[プロレス観戦記] ドラゴンゲート小倉大会TRUTH GATE 2016

ドラゴンゲート小倉大会TRUTH GATE 2016

(2016.2.15月・福岡・小倉北体育館 観衆:550人(満員)

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イントロダクション

前日の2月14日には恒例博多のビッグマッチ。それを終えた直後の大会はどこであろうと、選手のコンディションはあまりよくない。当たり前だが、連戦が続く中のビッグマッチというのは、毎回均一に激しい試合が出来るはずもない。プロレスラーも人間だからそれはわかるのだが、あからさまに差をつけられると、同じ料金払う側としてはあまり気持ちよくはない。

まあ、そうなると「招待券があるなら行ってみようか」くらいの扱いになる。しかし、所詮タダだと見る側の気合いの入り具合も違ってくる。結果ますます会場の熱は下がっていく。招待券ビジネスはやりすぎると悪循環にしかならないのだ。幸い小倉も博多もまだ招待券があると、席は埋まるのだが、それもいつまでもつか。

第1試合:タッグマッチ

Gamma&Eita&エル・リンダマンvs 吉野正人&戸澤陽&T-Hawk
(×エル・リンダマン(14分4秒、ナイトライドから片エビ固め)T-Hawk○)

ドラゲーの場合、小倉大会と下関大会には共通点があり、いずれも北側を正面にして試合をしている。入場ゲートのある方が正面になるらしく、それはそれでわかりやすい。だが、選手は必ずと言っていいほど、北側正面にしか向かない。マイクもアピールも乱闘も全部正面が中心。で、正面にいるのはドラゲーのファンクラブが大半。

小倉はまだ露骨ではないが、下関はもっとひどくて、北側以外はほぼ無視状態になることもしばしば。だがシアター形式の会場より圧倒的に体育館などで大会を開くドラゲーの場合、四方に観客がいる。確かに下関なら当日券で入るお客もほとんどいないし、一番入っている方向に向きたい気持ちもわかる。しかし、小倉はまだ四方が埋まっている。ならば四方のお客にある程度正面向けてもいいのではないだろうか?

とはいえ常連偏向のやり方に何らかの危機感を感じたのか?お子さんに試合開始のゴングを鳴らすサービスをはじめていた。もっともこれは新日もやってはいたが、やらないよりはマシ。

試合は予想通り口撃の応酬が大半を占めるドラゲーの地方大会ならではのゆるい展開。途中会場をランニングしたりして何とか寒さを凌ごうとしていたけど、その気持ちはわからないでもない。動きたい気持ちは観客だってあっただろうから。

第2試合 シングルマッチ

土井成樹vsU-T
(〇土井成樹(11分21秒、バカタレ・スライディングキックからエビ固め)U-T×)

だいたい地方をくまなくまわる団体はシングルマッチも少なめ。選手の負担を考えると、ここに若手が入るのもまあ当然。ビッグマッチ後の負担が一番出やすいのは多分この試合あたりになる。タッグのように控えに回って休めないし、ゆっくり間を使うタイプの試合はドラゲーのカラーにも馴染まないからだ。

そこで土井は若手イジメというわかりやすいやり方で試合を組み立てていた。これだと両者の負担も少なく、UTに声援も集まりやすい。こうした臨機応変さがあるのもドラゲーの強みではある。やはりネームバリューだけで動けない選手使うよりはずっと建設的ではあろう。

とはいえある程度スピーディーな展開も織り交ぜないと2試合続けてグダグダになりかねない。そこはセコンドを使ったりうまくごまかしながら、観客を飽きさせない工夫もしていた。だからあまり空中戦に頼らなくても試合自体は成立していた。

惜しいのはU-Tがまだまだ土井を追い込むところまでには至っていなかったというあたりで、これはこれからの課題になるだろう。

第3試合 タッグマッチ

Kzy&ビッグR清水vsパンチ富永&石田凱士
(○ビッグR清水(13分31秒、砲丸投げスラムから片エビ固め)パンチ富永×)

選手入場前にアナウンスされるユニット名がないKzyと、モンスターエキスプレス入りしたらしい清水の元ディアハーツ組と、昨年デビューした石田とパンチの新鮮な組み合わせの対決。パワーファイター清水に、知恵の働くKzy、キャラが立つパンチにフレッシュな石田とカード自体は非常に面白い。

ドラゲーにありがちな空中戦主体の試合になりようがないためで、こういうカードも織り交ぜられるのは今のドラゲーの強みでもある。しかし石田もこの海千山千の先輩たちの中でしっかり目立っていたのがまた面白い。同日デビューの山村共々先々が楽しみである。

まだ色らしい色はついていない石田だが、清水にしろ、富永にしろ、紆余曲折を経て現在があるので、得意のキックを主体にして自分の可能性をどんどん試していってほしい。すでにコアなファン層からはかなり声援も飛んでいたし、楽しみな存在である。

第4試合セミファイナル タッグマッチ

望月成晃&ドラゴン・キッドvs斎藤“ジミー”了&ジミー・クネスJ.K.S.
(×ドラゴン・キッド(15分26秒、斎了ロケットから片エビ固め)斎藤“ジミー”了○)

前半3試合が比較的フレッシュな感じがしたのとは対照的に後半はベテラン勢が顔をそろえる。欲を言えばここらあたりにも新人を使うなりしてほしいところなんだが、何となく第一試合同様口撃主体の試合になってしまった。

最近のドラゲーの地方大会はだいたいこんな感じなんで別に腹も立たないし、予想の範疇からわずかもはずれてはいないので、ある意味諦めていた。そうなると急に冷え込みが身体にしみるようになってしまい、実はあまりこの試合内容は覚えていない。

しかし、本来ならこんな位置にいていいはずがないサイリョウはもう少し欲もってなんかのタイトルに挑むかどうかしてほしい。CIMAの悪あがきは正直もういいかな?とは思うが、サイリョウほど才能がありながら、甘んじて今のキャラをやっているのを見るのは何かもどかしいのだ。せっかくジミーズ結成5年目で初のチャンピオンを出したんだから、それに続こうという気概が見えなかったのは残念だった。

メインイベント タッグマッチ

鷹木信吾&YAMATO&谷嵜なおきvs ジミー・ススム&堀口元気H.A.Gee.Mee!!&ジミー・神田
(×谷嵜なおき(17分58秒、ジャンボの勝ち!から片エビ固め)ジミー・ススム○)

内容はほぼ口撃中心の試合ばかりながら、進行は実にサクサク進んで、前半3試合は1時間、後半2試合は約40分というハイスピードぶり。初期パンクラスみたいに秒殺のオンパレードではないにしろ、早く切り上げて暖をとりたいのか?と疑いたくなるくらい、早め早めの試合が続いた。その割にはドラゲーが売りにしている這いスパートな展開の試合ではないため、会場もそれほど温まっていない。

沸かない会場を何とかすべくいきなり場外乱闘からスタートして、それをかなり長めにやっていたのもそうだし、ヴェルセルクの露骨な介入などかなり強引な手で会場を暖めようとしていたが、正直やや遅かったかもしれない。

ゴムパッチンを挟んで堀口のエクステ弄りがすぎたせいか、試合の味付けがややコミカルよりになってしまい、ヴェルセルクの色があまり出ず、ちょっと卑怯な悪役という感じになってしまったのは残念。ありきたりな悪役という概念ではなく、根本的的にドラゲーの改革を目指しているのであれば、そこらへんが地方大会でも伝わらないと、鷹木の独りよがりで終わる危険性だってある。

前日その鷹木に勝って意気軒昂なススムが結構張り切ったおかげで、内容もかろうじてしまった感じがしたけど、やっぱジミーズの健在ぶりよりヴェルセルクのあり方が伝わったほうがよかったような気がする。常に新しいシーンを提供し続けてきたドラゲーだからこそ、おなじみの場面にばかりスポットが当たると、団体の停滞と受け取られかねないところもあって、ここらへんはもどかしいところだろう。

後記

TVのあるビッグマッチと地方大会の内容は分けてもいいんだけど、内容が違うならその分チケット代をさげるとかして、なるべく招待券ばらまきはやめたほうがいいと思う。形だけ満員にしていてもいつかほころびは出るし、TVの収入で経営的には問題ないかもしれないが、継続してお客になってくれる層が、招待券からでは生まれにくいと思うのだ。小倉大会が、招待して次来た時にはお金を払える内容かといわれると、正直かなり微妙だったとしかいいようがない。よっぽどのごひいき筋は通ってくれるだろうけど、まんべんなくプロレスを見ている層や他団体のファンをも取り込みたいならまだまだ工夫の余地があるのではないだろうか?

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