[プロレス観戦記] 新日本プロレスRoad to レスリングどんたく 2019下関大会

せかぷろ

イントロダクション

個人的に今までの観戦歴を振り返るに、昭和最初、昭和最後、平成最初、平成最後、そして令和最初の観戦が全て新日本プロレスである。これは単なる偶然にすぎない。決して「ディスティーノ」などではない(笑)

平成初期くらいまでは、地方で見られるプロレスは、ほぼほぼ全日か新日しかなく、全女入れても団体の数は二桁もなかった。それが今ではほぼほぼ週末にはプロレスを生で見られているのだ。本当にいい時代になったものである。

で、令和最初に関しては、5月1日に元号が改まることが発表されてから、毎年恒例のレスリングどんたくになることは規定路線だった。そこへ、どんたくシリーズの一環で下関大会が入ったため、平成最後の観戦も新日本になってしまったわけだ。だから特に運命めいたものは感じないと私は思っている。

オープニング

さて、前回は約6年ぶりの開催になった下関大会。昨年の超満員の余波を受けて、今年はさらにスケールアップ。会場を取り巻く列もファンクラブ用と一般用に二種類用意。その上、なんと海峡メッセ9階ホールを売店専用スペースにしていた。

しかし、全7試合休憩なしなのに、イベントホールの売店は4試合後には閉鎖するという。慌てて9階に上がるとサイン会の列と会場に戻ろうとするお客でごった返していたため、やむなくエレベーターで一階へ。

通常、会議や講演会で満員になる時にはままあるが、プロレス見に来て、海峡メッセのエレベーターが定員オーバーになったのは初めての体験だった。というわけで、入り口近くにあったパンフを購入し、着席。やはり第一試合中に間に合わないお客さんが続出していた。このあたりは次回以降の宿題だな。

第1試合 15分1本勝負

〇成田 蓮 対  ×上村 優也(9分10秒 フロントスープレックスホールド)

ヤングライオン同士だけの第一試合というのは実を言うと久々だったりする。それこそSHO &YOHの頃はヤングライオンが少なすぎてカードが組めなかったし、やっと増えてきても、だいたい第三世代が絡んでいたりしていたので、純粋なヤングライオン対決というのは貴重。

キャリアで上村より1年先輩になる成田は、成田スペシャルなどの新技開発にも余念がなく、第2試合に登場する海野共々、そろそろヤングライオン卒業も視野に入り始めている。

しかし、試合は上村の執拗なグラウンドで前半は度々成田が窮地に陥る展開に。技数を少なくして基本に忠実で、なおかつ「闘い」をみせる「新日本らしい」内容に、今も昔も変わらない「新日本らしさ」がうかがえたのは収穫だった。

特に成田をあわやというところまで追い込んだ上村の脇固めは、決まり手にはならなかったが、先輩の牙城に迫るには充分すぎる威力だった。

が、必殺技を身につけつつある先輩と、これから身につけようという後輩の差は思った以上に開いていた。散々追い詰めたはずの上村が、カウンターのフロントスープレックスホールドであえなくカウント3を奪われ、逆転負け。自ら成田スペシャルと豪語するだけあって、成田蓮には一撃必殺の技が、後輩以上にあるわけで、伝家の宝刀を抜かれたら、上村はなすすべがなかった。

逆に上村が成田の向こうを張った「上村スペシャル」を身につけない限りなかなか先輩の壁は崩せない。生存競争の激しい新日本ならではの「闘い」があった試合だった。

第2試合 20分1本勝負

海野 翔太&〇タイガーマスク 対 ×辻陽太&トーア・ヘナーレ(9分28秒 タイガースープレックスホールド)

前回の地方大会には第三世代の比率も高めだった。このカードは、4代目タイガーを除けば、非常にフレッシュな顔合わせになる。そういう意味では第1試合同様、ヤングライオンがフィーチャーされたカードといえる。海野は、ヤングライオンから一人、2019年のニュージャパンカップにも出場し、今年のG1クライマックス出場も目標にしている選手。

だが、4代目のパートナーでもあるトーア・ヘナーレはいわばヤングライオンのライバル的な位置にいる選手でもあり、今のところ壁にもなっている。残念ながらヤングライオンからスーパージュニア出場がなかったように、現段階では海野のG1クライマックス出場はかなり厳しい。

しかし、1試合1試合を遮二無二戦うからこそ、ヤングライオンの試合は地方で支持されてきた。そうした歴史を考えると、この試合の海野と辻にとっても大切な試合になることは間違いない。

いざ試合が始まってみると、体格的に勝るはずの辻が追い込まれ、海野が追い込んでいく流れに。ここにヤングライオンを意識するヘナーレが絡むと、若いもん同士のフレッシュな風が吹くのだが、キャリアが一人だけ違う4代目が入ると、試合のリズムが変わってしまう。

たぶんライガー引退発表前に煩雑に組まれていたライガー&タイガー対ヤングライオンみたいな図式が、タイガー対辻の時だけ浮かび上がるので違和感になってしまうのだろう。引退を決意したライガーはまだしも、現役続行中の4代目は、一歩ひいて若い選手の試合をサポートする役割がまだ、できないでいる。

想像だが、タイガーマスクという遺産を受け継いでしまったが故に、ライガーほど四虎は自由になれないのかもしれない。本人がどこまで意識しているかはわからないが、第三世代がヤングライオンに対してムキになるのと、4代目タイガーがヤングライオンに対する意識はどこか違う感じがするのだ。

現実にヤングライオンのコーチ兼任であろう第三世代がやる「壁になる勝ち方」でもなく、キャリアの割にでしゃばったように見えるのは、4代目の不幸な点かもしれない。今年のスーパージュニアにもエントリーした四虎は、果たしてどういう方向に向かっていくのだろうか?

たぶん今のままだといずれ辻にも海野にも追い抜かれそうな日がそう遠くない日に訪れそうな気がしてならない…

第3試合 20分1本勝負

×ロッキー・ロメロ&田口 隆祐 対 〇エル・デスペラード&金丸 義信(11分25秒 エル・エス・クレロ)

広島大会にて実況席の解説を務めた金丸としては、かつて自分も巻いていたIWGPジュニアタッグ。そのタイトルを防衛したRoppongi 3Kに対しても思うところがあるらしく、解説でSHO &YOHに散々毒づいていたが、一夜明けた下関大会ではタイトルとは無縁?のロッキー&田口のダブル監督タッグとの対戦が組まれた(ロッキーはもと監督だが)。

まあ、ロッキーもRoppongi 3Kだし、田口はNEVER6人タッグチャンピオンではあるが、上にあがる材料としては、やや物足らない…のかもしれない。

試合は全身から不満タラタラな感じの鈴木軍が奇襲でスタート。この試合に限らず、下関大会はやたら奇襲もしくは場外戦が多かった。まあ多人数制のカードをたくさん組むと試合カラーが似通ってしまうのは、新日本に限った話ではないのだが、ヤングライオンのシングルにしか「闘い」がみえないのではやはり本末転倒。

とはいえ、試合が成り立たないかというとそうでもない。田口やロッキー、金丸はもともと上手いわけだし、中でも金丸が田口にラグビーキャップ被せられた場面では、普段とのギャップで笑いがおきていた。

だが、当然のごとく鈴木軍がずっと付き合うわけでもないので、田口は痛めつけられてしまい、ロッキーは金丸の低空ドロップキックを被弾してしまう。ここからさらに場外戦になって、ロッキーは長時間つかまってしまった。

なんとなく煙に巻いているようで、気が付くと鈴木軍がペースを握っていたような試合だった。この辺は金丸の試合運びの方がうまかったとしか言いようがない。

第4試合 30分1本勝負

本間 朋晃&ジュース・ロビンソン&矢野 通&〇真壁 刀義 対 ×ヒクレオ&チェーズ・オーエンズ&タンガ・ロア&タマ・トンガ(10分42秒 キングコングニードロップ→片エビ固め)

スイッチブレイドが快進撃を続けていた関係で結成された本隊&CHAOS連合軍。それに対してIWGPタッグならびにROHタッグの二冠チャンピオンであるゲリラズ・オブ・ディスティニー(GOD)が対戦するカードが、どんたくシリーズではずっと組まれている。

とはいえ、ベルト泥棒の矢野通に度々IWGPタッグを持ち逃げされているGODとしては、タッグ王座も防衛してベルトも取り返したいのはやまやまだろうが、結局勝っても負けてもベルトは矢野のもとにある事実は変わりない。なんせタイトルマッチまで日があるせいか、同じような顔合わせばかりで正直飽きがきているのだが、今の新日本の流れとしてはこれが正しいあり方なんだろう。

試合は、このメンツらしいバタバタした展開。しかし、ヒクレオのデカさはやはり地方では必須のわかりやすさだった。ただ、キャリアが浅いせいで、打たれ弱いのが気になったけど。結局、真壁がラリアットでダウンさせると、本間が小こけしで追い討ちをかけ、そこから真壁がキングコングニードロップでトンガン・ジャイアントにとどめを刺した。

試合後、またしても矢野がIWGPタッグベルトとNEVER 6人タッグベルトを持って逃走。これずっとやっていくのかなあ?

第5試合 30分1本勝負

獣神サンダー・ライガー&〇ジェフ・コブ&YOSHI-HASHI  対 ×TAKAみちのく&鈴木 みのる&タイチ(11分18秒 ツアー・オブ・ジ・アイランド→片エビ固め)

来年の引退に待ったをかけるべく、連日連夜ライガーを襲撃し続けている鈴木みのるとの抗争ラインにプラス、レスリングどんたくでNEVERタイトルに挑戦するタイチにしてみたら貴重な前哨戦。王者ジェフ・コブはスケジュールの都合で前日の広島大会より参戦。一方地元・広島大会をドラディション参戦のため欠場したライガーは下関から再びシリーズ合流。

この流れを何とも思わない鈴木軍ではあるまい。案の定、ゴングを待たずに鈴木軍が襲い掛かり、いきなり場外乱闘で試合はスタート。

しかし、意外なことにリング上では、YOSHI-HASHIと鈴木軍の絡みが多くなる。ニュージャパンカップ以降、気迫溢れるファイトをみせるYOSHI-HASHI。だが、控えの鈴木がロープワークを妨害し、トップロープ越えの腕ひしぎ逆十字固めで絞りあげる。

そのまま鈴木軍がYOSHI-HASHIを捕まえ、ダーティーファイトで集中的に痛めつけていく。YOSHI-HASHIも、カウンター逆水平チョップやフェイント式バックキックで脱出。ただやられっぱなしで終わらないところが、YOSHI-HASHIが本当に変身したことがわかるシーンになっていたと私は感じた。

試合は、コブが変型バックドロップからツアー・オブ・ジ・アイランドでTAKAを葬った。前日からの参戦だがジェフ・コブのコンディションは非常に良さそう。さて、どんたくではタイチとどんな試合をするだろうか?

第6試合 30分1本勝負

ドラゴン・リー& マイキー・ニコルス&ウィル・オスプレイ&〇後藤 洋央紀 対 石森 太二 &バッドラック・ファレ&×外道&ジェイ・ホワイト(9分24秒 GTR→片エビ固め)

これも前哨戦カード。石森は3日のレスリングどんたくのメインで、現・IWGPジュニア王者のドラゴン・リーに挑む。他方、29日の熊本大会でスペシャルシングルマッチを闘う後藤とジェイというのが二本柱。

まあ、ニュージャパンカップでよもやの黒星を喫したファレはオスプレイ狙いかもしれないし、同じくニュージャパンカップで名を挙げたマイキー・ニコルスも、今シリーズシングルで戦ったオーエンズを狙っている可能性もある。

この試合もいきなり乱闘で開始。乱闘ばかりで少々うんざりしてきた。後方のお客にはみえないから、置いてけぼり感がハンパない。海峡メッセは、後楽園みたいにバルコニーがあるわけじゃないから、こういう時に会場内では、温度差ができてしまう。

試合は、マイキー・ニコルスがロープ際のラリアットでファレを場外へ排除し、後藤がGTRを炸裂させ、外道を仕留めた。まあ、前哨戦らしい最後だった。

第7試合 30分1本勝負

SHO&×YOH&飯伏幸太&石井智宏&オカダ・カズチカ
鷹木 信悟&BUSHI&“キング・オブ・ダークネス”EVIL&〇内藤哲也&SANADA(18分40秒 ディスティーノ→片エビ固め)

Roppongi 3Kと鷹木&BUSHIは、前日の広島大会で、ジュニアタッグを巡る攻防に一区切りついているので、下関大会の時点で「現在進行形」の抗争は、石井対EVIL、飯伏対内藤、そしてSANADA対オカダの組み合わせ。

たぶん下関大会にワールドなりサムライなりの中継が入っていたら、このあたりの絡みをがっつりやるんだろうけど、試合は生き物なんで、予定した通りに進行しない事もあるわけである。

石井対EVILで試合が始まった試合は、SHOが場外で鷹木に痛めつけられ、ピンチに!EVILが串刺しラリアット、串刺しヒップアタック、鷹木が追走式キチンシンクなどで追い討ちをかけられるなど、ヘビー級の洗礼を受けてしまう。

ただ、Roppongi 3Kも鷹木もいずれはヘビーに転向するのかもしれない。この試合でもSHO &YOHは、ジュニア勢よりヘビーとの絡みが多かったし、今現在そんなにジュニアヘビーらしい戦い方もしていない。ライガーみたいに生涯ジュニアを貫く気概も感じないし、鷹木のように無差別で闘えるスキルもないし。

中盤から両軍入り乱れての混戦になり、YOHはジャンピングエルボーアタックを回避し、ファイナルカットで内藤に逆襲。しかし、内藤がトーキックでYOHの動きを止め、ロスインゴの集中砲火をあびせた。最後は内藤がデスティーノでYOHを沈め二年連続でロスインゴの勝ちで大会は締められた。

思ったよりジュニアはジュニアだけ、ヘビーはヘビーだけという内容にはならなかった分、オカダや飯伏、SANADAらの出番は少なかったので、前哨戦という意味では薄味な試合だった。まあ、顔合わせだけでも楽しめるカードではあるんで、割り切って楽しんでいたし、後楽園三連戦なんか下関以下のカードだったから、これはこれでいいと思う。

後記

前述した通り、多人数制カードの弊害でやたら場外乱闘が多かったのは閉口したが、雰囲気だけ楽しめる分にはアリだと思う。ただ、これ以下のカードでも満員になると、後楽園みたいにどんどんマッチメイクの質が落ちていくので、それだけは避けてもらいたい。3日のどんたくみたいにカードが一枚落ちの大会はチケット余ってる状態なんだし、ファンもそこまで馬鹿ではないからだ。

プロレス観戦記
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