スペースワールド25周年×がむしゃらプロレス コラボイベント!! 『GAMSHARA SUMMER IMPACT』~君はこの”G”に耐えられるか!
イントロダクション
スペースワールドができて25年なんだそうだ。実は中には全く入ったことがない。遊園地というものに無縁な生活を送っていたので、これは仕方ない。プロレス絡みでいうと、かつて隣にあった空き地でFMWが北九州初の電流爆破をやっているが、おそらく中でプロレスの試合をするのはこれが初めてになるだろう。
着いてみたら、まるでアニメ『甘城ブリリアントパーク』の舞台となった、再建を目指す遊園地のような静かさが……やはり日曜の昼下がりでこれでは、正直困るだろう。最寄り駅を増設して広い駐車場があって百万都市にあるという好条件を満たしながら、集客に苦戦しているというのは、今以上により魅力的な場所にしないと人は集まらない気がする。
まあスペースワールドがそんな状況下なので、プロレスとコラボしてでも突破口を見出そうとしたのはいいことだろう。会場のアストレスタは北九州では珍しいアリーナ型の会場で、おそらくプロレス界では初使用となるだろう。会場のあちこちにプロレスのポスターが貼られ、全面的に協力姿勢があるのもいい。
どうせなら少し高めな入場料を少し安くしてでも、アストレスタのイベントを増やしてみたらいいと思う。プロレスだけでなくコスプレでもコンサートでもなんでもいいと思う。イベントをがんがんやって集客したらいいと思う。今のままだと入場料プラスチケット代という形になるので、他でやるより割高になる。主催する側が二の足を踏んでも当然だろう。がむしゃらの場合、無料イベントにしたことで、お客としては入場料のみの負担にはなったが、そこらへんには柔軟に対応してもいいのではないだろうか。
オープニング
会場は土足禁止ということで、最終的には椅子席では収まらないくらいの人が詰めかけたが、地べたに座っていた後方の方は椅子席が邪魔になったのではないだろうか?みちのく方式で全席椅子席なしにしてもよかったかなと後で思った。まさかあんなに人が来るとは思わなかったし。
試合前にいきなりスミスが試合用コスチューム姿でリングインして、タッグのベルト返上を申請。正直、PTが出られない今となっては苦肉の策なんだろうけど、確かに強すぎてタッグの防衛戦に名乗りをあげるチームがいないというのも本当だろう。しかしこれでタッグ戦線も一転、混沌としてきた。
第1試合
▼オープニングマッチ(15分1本勝負) ×竹ちゃんマン vs ○パンチくん
北九州発祥キャラ対決と謳われていたが、パンチくんが赤煉瓦でマリオに変身してからは、正直これが北九州発祥といっていいのかどうか?任天堂から訴えられないといいのだが、そんな事情はお構いなしにパンチくんは相変わらず自由すぎるファイトに終始。竹ちゃんマンもかなり自由度の高いキャラなのだが、やや暴走気味のパンチくんの前では何をやってもかすんでしまう。
それなりに見せ場は作ったが、やはり今のパンチくんを止めるところまでには至らず。しかしこの自由さは子どもたちには大人気。のんべえキャラ時代から子ども人気は高かったけど、さらに子どものハートを捕まえてしまった。パンチくんの独走は当分続きそうだ。
第2試合
▼正規軍vsGWO対抗戦(30分1本勝負) ×MIKIHISA & 豪右衛門 & 林 祥弘 vs ○ジェロニモ & ジャンボ原 & 陽樹
前回のジュニアトーナメントでキッドがGWO入りを勧誘したMIKIHISAが、いつの間にか軍門に下っていた。確かにリング上では「考えさせてください」ということだったが、正直ヒールがまだ板についてない感じがありあり。やっぱ基本的には転向は少し早い気もしないではない。PTがいない分の戦力補強ということでいうなら、ちょっと物足りない。
こうなると穴らしい穴がなかったGWOにひとつハンデがあるように見えてしまう。逆に、ここ最近付け入る隙がなかった正規軍にしてみたら大きなチャンスである。特に昨夏より勝利に見放されているジェロニモにとっては好機到来だろう。
しかし穴があるとはいっても、今の林と豪右衛門は油断してどうにかなるレベルではない。陽樹やジャンボを向こうに回した時の林は特にイキイキしてみえた。対鉄生ばかりがクローズアップされがちな陽樹だけど、林とはシングルでやってほしいし、昨年のGAM1の決勝を戦った豪右衛門とは闘い甲斐もあろう。
乱闘ではやはりGWOが標的にするのは陽樹やジャンボになってしまうのだが、ここをうまく突いたことで正規軍は勝利をものにした。林と豪右衛門を外にくぎ付けにしておくことで、結果的にスペースワールドバスターを温存していたジェロニモがMIKIHISAを仕留める形にはなったが、正規軍もあとがないだけに必死だった。先輩が後輩に勝った結果だけ見たら当然のように見えたけど、どんな形にせよGWOの勢いを阻止できたことは大きかったのではないかと思う。
もともと勝てる要素はあったので、なりふり構わず勝ちに行った正規軍の方が、この試合では一枚上手だったと思う。もっともここにスミスが入っていたら、ちょっと旗色は悪かっただろうけど。
この試合の後、「すぺわど」というスペースワールド限定のアイドルユニットが登場して歌とダンスを披露。まあ個人的にはアニスピの方がなじみがあってよかったのだけど。
第3試合
▼がむプロJrの”G”対決‼︎ メテオロケッツ始動‼︎ タッグマッチ(30分1本勝負) トゥルエノ・ゲレーロ & ×L.O.C.キッド vs ○YASU & TOSSHI
ゲレーロはいまのところ無所属ではあるが、現チャンピオンTOSSHIの首を狙う側としては、至極当たり前だが対角線にいた方がいいキャラクター。パートナーはそれほど汚い手を使うわけではないキッドなので、ここは純粋に試合が楽しめる箇所になっていたと思う。
だが、驚異の新人とはいえ、このハイスピードな3人の中に入って試合をするというのは結構大変だったのではないだろうか?飛ぶことは飛ぶけど、飛び技主体ではないゲレーロの試合スタイルは、でも違和感というよりこの中では結構異質な感じがして、何が来るかわからない緊張感は醸し出していた。
しかしさすが百戦錬磨なメテオロケッツは、昨年FREEDOMSで大暴れした時の勢いをそのままリングに持ってきていた。とにかく早い、早い!展開を頭で追いきれないこともたびたびで、カメラのシャッターすら追いつかない。
なんとか自分のペースに持ち込みたかったゲレーロだったが、メテオロケッツの変幻自在なトリッキーな動きに翻弄される場面もあった。皮肉なことだが、自身が経験していなかったというシングルマッチで高評価を得て、経験のあるタッグでは思う通りにならないように見えた、というあたりにプロレスの難しさを感じずにはいられなかった。
とはいえ、奇跡の3WAYをやった3人の中に入って己の存在感をアピールしたこと自体はやはりすごいことである。年末といわずどっかでTOSSHI対ゲレーロのタイトル戦は見たい気もするけど、春には実現していないYASUとのシングルも見たくなってきた。
やはり軍団に入るとかそういうところでクローズアップされるのではなく、試合で注目が集められるという点では、やはりゲレーロはただ者ではないと思うのだ。あとは本当に経験を積んでいったら、もっととんでもない化け物になる可能性は十分ある。少なくともメテオロケッツにも、この日のお客にも大きなインパクトを与えたことは確かだろう。メインイベント
▼GWAヘビー級選手権試合(60分1本勝負) 《挑戦者》○七海 健大 vs ×鉄 生《王者》
七海健大と鉄生はプロレスのキャリアこそ違えど、元々同級生である。それ故にキャリアで勝る健大にしてみれば、後でデビューしたのにベルトを巻いている鉄生の存在は複雑なものがあったに違いない。
ましてや同じような時期に当時の王者スミスに挑戦して、大敗北した「前科」もある。そのスミスからベルトを奪取したのが鉄生なのだ。ここで転ぶわけにはさすがに行かなかったのだろう。いつになく必死な七海健大がいた。
私が初めてがむしゃらプロレスと出会い観戦を始めた大会でデビューした選手たちを勝手に「09年組」と呼んでいて、七海健大もその一人である。彼らも気がつけばこの秋でキャリア7年になる。7年といえばベテランの部類に入るキャリアである。
将来を嘱望されながら、彼らが上の選手と絡んでメインに出ることはあっても、彼ら同士でメインを任されたことはそれ程ない。これが現実である。であれば人間なんとかしたいと思うのは当然で、やはり完全決着を望むのは人として間違いではないと思う。
試合が続行すればそりゃお客さんは嬉しい。ましてや不透明決着を連発していた30年前に、リングアウトより完全決着を!と求めてきたのは我々観客なのだ。しかしそれが結果的に選手寿命を縮めたりする結果になるかと思うと、やはり複雑になる。この試合でも場外の鉄柱に呪われているかの如く鉄生が後頭部を痛打。一時意識不明になりかけた。正直試合続行は厳しいかと思われたが、健大が鉄生をリング内に入れて試合は続いていった。
難しいのはこういう場合、KOをとるかどうか、リングアウトをとるかどうかの判断で、特にリングドクターを置かないケースが多いプロレスでは、試合続行かどうかは選手とお客さんの意思に左右されることが多い。それがいいか悪いかは別にして、他のスポーツならプレイヤーを守るために存在するルールが、プロレスの場合、往々にして書き換えられてしまう。ルールはルールと厳格に適応することも、ファジーに試合を続行することもありうる。そういうものだと思ってみるしかないのである。
プロレスの魅力の一つはシンプルに身体と身体がぶつかり合う点だが、そこに頭をフル回転させる戦略の部分が噛み合うと更に面白くなる。私がメインを評価したいのは、普段なかなか戦略らしい戦略を描いているように見えない七海健大が、きちんとした対鉄生対策を練って試合に臨んできたことにある。序盤にしつこくスリーパーで鉄生の足を止め、場外戦でも鉄生の弱点をあえて狙うあたりに、この試合にかける健大の本気度を見た気がした。
ただ、人間は贅沢なもんでなければないで、ないものねだりをしてしまう。リングアウトが少なくなると、選手が頭脳を駆使したリングアウト絡みの試合が見たくなる。要は完全決着でしかお客さんが満足しないという固定概念に選手も観客も固執しすぎるとプロレスが偏ってしまうことになる。ファジーな部分がプロレスの良さなら、気絶してもなお闘わせることが果たして正しい選択なのかどうかは正直判断しにくい。
地力ではNo.1と言われながらなかなか結果が出ず、タッグになるとパートナーを立てすぎ、自己主張できない。シングルプレイヤーとしても人の良さが災いして頭角が現せず、引き立て役に甘んじる……それが悔しくてリング内で大泣きしてから約半年、七海健大がやっと結果を出してくれたことは素直に嬉しい。
健大が王者になったことでGWAを巡る攻防に広がりが見えたのも事実である。今後それがどう化学変化していくのか、楽しみで仕方ない。
そんな健大がこれから新王者として見せるビジョンをまず見せていけたらなおいいと思う。後輩に先を越され、先頭を走っていた野本一輝がいなくなった09年デビュー組が、今度こそがむしゃらプロレスの新世界を展開させる、今回がたぶんラストチャンスになりうるからだ。PTもスミスも鉄生も陽樹も絡まないメインで彼らが何を見せてくれるのか、今から楽しみでならない。
そう考えると同期の林がいち早く挑戦表明したのはいいのだが、スミスに負けて、ブランクを作り、チャンピオンと同じユニットでベルトに挑戦できないもどかしさを正直にマイクで話してしまうのはどうかなあ、と思う。が、まああのあたりが林らしいところでもある。あれだと実績積んでベルトに挑戦するならまだしも、お客さんからしたら「なんでこの人が挑戦するのか?」今ひとつわかりにくい形になったかなあと思うし。
まあしかし形はどうあれ、林対健大が新しい看板になるチャンスはきた。ここは軍団抗争云々よりシンプルに2人の6年間をぶつけ合う試合をしてほしい。
負けた鉄生には「鋼の脆さ」がまた露呈したとしかいいようがない。鋼の脆さとは、色々な原因で鋼の粘り強さが低下し、小さな力で折れたり、割れたりし易い事。鋼に、より硬さ、強さ、粘りや耐熱、耐食性等を求めるためにレアメタルを添加した特殊鋼を作る。特殊鋼は粘り強くなければならないので、そのために熱処理をすると、それが原因で脆くなる事もあるそうだ。
いずれにせよ脆い鋼のままでは再度の戴冠は厳しいかもしれない。レアメタルを添加して自身の性能を特殊化するか、それとも脆さを露呈する前に相手を仕留めてしまうか? 試合を終えて課題を背負ったことで鉄生がどう進化していくかにも注目したい。
後記
終わってみればボリュームも満点の大会で観客動員も大入りと、大成功に終わった。決して平坦な道を歩んできたわけではない七海が、チャンピオンになったことで感動も呼んだ。2月の涙を無駄にしなかったことで、結果を生んだのは大きかったと思う。
でもそこで止まったらそこまでなので、七海健大にはこれからも勝って防衛して、しっかりラストを締められるチャンピオンになってほしいと思う。

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