[プロレス観戦記復刻版] ワクチンファイトプロレスリングin FUKUOKA(2014年10月16日(木)アクロス福岡)

『ワクチンファイトプロレスリング in FUKUOKA』観戦記(2014年10月16日(木)アクロス福岡)

世界の子どもたちにワクチンを贈るプロレス・格闘技大会が「ワクチンファイト」。第1回は2012年に東京・新宿FACEで行われた。病気で命を落とす発展途上国の子どもたちの命を救うため、大会収益全額をJCV(NPO法人 世界の子供にワクチンを 日本委員会)を通じて寄付するというもの。大会を主催し、選手としても大会に出場する甲斐拓也が、本業の歯科医として続けてきた「インプラント治療1本につき、100本のポリオワクチンを寄付する」という活動を拡大したものだそうだ。

こうしたプロレスと社会貢献活動との親和性は実はとても高い。一見すると関係なさそうにも見えるかもしれないが、プロレスがもたらすパワー計り知れない。こうした大会が割と煩雑に行われているのもプロレスの一つの特徴といっていいだろう。もちろん趣旨には大賛成だし、お役にたてるのなら協力もしたい。それでプロレスまで楽しめるんなら本当に実益にかないすぎている。

ちなみに前回出場できなかった高山が選手ブッキングなどを手伝っているんだそうだ。確かにU系の選手は多かったし。まあケンドーは高山人脈ではなく校長つながりだろうけど。で、このあとはその大会の趣旨とは別にプロレスの一興業としての観戦記を書こうと思う。

アクロス福岡って天神のド真ん中にある施設で公共施設の割に値段が高いらしい。九大で歯科医の勉強をしていた甲斐がどこまで事情に詳しかったのかは知らないが、正直平日の大会にしたのはどうなんだろうって思った。正直厳しい入りではあったし、逆にいうとこのメンツを集めてもこれだけ・・・・という気持ちもある。入り口売店にはケンドーが立って自作のマスクを売っていた。もうケンドー目当てにきたようなものだったんで、満足度はこの時点ですでに高かった。

そして時間がおしているせいか?試合後の選手との交流会のためか、開始時間の5分前からセレモニー開始。ワクチンファイトの趣旨説明と、国家斉唱があった。ビッグマッチ感はバリバリなんだけどねえ。しかも当初組まれていた九州プロレス提供試合は一試合減っていた。まあおかげで面白いものもみられたんだけど、それはまた後ほど。

第一試合(3分×3 R)
障害者プロレス提供試合
ナガノ・V・アキラ(FORCE)VS サンボ慎太郎(ドッグレッグス)
(時間切れドロー)

いや~ドッグレッグスができた当時はまさか障がい者プロレスで団体対抗戦ができるとは思ってもいなかったんで、うれしい限り。サンボ慎太郎は何気に見たい選手だったんでみられてうれしかった。ただ、同じラウンド制でもFORCEとドッグレッグスでは違いがあって(5分と3分)、その時間差をナガノは克服できなかったように思う。簡単にサンボの懐に入って、持ち味を消された感があったので、なおさらだった。やっぱ相手の得意分野で勝負しちゃうとこうなるよねという試合。これは健常者だろうと障がい者だろうと同じこと。やっぱスタンディングで持ち前の体をいかした攻撃を封じられ、終始サンボの余裕を消せなかったナガノの実質的には負けだったと思う。と同時に老獪なサンボの牙城はなかなか切り崩せないなと感じた。実質障がい者プロレス世界一決定戦なんでこのカードを次にやるときはもっと内容的に上を目指してほしい。それができる2人だと思うから。

ちなみにこの試合を裁いていたのは和田京平さん。全日のユニフォームで障がい者プロレスの試合を裁くというのもある意味すごい絵面だった。

第二試合(20分1本勝負)
九州プロレス提供試合
○玄海&阿蘇山&桜島なおきVS 田中純二&ウォーターマン日田丸&●ばってん×ぶらぶら

当初、阿蘇山対ばってんのシングルと残り4人のタッグマッチというに分かれていたのだが、時間の都合?でこうなった。一応九州プロレス正規軍対玄武会の対抗戦ということになる。いや、しかしそうなるとなんでここに筑前がいなんだろうという違和感ばかりが先にたってしまった。そもそもワクチンファイトは他の鋭利目的の興業とは趣旨が違うんだし、NPO法人としても出て損はない大会のはずなのに、理事長と正リングアナが欠席(まあリングアナはいいとしても)というのは、本当にこの大会に協力したいの?ってききたくなる。こういう時こそ出し惜しみしないでアピールするチャンスだと思うのだが、なんでかなあ?筑前がでないということは単純にいってばってんがやられて終わるだろうというだけでなく、九州プロレスの姿勢そのものに懐疑的にならざるを得ない。

とはいうものの普段はうっとうしいばってんが、思った以上に熱く頑張ったせいで試合は思ったより白熱。博多エルボーも日田丸と純二と一緒に決めたり結構活躍していた。普段あたることはまずない玄海との絡みも新鮮だったし、試合内容自体は決して悪くはなかった。やられっぷりも予想通りとはいえ、結構きつかったんではないだろうか?なにげにこの試合のMVPはばってんだったといってもいい。

第三試合~チャレンジ・ザ・ワクチン~(30分1本勝負)
○CIMA(ドラゴンゲート)VS●めんたい☆キッド(九州プロレス)

同じ闘龍門出身ながら全く接点がなかった両者のたぶん初シングル(余談だがCIMAのシングルみるのも久しぶりだった)。というよりこのあと出てくるウルティモ校長と同じリングにCIMAが立つというのはある意味すごい話。まあ当然試合は別々だし、試合後の記念撮影でも見事に距離をおいて、顔すらあわせなかったんで遺恨は現在進行形なんだなと思わせたけど、それでも遺恨を差し置いてワクチンファイトの趣旨に賛同してCIMAが出場をしてくれなかったらこんな試合はまず見られなかっただろう。

試合はまさに先輩が後輩に胸を貸すといった感じの内容。ドラゲーではどうしても空中戦主体になるため試合はスピーディだけど、反面バタバタした内容になりやすい。で、この日のCIMAはめんたいの空中戦には付き合わず、ひたすらジャベでめんたいの動きを封じていく。このジャベの数々がとにかく見事。特に足殺しのバリエーションの豊富さには思わずため息をついてしまった。こういうどっしりした試合ができるようになったCIMAはまた若い頃とは違う魅力のある選手になったなあと思う。

なんとなくだがめんたいにないものをCIMAが伝授しようとしているようにも見えた。飛んではねるだけではいたずらに選手生命を縮めてしまう。そうならないうちにめんたいにもCIMAのような引き出しをもっていて欲しいなあと思った。かつて若さだけで突き進んでいたイメージのあるCIMAがこうして熟成された試合を見せてくれるというのも実に感慨深かった。

最終的には大の字になっためんたいに声をかけ、握手でめんたいの健闘をたたえていたが、内容はCIMAの横綱相撲だったと思う。お見事でした。

第四試合(30分1本勝負)
○鈴木みのる(パンクラスMISSION) VS ●伊藤崇文(パンクラスism)

まさかパンクラス同士の対決がプロレスルールでみられる日が来ようとは・・・そういう意味でも感慨深かった。伊藤の試合はたぶん生でみるのははじめてだが、映像ではやっぱパンクラスルールにのっとった試合をしていたので、どうなるのかとても楽しみだった。序盤こそおとなしくグラウンドテクニックの応酬をしていた両者だったが、そこは「今の」鈴木みのるである。伊藤を場外に落とすと大乱闘。しまいには傘まで凶器に使う始末。その傘で伊藤をめった討ちにすると、傘をさして悠々リングイン。普段の鈴木みのるだとごくごく当たり前の光景が「パンクラス」というフィルターを通してみると超斬新!これで秒殺リングアウト勝ちとかだったら笑えるんだけど、さすがにそこまでリスキーなことはしなかった。

しかし伊藤もこれに黙って耐えているわけではなく、自分の武器を駆使してみのるを追い込んでいく。いわゆるU系の蹴りではなくビッグブーツも多用してこちらもプロレス対応。決して無理してプロレスに合わせてるわけではなく、ちゃんとできることはできていたので大いに盛り上がった。プロレスの試合として^^

とはいってもプロレスの試合における順応度の高さでいえば、やはりみのるに一日の長があるのは明白。ロープ際に押し込まれて、場外転落か?と思わせてからの、ロープ越しの腕ひしぎをやったり、コーナーをうまく使ったり、やはり四方を有意義に使うという点ではみのるはさすがとしかいいようがない。最後はゴッチ式を決めてフィニッシュ。いや、でもパンクラスルールで闘ってもそれはそれで面白いものにはなったと思う。ちょっとそっちでも見たくなったカードだった。

そしてなぜか試合後、調子にのったみのるは、ばってんを場外で襲撃!新たな遺恨が勃発した。これはもう試練の七番勝負で鈴木みのるとシングルやって決着つけてもらうしかないな!

セミファイナル~ルチャリブレin博多~(45分1本勝負)
○ウルティモドラゴン&グレートサスケ(みちのくプロレス)&ケンドーVS
NOSAWA論外(東京愚連隊)&●MAZADA(東京愚連隊)&菊タロー(アキバプロレス)

お待ちかね、ケンドーの登場である。ユニバでケンドーがトップで出ていたとき、素顔のウルティモ校長とは何度もチームを組んでいたのだが、たぶんSWSに移籍してウルティモドラゴンになってからは、日本では同じコーナーにたったことはなかった(と思う。間違っていたらごめんなさい)。そしてユニバ時代の二人をリング下で若手としてみていたのが、サスケである。そのサスケがケンドーより後に入場してくるというのは感慨深いものがあった。普段は壊れてるグレートサスケだけど、今日くらいはユニバ時代の片りんをみせてはくれないかなと淡い期待をしていたのだが・・・

入場からしていちいち胡散臭い宗教チックなノリで入ってきたサスケは、リング上でも同じだった。あくまでマイペースを貫くもんだから、菊タローも困惑の表情を隠せない。「グレートサスケってこんなんだったっけ?」としきりにやりにくさをアピール。NOSAWAも「絡み辛れえ」と渋い表情。とにかくルチャルールを採用していながら、サスケが出るとテンポやリズムが寸断されてしまうので、せっかくルチャができる顔合わせなのに、ルチャっぽくならなかったのが残念すぎた。まあでもこれは予想できていたことではあったんだけど、もう十年早くこのトリオは見たかった。

そしてケンドー登場!ぽっこりでたお腹はやはり年齢を感じさせたが、ケンドーチャチャチャ!から入って、ヘッドスプリング、欽ちゃんジャンプと往年のバリエーションを惜しむことなく披露。いや対角線上が愚連隊の面々でよかった。とにかくレジェンドを光らせることに関しては右に出る者はいないだろう。今はもう飛べないウルティモ校長が飛ぼうとしたときにさりげなく邪魔に入ったり、MAZADAがうまいタイミングであじったり、とにかくいろんな小技を駆使して試合を盛り上げていた。ケンドーとサスケの連続トぺもキレイに決まったし、なんとなくだけど、マスカラス・鶴田・藤波に対したマサ斉藤、高千穂、戸口組のような立ち位置だったように見えた。ここで菊タローが愚連隊モードででていたらまた変わったかもしれないのだが、サスケ対策として菊タローででたのは正解だったと思う。

いつになく張り切ったウルティモ校長が最後はMAZADAからフィニッシュ。いや、今日の愚連隊は本当にいい仕事をした。やはり受ける側がしっかりしてないとプロレスの試合は成り立たない。その典型的な試合だったとおもう。

メインイベント(60分1本勝負)
高山善廣(高山堂)&藤原喜明&○甲斐拓也(BRAVE)VS ブラックタイガー&佐藤光留(パンクラスMISSION)&●那須晃太郎(U-file camp)

はじめにいっちゃうと場外乱戦で時間稼ぎしたなという感じの闘いだった。高山のコンディションを考えたらそれで正解だったと思うが、今回の場合請われてメインにあがったという形ではなく、ワクチンファイトの選手集めにも一役買っているのである意味主催者側として参加もしているから、まあ顔見世的でもいいんではないかと思う。甲斐自体は歯医者の傍ら総合やプロレスを経験し、今も練習を重ねているということで体はしっかり作ってきていたが、スタミナという点を考えるとこっちもやはり場外戦を挟まないと難しかったと思う。なんせ相手はバリバリの現役トリオなんだから、分が悪いのはどう考えても高山組になる。

しかしここで奮起したのが65歳の組長。ひかるんの挑発に乗っかる形で関節技の鬼の引き出しを次々にあけたかと思えば、場外ではテロリストに大変身。まあ動く、動く!高山と甲斐のサポートを組長一人がやっていたんだから、本当恐れ入る。若い那須やひかるんがかすむくらいに組長はイキイキして見えた。それでいておいしい所は甲斐に譲るというところも仕事師らしいにくい計らいもみせて、本当気が付けば藤原ワールド一色!途中コミカルな展開にシフトしようとしたブラックがあわててマジモードになったくらい、この日の組長のコンディションは絶好調。

試合途中から甲斐がつかまる展開になり、青息吐息ながら窮地を耐え抜いたのも功を奏してか最後は那須をバックドロップでしとめた甲斐。最後の挨拶をするときに客席にいた元大関・若島津(松ケ根親方)を呼んでリングにあげたら、まあこれがでかい!現役時代の公称は188cm、体重122kgでだいぶほっそりしたものの、高山と並んでもそん色ない背丈と恰幅はさすがとしかいいようがなかった。親方は「今試合をみていてみなさんのこの体つき。勝てないですね。私は今やもうとても恥ずかしくて上は脱げないです」といっていたが、いやいや、そのオーラはやはり圧倒的でさすがもと大関だなあと思わずにはいられなかった。57歳とは思えぬくらい顔は老けていたけど、組長より年下なんだよなあ。

甲斐があいさつした後全選手によるサインボール投げがあったが、ここでリングにあがりおりするのに苦労していたサンボ慎太郎の介助を、CIMAが誰にみられるわけでもないのに率先してやっていた。いちプロレスラーとして実にかっこいい光景だった。当初色物的な扱いもされたこともあった障がい者プロレスも20年の歴史を経て認知されてきた。そういう同業先輩への敬意も払っていたように感じられた。スター選手なのにああいうことをさらっと出来るのは本当にすごい。もっとも校長とは目も合わせなかったけど(笑)

いろいろ進行の不備ややや物足らないところもあったけど、全体的に甲斐の熱い思いがこもったいい大会だった。平日のアクロスという悪条件下ではあったけど、もう少し認知されてくれば、さらにいい大会になっていくに違いない。またケンドーも、今度は親子でよんでほしいし。これに懲りずにぜひまた博多で開催してほしいと思う。

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