[プロレス観戦記] GAMSHARA WRESLE KINGDOM

GAMSHARA WRESLE KINGDOM(2018年3月5日 日曜・北九州メディアドーム4階特設ステージ)

小倉けいりんがスポンサードしたTOP OF THE SUPER GAMUSHARA Jr.2018以来の大会はまたしても小倉けいりんとのコラボ。久々のメディアドーム開催となった。

あくまでも個人的な話だが、私はギャンブルには全く興味のない人間なんで、プロレスがからまない限り、賭場に足を踏み入れることはない。競輪だけでなく、ほぼ全てのギャンブルに対して嫌悪感があるのだから、しかたない。タバコ共々世の中からなくなってほしいとさえ思っている。その理由まであげつらうと長くなりすぎるので、ここでは省略する。

さて、場所によっては、イベントはイベント、レースはレースに分けて開催してくれるところもあるが、福岡県は頑なにレースありきでイベントが組まれることが多い。レースに興味がない人間には苦痛で仕方ないのだが、いかんせんお金を出すのは、公営ギャンブル側。でないと、本戦ではまず呼べないような大物の招聘は不可能。

だからこそ私のような人間にもメリットはある。団体側へのメリットは、予算面もさることながら、昨今の暴力団排除の流れから、透明性を求める公営ギャンブル側から「健全」というお墨付きを得られる事があげられる。要するにがむしゃらプロレスはお上から「健全な団体」であるという公認を得たのと同じことなのだ。

このコラボは悪い話ではなく、むしろ今は公営ギャンブルとのタッグは望ましいともいえる。ギャンブルへの嫌悪云々はあくまで私の個人的問題であって、プロレス界の問題ではない。そこをはき違えると、かつて週プロが犯したSWSバッシングのようなことがおきてしまう。あの事件から皆が学んだからこそ、プロレスを信じてお金を出してくれるところを、皆が大事にするようになったのだ。ギャンブルではないけど、新日本の親会社のブシロードだって、SWSの例がなかったら、もしかすると叩かれていたかもしれないのだ。

がむしゃらプロレス第1試合
▽けいりんの良さを伝えながらみんなで楽しむタッグマッチ(10分1本勝負)

①×パンチくん & MIKIHISA vs 美原 輔 & ○サムソン澤田

(6分22秒)

本来はBIG-T(病欠)が入るはずだったところを、急きょパンチくんが代打を務めることに。しかし結果的にパンチくん&MIKIHISAという、もとタッグチャンピオン同士(パートナーはそれぞれ違うけど)が組むことになったわけで、虎視眈々とタッグ王座を狙う美原&澤田にとっては申し分ない相手。特に同期生タッグでの戴冠を目指している美原&澤田にとっては実戦を重ねてトーナメントに出るなら一試合でも多く組んでおいたほうがいいと私は思う。

パンチくん組は、自由気ままにくるだろうな、とは思っていたが、MIKIHISAの相方でセコンドの豪右衛門が試合そっちのけで、車券予想に熱をあげる。しかし、途中まで試合に没頭していたMIKIHISAまで、豪右衛門に巻きこまれて、気がついたらパンチくんをほったらかして、二人で車券を買いに行ってしまう。久々の酔っ払いモードで、こちらも好き勝手に暴れ倒すパンチくんだったが、いかんせんコーナーに控えているはずの味方がいないのでは話にならない。

一方で美原・澤田組は「このチームでてっぺんをとろう」という強い意志が感じられた。一見するとおふざけに飲まれてもおかしくなかったけれど、我を見失わず、きちんと真面目にプロレスをして勝った。ある意味、相手の土俵にのって勝つのもプロレスだけど、あくまで自分の土俵で戦うのもプロレス。選択権は選手にあるので、いたって当然の結果。いかにパンチくんが実力者であろうと、一人では多勢に無勢だったという事。

いつものつかれん程度ともちょっと違う、イベントプロレスらしい試合だった。

がむしゃらプロレス第2試合

▽GWOvsLCR対抗戦タッグマッチ

②YASU & 陽樹 vs TOSSHI & KENTA

(15分00秒) ※時間切れ引き分け

これが15分で勝負つくとは思えないのだが、同時にYASUとTOSSHIのジュニア戦士としての再浮上が懸かっているとみても面白い。ともにGAMUSHARA Jrでは一回戦敗退した者同士でもあり、かつては一時代を築いた者同士。だが、タッグ屋としては先行しているYASUに対して、もしTOSSHIに思うところがあるとしたら、KENTAとのタッグは重要な意味を持つ。4月のタッグトーナメントにどういう形で出場するかは決まっていないが、何らかの実績を残したいならチャンスでもあるからだ。

再浮上という点では陽樹だって同じこと。タッグ、そしてGAM1に向けて一戦一戦が大事になってくるからだ。それはKENTAも同じ。プロと違って消化試合がない分、厳しい局面にいることはどの選手も変わらないのだ。

先発はYASUとTOSSHI。名勝負を幾度となく繰り広げてきた2人だが、TOSSHIの復帰後はなかなかYASUの動きについていけず、青息吐息になる場面も多く見られた、しかし、復帰して場数をこなしてきたせいか、だいぶん以前より「形」になりつつある。あくまでも動きの面だけなので、これにプラスα、精神的なものが加味されてくると、往年の動きを上回るものが生み出せるだろう。誤解をおそれずにいえば、この2人だったらまだまだ「こんなもんじゃない」と私は思っている。

一方、かつては同じチームメイトだったKENTAと陽樹も数奇な運命の果てに、お互いがヒールとして「再会」することに。もともとヒールでデビューしている陽樹のほうが、通算でいうとヒール歴は長いのだが、この試合で主導権を握っていたのはKENTAのほう。OPG遠征以降、吹っ切れたのか?以前ほど自分への人気に対して過剰に恐れることがなくなってのびのびファイトできている感じがした。

一方で、陽樹も鉄生ほど熱くはならず、でもいろいろと因縁ぶかいKENTAとの絡みに対して、結構楽しんでいる感じがした。やはりこの2人は闘っているほうが絵になる。

試合は時間制限をはなから無視していたような感があったので、当然時間切れ引き分け。でも時間内におさめるよりは、よっぽど面白かったし、これで遺恨が深まった分、次回のタッグトーナメントでKENTAと陽樹、YASUとTOSSHIがどういう形で邂逅するか??楽しみに待ちたいと思う。

がむしゃらプロレス第3試合
▽スペシャル6人タッグマッチ

③×Barong & 鉄生 & 久保希望 vsトゥルエノ・ゲレーロ & SMITH & ○佐々木 貴

(6分31秒)

これも注目の6人タッグ。実はLCR+久保は殿とはそう絡んではいない。特にbarongのような変化球の選手がプロ相手にどういう内容の試合を見せるかは大変興味深い。一方、鉄生からタイトルを奪ってからは初顔合わせになるSMITHはたぶん策士ぶりを発揮して鉄生を翻弄しにかかることは容易に想像がつく。奇しくも昨年8月の群雄割拠に出た選手のうち2人が混じったこのカードの中で殿がどういう動きにでてくるかが非常に興味深い。

こちらも時間制限がある分、入場に時間のかかる殿は狙われるかなと予想していたら、案の定、鉄生が急襲。そのまま乱闘に持ち込んでいく。よく考えると乱闘はFREEDAMSの十八番でもあり、殿のフィールドなんで、当然待っているのは「倍返し」である。場外に出ると息を吹き返した殿は生き生きと暴れまわる。もちろんトーナメントで屈辱のマスク剥ぎをやられたゲレーロもbarong相手に攻勢に出る。

ちょっと見ていて面白いなと思ったのは、SMITHと鉄生の絡み。対陽樹と違って鉄生相手だと比較的真正面から闘っているのがわかるのだ。一度とはいえ、ベルトをとられた経験のある相手だけに、こういうところでも出し惜しみをしないのは、いかにもSMITHらしい。一方、序盤でペースを握ったはずのLCR+久保はどうも波に乗り切れない。司令塔であるbarongとは完全に分断されてしまうし、ところどころで見せ場を作るが、なかなかつながっていかない。

しかも制限時間をきっちり意識して試合を組み立てている「プロの力量」が勝敗の差をわけたといってもいいのではないだろうか。殿は見てないようで、意外とそういうところまできちんと見ている気がした。最後は自らDガイストをbarongに叩き込んで堂々の勝利。考えてみたらジュニアとヘビーのチャンピオン2人に殿を加えたチームって反則じゃないかと思うのだが、こればっかりは相手が悪かったと思うしかない。とはいえ、LCRが劣勢だったかというと決してそんなことはなく、互角以上に渡り合ったこともまた事実。時間が短かった分、物足りなさはあったが、十分熱くて面白い試合だった。

天龍 源一郎 トークショー

私は基本プロレスの味方であり、特定の選手・団体を応援しないスタンスでいる。それは華☆激だろうと、がむしゃらプロレスだろうと変わらないのだが、例外はもちろんある。それが天龍源一郎という人である。私にゴツゴツしたデカイ漢のぶつかり合いという、トラディショナルなプロレスの魅力を教えてくれた人。それが天龍源一郎である。

想い出は数限りなくある。プロレス入門時からアメリカ武者修行を経て、UNの顔になり、テッド・デビアス(シニア)とのライバル関係、鶴龍コンビとして超獣・不沈艦コンビや、ジャパンプロ勢との抗争。天龍同盟時代の鶴田とのし烈な戦い。日米レッスルサミットでのランディ・サベージ戦。SWSに行ってはただ一度の対決になったホーガン戦。WARでは新日本との過激な戦い。そしてなんといってもこの日パンフをもってきていた94年の対猪木戦の勝利によるBI砲2人にフォール勝ちするという快挙。そして引退試合でのオカダ戦の筆舌に尽くしがたい死闘・・・・とにかく多すぎて書き切れない。

この日着ていったレボリューションTシャツ(ロング袖)は、天龍革命当時に購入したもの。当時、なぜか売店が混んでおり、私の目の前には馬場さんがいらした。スタッフの方々はお客さんの対応に追われており、買うとしたら馬場さんに話しかけるしかない状況。

意を決して「すいません。」と言ってお金を差し出したところまでは覚えているが、そこから先は記憶が曖昧になっている。昔のことでも事細かに記憶している私にしてはかなり珍しいのだが、手元に商品があると言うことは会計もすんだということになる。

あれほど緊張しまくった買い物は後にも先にもこの一度きりである。

そういう経緯から、滅多に袖を通すことなく30年が経過。その間着たのはわずか4回。5回目にしてやっと天龍さんに会えた。これは勝手ながら馬場さんのお導きに違いない。私はホントにそう思っている。Tシャツ一枚にも普通なら生まれ得ないドラマがある。それがプロレスなのだ。

トークショーの開幕とともに雷音が鳴ってサンダーストームが流れると、大・天龍コール!やはり一時代を築いたレジェンドはモノが違う。リング下に来るまでは本当にきつそうに歩いていた天龍さんがリングに上がるや否や、自らロープをくぐってリングインしたのは、引退したとはいえさすがだった。

ちょうどコーナーよりにいて天龍さんの視界にいる位置にいた私は、天龍さんの全日時代に購入したレボリューションTシャツを着て、陣取っていたのだが、その私を目ざとくみつけてくれた天龍さんは「お、いいTシャツをきてるねえ」と笑顔でいじってくださった。もう天にも昇る気持ちとはまさにこのこと。

よく人から「話が聞き取れないのでは?」といわれたが、プロレスファンなら聞き取れて当たり前。けいりんとのコラボなんで競輪選手との思い出をにこやかに語ったり、MCが控室にいたがむしゃらの選手が「ぐったりしていた」というと「それは練習が足りないねえ」とチクリ。一方で現役時代は常に「上を上を」目指していたそうで、常にイライラしていたそうだ。今の自分に決して満足しない天龍さんらしいエピソードだった。

そしてこの後のタイトルマッチ宣言を天龍さんが行うという事で、殿とともに天覧試合としてメインイベントが行われることになった。

がむしゃらプロレス メイン
▽GWAインターコンチネンタル王座決定戦

④○豪右衛門 vs ×尾原 毅

(10分48秒 豪右衛門が第4代インターコンチ王者に)
*タイトルマッチ立会人(天龍 源一郎)

自ら決定戦にでたいと名乗りをあげた2人。もと王者の尾原にも「王者に返り咲きたい」という意地があるだろうし、タッグ王座を失って無冠となった豪右衛門にとってはそろそろシングルの勲章が欲しいところ。という意味ではお互いに闘うモチベーションの高い試合となっている。ただし剛の者にはめっぽう強い尾原の関節技には、豪右衛門も要警戒しないと、あっさり退けられかねない。豪右衛門はある意味恵まれた体格とパワーが売りの選手だけに、もともとも持っているものを生かせば勝機はある。さて、勝敗の行方はどっちに転がるか?

選手紹介でちょっと気になったのは2人の体重差。尾原70キロに対して豪右衛門110キロ。その差40キロ。確かに寝かせれば体重差は関係なくなるけど、立ち勝負になってくるとこの差はでかくのしかかる。対マスクドPT戦のように、一瞬の隙をつくにしても、そこまで技を受け切ったうえで勝つとなると、まともに相手の攻撃を食らっていたら、尾原の身が持たない。ましてや豪右衛門の攻撃は一発一発が重く、ダメージがでかい。

序盤は尾原がキックで豪右衛門を崩して寝技で勝負する場面が多々見られたが、このキックで十分なダメージを与えられたかというと、ここでも体重差がのしかかってきた。現在の尾原のキックは、一発一発が軽いので、全盛期と比べて相手に完全なダメージを与えきれないのだ。だから寝技にいっても、昔なら確実に仕留められたのに、逃げられてしまう。

正直、以前だったら寝かされた時点でかなりの確率で「豪右衛門、不利」となりそうな場面でも、私には豪右衛門がピンチになったようには見えなかった。奇しくもボクシングの試合で、体重超過の対戦相手ネリに対して、山中が無残な敗北を喫したように、体重差というのは、大きな勝敗の分かれ目になりかねない。

無差別という枠組みの中で、これほど体重差がモノをいうとは正直思わなかったが、ブランクからの復活後、快進撃を続けてきた尾原が、ここへきて勝ち星に恵まれていないのは、ある意味当然といえるかもしれない。

天龍さんがみていたからではないだろうが、2人とも武骨にごつごつとした試合をしていたし、内容はイベント試合の枠を超えていたと思う。あとで人から聞いた話だが、天龍さんもこの試合をほめていたそうだ。それくらいの試合だったという事はどうしても書いておきたかった。

試合後、マイクを握った豪右衛門は「このベルトに価値ないだろ?簡単にとられて、返上して。俺はこのベルトをヘビーの下だなんて思っていない」と防衛しての長期政権を宣言。そしてシングル戦線に進むため、相方のMIKIHISAに決別宣言。

するとMIKIHISAは「これはこれ、それはそれ」として、尾原と組んで4月のタッグトーナメントに出ることを宣言。流れ的にはMIKIHISAにインターへ挑戦してほしかったのだが、タッグ王者に返り咲きたいという気持ちが強かったのだろう。かくして名タッグといわれた豪右衛門とMIKIHISAは一時的に袂をわかつ形となった。

試合後、天龍さんとの撮影会&サイン会。グッズを購入していたので長い列に並んで記念撮影していただいた。あの声で「ありがとう」といって握手していただいたのは、もはや一生涯の記念といってもいい。本当に生きてるといいことがあるものだなあと実感した。

打ち上げではサインをもらったひとたちと天龍話で盛り上がった。この瞬間も最高だった。今でもあれは夢なんじゃないかと思う。そのくらい帰宅してからもしばらくふわふわしていた。ありがとう、天龍さん、ありがとうがむしゃらプロレス。一生忘れられない一日に感謝。

[追伸]

日曜は雲一つない青空だったのに、月曜の朝雷鳴で目が覚めた。みたら外は大雨。まさにサンダーストーム。できすぎているといわれるかもしれないが、本当の話。天気さえかえてしまう天龍パワー、おそるべし!

 

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