[プロレス観戦記] がむしゃらプロレス 15周年記念イベント!!GAMSHARA MANIA’2018

がむしゃらプロレス観戦記

(2018年11月25日(日)会場/小倉井筒屋パステルホール(北九州市小倉北区船場町1-1 小倉井筒屋新館9階)

オープニング

私的にはドラゲーDDTの下関二連戦で、腸閉塞になるという非常事態。月曜から水曜まで点滴生活になったため、連休に予定していた華☆激観戦は断念。ひたすら静養に努めてきた。そのせいか、水曜日には点滴生活から脱し、土曜日には血中毒素が通常値に戻ったため、通院も終了。晴れて25日は観戦できる事になった。

さて、今回はなんといってもがむしゃらプロレス15周年記念大会。今年のマニアは昨今の流れから社会人のオールスター戦になる流れになるのではないか?と想像していたら、本当にその通りになった。たしかにプロをたくさん呼んだ総花的な大会も悪くはないのだが、積み重ねてきた歴史の上に、記念大会がある以上、これは自然の成り行きというものだろう。

ところががむしゃらプロレス恒例のサプライズがよもや自分にふりかかってくるとは思いもしなかった。なんとセミファイナルのタイトルマッチ宣言を頼まれてしまったのだ。最初は間違いかと思っていたが、どうやら本当にやることになったらしい。

土曜に通院が終了して日曜にリング復帰?とか本当にありえない!通常なら固辞するところだけど、不思議とあの時は引き受けてしまったんだよなあ。たぶん私が緊張しているところを、天国の林祥弘も笑ってみてくれているに違いない。そう思うことにしたら不思議と緊張感はなくなっていた。

▼がむプロNXTオープニング8人タッグマッチ(20分1本勝負)

①J☆K & RYUVIL & 堀田大輔 & ×ダイナマイト九州 vs なにわ1号 & ○なにわ3号 & 力 雷汰 & パンチくん
(13分47秒)

がむしゃらプロレスも層が厚くなっていて、実力がないとレギュラー参戦も厳しいという事情から、こういうカードが組まれたらしい。お笑いでくくれないけど、がむしゃらに縁がある選手をなるべく出すためにはNXTという概念は都合がいい。

立ち位置的にキャプテンになりそうな九州とパンチくんが、いつも通り好き勝手に暴れまわるか、他の選手を引っ張って試合を作るか、にも興味がある。

九州サイドの入場テーマ曲は当然のごとく「FMWのテーマ」。FMWのOBである堀田さんに寄せた選曲。これはちょっとぐっと来た。マンモス佐々木の入場時とはまた違う感動がある。当然とは言ったけど、実は九州のテーマ曲が流れるとばかり思っていたので、この計らいには正直感動した。個人的には新生FMW発足間もないころに、全選手入場式でかかっていたことが印象に残っている曲である。

先発は九州とパンチくん。やはりというか、当たり前というか、この2人が絡むと自分がいかに美味しくなるかしか考えていないので、ロープに飛ぶかと思いきや、跳ばないでこけるということを繰り返していた、下手すると他の人の出番も奪いかねない感じだったのだが、そこは自然とうまい具合にほかの選手にもスポットがあたっていった。

RYUVILやJ☆Kの出番になると「昔のがむしゃらってこんな感じだったのかな」と思ったり、もとFMWの堀田のチョップには会場もどよめいていたし、結果的にはNXTというよりがむしゃらプロレスの歴史がぐっと凝縮されたような、そんな試合になっていた。この中で「現在進行形」の選手である力も頑張ったとは思うが、ちょっと影が薄くなったかなという感じ。ここで埋もれないことが今後の課題だろう。

そこはほかのメンバーがおいしいところをさらおうとすると、黙っていないダイナマイト九州を見習って、一通り自分の見せ場だけはきっちり確保してするくらいのずうずうしさがないとこのマットでは生き残れないかもしれない。

▼スペシャル6人タッグマッチ(30分1本勝負)

②モミチャンチン & MIKIHISA & ○尾原 毅 vs ×BIG-T & グレートカグラ & 土屋クレイジー
(10分15秒)

これはがむしゃら的にいえばナスティアウトサイダーズ対gWoの対抗戦。松江だんだんプロレスのグレート・カグラは久々の参戦。元々gWoには助っ人として加わり、MWGPのベルトを巡って戦った陽樹と、時を経て同じユニットになるというのもなかなか感慨深い。

その陽樹がメインで、またインターコンチチャンピオンの豪右衛門が防衛戦、ジュニアに挑戦するYASUをバックアップする意味でもgWoには「勝ちたい」理由がある。

一方、本大会で唯一誰もチャンピオンベルトに絡んでいないナスティはここが正念場。唯一タイトルに絡んだ八児では惜しくも破れているだけに、彼らもまた負けるわけにはいかない。キーマンになるのは、久々リング復帰になるモミチャンチンだろうか?

この試合からは現在進行形のがむしゃらプロレス。特に久々の試合になるモミチャンチンとしては、新メンバー加入で勢いのある自軍でなんとか存在感を増したいところだろうし、それは対角線にいるBIG-Tにしてもそうだろう。ただですら存在感がなくなりかけているところで、敵に美味しいところをもっていかれるわけにはいかないからだ。

で、やっぱりモミチャンチンとBIG-Tが絡むとそれなりには絵になるし、面白い絡みにはなっていた。BIG-Tの「いいとき」っていうのは、自分から出番をもとめて、積極的に絡んでいくけど、苦手意識がある相手だと一歩引いてしまうのが欠点といえば欠点。

久々登場のカグラも5カウント以内の反則を存分に生かしながら、きっちり試合をつないでいたし、なんだかんだいってナスティよりgWoの方が連携もとれていた。が、モミチャンチンを深追いしすぎて場外戦で大向美智子らにイスの山の下敷きになっている間、孤立したBIG-Tを尾原&MIKIHISAの「師弟コンビ」がぼこぼこにしたことで形勢は一気に逆転!まあ、ところどころ危ないところはあったものの、新生ナスティとしては貴重な勝ち星を稼いだわけで、この一勝は今後につながっていくに違いない。

▼タッグマッチ(30分1本勝負)

③×ALLマイティ井上 & ミステリコ・ヤマト vs 石鎚山太郎 & ○久保希望
(12分03秒)

こちらは、松江だんだんプロレス代表・ヤマトと、代表代行として活躍した井上の山陰タッグが久々にがむしゃら登場。対するは四国統一タイトル戦で、土屋クレイジーと激闘を演じた、元・バッファロー吉田こと石鎚山太郎。パートナーはがむしゃらが誇る久保希望。初タッグだが、期待は持てるチームである。

特にヤマトについてはそのうまさに定評があるだけに簡単に勝てる相手ではないのは確か。オールスター戦とはいえ、山陰の実力者相手に石鎚がどのくらい力を発揮できるか?

先発は久保とヤマト。自力のしっかりしたレスリングでも定評のあるヤマトは、基本的なムーブにもきっちり対応していく実力を発揮する。このあたりが色んな団体から対戦要望のラブコールがひきもきらさないヤマトの人気ぶりがわかろうというものだろう。

一方石鎚はバッファロー吉田時代から培った「口先三寸」でヤマトに対抗しようとするが、鋭い蹴りの前にたじたじになるわ、体格勝負に出た井上にもふっとばされるわ、結構おいしいところをもっていっていた。

それほど数多くは組んでいないといっても、代表&臨時代表のだんだんタッグはやはり即席の久保&石鎚に比べるとタッグワークもいい。しかしタッグワークがいいからといって勝てるかどうかはまた別問題。井上のパワーとヤマトのテクニックで苦しめられていた久保は最近使用しているパンダのかぶりものを装着して、いきなり自由度の高い試合を始めてしまった!

なんとか力で押し切ろうとしたのだが、土壇場で井上がうまく丸め込まれてしまった。頭脳もきれて動けてパワーもある井上にはこれといって弱点らしい弱点はないのだが、はじめて突破できるような風穴をみつけた思いがした。序盤で石鎚がヤマト狙いのように挑発を繰り返していたのも奏功したかもしれない。結果的にはだんだんチームは久保のうまさにしてやられた感じがした。これもプロレスだな。

▼タッグマッチ(30分1本勝負)

④×ジェロニモ & ドラゴンウォーリアー vs ○TOSSHI & Barong-rapido
(12分40秒)

実はここにOPGの山内が入る予定だったが、身内の不幸ということで急きょ欠場が決まって、ここはLCR対ナスティというユニット対決に変更となった。ここで見どころなのは、時間こそかかりながらも、本調子に戻りつつあるTOSSHI。彼を無視して勝てるほど相手は甘くない。目先の勝ち星に目がくらむと Barong-rapidoも実力がないわけではないので、注意が必要になってくる。

先発はと Barong-rapidoジェロニモ。だが、LCRは変わってでてきたドラゴンを標的にしてきた。新生ナスティとして本格的に始動を始めたばかりのドラゴンとジェロニモにはチームらしい連携もまだできていない。そこへいくとLCRはそういった敵の穴をつくのが非常にうまい。昨年の今頃だったらTOSSHIも自分のことで精いっぱいだったろうけど、さすがに今ではほぼ往年の動きを取り戻してきている。こうなるとナスティも旗色が悪くなってくる。

後半になってさらにLCRは勢いを増していき、ナスティは知らず知らずのうちに得俵に足がかかった状態に追い込まれていった。ナスティは一人一人は実力のある選手ぞろいだが、タッグ戦やチーム戦に弱い印象がある。それは新生メンバーになってもあまり印象は変わらない。今回もナスティの負の部分をLCRというかTOSSHIひとりにしてやられた感がある。闘っていて楽しそうにしていたのは、実をいうとTOSSHIの方だったからだ。

やはりタイトルマッチに定期的に顔を出すためには、ナスティはもっとチーム力をあげないといけないだろう。チャンスをつかみとるために移籍までしてきたんだから、ナスティの課題は「やり甲斐以上、ライバル未満」の状態から脱すること。来年はいよいよ正念場だろう。

▼GWAインターコンチネンタル選手権試合

⑤【挑戦者】○KENTA vs ×豪右衛門【王者】(レフェリーストップ)

9月のGAM1で見事優勝し、インターのベルト挑戦を希望したKENTA。いかにLCRがベルトとは関係ない立ち位置にいるユニットとはいえ、やはり無冠の集まりでは格好がつかない。現状gWoのインターコンチ以外は、全部ドリームチューバーにベルトが集中してしまっている。

上から与えられるのではなく、実力でチャンスをもぎ取った以上、KENTAに秘するものは必ずあるはずなのだ。八児では敢えてアピールも何もしなかった事を考えると、わざわざ形にするまでもない、という事かもしれない。さて、KENTAの思いはLCRにベルトをもたらすだろうか?

さて、序盤はヒール対決らしくコーナーマットをはがしてのチャンバラ合戦。このまま続くとコミカルな試合になるのかと思いきや、その次の一手でKENTAが出してきたのは、GAM1でも猛威を振るった関節地獄。これで中盤の豪右衛門の動きをほぼ封殺!こういう頭脳プレイができることろがKENTAの恐ろしいことろ。

しかし、豪右衛門もただやられるだけではない。腕ひしぎや水平チョップでなんとか反撃の糸口を見出そうとしていたが、いかんせん序盤で決められたスリーパーのダメージがでかい。KENTAの「二の手」であった執拗な三角締めの前に、ついに豪右衛門も力尽きレフェリーが危険と判断して試合をとめた。この判断は懸命だったと思う。

これではっきりしたのはKENTAは動ける巨漢相手にはめっぽう強いということだろう。陽樹的にはGAM1の借りも返したいところだろうけど、インターコンチが絡むと事がややこしい。当面面倒な相手がいない分、KENTAの長期政権は続く可能性もでてきた。

▼6人タッグマッチ(30分1本勝負)

⑥×HIROYA & ライジングHAYATO & 嵐 弾次郎 vs マツエデラックス & KOZZY & ○鉄生
(10分47秒)

松江だんだんプロレス広島大会にて、激しくぶつかり合ったマツエデラックスと鉄生が今回はKOZZYと共にトリオを結成。相手は今や飛ぶ鳥を落とす勢いのHIROYAに、週プロ選手名鑑にも名前を載せたライジングHAYATO、そして9月のGAM1では鮮烈な印象を残し、「アメージング」を北九州に流行らせた嵐弾次郎がチームを組むとなれば、これはもう魅力がありすぎて、どこから見ていいのかわからないくらい。

HIROYAとHAYATOは当然若さがウリ。これに弾次郎の「うまさ」が加わるわけだから、かなり面白い。一方松江組に放り込まれた鉄生は、ホスト団体の意地もあるし、悪役ながらベビーフェイス的な人気を誇るLCRとしては、実力を誇示したいだろう。こちらも「俺が、俺が」にならなければ、それほど問題はないだろう。

試合が始まってみると、やはりというか山陰統一タッグの実力が突出していることに改めて舌を巻いた。加えてシングルプレイヤーのイメージが強い鉄生も、実はタッグを苦にしてはいない。昭和プロレスでたとえたら、天龍&ロード・ウォリアーズのようなチームになっていたのだ。

対する嵐チームは、ホスト団体のHIROYAが一番キャリアが下で、真ん中のライジングHAYATO は完全なシングルプレイヤーだから、そもそもチームとして機能していない。蓋を開けたらHIROYAのローンバトルが始終続くという展開に。

いくら嵐がオールマイティプレイヤーだとしても、この2人をまとめ上げた上に、対角線上の3人を相手にするのは、至難の業といえるだろう。ただ総花的にそれぞれの選手に見せ場があり、オールスター感のある試合にはなっていたと思う。タイトルマッチはユニット対決の総決算としてアリだと思うが、年末のマニアはこの試合のような雰囲気もいいな、と思えるような内容だった。

▼GWA無差別タッグ選手権試合

⑦【挑戦者】スコヴィル & ○上原智也 vs ×美原 輔 & サムソン澤田【王者】
(17分18秒)

八児大会で難敵・ジェロニモ&MIKIHISAを下して初防衛に成功した美原&サムソン。対するはOPG美星大会にて、その美原&サムソンから勝利し、リング上でタッグベルトに挑戦要求してきたジョロキアのスコヴィルと上原。

売り言葉に買い言葉で八児の防衛戦をすっ飛ばして、ジョロキアの対戦要求を受けてしまった美原たちだが、八児の防衛がなければ、ジェロニモ組がここにいた可能性があったのだ。

とはいえ、ジョロキアがナスティより実力がないわけではない。そもそも美星では直接チャンピオンチームに勝利している上に、上原はOPGのシングルチャンピオンである。スコヴィルはまだしも、上原にはがむしゃらにアウェイ感はこれっぽっちもない。果たしてこの強敵に対して、チャンピオンはどう立ちむかっていくだろうか?

さて一見すると、八児で初防衛に成功した美原&サムソンに穴はないように思える。が、対戦相手の上原はヒールターンする前は、欠場中のジェリーKと組んで、ゴールデンエッグスというタッグチームで活躍していたタッグのオーソリティ。

そしてジョロキア入りしてからはOPGヘビー級王者として、シングルプレイヤーとしても活躍している。対して元々シングル志向の強い集団だったがむしゃらプロレス自体、本格的にタッグに力を入れ出して間がないという事を考慮しても、チャンピオンチームは俄然不利!その上、パートナーのスコヴィルのデータはないに等しいわけで、ここまでチャンピオンに条件の悪いタイトルマッチも記憶にないくらいだ。

案の定、試合開始早々から美原とサムソンは分断された展開に。逆にジョロキアは常にローンバトルにならない。そして未知数の実力者・スコヴィルは実に難敵だった。要所要所は上原に任せるのだが、つなぎの面でいい仕事をしていくのだ。

特に美原に決めたキルスイッチの破壊力には度肝を抜かされた。当然彼らはヒールなんで、あくどいこともするのだが、基本的にはタッグチームとしての実力が、がむしゃらチームより数倍も勝っていたのは事実。

なので、汚い手を使わなくても自然にベルトはOPGのものになっていただろう。これでタッグ王座は二度目の多団体流出になった。前回は苦難の末に林祥弘と豪右衛門が取り返したが、その林はもういない。果たして難敵ジョロキアからベルトを奪い返すのは、だれになるのだろうか?

▼GWA Jrヘビー級選手権試合

⑧【挑戦者】○YASU vs ×トゥルエノ・ゲレーロ【王者】
(14分46秒)

さて、大役の番がやってきた。不思議なくらい緊張していなかったのは、普段から私に「プレイヤー・ファースト」の意識が強かったせいだろう。つまりタイトルマッチ宣言は「黒子」の仕事なのだ。ましてや、両選手ともに親交もあるし、そもそも観客席は全く見えないわけだし。つくづくここが門司赤煉瓦でなくてよかった。

初めてリングに立った感想は「ああ、この景色を林祥弘も見ていたんだなあ」という事だった。なぜも何も本当にそう思ったんだから、きっと天国の林祥弘も、私のたどたどしい宣言を指さして笑ってくれていただろう。

さて、一昨年、今回チャレンジャーになっているYASUからベルトを奪い、約2年に渡り数々の強豪を打ち倒してきたトゥエルノ・ゲレーロ。もはや名実ともに無敵の絶対王者の名をほしいままにしていると言っても過言ではない。そんなゲレーロに対して、かつてがむしゃらジュニアの一時代を築いたYASUが、再び時計の針を戻すべく挑んできた。

土屋とのタッグベルトを失い、虎の子だったジュニアのベルトも失って久しいYASUは、正直失うものがないだけに、ゲレーロにとっては厄介な挑戦者である。YASU自身実力が衰えているわけでもないから、いよいよ本命が満を持して登場してきたことになる。片や二年もの間、がむしゃらジュニアの顔として、その重責を一人で背負ってきたゲレーロ。正直このままタイトルを保持し続けるのは、きついのではないかと思っていた。そこへきてのYASU登場。

かつてYASUはLOCキッド、TOSSHIらと時代をジュニアの一時代を築いてきた。傍らにはかつては林祥弘がいて、現在は土屋クレイジーや大向美智子がいる。つまり彼は決して「独り」ではなかったのだ。ドリームチューバ―というユニットにいながら、いつの間にか孤高のチャンピオンになっていたゲレーロとの「差」はそこだったと思う。「これは返せないだろう」というところでも、YASUは徹底的に跳ね返してきた。それは決して「独り」の力ではなしえない奇跡だった。

もし、ジェロニモがドリームチューバ―にいて、ゲレーロのセコンドについていたら、流れは変わったかもしれない。しかしジェロニモはセコンドの専門家ではなく、いち選手である。現役である以上、選手としての欲を優先させて、チャンスを求めたのは自然の流れである。仲間が離れたドリームチューバ―、離れたメンバーが出るたびに結束を強めたgWo。その差は思った以上に大きかった。

試合後、ゲレーロだけでなく、この場にいなかったかつての「ライバル」にエールを送ったYASUの言葉はまさに「一緒に盛り上げていこう」という誘いだったのではないかと思う。プロレスは決して一人ではできない。個人競技のようでいてチームで作るのがプロレス。その素晴らしさを嫌というほど体感できた試合だった。ベルト授与の際、満足そうに笑いかけてくれたYASUの笑顔は、この激闘で伝えたかったことを、表現できた満足感であふれていたように私には見えた。

きっと天国の林も満足してくれたのではないだろうか?

▼GWAヘビー級選手権試合(60分1本勝負)

⑨【挑戦者】○陽樹 vs ×SMITH【王者】
(22分25秒)

週刊プロレスの選手名鑑にがむしゃらプロレスから、ついにただひとりその名を刻んだ陽樹。2018年の活躍はめざましいものがあった。だが、かつてはシングル二冠王者だった陽樹を地の底まで引き摺り下ろしたのが、現チャンピオン・スミスである。今回も散々挑戦表明してきた陽樹をすかしにすかしまくった挙句、ついに自分の口からは、いいとも悪いとも言わないままだった。

結局、痺れを切らした運営側が八児大会の途中にミーティングを開き、正式に陽樹をチャレンジャーにすることになった経緯があった。だが、普通ならここでブチ切れモードになりうる陽樹が、八児でもひたすら冷静な態度を崩さずにいた事は、かなり引っかかっていた。スミスと陽樹の駆け引きはもう始まっていたのだ。

タイトルマッチ宣言をしたのはスミスと同い年トリオで、15年を共に歩んできたドン・タッカーとNIKKY。まるで2018年のG1決勝で、棚橋のセコンドについた柴田勝頼のような図式でもある。今スミスが所属しているドリームチューバ―ももちろんいたのだが、これでスミスの孤独が浮き彫りになったと私には見えた。

試合はいきなり動いた。序盤でスミスがいきなり高角度のエクスプロイダー二発!一発目は陽樹の後頭部がマットにぐにゃりと突き刺さるえげつない落ち方をしておいた。かさにかかったスミスはここでさらに陽樹の後頭部を攻めたてる。ここで陽樹はエスケープを図る。でもよく考えるとこれっていつも陽樹がスミスにやられていたことでもある。そしてリング上のスミスが多少イラつき気味に、陽樹をリングインさせようと促してくる。

当然、これはリングインしてきた瞬間を襲う気満々なんで、陽樹も簡単には乗ってこない。だが、やはり入り際にスミスの猛攻を受けてしまう。ところが、陽樹はこれでも自分のリズムを失わなかった。逆に体重の乗った重いエルボーやチョップでスミスを追い詰めていく。実はこういう攻撃に対しては意地になって対抗していこうとするのが、負けず嫌いのスミスであり、これを反撃の糸口にしていくのが、常套手段でもある。


ところが、思いのほか陽樹の重量級の攻撃はチャンピオンの肉体をむしばんでいた。後半もエクスプロイダーなどで畳みかけていくのだが決定打が奪えない。逆に鬼気迫る陽樹の攻撃は重さを増していく。スミスの攻め手を上回る陽樹の攻撃力はそれはそれは厳しいものだった。そしてこの時も終始陽樹は冷静だった。まるで、芸術劇場で林とベストバウトを繰り広げた時のような、「雑念」の感じられない純度100%の陽樹がそこにいた。

ジュニアの試合同様、たぶんgWoは一枚岩になってバックアップしていたと思う。15年の歴史に挑むには、自分たちが一枚岩になる必要があった。そしてメンバーは陽樹をひたすら信頼していた。この差は大きかったと思う。対してドリームチューバ―でスミスに意見できるメンバーはいない。スミスはいつしかゲレーロ同様、孤高のチャンピオンになっていた。かつての戴冠時と大きく違っていたのはそこのところだろう。

後記

試合が終わって、タイトルをとったこと以上にスタッフやお客さん、そして対戦相手のスミスに感謝の気持ちを伝えていた陽樹。一人ではなしえなかったことをたぶん本人が一番自覚していた瞬間だったのだろう。最後は陽樹の音頭で「3.2.1、がむしゃらー!」にて大会は無事終了した。



長丁場だったけど本当に素晴らしい大会だった。特にメインとセミにはあきらかに選手以外の見えない力が後押ししたような不思議な光景を見ることができた。長いことプロレスを見ているけど、こんなことはそうあることではない。そして確かに新時代の扉は開いたと思う。

もちろんスミスは特にこのまま引き下がるタマではないと思うし、たぶんなんやかんや手をうってくるだろう。でも一皮むけた陽樹という存在を中心に、2019年のがむしゃらプロレスは大きく動いていくことになりそうだ。

とりあえず素晴らしい大会をありがとうございました!そして皆さんお疲れさまでした!

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