[プロレス観戦記] プロレスリングNOAH・ GREAT VOYAGE 2021 in FUKUOKA

せかぷろ

(2021年3月14日・日・福岡国際センター:観衆1236人)

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イントロダクション

個人的には、NOAHの武道館進出というのは、それほど興味はなかった。なぜなら、武道館、両国などのハコで大会を開く団体が、いざ地方に来てみたら、今はなき博多スターレーンすら満員にできない、という事態が割とよくあったからだ。

実はNOAHもそんな団体の一つだった。福岡国際センター大会は10年ぶりの開催になる。このハコを常時使用しているのが、今や新日本とドラゲー(ドラゲーは年末のビッグマッチのみ)だけになってしまったのが、こちらではさしずめ「失われた10年」という事になるだろうか。

北部九州から山口の一部までだと、国際センター大会が開催できる団体がメジャーであり、ほかは大差ない扱いとなる。地方において武道館進出は必ずしもステータスにはならないのである。

サイバーファイト体制になったNOAHとしては、国際センター再進出はいわば、メジャーへの再チャレンジであり、目指す業界一位を達成するためには、必要不可欠なミッションである。

先行する新日本が、あぐらをかいていられるのは、地上波放送があるからだけではなく、どの地方でも国際センタークラスの大会が開ける陣容になっているためで、NOAHの国際センター大会が成功しないと、業界一位など夢のまた夢なのである。

オープニング

開場15分前に国際センター到着。新日と違うのはグッズ率が少ないなあ、ということ。NOAHはロゴも変わったし、グッズの充実はこれからになるのかな?

新日本同様、グッズはロビーでの販売。多分屋外での販売は会場が難色を示している可能性が高い。

しかも、グッズ販売は試合開始までと徹底している。そんなにグッズがなかったのもあるが、やはりNOAHのパッケージだけでなく、選手各人のグッズはいずれ充実させてほしい。

ちなみに、席は南側だけ3階解放。西側、東側は二階席のみ。北側は花道で封鎖。身の丈を考えたら、真っ当な判断だろう。

入りは10年くらい前の新日本という感じ。これから信頼を積み上げていけばいいだろう。

第一試合:

谷口周平&大原はじめ&○YO-HEY 対 稲村愛輝&岡田欣也&●矢野安崇(11分42秒 顔面G→体固め)

ヨネとのタッグでよもやの「明るく、楽しい」路線に転じた谷口が、真価を発揮するには、次世代の稲村に遅れをとることは許されない。

未完の大器とよばれて久しく、また、今や期待値もしぼみつつある谷口が、なんとか奮起するんであるなら、稲村に火付け役を頼むほかあるまい。

果たして散々後輩に抜かされてきた谷口が、稲村にも出し抜かれるのか?それとも、稲村相手に覚醒するか?

試合では谷口の悪い面がでないように、結構気を使って試合をしていたような気がした。谷口もノリノリだったんだけど、胸を貸しているのが、若手組という図式は最後まで崩れなかった。

このあたりは、受けてナンボのNOAHだから生きた部分ではある。だが、谷口の素質があまりあるだけに、なんかこの枠にいる違和感は最後まで拭えなかった。

 

第二試合:

○HAYATA 対 ●宮脇純太(9分56秒 403インパクト→体固め)

正規軍サイドで、桃の青春と共闘する宮脇がHAYATAとシングル対決。一時期、NOAHの新人はなかなか伸びないという時期が長かったが、宮脇はそろそろ殻を破る時期に来ていると思う。

本当はここは小川の名前があったのだが、小川が欠場するなら、事前に発表したカードの変更は、会場でもやるべき。会場にいる人がAbema観ながら、生観戦しているわけではないので、最初に言って欲しかった。

HAYATAは結局、1日2試合になったわけだが、HAYATAのキャリアもそこそこあるので、勢いのいい若手のあしらい方も心得たもの。

最初こそ宮脇の猛攻に後手に回ったが、気がついたら、HAYATAが攻勢に回っていた。小川とはまた違う宮脇を引き出したHAYATAは、第四試合であたる原田と視殺戦を展開。

宮脇は勢いだけではない何かを身につけないと、なかなか桃の青春とは同格にはみてもらえないだろうなあ。

 

第三試合:

●齋藤彰俊 対 ○モハメド・ヨネ(8分58秒 ラリアット→片エビ固め)

今回はあえてユニットではなく「プロレスリングNOAH」というパッケージを意識したカードが多いように感じられる。このカードもその一つ。

彰俊といえは、六万人のブーイングを浴びた男でもあり、福岡国際センターでは、オリジナルの反選手会同盟として、越中&木村組のサポートをしていたことが、個人的には印象深い。

第二試合から繰り上がったシングルマッチ。今でこそファンキーを売り物にしているヨネだが、元々はこうみえて藤原喜明門下生である。

その硬派な部分を引き出すべく?開始早々にスイクルデスでペースを掴んだ彰俊は、気迫でヨネを押していく。

最初こそ付き合う気がなさそうだったヨネが、途中からファンキーを封印しはじめた。あきらかに空気が変わった瞬間、ヨネが強烈なラリアットで、彰俊に激勝!

ヨネの背中を見送る彰俊は、どこか清々しい顔をしていたようにみえた。

第四試合:

HAYATA&○進祐哉 対 原田大輔&●藤村加偉(13分06秒 クロスフェースロック)

HAYATAや進はそれこそ、レッスルゲート時代に華☆激に参戦していた時代が懐かしく感じる。よもや福岡国際センターで、彼らの試合を見る日が来ようとは…。

それは原田にしても同じで、ぶっちゃけNOAH移籍後、生観戦していないので、彼がこうした檜舞台にいるのも、また感慨深い。

試合は、1日2試合のHAYATAをカバーすべく、進が奮闘。小川やHAYATAを立てているのか?NOAHでは、普段あまりみせない進のグラウンドで、特に若手の藤村がいいようにいたぶられる。

HAYATAを意識するあまり、結果的に原田がらしからぬ形で、藤村を置き去りにした結果、進のクロスフェイスで藤村を葬り去った形になった。

 

第五試合:

拳王&覇王&△仁王 対 藤田和之&△ケンドー・カシン&NOSAWA論外(8分16秒 両者リングアウト)

時期、ナショナル王座前哨戦にして、遺恨が残るカシンとも邂逅する拳王。しかし、藤田をまた再びプロレスのリングで見る日が来ようとは思わなんだ。相変わらず危ういところがたくさんある藤田だが、そこはカシンや論外がフォローするだろう。

序盤は藤田と拳王の睨み合い。まさか有観客でやるとは思わなかったが、さすがに30分も睨み合うわけにはいかず、焦れた拳王から動いてしまう。

しかし、それは杉浦軍の思う壺。仁王、覇王を論外が抑え、藤田と拳王が激しくやりあう中、全員がリングをおりてしまい、まさかのカウントアウト。

 

第五試合:再試合:

拳王&●覇王&仁王 対 ○藤田和之&ケンドー・カシン&NOSAWA論外(5分45秒 パワーボム→エビ固め)

これに怒った拳王は、マイクで再試合を要求するが、これこそ杉浦軍のペース。

前回のナショナル王座戦でやられた、ソーシャルディスタンス用のアクリル板で、またしてもカシンに変顔をさらされた拳王。

その拳王に対して「見とけ!」と藤田が豪快なパワーボムで、覇王からカウント3!

最後の前哨戦で、赤っ恥かいた拳王は、多分本番で勝つ流れになりそうだが、今度ばかりはどうなるかな?とはいえ、藤田にベルト預けてもビジョンは見えないんだけど。

 

第六試合:GHCジュニア・ヘビー級選手権試合

●王者:吉岡世紀 対 ○挑戦者:小峠篤司(20分02秒 キルスイッチ→片エビ固め:※第44代選手権者が初防衛に失敗。小峠が第45代王者となる)

熊本出身の吉岡としてみたら、ある意味凱旋になる国際センター大会。チャンピオンとして九州に戻った以上、そう簡単にベルトを奪われるわけにはいかない。

しかし、小峠にも盟友・原田の敵討ちという意味合いがあるため、そう簡単に引くこともできない。

九州凱旋の吉岡に特に気負いらしいものはない。一方序盤の小峠は、やや気持ちが先走ったのか?吉岡に攻め手を許す場面が見られた。

これは吉岡防衛のパターンか?と思われたが、意外にも小峠は軌道修正してきた。

事前の調印式でキルスイッチをめぐる攻防が焦点になると見られていたが、さすがにチャレンジャーの技は、吉岡も警戒していた。

しかし、キルスイッチの入り方を工夫してきた小峠は、キルスイッチをかわされても決して諦めてはいなかった。この軌道修正能力は、吉岡が見誤った部分かもしれない。

二度目のキルスイッチは、みていて「そうきたか!」という納得の内容。

 

第七試合:スペシャル8 人タッグマッチ/金剛 vs NOAH ISM

中嶋勝彦&マサ北宮&●征矢学&タダスケ 対 潮崎豪&○丸藤正道&杉浦貴&鈴木鼓太郎(29分42秒 真・虎王→体固め)

金剛に対するは、正規軍&M’s alliance&杉浦軍の混成タッグ(鼓太郎は一応無所属か?)NOAHの歴史を彩るメンバーが結集したなかなか豪華なカード。

もともと丸藤が同日開催のゼロワンに出る予定だったのだが、ゼロワンが中止になり、丸藤が福岡国際センターに参戦できるようになった経緯がある。

だから、M’s allianceのメンバーが武藤以外いないわけだが、むしろプロレスリングNOAHというパッケージを知ってもらうためには、これでよかったと思う。

試合後、3月14日を最後に手術による欠場期間に入る潮崎と、かつてAXIZを組んでいた中嶋勝彦のマッチアップでスタート。

金剛は基本悪いことはしないヒールなんだけど、ヒール的な立ち位置もこなせる分、こういう時は非常に便利。

しかし、オールスターの添え物になる気はないので、必然的にばちばちやりあう形になっていく。単なる顔見せでは終わらせないのが、NOAHらしいところでもある。

それにしても、NOAH ISM軍は非常に華やかである。数年前までは存亡の危機にあった団体が、ここまでになるか?と非常に感慨深くみていた。組んでいるだけで華があると言うのは、鶴田・マスカラス・藤波組みたいなイメージかな?

M’s allianceを結成後は自由に暴れていた丸藤だが、この日も非常に楽しそうにしていた。もしかすると、M’s allianceの同胞・武藤との対戦は先々あるかもしれないが、今のところGHCにも絡んでないし、丸藤の良さが全開になっている感じがした。

裏方としては、副社長としてサイバーファイトやNOAHを背負う丸藤が、リング上の事を、他の選手に安心して任せられるくらいには、NOAHも大きくなってきたんだな、と思う。

中盤まで絡みがなかった潮崎と中嶋のバチバチファイトも終盤で再び展開。しばらく絡めないからか、シングルマッチのような攻防が続いたかと思えば、NOAH ISMの超豪華連携がはじまり、と気づけばあっという間に30分近くが経過。最後は丸藤が真・虎王で、豪華ロングマッチに決着をつけた。

 

第八試合:GHCヘビー級選手権試合

○王者:武藤敬司 対 ●挑戦者:清宮海斗(32分07秒 腕ひしぎ逆十字固め
※第34代選手権者が初防衛に成功)

私は武藤敬司としてのタイトルマッチは見たことがなくて、福岡国際センターでいうと、化身のグレートムタが、長州力相手にIWGP &グレーテスト18クラブのダブルタイトル戦を行った記憶が鮮明にある。

ムタ対長州はリングサイドで観ていたんだが、試合終盤、ムタが消化器撒き散らかしたせいで、着てきた背広が白くなってしまったのも、今となっては懐かしい思い出である。

さて、昔話はこのくらいにして、前哨戦では、武藤が清宮を「安パイ」呼ばわりしていたのが気になった。あーみえて、武藤敬司は、清宮をそこまで下にみてはいないはず。自分の作品として清宮を引っ張り上げて、自分の見せ場を美味しく作る。武藤が考えているとしたら、多分そんなところかもしれない。

試合がはじまると、清宮は実に正々堂々武藤と向き合った。老獪さでは武藤には敵わない。かといって若さだけで押し切れるほど、相手は甘くない。

もし、清宮が勝ちを見出すならば、武藤の下半身攻めをするべきだったろう。しかし、清宮はそれを選ばなかった。あえて武藤のフィールドであるグラウンド、そして「歴史」の部分にまで踏み込んでいった。並の24歳にできることではない。

ただ、清宮が試合中にこだわったヘッドロックは伏線にならなかった。清宮はおそらくNOAH、というか三沢光晴の歴史から、フェイスロックを選択したのだと、私は想像してみた。

だが、出すタイミングが早すぎた。そして完璧に封じたはずのドラゴンスクリューをくらってから、明らかにスピードが落ちたのも、清宮の若さゆえの過ちだったのかもしれない。

ドラゴンスクリューさえかわし切っていれば、タイガースープレックスも踏ん張りがきいたはずだし、他の技にも繋いでいけただろう。

しかし、それは武藤がさせなかった。雪崩式フランケンや、不意をついたドラゴンスクリューに、ネックスクリュー。武藤プロレスを研究してきた清宮の勢いを、ここぞというところで削いでいく。

そして、清宮が腕を痛めたとみるや、咄嗟に一点集中攻撃。わずかな隙も見逃さない武藤敬司の真骨頂は、腕ひしぎ十字固め。柔道時代から培ってきた伝家の宝刀。中盤までたっぷりキーロックでダメージを与えた上での腕ひしぎに、清宮はタップするほかなかった。

試合後、マサ北宮が登場し、武藤にサイトースープレックスの洗礼。監獄固めでタッグ王座を奪取した北宮は、武藤戦に勝算ありとみたのだろうが、膝攻めしてくる相手に武藤が無策で挑むわけがない。次の防衛戦では、マサ斎藤という歴史と向かい合う2人が火花を散らすことになりそうだ。

後記

全体的にみて、演出面などまだまだ物足りないものはあるが、総じて国際センタークラスのハコに相応しいビッグマッチになっていた。

帰りに配られていたクリアファイルも、お得感があったし、プロレスリングNOAHが本気で、業界No.1を目指してきているのは、嫌というほど伝わった。

できれば、さいたまでやるサイバーファイトのプロレスフェスが全国展開されれば、新日本一強の時代は終わりに向かうだろう。とりあえずNOAHのメジャー再挑戦は、成功したといって間違い無いだろう。

久々のプロレス観戦が楽しい時間になって本当によかった!ありがとう!

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