[プロレス観戦記] プロレスリング華☆激イジメ撲滅チャリティープロレス篠栗町大会「笹栗☆エストレージャ」(16.10.2日 笹栗町民体育館)

せかぷろ

オープニング

三回目を迎える笹栗大会。ところが今回もイベントが裏で重なってしまった。しかも他人のお手伝いじゃなくて自分たちのコミュニティの主催だったから、正直気が引けていたが、普段からプロレス好きを公言しておいたせいか?皆さん快く送り出していただき、門司港を後にして笹栗へ。なんせ先月交通違反で切符切られた身としては高速も使えない。よって下道で二時間あればつくかなと踏んで走ったらなんと門司港から一時間半ちょっとで笹栗についてしまい、余裕で間に合ってしまった。本当に整備された道路はありがたい。

ということでプロレス教室も無事見られて、ジャックやユーセーの先生姿という貴重なものも見られた。しかしこの二人はまだ10歳。あと10年やっても20歳。それでこれだけプロレスができてしまうって本当にすごい子たちだ。彼らはまさに九州の宝である。

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①篠栗88タッグ選手権挑戦者組決定戦

○コスモ☆ソルジャー&KING1/20吉田考志&神崎ユウキ×

KING&コスモといえば、KING&アステカの代打としてはこれ以上ないチーム。なのになぜ、第一試合で挑戦者決定戦なのか?答えは試合をみたらすぐにわかった。アジアンプロレスからの刺客、神崎と吉田はとんでもない実力者だった。

吉田は元プロレスリングノアにいた長身で、アステカ自ら「三沢ノアを体現している男」と見込んでオファーした選手。その吉田に師事して今年6月デビューした神崎はバネを活かしたドロップキックが売りのホープ。このアジアン師弟タッグがKING&コスモ組をかなり苦しめた。アステカ人脈は性別問わず妙な実力者を連れてくるけど、今回のアジアンチームも例外ではなかった。

吉田はいわゆるエルボーやタイガードライバー、エメラルドフロウジョンのような三沢の技をまねた選手ではなく、雰囲気や佇まい、そして相手に対する圧力のかけかたが三沢に似てるなあと感じた。正直ここまでできているのはノアでも丸藤くらいかな。彼がノアに残っていたら歴史も変わったかもしれない。そこまで思わせる選手だった。神崎もその吉田の教えを受けて、新人らしからぬ度胸と一歩も引かないファイティングスピリットが本当に素晴らしい選手だった。このまま伸びていけばとんでもない選手になることは請け合い。ダイヤの原石というのは彼のためにあるような言葉だと私は思う。

泡食った華☆激勢は中盤にスイッチが入ったか、吉田を分断し神崎に狙いを絞って勝利したが、この試合があって本当に良かったと思う。そのままメインに出ていたら結果が変わっていてもおかしくなかったからだ。

正直、KINGの課題はライバルの不在だと私は感じていたので、キャリアは違えど、神崎や吉田はよきライバルになりうると思っている。これはもうぜひ継続参戦を・・・と思ったらなんと10月付で二人ともプロレスリングFTOに正式入団が決定!正直ダークサイドの2人が色んな意味で強すぎて目立ちすぎるFTOにあっては待望の大型ベビーフェイスの入団になる。これで俄然九州のプロレスシーンが面白くなってきた!さてこの続きは案外遠くない将来に見られそうで本当に楽しみになってきた。これだからプロレスはやめられない!

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②メキシコルール6人タッグマッチ

×ウラカン・マリーノ&エル・バリエンテ&ヴァンヴェール・ジャック1/30ヴァンヴェール・ネグロ&エル・ファルコ&ユーセー・エストレージャ○

数年前のレアルはとにかくユーセーとジャックの二巨頭がダントツで、大人の試合はイマイチというのが常だった。でもそこからネグロが覚醒し、単体で各団体に呼ばれるようになっていった。そして今年、GT-R興行でみたレアルの試合はそれまでのプロレス時々ルチャな試合からルチャ時々プロレスな感じの試合に変貌を遂げていた。厳密にルチャもプロレスの一種ではあるのだが、日本のプロレスも結構独特なものなので、動きだけでなく、色んな所作から何から違う。簡単にいうと今までのレアルの大人ルチャは派手な動きだけできて地味な動きが少ない、そんな印象だった。だからやたら飛べばいいという「勘違いルチャ」にもなっていた。当然それはジライヤ校長のスタイルとも違っていたのだけど。

でも今年後半のレアルは一皮むけた印象がある。6月のGT-Rがまぐれでない証明にこの日の提供試合も今までにない盛り上がりを見せた。注目はルードのジャックとリンピオのユーセーが入れ替わったということでこれはなかなか新鮮だった。で、ここで課題が見えたのはやはりリンピオ組だった。チームとしてはやはり役割分担ができてないと自分が、自分がだけ考えているとなかなかうまく機能しない。リンピオ組にはややその意識が弱かったように思えた。一方ルードはユーセーがかき回し、ファルコがつないでネグロに渡すという役割分担がきちんとできていた。もし自分だけが目立てばいいというのであれば、こうはいかなかったと思う。

そういう意味ではリンピオサイドのバリエンテとルードサイドのファルコの実力差がそのまま試合結果につながったと思う。つなぎができる選手というのは古くは吉村道明から、アニマル浜口、阿修羅原といった系譜で、主役をたてられる名参謀がプロレス界には存在していたのだが、最近はなかなかそういう選手にお目にはかかれない。ファルコやバリエンテにはその名参謀になれる逸材だと思っているので、今後の精進次第では結構面白いことをしでかすかもしれないと私は思っている。今日のところはでもつなぎに徹したファルコが先制した結果になった。この先の出世争いもきっと面白いものになるに違いない。

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③スペシャルシングルマッチ

○新泉浩司1/30魁×

年内引退を発表した魁は同じ山口県人でありながら、下関では試合をしたことがない。これは本人にも確認したのだが、ダブプロレス自体が周南市のFRREDAMSと全日までというところで止まっているので、私にとっては意外と近く遠い選手だった。でも華☆激では何度となくその雄姿を見てきた。あのリングインして独特のすり足のようなフットワークをみせたり、低い体勢からさっと入ってバックをとるタックルなども、もう見られないと思うと実に感傷的になってしまう。こんな風に通好みなところで印象に残る選手でもある。それでいて新泉のお株を奪うかのようなバチバチした試合展開もできる本当にオールラウンダーなタイプで私が好きな選手の一人でもある。

序盤の静かな立ち上がりから片エビにきってそこからSTFへいくという流れるようなグラウンドテクニックで新泉を翻弄する魁。実にベテランらしい味わい深いレスリングを見せてくれる。

圧巻だったのは新泉を寝かせた状態で決めたクルックヘッドシザースで会場がどよめいたことだった。これで首をしたたかにやられた新泉はしばらく動きが止まってしまったくらい破壊力があった。ここまでできるのに引退なんてもったいないなあと残念でならない。

でもやはり引退を考えている選手のコンディションとこれからも現役を続行していこうとする選手のコンディションにはどこかに差が出てくるものである。昔ならバチバチでも新泉を圧倒していたであろう魁がだんだん苦し気な表情を浮かべだしたのだ。そしてそこに畳みかけるように新泉が非常な攻撃を加えてきた。最後は矢が折れるかのように新泉の前に屈した魁。

こういう形で世代が変わっていくのかなと思うと寂しくもある。でもアステカ欠場で危機感をもったと思われる新泉のファイトはベテランの老獪さに翻弄されることなく自身のプロレスを貫いていた。それはとても頼もしい光景だった。

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④イジメ撲滅プロレス公式戦

×小川聡志 & ラウザ & 神田愛実1/30スカルリーパーA―ji &二代目上田馬之助&日向小陽○

もはや華☆激レギュラーにして九州の女子プロレスとイコールになり始めている神田と日向のコンビは実にいい仕事をする。いじめ撲滅に入った彼女たちの試合は実をいうとはじめて生でみたが、本当に大男にもひるまず向かっていく姿勢が素晴らしい。神田は試合運びに安定感が出てきたし、ダークサイドにょきにょき日向小春は小ずるい反則を覚えてきて試合を楽しそうにしている。

ここに鳥取だらずのラウザが加わった正規軍サイドは小川のコールを待たずに急襲してきたダークサイド軍によって、先手をとられてしまう。ガタイからするとラウザが強力な助っ人になるはずだが、そうはさせないのがダークサイドの底意地の悪いことろで、数々の反則で笹栗をヒートアップさせる。

なんとか挽回しようと小川がアルゼンチンバックブリーカーで山笠を決めようとするが、そこは意地でもやらせないダークサイドの巧妙な連携で窮地に落ちる正規軍。しかしいじめ撲滅の意味を本当に理解しているので、自分たちが何をしたらいいのか悪役サイドが熟知しているのが本当に厄介である。結局ダークサイドの勢いを止めることができなにまま小川自身がフォール負け。試合後のマイクで「何病気に負けて欠場なんかしてるんだよ!さっさと復帰してこい!また有刺鉄線バットでぼこぼこにしてやる!」とA-jiらしいエールでアステカをあおって去っていった。

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⑤イジメ撲滅プロレス公式戦・篠栗88タッグ選手権試合

×[王者組]5代目ブラック・タイガー&アズールドラゴン1/60KING&コスモ☆ソルジャー[挑戦者]○王者組が防衛に失敗。挑戦者チームが第三代王者に。

昨年この笹栗で戴冠して以降、九州無差別級のタッグ王者と合わせて二冠王に君臨するもはや無敵の存在となったアズール・ブラックだが、年に一回の大会のメインしか防衛戦がない特殊なタッグベルトに対してモチベーションが保てているのかどうか?反対に挑戦者チームは第一試合と合わせて二試合目となれば短期決戦でしか勝てる見込みはない。あの手練れのダークサイドをどう分断して流れを自分のところへもっていけるかが勝負の分かれ目だろうと思っていた。案の定、序盤からじらし戦法ででてくるブラックタイガー。しかし昨年の手が通用するほど、コスモもKINGも甘くはない。アステカとともに手作りで築いてきた篠栗のメインは特別なものがある。だがそれをあざ笑うかのように序盤ではじらし、中盤ではレフェリーのMr.Suuを相手にぶつけて失神に追い込み、その隙にダークサイドが総出で乱入。

とここまではよかったのだが、コスモたちは思い切った手を打ってきた。どっちががローンバトルになることなく、ブラックにコスモが、アズールにKINGがついて鉄壁のタッグチームを分断するという形にもっていき、一番邪魔なブラックをコスモが場外にくぎ付け。返す刀で今度はアズールをKINGと二人がかりで攻撃。とどめはKINGに任せたコスモがブラックを逃がさない間に、KINGが得意のキン肉バスターでアズールをフォール。昨年の借りを返した格好になった。とはいってももう少し遅いタイミングでダークサイドの乱入劇があった場合ちょっとあぶなかったかもしれない。そのくらい第一試合のダメージがでかかったともいえるし、それしか手がないはずの挑戦者をチャンピオンサイドもやや侮っていたとしか思えない。ともあれ虎の子のベルトを取り返して無事ハッピーエンドに終わった。

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後記

アステカが欠場というハンディもあったし、営業の追い込みも闘病で中断されるなどいろいろ困難なこともあっただろうけど、笹栗町の人たちが一丸となってサポートして第三回も大成功に終わった。

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アステカの穴を皆で埋めようという意識が逆に大会を一体化させたとしたらまさにけがの巧妙だけど、今回のように皆でアクシデントを乗り越えた体験はきっと役に立つと思う。アステカ本人は不本意だったかもしれないが、プロレスリング華☆激にとってはとても重要な一日になったのではないかと私は思っている。


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