[プロレス観戦記] 新日本プロレス・濵かつ Presents レスリングどんたく 2019(2019年5月3日(金) 一日目)

せかぷろ

濵かつ Presents レスリングどんたく 2019(2019年5月3日(金) 一日目:観衆4,011人

イントロダクション

ゴールデンウィーク前半はあいにくの天気だったが、どんたく時期になると持ち直してきた。しかし、雨の影響か?晴れてもジメジメしている。日中はくそ暑いが陽が沈むと寒くなる。

さて、5.1に新元号になって一発目の観戦はレスリングどんたく。今年の5.3は、とにかく日差しが半端ない。本来ならGWはずっと北九州にいたかったのだが、やんごとなき事情で、GW中にどうしても下関に戻らねばならず、ヒヤヒヤしながら帰途に着いたのだが、例年よりは混雑も少なく、一旦部屋で休憩してから福岡へ。しかし、予想以上に福岡は暑かった!祭りの方のどんたくが熱いかどうかは全くわからないのだが、気温は明らかに下関や北九州より高い!暑さ対策でスポーツドリンク持ってきてよかった。しかしタオルを忘れたのは迂闊だった。明日は持ってこよう。

うまい具合に直行バスに乗れたので、ストレートで国際センターへ。そもそも全席指定である上に、鈴木軍のサインが欲しいわけでもない層には、ダークマッチでもない限り、列に並ぶのは無意味なんで、列が動くまで日陰で涼み、最後尾について会場入り。

オープニング

中に入ると、北側が全面ふさがれており、入場花道と入場ゲートが一つになっていた。よく見てみると、今年はユニットごとの選手紹介Vが流れているが、これ全会場でやれないのかな?ビッグマッチ専用にするの、勿体無くないかなあ。

下関大会同様、全8試合。ビッグマッチでも、休憩時間なしの耐久仕様!ドームもそうだが、令和では、休憩なしが当たり前になっていくのかな?箸休めカードの時は民族大移動が見られそう(笑)中邑&桜庭対グレイシーみたいに。

第1試合 20分1本勝負

〇成田蓮&海野翔太&本間朋晃 対 ×上村優也&辻陽太&トーア・ヘナーレ(10分46秒 フロントスープレックスホールド)

どんたくシリーズ総まとめみたいなカード。シングルマッチをセミやメインに持ってきたしわ寄せが前の方に来るというのが、ここ最近の新日本プロレスのがマッチメイクのが基本パターン。

このシリーズでは、成田&海野のヤングライオン卒業間近世代対上村&辻の、デビュー一年生組との試合がたくさん組まれていた。一口にヤングライオンと言っても、一年の差は大きな開きになる。

間違いなく次々世代のメインイベンターを照準に据えている海野と成田に対して、意識の面でもまだヤングライオン止まり(これが悪いわけではない)な上村&辻とでは、能力にプラスメンタル面でも開きがあるわけで、下からの突き上げというのは、よほどの事をしない限りは、先輩の視野にも入らない。ワールドの中継や生観戦した下関大会でもそうだったが、最低意識の面だけでも上村&辻は、成田や海野を追い抜くことがテーマになってくるだろう。

試合前半はその先輩越えに固執しすぎた辻が、海野、成田、本間に代わる代わるいたぶられるローンバトルに陥ってしまった。先輩越えは確かに大きな、大切な目標であることは間違いないが、組まれた試合がタッグならばタッグの闘い方をしなければならない。

そのあたり、本間が特別指示をしていないのに、成田も海野もマッチメイクを理解して戦っていた。あまりに辻ばかり捕まる展開が長過ぎたし、ヘナーレもフォローできなかったのは致し方ない。最後は、執拗なワキ固めで成田を苦しめた上村が、倍返しのフロントスープレックスを食らって万事休す。気持ちが先に出すぎてもだめだし、出てなくてもだめ。上村辻には苦い教訓になった試合だった。

第2試合 20分1本勝負

田口隆佑&×タイガーマスク&獣神サンダー・ライガー&YOSHI-HASHI 対 〇TAKAみちのく&エル・デスペラード&金丸義信&鈴木みのる(9分57秒 みちのくドライバーⅡ→片エビ固め)

どんたくシリーズは第三世代が前半のみ、後半から4代目タイガーや、マネジャー待遇の邪外道が選手としてリングに上がるケースが増えてくる。第三世代は永田&小島がアメリカでの試合があったのと、天山の欠場に伴う処置で、四虎や邪外道、あるいはこの試合に出ているTAKAや金丸&デスペラードの場合は、スーパージュニアに向けての実戦調整という事で間違いないだろう。

通常ならば、これ以上の意味はないカードにはなるのだが、今年だけは少し様子が違う。もちろんライガーの引退がここに深く絡んでくるからだ。しかもシリーズ通して日に日に危険な匂いを増していくライガーと鈴木みのるの絡みは3日のみしかマッチメイクされていない。

おそらく決着がつくとしたら、大阪のドミニオンになるはずだが、もしかするとG1クライマックスを挟んでドームまで続いていく可能性もある。新日本随一の功労者にそんな雑な花道は用意して欲しくはないのだが…

試合展開は意外とライガー対鈴木みのるの絡みはそんなに多くなく、ヘッドギアを被せられそうになった鈴木みのるが、田口に激怒し、ターゲットが田口に変わってしまった。もちろんライガー対鈴木みのるもないわけではないが、この絡みは多分次期シリーズ以降も続けていくんだろう。

第3試合 30分1本勝負

〇ウィル・オスプレイ&矢野通&真壁刀義 対 ×ヒクレオ&タンガ・ロア&タマ・トンガ(7分25秒オスカッター→片エビ固め)

タッグベルトに挑戦しながら、惜しくも悲願の二冠王は逃した真壁&矢野。ここにオスプレイが加わっての試合になるわけだが、ニュージャパンカップで無差別級の強さを見せつけたオスプレイにとっては、ヒクレオは狙い目かもしれない。もちろん「もう一丁!」を狙っている真壁&矢野は、ゲリラズ・オブ・ディスティニー(GOD)狙いである事は言うまでもないだろう。

だが、結果的にタッグ路線よりオスプレイの活躍がやたら目立つ内容になってしまった。というのも散々前哨戦をやりすぎた上に、追撃戦までやってたら、そりゃ新鮮味もなくなろうというもの。だからといって定番のハイクオリティというわけでもない。

三階上から見ていると、リングサイドでは気づかないポイントが色々見えてくる。だから、たまに最上階から試合を見るというのは重要になってくる。この試合でいうと、ヒクレオ以外の五人はきちんとリング中央で技を決めていた。もちろんそれだけでなく、四方をきちんと意識して試合していたのだ。

個人的にはオスプレイはそんなに好きな選手ではないのだが、彼もまたコーナーに寄った後はきちんと試合を中央に戻す意識が見られたのは収穫だった。オスカッターはジュニアには危険度の高い技ではあるが、対ヘビー級に対しては非常に有効。何より三階席から見ていると非常に見栄えのする技で、単なるハイフライヤーではない、彼の非凡さを見られたのは、個人的には収穫だった。

第4試合 30分1本勝負

SHO&YOH&〇飯伏幸太 対 鷹木信吾&×BUSHI &内藤哲也(11分37秒 カミゴェ→片エビ固め)

広島でジュニアタッグの争いには一区切りついたが、次にスーパージュニアを控えるRoppongi 3KとBUSHI&鷹木にしてみたら、シングルでの闘いに移行しつつあるように思える。もちろんインターコンチを狙う内藤と、至宝を死守したい飯伏の絡みも見どころの一つではある。

ただ、Roppongi 3Kはジュニアの先にヘビー級を見据えているのか、下関同様内藤との絡みも非常に増えていた。それは鷹木信悟も同様で、スーパージュニア出場を控えている割には飯伏に絡もうとしていたように見えた。その飯伏は意識的にすかしてくる内藤に若干の苛立ちを感じていた様子。インターコンチ挑戦表明後、目立ったアクションを起こさない内藤に対して、本当はどうしたいのか?わからなくなっていたのかもしれない。

で、それが爆発したのが試合後のマイクだった。「タイトルマッチ、いつどこで決めてくれますか?」と内藤に問いかける飯伏。これに対して「飯伏、飯伏、じゃあ……明日やる!?」といったんは期待を持たせて場内が騒然になる中、「とは言ってもさ、もう明日のカード決まってんだよね」という形で「落としてしまった」内藤。

普段ならトランキーロでも納得はする。だが、どのみちこんな美味しいカードを福岡で、カード変更してまでやるはずがないことは明白だし、実際ドミニオンで組まれることになったので、ここは無理くり引っ張らなくても良かったと思う。その気もないのに期待だけ持たせるやり方は内藤の本意でもないはずだが、そこだけモヤモヤが残る試合になってしまった。結局、どんたくはドミニオンの前振り大会でしかないのか・・・・

第5試合 30分1本勝負

マイキー・ニコルス&〇ジュース・ロビンソン&後藤洋央紀 対 ×チェズ・オーエンズ&バッドラック・ファレ&ジェイ・ホワイト(11分23秒 パルプフリクション→片エビ固め)

シリーズ通してできた因縁は、主にジェイと後藤、ジュースとファレ、そのファレに敗北したマイキーと、ジュースを虎視眈々と狙い続けるオーエンズといったところか?

後藤が言う「諦める事を諦めた」というのは、一見するとかなり聞こえはいいが、ジェイのいう「ゴトーは何も成し遂げてない」という言葉の方が、私的には刺さる。こういう事態になってもまだワンチャンあると思っているのも、実際どうかとは思うんだが、棚橋が復帰しておらず、チャンピオンのオカダがSANADAとの対決ラインに乗っている以上、スイッチブレイドの相手は「消去法」で後藤になっているに過ぎないのだが…

出番をはやる後藤に対して相変わらずのらりくらりとスカしていくジェイという構図はこの辺も変わらず。この試合で後藤が見せたミステイクは、ジェイを場外に落として、自身が空中弾を決めようとしたシーン。

普段やらない事でジェイを焦らすつもりだったのかもしれないが、普段やってない分、間髪入れずに決めないと効果はない。そして後藤は期待通り、躊躇してそのまま場外戦で、バレット総出でボコボコにされてしまう。

もう一つ、後藤にはさまざまな必殺技があるが、決まりそうにない時の見切りが早すぎる。対してジェイはガードされたバックドロップを、時にはフェイントのように使い、結局効果的に決めてしまった。理にかなうという点では、ジェイの方がよほどしっかりしたレスリングをしていた。

決め技を大事にするという点では、フォールを獲ったジュースもしかり。まだまだ完成度は高くないが、パルプフリクションを決めるために、色々工夫しているし、キャリアを積んでいけば、かなりいい感じになりそうな気がする。オーエンズとの絡みは若いながら名勝負に昇華していきそうな予感もする。マイキーもファレやオーエンズとはいい試合する中、後藤の未来だけが依然全くみえない内容だった。

そうそう全然見えないという点では、ジュースの対戦相手と思しき「X」が突然スクリーンに登場したのだが、バレットの「X」みたいな映像はなく、ただ6.5で明らかになるというだけのものだった。結局どんたくはスーパージュニアの「前振り」でもあったというわけだ。

第6試合 60分1本勝負:スペシャルタッグマッチ

×石井智宏&オカダ・カズチカ 対 〇EVIL&SANADA(16分52秒 サソリ固め→レフェリーストップ)

5.4に向けてのラスト前哨戦になるタッグマッチ…とはいうものの実質シングルが二つ並んだ新日本にありがちな「ダブルバウト」だと私は思っていた。実際試合の大半はEVIL対石井、SANADA対オカダにはなっていたのは間違いない。

しかし、ニュージャパンカップの同門対決でユニットとしての絆が深まったCHAOS、というかオカダが、上手に石井のお膳立てをしていたのが印象的だった。対するEVIL&SANADAもさすが元・IWGPタッグチャンピオンチームらしく、タッグの闘い方を心得ていたため、予想した以上に試合がスイングしたのである。これは正直嬉しい誤算だった。

ただ、連携で勝っていたのはやはりL・I・Jタッグ。シングルでは名勝負を数多く残しているものの、タッグとしての実績はそう多くない石井に狙いを定めて、マジックキラーを仕掛けてダメージを与えた。終盤になってオカダとの分断にも成功したEVIL&SANADA組。

最後はEVILがおきて破りの逆サソリで石井からレフェリーストップ勝ちを収めた。まああれほどがっちり決まったらそうは返せないだろうけど、意地でもギブアップしない石井を見かねて、レフェリーが試合をとめた。そんな感じのフィニッシュだった。

第7試合 60分1本勝負:NEVER無差別級選手権試合

×[王者] ジェフ・コブ 対 〇[挑戦者] タイチ(17分50秒 ブラックメフィスト→片エビ固め)*タイチが新王者に

翌日のセミがEVIL対石井、メインがIWGPのオカダ対SANADAとくれば、どうしても3日のカードは一枚落ちる印象があっても不思議ではない。実際演出上の問題で、ゲートを一本化して北側に設置した今回のどんたくは、3日のみ東西の北側寄りのエリアは封鎖という形になっていた。チケットが売れていればもちろんそこも解放されるはずなのだが、そうではないところに「2DAYS化」の弊害が見て取れる。

しかし、プロレスは生ものでカードはよくなくても、実際試合してみたらどう化けるかは誰にもわからない。そしてこの試合とメインは見事に化けた!個人的には4日のセミ・メインよりも内容が良かったと思うくらいだ。

ではまずセミから振り返っていこう。シリーズ後半からとはいえ、毎日のように顔を合わせているコブとタイチだけあって、互いの必殺技は織り込み済み。コブが天翔十字鳳を警戒し、一度目のブラックメフィストも返したように、タイチもまた不用意にツアー・オブ・ジ・アイランドを喰らう真似もしなかった。

で、ここぞという時にタイチの川田利明ムーブがさく裂する。後半からはまるで90年代の四天王プロレスを見ているかのような試合だった。その激しい流れに耐えうる体とスキルをもったコブもまた見事だった。エルガンを切ってもこういう選手が現れるあたりが今の新日の勢いを物語っている。

最後は、コブの蹴り足をつかんだタイチは、レフェリーを突き飛ばし、そのスキに急所攻撃。そしてタイチ式外道クラッチを決めたあと、しつこく繰り出していた天翔十字鳳をヒット。そして一気にブラックメフィストを決め、3カウントを奪取して、タイチがNEVER王者に返り咲いた。

この結果をもってジェフ・コブはROHのTV王者のみになったわけだが、当然そうなったからには、新日本よりROHのスケジュールが優先されるのは明白だろう。次期シリーズはスーパージュニアだからコブの出番もなさそうだし。しかし、そのポテンシャルを満天下に見せつけたことで、タイチともども今年のG1出場の目はあると私はみているが、果たして・・・・

第8試合 60分1本勝負:IWGPジュニアヘビー級選手権試合

〇[王者] ドラゴン・リー 対 ×[挑戦者] 石森太二(デヌカドーラ→片エビ固め)*ドラゴン・リー初防衛成功

予想外の名勝負ということで言うと、この試合も両者の持ち味が存分にいかされた名勝負になっていた。正直ドラゴン・リーはレスリングどんたく初登場でいきなりメインイベントにでることになったわけで、重圧も半端なかったことだろう。しかし、昨年のどんたくで初登場したボーンソルジャーにとって、福岡はいわば「聖地」。ここで王座返り咲きを果たすことは悲願であったともいえるだろう。

試合はお互いが一歩もひかない好勝負になった。やはりお互い手が合うという点では間違いなく石森とリーはライバルになりえる存在だと思う。単なるハイフライヤー対決では決してない「闘い」がそこにあった。

実名を出して申し訳ないのだが、WWEの205LIVEは単なるハイフライヤー部門になってしまっている。いくらスポーツエンターテインメントといっても、そこに思いの丈が見えてこないと感情移入はしにくい。

実際のところ205単体のカードがレッスルマニアのメインを飾ることは、今のままなら永遠にないと思う。もともとWWE・・・というかビンスがクルーザークラスのレスリングを好んでいない事情があるらしいとはいっても、やっぱり軽量級はアメリカでは永遠に主役にはなれないだろう。

ドラゴン・リーが日本で人気があるのは、高橋ヒロムや柴田勝頼らの動きをまねるだけでなく、彼らをリスペクトしている気持ちがちゃんと観客に伝わっているから。そこは石森も同じでヒールとはいえ、ちゃんと感情の表現がリング上でできているのが、大きな違いでもある。

この試合も実に白熱した攻防になった。石森の惜しかったところは終盤に、リーの頭を支点にして旋回し、イエスロックで捕獲していた場面。リーがロープへ近づくと、自ら回転してポジションを変え、さらに絞り上げてギブアップ寸前まで追い詰めたが、ロープエスケープに成功し逃げられてしまう。若いリーには体力的な貯金もあるし、加えて柴田やヒロムの思いを背負って闘っている自負がある。それがない石森との差が終盤ででてしまった。

決着がついた後、マイクで「シアワセデス。モット! モット! モット! モットー! グラシャス。ドーモアリガト」と謝意を述べたドラゴン・リー。五冠王でありながらIWGPを特別なベルトといってはばからないルチャドールはまさにこの日新日本の中心にいた。

総括

かつて、散々新日内ではないがしろにされていたルチャが復権し、ここまでになったかという思いで、私も感動していた。やはりAAAと友好関係にあるAEWと契約してしまうと、リーをはじめ新日本を愛しているCMLLの選手がみられなくなる。ケニーやエリートのメンバーを失っても、ROHとCMLLとの契約を重視した新日本の決断は、今のところ間違っていたかったと思う。

少なくともセミとメインはどんたくで完結した素晴らしいストーリーだったし、これで終わってくれてもよかったくらい。それくらい例年になく盛り上がった初日のどんたくだった。

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