[プロレス観戦記] がむしゃらプロレス・小倉けいりん杯 TOP OF THE SUPER GAMSHARA Jr’2018 ~乾坤一擲(けんこんいってき)~

イントロダクション

3年ぶりのジュニアトーナメント開催はとにかく異例尽くしとなった。まず事前の対戦カード発表がない。加えて台風の目と目されていたDEIZELの負傷欠場によって、急遽竹ちゃんマンが代打出場。そして何より、OPG・ジョロキアのメンバーであるZAKAが単独参戦!

本当はカードがないと予想はできないのだけど、あまりに「予想は?」と聞かれるので、100%願望だけで、本命・MIKIHISA、対抗・ドラゴンウォリア―、大穴・barongとしてみた。理由は、簡単でこの三名が勝ち上がることで、新しいがむしゃらジュニアの景色が見られそうだからだ。

確かにYASUやTOSSHI、そして現王者のゲレーロが実力的になんら劣っているわけではないのだが、タッグベルトを落としたとはいえ、昨年急成長を遂げたMIKIHISAや、チャンスにこそ恵まれていないが、毎回グッドコンディションをキープし続けているドラゴン、そしていまや、ジュニア一の人気者になったbarong。いずれもタイトル戦線に絡んできたら面白い人材ばかりである。

ここに初顔合わせのZAKAが絡むことで、一気に戦線は混とんとしてくる。OPGは25日にビッグマッチを控えているが、たぶん唯一のOPG枠?に入った以上、何かしらの爪痕は残すだろう。さて、嵐の予感しかしないトーナメントはどうなるだろうか?

オープニング

試合前、SHIGEKICHIリングアナの病欠と、3月の大会で天龍源一郎さんのトークショー、さらにはタイトルマッチが行われることも発表。さらには第3代GWA インターコンチネンタル王者、野本一輝がタイトルを返上、空位になったタイトルは後日王者決定戦が行われることが明らかになった。

▼トーナメントAブロック 1回戦 第1試合(30分1本勝負)

①〇ドラゴンウォリアー vs ×YASU

(7分48秒)

YASUは、がむしゃらジュニアの顔としてTOSSHIらと共に時代を築いてきた、歴戦の強者。見た目に似合わない負けず嫌いなところと、タッグ王者になっても、ジュニアらしさをうしなわない躍動感は、他の追随を許さない。

もちろん腹の中ではタッグだけでなく、ジュニアも取って二冠王になりたい願望があるに違いない。ましてや、ゲレーロに負けたまま引き下がるほど、おとなしいわけがない。

時代を引きずり戻すためには優勝しかない!昨年夏の後楽園ホール「群雄割拠その一」でも高い評価を受けた実力は優勝候補最右翼といっていい。

試合はグラウンドの攻防からスタートし、徐々にYASUペースの空中戦に移行。いつもならこの先制攻撃はそのままYASUが主導権を握るパターンになる。だが、ジュニアながら鋼の肉体をもつドラゴンは、YASUの攻撃をことごとく受け切ってしまう。

がむしゃらでなら時にヘビー級ですら、攻略してしまうYASUを持ってしても、ドラゴンのようなタイプは想定外だったといえるだろう。

ましてや最近、タッグ王者としてヘビー級の中で闘うことが多いYASUにしてみたら、ジュニアのパワーファイターという、いそうでいなかった選手への対応ができていそうでできていなかった。

逆にドラゴンはYASUの攻撃をしっかり受け切って反撃するだけの余裕もあったし、先行するライバル・土屋クレイジーに対抗すべく、自身の初栄冠に対しても貪欲だった。

既に戴冠経験も優勝経験もあり、現在も、その土屋とタッグ王者にもなっているYASU相手にドラゴンは絶対取りこぼしはしたくなかったのだろう。その差が結果になって現れたのではないか?私はそんな風に感じている。

▼トーナメントBブロック 1回戦 第1試合(30分1本勝負)

②〇Barong vs ×竹ちゃんマン

(4分57秒)

ディーゼルのまさかの欠場を受けて、こちらもある意味異色の対決になった。Barongは経験豊富ながら実はおまけ軍との絡みはない。何よりbarongは会場人気の高さでは参加選手中、随一と言っていい。

加えてインサイドワークや反則攻撃にも長けており、頭脳派の選手として要注意しなくては、間違いなくたたきおとされる。

ここぞという時の毒霧から、基本のしっかりしたレスリングまでなんでも対応可能なオールラウンダー。マスクの下の表情がみえない分、非常に不気味な存在である。

一方、竹ちゃんマンは、ディーゼルの負傷欠場というアクシデントをうけての緊急出場。主につかれん程度の試合で沸かせる役割だが、その中でキラリと光るロープわたりや、空中弾はこうしたシリアスなトーナメントに出しても恥ずかしくない存在であることを証明している。

だから多分戦っている当人にも予測不可能だっただろう。ましてやBarongは優勝候補と目される選手。一方の竹ちゃんマンは、タナボタで回ってきたチャンス。ぶっちゃけ竹ちゃんマンがBarongに負けても失うものはないし、勝てば勝ったで大金星である。

しかしながら、Barongも悪役とはいえ、一方的に竹ちゃんマンをやっつけることもできず、かといって負けてしまったら失うものがでかすぎる。そういう意味ではDEIZEL以上にやりずらかったかもしれない。仮面の下の表情をうかがい知ることはできなかったけど、barongは勝ったことで、ほっとしていたように私には見えた。

▼トーナメントAブロック 1回戦 第2試合(30分1本勝負)

③〇ZAKA vs ×TOSSHI

(10分36秒)

ともにヒールでともに蹴りを使う相手同士。ジョロキアとしてのZAKAが、普段は着てこないであろうOPGのジャージを纏ってきた入場には、気合以上のものを感じた。一方、3年前の覇者にしてがむしゃらジュニアを牽引し続けたTOSSHIには、キャリアに似合わない「後がない感」があるように私には感じられた。

3年前の優勝者にして、現チャンピオンのゲレーロを破ったTOSSHI。しかし、怪我などのブランクを経て、LCR入りしてカムバックしたものの、往年の切れ味はまだ取り戻せていない気がする。

昨年12月に八幡でみたYASUとのからみは、全盛期には最も手の合うもの同士として沸かせたジュニアツートップの片鱗はまだ見られなかった。そこから2カ月を経て、どこまでコンディションが復活しているか?波に乗ればコワイ実力者だけに、かつての輝きがよみがえれば、間違いなく優勝候補の一人に数えられる。

TOSSHIは過去輝かしい実績を残しながら、ブランクを経ての復帰後には、これといった結果を残せていない。そういう意味では焦りというわけではないのだろうけど、「負けられない」「勝たなくてはならない」という使命感めいたものすら漂わせていた。

そのTOSSHIの焦りが顕著に見えたのが、ZAKAとの蹴りあい合戦。互い違いに背中をけって、自分の背中を差し出すやりとりは意地の張り合いとしてみる分には盛り上がるのだが、あまりに続けすぎると試合が単調になってしまう。

かつてザ・グレート・カブキさんが小橋対健介のチョップ合戦に対して「お客の声援に乗せられているだけ。選手がお客を掌に乗せてこそのプロではないのか?」と厳しい評価を下しているのを、私は直に聞いている。カブキさんの寸評は至極まともなもので、この蹴りあいも続けすぎると自己満足の世界になってしまう。

確かにOPGとがむしゃらの看板を背負っている以上、一歩も引けないのは確かだろうけど、そこはやはり「のせられているだけ」ではダメだったと思う。

乗せられていることにいち早く気づいたのは、ZAKAの方ではないかと私は思う。逆にTOSSHIはいつもどおりにしようとして、かえって力んでいたのかもしれない。がむしゃらジュニアの看板だったYASUとTOSSHIが共に他団体に敗れて一回戦敗退。この事実は重くてでかい。

▼トーナメントBブロック 1回戦 第2試合(30分1本勝負)

④×MIKIHISA vs 〇トゥルエノ・ゲレーロ

(5分40秒)

Bブロックはがむしゃら同士という組み合わせながら、YASUとTOSSHIが敗退したことで、現GWAジュニアヘビー級チャンピオンのゲレーロにしてみたら、まさに「負けられない闘い」。ゲレーロは、若き絶対王者の風格さえ身につけてきた、トーナメントの大本命。奇しくも3年前のトーナメントでいきなりデビューし、準優勝という快挙を成し遂げた。

だが、そこからジュニアのトーナメントが開催されなかったため、頂点を極めながら、まだ優勝の美酒は味わっていない。本命にはしなかったが、トーナメントを制したいという願望は誰よりも強いはずである。

しかしながら、3年前の一回戦敗退を糧にヒール道を邁進してきたMIKIHISAにしても、相手が誰であろうとやはり負けられない闘い。当然、盟友豪右衛門を介入させ、自身に有利な展開にもっていこうとする。MIKIHISAも必死なのだ。

前回その闘いぶりを認めたLCRキッドによってgWoに導かれ、あれよあれよという間にタッグチャンピオンにまで上り詰めたMIKIHISA。だがそれだけではない!MIKIHISAはシングルプレイヤーとしても急成長している。

2017年春の小文字祭りにおけるダイナマイト九州とのシングルマッチで、あえて技数を絞ったテクニカルな攻防を披露し、勝利。試合を組み立てられるヒールとして、MIKIHISAは今や押しも押されもせぬシングルプレイヤーでもあるのだ。私が優勝候補に推した所以である。

普通のシングルマッチならゲレーロが横綱相撲でMIKIHISAの攻め手をある程度受けてたつくらいはできたかもしれない。しかし、両者ともに余裕のない中、より勝ちを意識していたのはゲレーロの方だった。MIKIHISAの鋭い蹴りによるダメージを回避しつつ、相手も得意とするグラウンドで、まさかのしゃちほこ式マフラー固め。ゲレーロのこの締め上げ方は下から見ていてもエグい決まり方で、堪らずMIKIHISAはタップアウト。

強敵であるがゆえに、短時間でMIKIHISAを仕留められたゲレーロにしてみればしてやったりの結果だったかもしれない。しかし、勝ち名乗りを受けるゲレーロからは満足げな雰囲気は感じられなかった。

▼ダイナマイト選抜軍 vs DreamTuber対抗戦 6人タッグマッチ(30分1本勝負)

⑤×力 雷汰 & ダイナマイト九州 & 久保 希望 vs 〇美原 輔 & 尾原 毅 & SMITH
(12分08秒)

ダイナマイト選抜軍という名のおまけ軍にはなぜかパンチくんではなく、ナスティの久保希望がラインナップ。力がここに入るのは仕方ないとして、対角線上にいるデビュー戦の相手、尾原毅を意識しないわけにはいかないだろう。

ところが戦前の予想に反して九州はGWAヘビー級チャンピオンSMITHに執拗に食い下がり、尾原と美原が力に対して狙い撃ちをかけるという展開に。どちらかというとタイトル戦線に関しては蚊帳の外にいる感じの九州だが、たまに本気を出すと、タッグチャンピオンになれる実力の持ち主なんで、いかにスミスといえど、油断はならない選手である。

他方、デビュー戦の相手になった尾原と、いよいよ「後輩」が出てきた美原は、力に対してガンガン胸を突き出していく。確かにこうしてみると、美原と力のキャリア差は如実に現れている。力も必死になって食らいつくが、美原や尾原にダメージは与えられない。

かつては力の立場にいた美原と、現在崖から必死で這い上がろうとしている力との決定的な差。それは表情がみえるかみえないか、の違いである。マスクマンである力には素顔が見えない分のハンディはあるけど、それは自分で望んで選んだ道。素顔ではあるけど美原が多くの声援をかちとったのは、這い上がる姿勢が表情だけでなく、身体全体からにじみ出ているからである。

幸い、力はやられてもやられても決して下を向かない。下を向いたらすぐに顔をあげて、相手をにらみつけていこうとしている。ただ、これはデビュー戦ですでに美原ができていたことでもある。よって力が美原を超えたいのであれば、ここから更なる上積みが必要になってくる。デビュー二戦目の選手には酷な話かもしれないが、ぐずぐずしていると下から更なる新鋭がデビューを目指して日々練習に励んでいる。力はもちろん美原にも立ち止まっている暇はないのだ。

がむしゃらだけではないけれど、常に立ち止まることを許されない厳しい顔を持ち合わせているのがプロレスである。高い壁に向かっていっているのはベテランだって若手だって同じ。だからこそ見ている側は、精一杯応援もするし、時にはきついヤジも飛ばしたりもする。

試合は美原が先輩の貫録をみせて力から勝利をあげた。美原がここからあがっていくためには、この結果はむしろ当然。2018年を飛躍の年にするのであれば、タッグとヘビー級のシングル両トーナメントを制する勢いでいかないと、美原も「後続」からの突き上げを喰らいかねないだろう。

▼トーナメントAブロック 準決勝(30分1本勝負)

⑥〇ドラゴンウォリアー vs ×ZAKA

(6分51秒)

山口対岡山という対決はもちろん初顔合わせ。同じ中国地方に拠点を構えながら、交わることのなかった毛利道場EGOISTとOPGががむしゃらのリングでまじりあう。この邂逅もなかなか興味深い。いつかがむしゃらだけでなく、EGOISTのメンバーも岡山に行く機会が生まれるのかもしれない。

さて、試合はヒール色を全開にしてきたZAKAがドラゴンを場外に放り投げ、乱闘でペースを握る。リングに上がれば鋭いキックでドラゴンに主導権を渡さない。しかし、YASUの厳しい攻めを耐えきったドラゴンの肉体にはまだ、ZAKAの攻撃を受け切る余裕があった。ここは比較的短時間で勝ち上がった結果が奏功したとしか言いようがない。

ドラゴンは、鋭いスピアーで流れを断ち切ろうとするが、ZAKAもここで終わるタマではない。蹴りとマスク剥ぎにでてドラゴンを揺さぶってきた。しかし勢い十分なスライディングエルボーやジュニア級にあるまじき破壊力を持つラリアットで、徐々にドラゴンが挽回。最後は足取り式のスイング式ネックブリーカーから、コーナーからのダイビングエルボー弾で、粘るZAKAを振り切ったドラゴン。

YASU、ZAKAというある意味、トーナメントの二大強豪を10分以内で退けたドラゴンがAブロック代表として勝ち上がったのだった。

▼トーナメントBブロック 準決勝(30分1本勝負)

⑦〇Barong vs ×トゥルエノ・ゲレーロ

(6分22秒)

荒れるトーナメントは荒れる試合展開になりやすいのか?この試合も場外戦にマスク剥ぎという展開に。ゲレーロにとっては一回戦に続いて乱入につぐ乱入で踏んだり蹴ったりの様相。しかし、場外戦でやられ放題だったゲレーロも、リングに戻って起死回生のドロップキックからパラダイスロックで、barongの自由を封じてからのドロップキック、さらにはスワントーンボムで攻勢に転じてきた。だが、これを膝で封じたbarongはセコンドを介入。レフェリーのブラインドをついて、リング上でもイス攻撃。

とどめにランニング式ダブルニーアタック(蒼魔刀)を決めてbarongが王者をピンフォール。

この試合もbarongの勝ちたいという気持ちが前のめりになったようにラフな展開になったが、正直二度もマスク剥ぎに、セコンド介入、場外乱闘が続くとちょっと見ている側からすると「また、乱闘?」という感じになってしまう。選手は自分の出番後の試合は見られても、出番直前の試合をみることは基本難しい。だからラフにつぐラフも偶然の産物だし、barongにしてみれば「いつもどおり」の試合をしたにすぎないのだ。

が、ここが見ている側と闘っている側の温度差というやつで、あまりに同じ展開が続いてしまうと、観客は贅沢なものでちょっと違う味を求めてしまう。この試合が不運だったのは、ちょうど荒れる展開になりやすいカードに挟まれてしまったことだったのかもしれない。

ゲレーロにしてみたら巡り合わせの不運も重なったといえる試合だった。

▼セミファイナル LCR vs GWO ユニット対抗戦 6人タッグマッチ(30分1本勝負)

⑧〇C4 & KENTA & 鉄生 vs ×豪右衛門 & 土屋クレイジー & 陽樹
(18分33秒)

※1分05秒ノーコンテストののち再試合

この試合こそ、最初から荒れることはわかりきっているし、普通だったら鉄生と陽樹の喧嘩腰ファイトは「求められている」ものなのだ。しかし、さすがに三試合同じテイストの試合が続くと、いくら普段「求められている」テイストだといってもお客側からしたら「もういいよ」という感じにはなってしまう。

とはいっても前の試合を選手がチェックできるわけではないので、流れを止められるとしたらレフェリーしかいない。さすがにそこは大分プロレスで数多くの試合をさばいてきた小野レフェリー。収拾がつかないと見るや「ノーコンテスト」の裁定を下したのだが、これは名判定だったと思う。

当然、陽樹も鉄生も「なんで止められたのか」が理解できないためマイクで抗議。これにドン・タッカーが「正々堂々とやるなら」という条件を付けて再試合が決行された。

とはいえ、この2チームが「正々堂々」と試合をするわけもなく、その後も乱闘・乱入は続いてしまったのだが、正直決勝まで荒れてしまったらどうなるんだろう?という危惧を感じながら試合を見ていた。

LCRは序盤こそ陽樹を狙っていたが、途中から豪右衛門をターゲットに変えて、集中攻撃をはじめた。タッグ王者とはいえ土屋クレイジーはもともとシングルプレイヤーだし、陽樹ももとタッグチャンピオンながら基本シングルプレイヤーである。要するにここにYASUがいるのといないのとでは、gWoがチームとして機能するかしないかが大きく変わってくる。そこへいくとチームの要としてKENTAがいるLCRに勢いが移ってくるのはある種当然ともいえた。

とはいえ、豪右衛門をターゲットにするのはある種の賭けといってもいい。その思い切った賭けに出たLCRはC4にすべてを託して豪右衛門狩りを決行!これが成功してgWoに大きなダメージを与えることに成功したのだった。

正直、力対力ならまだ豪右衛門に分があると思っていただけに、この結果は意外でもあった。しかしがむしゃらの次世代メンバーの中からC4が飛び出したのは、間違いない事実である。この結果を見た美原やサムソン澤田はどう思うだろうか?彼らにとってもC4は単なる新人ではなく、大いなる脅威になったのは間違いないだろう。

とはいえ、LCRにも穴がないわけではない。鉄生が土屋の関節技に悶絶する場面では、身体の硬さを弱点にしているもろさが見えたし、決して盤石ではないのだ。次に闘った時にはどういう結果が出るか・・・・?この両チームの争いはたぶん年間を通じて熾烈を極めていくに違いない。

▼メインイベント トーナメント決勝戦(60分1本勝負)

⑨〇ドラゴンウォリアー vs ×Barong

(11分28秒)*ドラゴンウォリアー初優勝*

結論から言うとこの試合もラフファイトになってしまった。場外でペースを掴んだbarongはお得意の引っ掻き攻撃でドラゴンを追いつめ、ドラゴンの反撃をしのぎ切ると雪崩式ブレンバスターで攻勢に出る。その後もセコンドの介入などやりたい放題のLCRだったが、サブレフェリーのBEE奈須がセコンドの排除を命令。これによってリング上は純粋に2人の対決になった。

序盤まではbarongの一方的なペースで進んでいた試合がこの一幕で流れが変わってしまった。確かにランニング式ダブルニーを何度も決めるbarongからは執念に近いものを感じたのだが、特筆すべきはセコンドとしてモミチャンチンひとりしかいないドラゴンが、ことごとくbarongのラフ&テクニックをしのぎ切った点。

これは日ごろの鍛錬のたまものでもあるだろうけど、やはりがむしゃらにはいないジュニアのパワーファイターとして、対ヘビー級の試合でもそん色ない活躍を見せてきたドラゴンの蓄積された経験が、最終的にはものをいったのではないかと私は思う。

耐えて耐え抜いた先にダイビングエルボーを必殺技として、ここぞという時のタイミングで繰り出した、ドラゴンの試合の組み立て方も見事だった。

試合後、感涙にむせぶドラゴンは「なんもないところから、ここまで這い上がってきました」と絶叫。

加えて「リーダーの野本一輝さんがいないナスティですが、自分が引っ張っていきます。」とナスティの実質リーダー宣言をしたドラゴンは、会場にきていたジェロニモをリングに呼び込んで、ナスティ入りを勧誘。意を決していたと思われるジェロニモは、ナスティの迷彩Tシャツに袖を通して、まさかのナスティ入り。

更にゲレーロをリングに呼び込むと、GWAジュニアベルトへの挑戦を表明。これに対して「ナスティ・アウトサイダー・・・いや、毛利道場EGOISTのドラゴン・ウォリアー、挑戦を受けるよ!」と王者は挑戦を受諾。こうして2018年のがむしゃらプロレスも、外の猛吹雪同様に、激動の幕開けとなった。

後記

本編でもふれたとおり、ラフや場外戦が多すぎて、ジュニア特有の空中戦や、スピードあふれる試合が少なかった点で、3年前の大会と比べると若干物足りなさもあったことは事実。それでもラフファイターの攻撃をことごとくはねのけ、厳しい闘いを制して優勝したのがドラゴンウォリアーだったことについて、異論をはさむ余地はない。

ドラゴンは他団体の選手でもあり、ゲレーロが敗北すれば下手したら全タイトルが北九州から流出しうる危機的状況ではあるのだけど、この厳しい状況をしのぎ切ってこそのチャンピオンでもある。

三年ぶりに開催された大会で、栄冠にはとどかなかったが、ゲレーロがチャンピオンとして大きな正念場を迎えたことについては大きな意義があったと思う。さてこの結果を受けてどういう流れが生まれてくるのか?楽しみである。









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