューバーの初陣は因縁浅からぬLCR。特に増殖後いつの間にか定着してしまったBarong- rapizoは厄介な相手になりつつある。そのBarong- rapizoに向かってゲレーロが「おまえの正体、知っているぞ!」とアピール。まあ、その正体は、がむしゃらを長くみていると薄々わかるが、だとしたら、往年のキレを取り戻すには時間がかかる可能性がある。そうなった場合かなり厄介なのだ。

乱戦の中、ゲレーロが同じマスクマンのBarong- rapizoのマスク剥ぎにでた。すると、Barong- rapizoは自らコスチュームを脱ぎ去り、マスクをとると、中から出てきたのは、やはり予想通り、TOSSHIだった。

彼の復活は長く挑戦者不足にないていたがむしゃらジュニア的には朗報。しかも、なぜかベビーフェイスよりヒールの方が水に合うのか、TOSSHIは実にイキイキしている。TOSSHIがまだ本調子でないとはいえ、BarongとC4がカバーするので、それほどボロはでない。

逆に初陣に意気込むドリームチューバーは、キーマンのジェロニモとゲレーロが分断され、タシロが孤立。C4との肉弾戦では身体能力の高さを誇示したタシロもいかんせん1対3では勝ち目がない。

結局、タシロは、誕生日にまさかの黒星。ドリームチューバーとしてもほろ苦い船出となってしまった。

▼GAM1トーナメントAブロック準決勝戦(30分1本勝負)
⑥○KENTA vs ×陽樹
(12分59秒)

チーム凱の名付け親にして、その凱に反旗を翻したKENTAは、ある意味がむしゃらプロレスの歴史に深く食い込んでいる選手。そして、裏切り者の制裁に燃える陽樹にとって、KENTAもまた豪右衛門とは違うタイプながら、与し易い対戦相手。

試合は果たして見事にスイングした。5年連続初戦敗退のKENTAにしても、昨年SMITHによって、初戦敗退の憂き目にあい、そこから長いトンネル生活を強いられた陽樹にしても、この試合は負けられない闘いである。

こうなった場合、どっちが勝ちたいモチベーションが高いかという勝負になってくる。そこで試金石になったのが、陽樹のブレンバスターをKENTAが受け損ねてひじを痛めたシーンだった。

ここからKENTAの動きは鈍くなってしまうのだが、このままずるずる行ってしまうのであれば、KENTAはそれまで。でも、動きは悪くなってもKENTAのメンタルは決して切れてなかった。ひじを徹底的に攻められていきながらも、逆転のチャンスを狙っていたKENTAは起死回生の一本背負いから、牛殺し→スーパーノヴァにつないで見事決勝初進出!

全試合中、もっとも素晴らしい試合だったといってもいい。ぜひともまたこの2人のシングルは見てみたいものである。

▼GAM1トーナメントBブロック準決勝戦(30分1本勝負)
⑦×野本一輝 vs ○SMITH
(7分56秒)

おそらくSMITHにしてみれば、野本が勝ち上がろうが、尾原が勝ち上がろうが、蹴りと関節技でくくれば同じという認識だったのだろう。

強いていうならば、野本の方が「嵌めやすい」ととらえていた節は考えられる。なぜなら、野本が尾原に対して使い、功を奏した「間を外す」やり方はSMITHの独壇場だからだ。要するに尾原戦のやり方はSMITH相手では通用しない。しかも、野本は散々蹴られて締められてきたあとなのに対して、SMITHは鉄生相手に省エネファイトで勝利しているわけで、既にSMITHにはアドバンテージがある状態なのだ。

果たして、試合中に野本はSMITHを場外にさそいこむ。しかし、これこそSMITHの思うツボ!レフェリーのカウントをしっかり聞いていたSMITHは、サッとリングインするや、まだリング下にいた野本めがけてクラッカー砲発射!

これまたうまい具合にレフェリーのブラインドをつき、かつリングアウトぎりぎりのタイミングで発砲したため、野本が驚いている間にカウント20が数えられてしまい、SMITHのリングアウト勝ち!またしても省エネ作戦炸裂で、SMITHは第一回大会以来の決勝進出をきめた!

▼NASTY OUTSIDERS vs GWO ユニット対抗戦8人タッグマッチ(30分1本勝負)
⑧ダイナマイト☆カドワキ & ALLマイティ井上 & ○ドラゴンウォリアー & 久保 希望 vs ×影狼 & MIKIHISA & 土屋クレイジー & YASU
(14分50秒)

ナスティにダイナマイト☆カドワキ、gWoに影狼をくわえた、ユニット対抗戦第2章。ポイントはやはり本戦初参戦の影狼になるだろう。単なる人数合わせではなく、ここで確かな爪痕を残して継続参戦に繋げていきたいところ。

その意気込みを示すかのように序盤からフルスロットルで攻勢に出る影狼。キックや関節技の切れ味はもとより、総合の癖がぬけなかった昨年とは段違いに、プロレスの動きに順応していた。

試合は影狼が付け狙う?ドラゴンウォリアーがローンバトルに陥り、ナスティかが窮地に立つ。gWoはタッグトーナメント優勝の土屋&YASUに加え、タッグチャンピオンのMIKIHISAがいる、いわばタッグのスペシャリストが集ったgWoが、こうした試合形式で優位に立つのは仕方ない。

しかし、ナスティにも井上同盟というタッグのスペシャリストがいて、久保希望というマルチプレイヤーを擁する。ただやられているだけではない。

特に要所要所で井上同盟がgWoの流れを寸断していった結果、気がついたら徐々にナスティに流れ始めていた。こうなると、ねらわれやすいのは影狼ということになる。

最後は、ドラゴンウォリアーが粘る影狼を切ってとった。試合後、マイクを持ったドラゴンは、
「土屋、俺たちががむしゃらのリングにあがって364日だ。二月のユニット対抗戦の借りは返したぞ!土屋、こんなもんで終わりじゃないぞ!」と、ひとりgWoに寝返った土屋クレイジーに対してあらためて宣戦布告した。

▼GAM1トーナメント決勝戦(60分1本勝負)
⑨×KENTA vs ○SMITH
(12分12秒)

左ひじを負傷したKENTAは意地だけで決勝に上がってきたが、当然左腕は使い物にならない。そこを見逃すようなSMITHではない。まずLCRのメンバーを下げさせ、一対一の勝負を申し込む。一旦はSMITHの要求をのんだKENTAだが、当然そのままLCRがそのまま黙って引っ込んでいるわかけではない。KENTAが窮地にたつとたちどころにSMITHに襲い掛かる。

しかし、そんな中でSMITHはリストロックでじっくりいたぶり、スウィンギング・リバースSTOを効果的に使い、じわじわKENTAを攻めてくる。もちろんやられっぱなしというわけではなく、KENTAも意地は見せるのだが、いかんせん長続きしない。だんだん苦悶の表情を浮かべるKENTAに大kENTAコールが起きる。
だが、いかんせん陽樹との準決勝で、精魂使い果たしたKENTAに、SMITHの猛攻を耐えしのぐことは、時間を追うごとに厳しくなっていく。結局、力尽きたKENTAをSMITHが制して見事二度目の栄冠を手にした。

試合後、SMITHはgWoからの離脱を宣言。ドリームチューバ―入りを宣言したが、これにおさまりが付かないのが、常日頃SMITHをターゲットにしている陽樹だった、「あなたとは一緒にはやれない」と、これもドリームチューバ―からの離脱を宣言。そのまま控えにいたgWoと合体。これに呼応してタシロも「自分を変える」べく離脱を宣言。

こうしてGAM1とは別に大きな変動が起こった大会だった。最後は正統派に戻ったSMITHのコールで、大会は閉幕した。

今回は純がむしゃらメンバーだけで争ったが、これはこれでとても面白かった。今のがむしゃらの流れをいったん整理したうえで、他団体との絡みが生まれていくととても面白いなと思った。さてこれを踏まえて木曜日はいよいよ後楽園である。後楽園組では勝ち上がったメンバーはいないけれど、これぞがむしゃらプロレスというものをみせてほしいなと個人的には思う。

私も当然現地に行く。刮目してみたいと思う。歴史の証人になれるか、歴史のはざまに埋もれるか?すべての答えは8月3日に出る!












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