DDTプロレス・もつなべバスター
(2026年04月18日(土) アクロス福岡)
イントロダクション
今月の観戦予定は3本。うち2本がこの週の土日に重なっている。 春から新生活がスタートし、1週間の過ごし方に変化が出てきた。なかなか慣れない生活の中でのプロレス観戦は、当然ながら肉体に刻まれるダメージもデカい。
さて、4月に入り、樋口和貞の引退、髙木三四郎の負傷欠場と、何気に激動の出来事が立て続いたDDT。今シリーズは、さらにアメリカ遠征から「BEST OF THE SUPER Jr.」出場予定のカリスマ・佐々木大輔も不在とあっては、やや寂しさを感じずにはいられない。
とはいえ、本大会では2021年5月29日の上野勇希対彰人戦以来、久々となる博多でのシングル王座タイトル戦が組まれている。しかも王者が須見和馬で、挑戦者が勝俣瞬馬という図式も新鮮だ。果たしてこの大会はどうなるのだろうか。
下関→アクロス福岡
このところ晴れ間が少なく、1日おきくらいに天気が崩れている。予報では9時に雨は上がるとのことだったが、予報とは裏腹に下関駅前に到着しても霧雨は降ったままだ。しかし、博多や帰路では傘はいらないと判断し、傘は持たずにバス乗り場へ向かった。
既に列ができており、最後尾に並ぶ。昨年11月のDDT観戦では震えながらバスを待っていたが、気温が低いとはいえ、さすがに4月下旬ともなればそんなことはない。
バスに乗り込み、観戦記の作業をしながらBluetoothイヤホンでradikoを聴く。このスタイルは今後、行き帰りの定番になりそうだ。途中、都市高速が渋滞していたため、最寄りのバス停で降りて、かなり久々に天神でラーメンを食した。チャーシューメン一杯1,200円は毎回は出せないが、たまにならいいだろう。ちなみに、非常に美味かった。
アクロス福岡に到着すると既に開場しており、大会前の2ショット撮影はなし。サイン会も微妙だったので今回は見合わせた。パンフレットがない以上、クリアファイルを集めても魅力を感じないからだ。やはり地方大会だと色々削られているな、という印象は拭えない。
オープニング
福岡に戻って生活しているはずの今林久弥GMは、ここ最近の大会には出ていなかったのだが、久々に前説で登場した。
本日タイトルマッチを戦う勝俣と須見が所属する「NωA Jr.」がオープニングアクトを担当。
オリジナルNωAも、記憶違いでなければ一度見ているはずなので、これで一応コンプリートだ。会場をふたつに分け、須見と勝俣に送る声援の練習をした後、3人揃ってのコールで大会はスタートした。
オープニングマッチ:30分一本勝負
スペシャルシングルマッチ
〇佐藤大地 vs ×平田一喜(9分31秒:PK→片エビ固め)
オープニングは入団1年目の佐藤大地が、難敵・平田一喜に挑むシングルマッチ。1年間、平田に触れなかったのは団体の配慮なのかどうかは定かではない。ただ、男色ディーノ同様、今や「DDTというジャンル」の門番にあたる存在にまでなった平田一喜を、このタイミングで大地がどう攻略していくのか。非常に興味深い対戦だ。
入場から超ノリノリで出てきた平田は、会場の「平田グラス」の人数を数えたり、遅れて入ってきた客をいじったりと、妙に余裕綽々。しかし、今時の若手は「平田ダンスではなく、真面目に試合したい」と大地は主張し、お互いのスタンスを譲らない。
とにかくダンスがしたい平田は大地の意見を無視して踊ろうとするが、ことごとく阻止されてしまう。挙げ句の果てに平田グラスを大地に取り上げられてしまうが、予備のグラスを取り出した平田はなおもしつこくダンスに誘う。
とうとうダンス共演に持ち込んだものの、曲に合わせた強烈なキック連発で平田が轟沈。せっかく踊らせたのに、勝ち星には逃げられてしまうという結末になったのだった。
第二試合:10分一本勝負
正田壮史&高鹿佑也 vs ×男色ディーノ&彰人 vs 〇今林久弥
(6分35秒:ジャックナイフ式エビ固め)
第一試合に登場した佐藤大地と共に「paleyouth」というユニットで活躍中の正田と高鹿の前に立ちはだかったのは、やはりDDTの門番的存在である男色ディーノと彰人だ。特に若い選手の唇が大好物なはずの男色先生は、舌なめずりしていそうな姿が想像できてしまう。
などと考えていたら、急に今林GMがリングに上がってきた。Abemaで放送されていた『ウルフ・アロンから3カウント取ったら1000万円』に感化されたGMは、「自分に今日勝ったら実家でもらったお小遣いで1万円出す」と言い出す。
ルールは「今林GMから3カウント・ギブアップを奪ったチームが勝利し、勝利チームには今林GMのポケットマネーより1万円ずつ贈呈。今林GMが10分間逃げ切るか、誰かから勝利を奪った場合、全選手が敗北となり各選手より今林GMに1万円が贈呈される」という特別ルールに変更された。
こうして謎のルールで試合が始まったが、序盤はなぜか鬼のように強いGMが登場し、かかってくる選手をちぎっては投げ、ちぎっては投げする無双ぶりを発揮する。しかし、欲に目が眩んだ選手たちはくじけない。GMに勝てば各人1万円貰えるとあっては超本気モードだ。
とうとう男色先生は自らのア◯ルまで出してしまい、次々と選手が犠牲になっていく。だが、レスラーがいくら酷い目に遭っても、最終的には今林さんから勝利しなければならない。リングサイドでぶっ倒れているGMを無理やり引きずり起こすことになるが、これら非情な攻撃をカウント2.9で跳ね返していくGM。
ついに男色ドライバーをジャックナイフ式に切り返して、GMがまさかのピンフォール勝ち。鳴り響く入場テーマ曲の中で「4万円だあ〜!」と絶叫する今林GM。果たして試合後、本当に貰えたのだろうか。
第三試合:30分一本勝負
スペシャルタッグマッチ
宮脇純太&×葛西陽向 vs 石田有輝&〇隈取
(7分55秒:きりもみ式セントーン →体固め)
地方大会進出を宣言して福岡初登場する隈取に対し、DDT参戦してからはやはりお札になる宮脇純太、自力初勝利を目指してもがく葛西陽向、そしてハリマオ解散後の道を模索する石田有輝。四者四様のテーマが混在するスペシャルタッグマッチだ。
合流して早々に団体に馴染んでいた宮脇は、DDTに来てから毎試合イキイキしていることもあり、この中では頭ひとつ抜け出て見える。キャリアが浅い隈取や陽向がどれだけ食らいついていけるかが注目点だ。
博多初登場の隈取は入場からキレのいい動きで会場を沸かせる。基本的に高い運動能力がウリなだけに、石田のサポートもあって、初めての地方とは思えないほど躍動していた。今回の宮脇は陽向を献身的にサポートする立場。NOAHではサポートされる側だったが、意外と適性は逆だったのかもしれない。特に柔道をベースにした関節技は、青木真也からインスパイアされたのか、以前よりはるかに磨きがかかっていた。
改めて生で見ると、以前よりずっと魅力的な選手になっていたので、このまま経験を積み重ねて凄い選手になってほしい。試合は隈取の派手な動きが目立ち、陽向が後手後手に回っている印象だったが、華麗な技には向いていない陽向は、連続の首固めで泥臭く勝負に行く。しかし隈取を追い込めず、最後は余力を残した隈取に陽向が逆転負け。陽向はこのあたりが勝負どころだ。
第四試合:30分一本勝負
〇秋山準&アズールドラゴン vs 納谷幸男&×稲畑誠己
(10分14秒:エクスプロイダー→体固め)
前回大会はスケジュールのバッティングで欠場したアズールドラゴンが満を持して復帰。アズールを囲むメンバーがまた強烈だが、個人的注目はHARASHIMAとのコンビでMOPタッグ第2代王者となった稲畑誠己だ。2月に見た兄に続いて、弟の試合が見られるのは非常にありがたい。
試合は秋山&アズールの職人コンビに、稲畑が必死に食らいついていく展開。かつてはサポートされる側だった納谷が、後輩を積極的にリードしていた。納谷は必死にサポートするが、やはりベテラン2人の壁は高い。
稲畑は真っ向から勝負できるスキルを磨いてほしいところだ。DDTなので変化球対応を先に覚えちゃうとそれはそれで問題だが、若手育成に定評がある団体なだけに心配はないだろう。秋山と並んでも見劣りしないデカさは魅力的だ。ヘビー級として期待の新星であることは間違いない。
アズールも久々のDDTを楽しんでいたようで、納谷とも稲畑とも楽しそうに試合をしていた。最後は粘る稲畑を秋山がエクスプロイダーで沈めてピンフォール勝ち。稲畑も頑張ったが、今はここが限界か。
第五試合:30分一本勝負
DAMNATION T.AvsSTRANGE LOVE CONNECTION!
岡谷英樹&×MJポー&イルシオン vs MAO&〇KANON&ビエント・マリグノ with KIMIHIRO(11分51秒:ジャストコブラツイスト)
休憩明けは、水と油のような存在である「DAMNATION T.A」と「STRANGE LOVE CONNECTION(S.L.C)」による6人タッグ。カードが組まれるたびにバチバチとした試合を繰り広げる。岡谷がEXTREME王座を守った一方で、S.L.Cは勢いのわりに結果が出ていない。
果たしてS.L.Cの巻き返しはなるだろうか?
ダムネの奇襲で始まった試合は、予想通りスピーディーかつ混沌とした内容に。ビエント・マリグノとイルシオンが激しくやり合う中で、MAOとKANONのコンビネーションが冴え渡る。
ここに岡谷がチャンピオンの意地を見せて盛り上げる。樋口引退を経て、岡谷にも思うところがあるのだろう。
場外戦や空中戦を織り交ぜた立体的な好勝負となったが、最後はKANONがコブラツイストでMJポーからギブアップを奪った。
カリスマ不在のダムネも存在感を発揮し、S.L.Cも勢いを見せつけた。それぞれに課題をクリアした試合だった。
セミファイナル:30分一本勝負
スペシャル6人タッグマッチ
上野勇希&To-y&×夢虹 vs クリス・ブルックス&HARASHIMA&〇アントーニオ本多(15分54秒:サムソンクラッチ)
新ユニット「FANTÔMES DRAMATIC(ファンドラ)」は、タッグ二冠のHARASHIMAを筆頭に見どころが多い。水曜日にYOHと激闘を繰り広げたばかりのアントーニオ本多を含め、それぞれに期待が高まる。
久々登場のアントンが先発を買って出る張り切りようだが、若手軍にローンバトルを強いられる。
時々弱音を吐きながらも自力でクリアしていくアントンは、やはりファンドラの核だ。
いつも通りの「ごんぎつね」から調子に乗るアントンを、クリスとHARASHIMAがフォロー。
サウナ側も盛り返してアントンを孤立させるが、電光石火の切り返しでアントンが逆転勝利。
最後はファンドラ総出で勝ち名乗りを受け、アントンは非常に満足げな表情を浮かべていた。
メインイベント:60分一本勝負
DDT UNIVERSAL選手権試合
<王者>〇須見和馬 vs ×勝俣瞬馬<挑戦者>(16分37秒:スク〜ルボ〜イ)
※第21代王者が初防衛成功
先輩として須見を気にかけてきた勝俣は、怪我が原因で長期離脱を余儀なくされていた。その間、NωA Jr.として活動してきた須見は、勝俣の葛藤を間近で見続けてきた。だからこその王者からの逆指名。しかし須見にベルトを譲るつもりはなく、先輩にチャンスを与えた上で勝俣越えを狙うというドラマチックなタイトルマッチだ。
序盤は勝俣が様子を伺い、場外戦へ。南側最上段の客席で乱闘が始まるが、ひな壇に隠れて誰も見ることができない。さらにThe 37KAMIINAのメンバーが松井レフェリーを拉致して最上段へ連れ去る。松井レフェリーが「答え合わせさせろよ」と文句を言うシーンはDDTらしさ全開だ。
リングに戻ってからは、熱くて激しいノンストップバトルが展開。病み上がりとは思えないコンディションの勝俣に対し、須見もしっかり対応。2人らしい空中戦が多めの展開は、死力を尽くしたタイトルマッチに相応しいものだった。最後は須見がMIKAMI直伝のスク〜ルボーイで勝利。一発の丸め込みに説得力がある試合だった。
エンディング
勝った須見は挑戦してくれた勝俣に感謝を述べ、「勝ったとはいえ、まだあなたを超えることはできなかった。次こそ僕が上を行って勝つ」と宣言して座礼。 勝俣が去った後、「世界中の凄いレスラーと戦いたい! 自分から世界に飛び立って、防衛戦をしたい」と野望を語った。海外防衛戦も現実味を帯びる、先が楽しみなチャンピオンだ。
後記
アクロスの大会が14時半前に終わると、15時台のバスに乗れるため、帰りは急がざるを得ない。サイン会や撮影会を捨てないと、帰路が90分近く遅くなるためだ。 後ろ髪引かれつつバスターミナルで観戦記を書き始め、車中で文章をほぼ仕上げた。細かい不満はあれど、大会のクオリティには満足。次回もまた観戦に行きたいと思いながら、帰路についた。
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