[プロレス映画鑑賞記] ヘッド・ロック GO!GO!アメリカン・プロレス(2000年アメリカ:原題:READY TO RUMBLE 上映時間:106分)

あらすじ

2005年4月10日鑑賞。

ゴーディーとショーンは熱狂的なプロレスファン。仕事や女の子のことは後回しで、ひたすら彼らのヒーロー、WCWの無敵のチャンピオンジミー・キングを追いかけている。ところがある日、キングはマネージャーのシンクレアに見限られ、敵役ダイヤモンド・ページらから不意打ちを受け、二度とリングに戻れないほど派手に負けてしまう。その様子を見たゴーディーとショーンは、キングを励まそうと彼に会いに行く。(あらすじはTSUTAYA HPより)

WCW宣伝映画

ヘッド・ロック GO!GO!アメリカン・プロレスは、かなり長いこと録ったままほったらかしていた。タイムワーナーが作っている完全なWCW宣伝映画。一応はやりに乗ってプロレス=ショーという位置づけで描いているのだが、その描き方がカミングアウトにもなっていないお粗末さでまず唖然。

真実を取り戻しに行くとか、心を取り戻しに行くとかいう台詞が、実に軽い。今更真実もへったくれもあるか!っていいたくなるのだが、まあなんというか実に陳腐でノー天気なのだ。

詰めが甘い

ヘッド・ロック GO!GO!アメリカン・プロレスは、2000年制作なのにプロレスの描き方が古いというか、詰めが甘いというか、それでいてプロレス万歳みたいな描き方は、かえってプロレスに対する想いの浅さを露呈しているようにしか感じられない。

要するにヘッド・ロック GO!GO!アメリカン・プロレスという作品は、自社番組の賛歌であって、プロレス賛歌ではないのだ。ワーナーブラザーズ社の映画だから、余計にそう思えてしまう。

セキュリティーが甘い!

そのくせ番組賛美にすらなっていない出来。

だいたい筋書き=リング上の陰謀という描き方なのに、えげつなさのかけらもない。それなのに「プロレスはファンのものだ」といういかにもなお題目を、得意げに語られてもなあ、と言う感じ。

そもそもそういうテーマを描くにあたって、一ファンが簡単にボーダーラインを超え、リングをまたぎ、試合に参加するという物語を、映画の進行上「リアル」として描いて見せてるんだもんなあ。

本当にあんなセキュリティーの甘いテレビショーが存在するんなら、私だって乱入したいくらいだ!(笑)

描き方が浅い

本当にそうでなかったにしても、こんな描き方をしている辺りが後のWCW崩壊につながっていったのかなぁとも勘ぐらざるを得ない。

まあ、ヘッド・ロック GO!GO!アメリカン・プロレスを、プロレスを題材にした底の浅いアメリカ青年たちの物語とでも位置づけておけば、そんなに腹が立たないかなとも思うけど、それにしてもなあ。

ショーマンシップにおぼれ、地の底まで堕ちた王者が、往年の名レスラーに鍛え直されて、再生していくという流れには、文句はないがここの描き方も浅い。

バーガーキング

ショーならショーでそこにかけるものは徹底的に冷徹かつ厳格であるべきなのに、ラストの金網デスマッチだけが本物の闘いみたいな位置づけはどう考えてもおかしいだろう。

往年の王者役の役者さんが、どうみてもパパイヤ鈴木さん似で、本当は格好悪いのに格好いい王者を演じているという設定もどうなんだろ?

どうみてもふつーにバーガーキングにしかみえないのに・・・

あてつけ?

おまけにリング上の台詞はロックとストーンコールドを足して2で割ったような言い回しだし(劇中で堂々とピープルズチャンピオンを名乗っている。あてつけだったらある意味凄い)。

暗躍するブッカー役がビンス.ルッソーとエリック.ビショフとを足して2で割ったっぽいキャラだったのは、笑えたけど。

nWoはなかったことに

ヘッド・ロック GO!GO!アメリカン・プロレスの良いところと言えば、往年のWCWの雰囲気がナイトロガールズを含めて存分に味わえること。ダイヤモンド・ダラス・ペイジ(DDP)が悪の帝王として、実に出番が多いと言うこと(DDP軍のボスらしい。関係ないけど、nWoのタオルまで出てきているのに、肝心のnWo、劇中でははなかったことになっている)。

DDPの試合が見られる

また、冒頭のコンビニデスマッチにマッチョマンがふつーにちょい役で出て来ること(ありえないです!)、そのくせスティングとゴールドバーグは出番少ないのに美味しいところはみんなもってってしまう辺りが、現実と大差ないなぁとか。

これ見た人間に感想を聞いてみたけど、今はもう見られないであろうDDPの試合を、生で見たくなったという答えが返ってきた。それだけはわかる様な気がした。

WCWの限界

それでも、DDP軍でディスコインフェルノらと三下扱いされているビガロの姿は悲しすぎ...

仮にも日米でトップとった男が...

この中にはブッカーTもいたりしたが、あれだけの逸材をこんないじり方しか出来ないあたりが、WCWの限界だったんだなぁ、と思わざるを得ない...これでは団体が哀れな末路を辿ってしまったのも仕方ないか...。






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