[プロレスコラム] プロレス想い出回想録 ブルースブロディ氏との奇妙な縁⑩ 旅人は今もどこかで

プロレス想い出回想録 ブルースブロディ氏との奇妙な縁⑩ 旅人は今もどこかで

出会いと別れは

プロレス想い出回想録 ブルースブロディ氏との奇妙な縁⑨ 根拠のないはこちらから

出会いと別れは突然やってくる。昨日までの日常は明日も続く保証はない。頭ではわかっていても、なかなか実感として理解するのは難しい。

ここ数年で、私の近しい人たちが立て続けに旅立たれた。そして今年、私にステージ2の悪性リンパ腫が見つかった。

診断を受けた時は「ついに私の番が来たか?」と正直思った。が、同時に「まだ、あっちに行くわけにはいかない」とも思い直した。

自分も生還したい

治療が始まる前までは、正直舐めていた抗がん剤投与は、想像以上に大変で「生還された方々はこれを乗り越えてきたのか?」と改めて畏敬の念を抱いた。

と同時に、自分も生還したいという気持ちを強く持とうと決意も新たにした。そんな病床の私に、予期せぬ訃報が届いたのは、11月に入ってからだった。

SNSというのは離れていても、安否がわかる便利なツールではあるが、反面知りたくない情報も入手してしまう。

SNSで知った訃報

ブルースブロディ氏が亡くなったという知らせは、彼の知人がSNSに投稿したことで知った。その時林祥弘の第一報を知った時と同じような、なんともいえない嫌な感覚に襲われた。

亡くなり方はどうあれ、突然我々の前から姿を消したという意味では、2人とも似ていると思ったのかもしれない。

自分の死生観に影響

そういえば、毎日のように投稿していたブルースブロディ氏のSNSは、9月4日を最後に更新されていなかった。9月というとちょうど私も手術が決まってあたふたしていた時期である。それでも気づけなかった自分を責めそうになった。

彼の死は、自分の病以上に私の死生観に影響を与えていた。彼の訃報を知ってから自分の亡くなり方というのを真剣に考えるようになったのだ。

残された時間で

ブルースブロディ氏はいわゆるコレクターという人間ではなかったが、彼の所属品はプロレスファン的にも貴重なもので、彼が突然死したことで、おそらく散逸してしまったものと思われる。

であるならば、まだタイムリミットまで猶予が与えられた可能性がある私は、残された時間で、自分の持っているグッズやサイン等の処分方法を、予め決めておいた方がいいのかもしれないと考えたのだ。

ゴールまでの宿題

そうはいっても、3週間に一度ある抗がん剤治療を優先していると、なかなか「遺言」にまでは手が付けられていないのが、正直なところである。

でも、これはブルースブロディ氏が遺してくれたメッセージだと思っているので、自分がゴールを迎える日までの宿題としておきたい。

今もどこかで

旅人だったブルースブロディ氏は、今もどこかの街でラーメンを食べ歩きつつ、プロレスを見ているような気がしてならない。

彼のお葬式に出たわけでもないので、区切りのつけ方は難しいけれど、今はただ、彼の冥福を祈るばかりである。

プロレス想い出回想録
プロレス“ザ・モンスター”ハラダが自らの体験を赤裸々に綴った回想録記事です。長い期間プロレスを見てきた彼が抱えてきた出会いと別れ、予想外の悲しみ、そして「楽になりたい」という想いとは?彼が「書く」ことで得た救いとは何だったのか?感動必至の一...






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