[プロレス観戦記] プロレスリング華☆激『博多☆エストレージャ』~復活平成維震軍~観戦記

せかぷろ

イントロダクション

折からの台風11号の接近に伴い、前日ぎりぎりまで交通手段の確保が最大の難関になってしまった。土日なんで小倉~博多間往復3090円の新幹線がベストではあったんだが、それも列車が動かなければ何にもならない。

最悪会場まで車で乗りこむかどうするか?最後まで悩んで翌朝・・・なんと台風は微妙にそれて、外は風どころか雨すら降ってないではないか!やはり最初からあきらめていては何も始まらないのだ!

中に入るとすでに列ができていた。越中効果もあってか久々の超満員。そして一番驚いたのはすーさんこと鈴木さんがレフェリー服を着ていたこと。いや、何かの冗談かと思ったら第一試合でレフェリーデビューするという。

これは一番のサプライズだった。しかし努力家の鈴木さんだからきっと練習したんだろうなというのはわかった。これで華☆激に旗揚げ当初からまとわりついていた慢性的レフェリー不足も解消されるといいな。

オープニング

OPアクトはゼロダッシュの二人がつとめた。相変わらず元気があっていい。

そして彼女たちのステージのあと、彼女たちのアナウンスで選手入場式。これはなかなか斬新だった。ぜひ他会場でもやってほしい。でもここで名前を「はるか」といい間違えられた刃駆はずっとその後も「はるか」って呼ばれ続けていた。ある意味おいしいなと思った。

それにしても飛行機組の多い華☆激でこの状況。皆やきもきしたと思うが誰一人としておくれずにこられたのは奇跡に近いといっていい。こういう奇跡がおきると面白くなるんだよね。プロレスって。

第1試合 “剣(ブレイド)”刃駈初見参! 20分1本勝負

○KING(9分0秒 片エビ固め)刃駈●
※キン肉バスター

刃駆はUSTでは何回も試合を見ているが、意外と生で観戦するのははじめて。試合自体にすごく興味があったのと、相手が今伸び盛りのKINGということもあって、体格差はあるけれど面白い試合になるのではないかという期待がもてたカードだった。

ましてやコスモとのタッグを本格始動されたこともあって、今後華☆激常連として新しいシーンを作っていってほしい。

しかし飛び技の精度はもう少し高めないと無駄なケガが増えそう。また見た目だけサムライではなく、やはり越中のようなたたずまいをもてばもっとよりサムライらしくなれると思う。

KINGはまさに横綱相撲だった、本当試合に安定感が出て今や全く心配しないで試合が見られる。もっともオフリングでは相変わらずらしいんだが^^でもこういう戦力がいるのは華☆激の魅力である。

ミスタースーとコールされた鈴木さんは安定のレフェリングで全く問題なかった。何年練習してもへたくそな人はへたくそなんだが、鈴木さんの素質がこういうところにもあったというのは正直意外すぎた。でも人の裏方で支えるというのは大事なこと。これからも無理ない程度に頑張ってほしい。

第2試合 小川聡志復帰戦! 60分1本勝負

○スカルリーパーA‐ji&アズールドラゴン(13分04秒 アンクルホールド)小川聡志●&幸村ケンシロウ

5月の試合で早々に戦線離脱を余儀なくされた中年の星・小川聡志の復帰戦。正直欠場を繰り返すようになってやや体がしぼんできた感じはあるし、実戦の勘という意味でも不安要素は大だった。

しかしパートナーの幸村にしろ、相手のダークサイドにしても全員アラフィフというのが救いといえば救い。

若い選手の中に混じれば、かなり痛々しいかもしれない小川がこの中だと、若々しくみえる。この辺は高齢化する九州のプロレスシーンが珍しく役に立ったともいえよう。とはいえ、幸村もダークサイドも無駄に元気が良すぎて若い。

とにかく次の世代がなかなか出てこられない要因になってるくらい若いんだから、油断は禁物。

で、試合はとにかく小川以外の三人が異様に元気。特に同い年の幸村の無駄にすごいコンディションには驚かされる。久々に強くてこわい幸村の試合をみたな。

これみてると林田あたりが老け込むにはまだまだ早いとしかいいようがない。そして普段ラフ一辺倒のダークサイドが小川の足殺しのためにもってるレスリングテクニックの引き出しをがんがんあけてきたこともうれしかった。

まあおかげで小川は関節技のサンドバッグ状態になったわけだが、やはり我慢するだけがプロレスではないのだ。

死ぬまでプロレスをやりたければ、一年でも二年でもいいから休んで万全の体を作って出直すべきだと思う。いくら裏の事情があったとしてもだ。

第3試合 【博多ライトヘビー級選手権試合】 60分1本勝負

○<挑戦者>コスモ☆ソルジャー(15分11秒 フランケンシュタイナー)<王者>HANZO ●※王者HANZOが4度目の防衛に失敗。コスモが第15代王者となる。

気が付けば博多のベルトなのにずいぶん長いことあっちこっちを放浪している博多ライトヘビー級。

ま、箔がつくといえば箔がつくんだろうけど。いろいろこのベルトには思い出もあって、福田雅一がなくなってリングサイドで黙とうした日に天神でこのベルトの初代王者を決めるトーナメントがあったし、それからも色んな闘い模様をこのベルトに刻み込んできたのが走馬灯のように思い起こされる。

あれから幾歳月・・・・なんだかんだいって九州では最古の部類に入るベルトになってしまった。まあライトヘビーなんで厳密にいうとメジャーのジュニアクラスだと体重オーバーで挑戦できないのもミソなんだが、それでもこれほどあちこちの団体の選手が巻いているベルトもそうはないだろう。

しかしもともとは団体の顔であるべきベルトが、これほど長い期間流出をしてるのは、やはり問題だろう。九州在住ではないにせよ、華☆激所属のコスモがそもそも長い流出の先鞭(対エル:サムライ戦)をきったことを考えると、コスモにはどうしてもベルトを自団体に取り戻す責務がある。

アステカが巻いてもそりゃいいんだけど、今みたいにしがらみもない自由な立ち位置の方がイキイキしてみえていることを思うと、やはり今はアステカ以外の誰かが取り戻さなければ意味がないのだ。

試合は二手先、三手先が全く読めない展開。グラウンドが多い中、時折見せる軽業がとても効果的に映える。

そして信じられないほどスピーディー。試合の八割はHANZOが支配していたといっていいと思う。そのくらいHANZOは強かった。

いや、みちのくにいたころにはここまで盤石なチャンピオンになるとは想像もしてなかった。もともとテクニシャンではあったけど、でもやはりこの試合が重厚感をもったのは、やはり相手がコスモ☆ソルジャーだったからだろう。

手の合うもの同士の試合でありながら、一切の妥協がない。やはり生真面目な二人ならではのタイトルマッチだった。

試合は大逆転のウラカンラナでコスモが大逆転勝ち。なかなか決まらなかったフットスタンプを決めた後に畳み掛けたので、あのタイミングでないと勝てなかったかもしれない。

でもこの内容なら文句なし。試合後、刃駆と共に今度はタッグのベルトを狙うと宣言。今までなかなか欲のなかったコスモがはじめて「上」を目指すと宣言したことは興味深い。

第4試合 復活!!平成維震軍 60分1本勝負

青柳政司&○越中詩郎(11分51秒 エビ固め)アステカ●&新泉浩司
※パワーボム

さてお待ちかね。台風をも吹っ飛ばしたケツパワーが福岡上陸。もともと夢ファク時代からアステカとは親交があり、特に名古屋大会では準レギュラーみたいな扱いだった青柳館長と、最も縁深い越中が華☆激初登場。こういう意外性のある参戦選手がくるのも華☆激の魅力のひとつでもある。全方位に門戸を無駄に広く開けている分、結構意外な大物選手が来るのが面白いところなのだ。平成維震軍復活といううたい文句も、もちろん魅力的ではあったのだが、そもそも越中のデビューは全日本。その全日にあこがれてプロレスをはじめたという新泉が対角線にいる。メジャー経験を多く積んで選手スキルをあげるにはもってこいの相手だと思う。ここはアステカが全面にたつというより新泉浩司という存在を越中の身体にきっちり刻み込むのが、見どころのメインになると勝手に踏んで試合を待った。

で、ひとつ見誤っていたことがあった。それは越中と館長のコンディション。けがの多い館長はともかく、ここまでコンディションのよさを売りにしてきた越中がけがで長期離脱が多かったこともあって、年齢も加味すると復活したはいいけど、平成維震軍も見納めかなと思っていた。

が・・・・大きな誤算すぎた。先発した館長と新泉がバチバチやりあうとその余波を買って越中がヒート。まあ飛ばす飛ばす。そしてやはりでかい!昔の全日ではジュニアクラスだった越中がこんなにでかいとは!そのうえ、ヒップアタックもパワーも往年となんら変わらない。ここまでグッドシェープを維持するってある意味すごいこと。レジェンドクラスとは別物の「現役」のすごさをまとっていた。

ぶっちゃけ二人とも50代後半なのに他の誰よりも若く見えた。あの元気印の新泉が放った大人げない蹴りにかちんときた館長は倍返しで蹴り返し、場外戦まで挑んで活き活きしてる。実は三年前に左目が不自由になられている館長なんだが、蹴りの精度は全く衰えてない。というかその事実をあとで知って鳥肌が立った。

両目が見えている新泉の蹴りより館長の蹴りは正確無比だったからだ。やはりこの人たちは器が違いすぎる!越中もアステカにガツンガツンとケツをたたき込んできて、それにいちいち会場が熱狂。いや、二人とも昔の名前だけでも十分試合できるのだけれど、そこに甘んじない姿勢もまさにプロだと思った。

あまりの維震軍ペースに華☆激勢は劣勢の一途。なんとか挽回しようとしても焼石に水といった感じだった。しかしそれでいて新泉もアステカもどこか楽しげだったのも印象的だった。試合は高角度パワーボム一発で越中がアステカからピン。

なんとアステカ、一週間でメインイベント2連敗!決してコンディションが悪いわけではないが、この日は正直試合みてて勝てる気がしなかった。いやあ、プロレスは奥が深い。そして越中のグッドシェープぶりには本当に舌をまいた。

救いなのは試合後、「今度はシングルマッチでやってやる」と越中にシングルを要求したアステカがとても充実した表情をしていたこと。

最後はアステカが「あの二人をこえていかないといけないんだよ。でもメジャーの選手とやると楽しいだろ?新泉?俺たちはあれを目指そうよ」と弟子ととも自身の奮起も促していたのが印象的だった。

よく冗談で「アステカさんって負けた試合の方がいい試合しますよね」といってるんだが、まさに今回もそうだった。アステカの負け試合にはずれ無しという変なジンクスもきっちり更新されてしまったんだけど。

後記

試合後打ち上げに参加させてもらって館長やアステカさんから楽しい話をいっぱい聞かせてもらった。これはやはり私だけの財産にしておきたい。

本当に館長は謙虚で腰が低くてレジェンドなのに偉ぶったところがないのは感動した。端々で出てくる漢気が全く嫌味なく聞こえるのだ。これがやはり長年誠心会館で多くの弟子を指導してきた館長の仁徳なんだなあ。

お話をさせてもらってすっかり館長のとりこになっていた。終電が迫っていたのでせくようにサインと写真をお願いしたけど越中選手も館長もアステカさんもみな快く了解していただいた。ありがとうございました^^

楽しかったです!






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