[プロレス観戦記] 『ヤングダムズプロレスin広島 ~ダムズの未来は俺が作る~』( 8月19日(日)広島・広島産業会館西館大会)

せかぷろ

『ヤングダムズプロレスin広島 ~ダムズの未来は俺が作る~』( 8月19日(日)広島・広島産業会館西館大会)

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イントロダクション

後楽園に続いてのプロレス観戦はまたしてもFREEDAMS。東京いるときも台風が接近していたが、広島でも台風、しかも二個も接近中との報が。多少涼しいのはありがたいが、あとがひどいことになりそうなんで、あまり歓迎したくない。

今回はがむしゃらプロレスだけでなく、エゴイストから土屋クレイジー、愛媛からライジングHAYATO も参戦。何げに群雄割拠の匂いがするメンツが集まった。果たして群雄割拠同様、ヤングダムスが新たなブランドになりうるか?注目したい。

広島産業会館は例えていうと、海峡メッセを少しコンパクトにした感じ。フラットな会場なんで、グラウンドは見にくいが、多分デスマッチとかにはむいてそう。かくして二転三転しながらようやく落ち着いて試合開始を待つことになった。そして殿の口から第1試合のみ子どもさんがリングアナ体験に入ることが告げられた。

◇練習生チャレンジマッチ

〇GENTARO vs ×練習生鎌田(アキレス腱固め)

チャレンジマッチというなら実は、殿や杉浦の方がわかりやすいといえばわかりやすいプロレスをしてくる。もちろんGENTAROにも出来ないわけではないが、一捻りふたひねり加えてくるのが、GENTAROのプロレスには多い。

ある意味、スフィンクスのナゾナゾのような問いかけを対戦相手は解きながら試合をしなくてはならないかもしれないのだ。逆にいうといきなりデビュー前にGENTAROと一騎打ちができるチャンスなんてそうはない。FREEDAMSとして練習生鎌田にかける期待の表れともとることができる。

さて、試合は派手さのないスパーリングのような試合。練習生鎌田は、ちゃんと練習している体つきだし、GENTAROが繰り出す基本的なグラウンドも一通りついていっている。

だが、やはりポイントポイントではGENTAROに主導権を握られてしまう。やはりグラウンドは自分でコントロールしているのと、先輩の流れについていっているだけ、では大きな違いがある。

自分でグラウンドコントロールができている場合は、スタミナ配分も自分で調整できるため、体力の消耗は少ない。しかし、相手のペースについていくだけでは、休むことも出来ず、自分のスタミナもロスしてしまうため、終盤で息切れしてしまう。

デビュー前の鎌田には酷かもしれないが、やはりグラウンドコントロールのうまさではGENTAROに勝てるはずもない。

一見するとパワーではGENTAROを凌いでいたかのようにも見えるが、ダメージを喰らわない技は受けて、ダメージが残る技は決めさせないGENTAROに、このあたりもいいようにやられていた。おかげで攻めている鎌田が電池切れして、やられているGENTAROが息一つ乱れていないという、新人対先輩のカードではありがちな展開に陥る。こうなるとはっきり言って、鎌田に勝算はない。最後、時間切れ寸前でGENTAROがアキレス腱固めをガッチリ決めて余裕の勝利。

プロレスというのは若さと勢いだけではどうにもならないわけだが、唯一救いがあったとしたら、制限時間いっぱいまで、何とかGENTAROにくらいつけたというところだけだろう。道のりは険しいが、新人なら誰でも通る道。もちろんGENTAROだってそこがあっての今なのだから、鎌田にもきっと明るい未来があるに違いない。

◇がむしゃらプロレス提供試合

〇KENTA&鉄生 vs ×HIROYA&美原輔(スーパーノヴァ→体固め)

がむしゃらプロレスは定番とも言えるドリームチューバー対LCRというわかりやすいカードを持ってきた。ここでキーマンになるのは、やはり美原である。技数が少ない上に、一発一発が軽いために、スーパーヘビー級相手だと今までの攻撃パターンが通用しなくなってきている。かといって、急激な増量は技のキレを失わせてしまう。

美原にHIROYAほどの体格があれば問題ないんだろうが、こればかりはいくら言っても仕方ない。

さて、試合は美原が先陣を切ってLCRに襲いかかる。たしかに一発の軽さについてはかなり改善されていて、だいぶヘビー級らしい攻撃が見られるようになった。

しかし、この日の美原は自身の課題解決にはやっきになっていたものの、チームとしてはバラバラなまま、試合をしていた。サムソンと組むときは流れがきれいすぎるのだが、その他の選手と組む時はタッグチームにはみえないという傾向が見られる。

基本、私は美原という選手は、シングルプレイヤーだという認識があるけど、タッグマッチを1+1だけでやっても勝てるはずがない。やはりチームリーダー的な役割を担うならば、きれいすぎるのもダメだし、単独で闘いすぎるのもよくない。ましてや時期タッグ王座に挑戦が決まっている以上は、これではなかなか先が見えてこない。

逆にLCRはバラバラで戦っているようで、なかなかローンバトルには陥らない。一度KENTAがローンバトルになりそうにみえたが、鉄生がキチンとフォローしていたし、そもそもKENTA自身が自力で挽回したので、このあたりにチームとしての地力の差がみえていた、と私は思う。

ただ、こうしたアウェイ感たっぷりな場所でも全く動じないHIROYAのストロングメンタルには驚愕するほかない。いつもどおりにしようとしても力が出ないのが普通なんだが、北九州と全く変わらないファイトスタイルには眼を見張る。

特にカチ上げ式のエルボースマッシュは、長身を生かした有効な武器になりえるし、実際迫力も満点。ぜひ磨いてHIROYAの技にしてほしい。

そのHIROYAだが、ここぞという時に美原から分断され、あれよあれよと言う間に、LCRの連携により孤立。最後はKENTAのスーパーノヴァが炸裂して敗北を喫したが、正直今のHIROYAにはタッグよりシングルをやらせてみたい。そうなると、この秋のGAM1があるわけだけど、未体験ゾーンに入るHIROYAの可能性にも期待したい。

ただ、問題なのはドリームチューバー側のタッグワークが思った以上に機能してない点で、これは9月のタイトル戦までに修正できないと、見通しは厳しいかもしれない、と私は思った。

◇タッグマッチ

〇ミエド・エクストレモ&シクロペ vs ライジングHAYATO(愛媛プロレス)withキューティエリー&×香取貴大(イーグルプロレス)(ムーンサルトプレス)

群雄割拠其の三では、若い世代の中で唯一スタミナ切れをおこして、戦線離脱してしまったライジングHAYATO にとっては、この試合は汚名返上、名誉挽回の大チャンス。ましてや隣にいるのが、後楽園と同じ、イーグルプロレスの香取とあれば、なおさらだろう。

心強い反面、香取には負けたくはないだろう。しかし、隣を気にして試合ができるほど、対戦相手が優しいわけではない。ある意味ライジングHAYATO には四面楚歌にもなりうるが、かといって我を出しすぎても試合にはならない。非常に難しい局面が予想されるのだ。

先発こそ自ら買って出たライジングだったが、試合の大半は香取が出ずっぱりに。見た感じ、同じコーナー同士で出し抜き合おうとしているようには見えなかったが、連携の点ではやはりタッグチャンピオンが一枚も二枚も上手。やはり経験値の差はいかんともしがたいのか。

たまたま後楽園ではライジングHAYATO が狙われただけで、ターゲットが香取に変わってもあまり変わらないなら、やはり問題がある。それでも諦めずに粘り強くくらいついた若手チームは、明らかに後楽園での体験が糧になっていた。そこはさすがは若さの特権。伸び盛りの選手は成長も早い。

しかし、若き力が出てくるなら、先んじてその芽を摘み取るのがチャンピオンの力でもある。正直、終始危なげない上に、絶対にローンバトルにはならない。こちらも、後楽園でチームメイトをローンバトルにして、黒星を喫した教訓を生かしてきていた。

チャンピオンも課題を持って試合に取り組んでいるとなると、やはりどうしても経験値の差が結果を分ける。最後はまたしても香取がつかまり、タッグチームに翻弄されて力尽きた。

メキシコチームは伊達にベルトホルダーではないところを見せつけた。クリアすべき課題も短期間でクリアしてきたし、穴らしい穴もなかった。ライジングHAYATO らがクリアしてきた以上に、チャンピオンが軌道修正してきていたので、予想外に力の差が出た試合だったように私は思った。

◇タッグマッチ

杉浦透&×ヘイセンバーグ vs 〇平田智也&土屋クレイジー(Egoistプロレス)(片逆エビ固め)

昨年末の群雄割拠で後楽園デビューした土屋にしてみたら、広島はいわば準ホーム。前回がアウェイなら、今回はそうではない。

しかし、格下とみるや容赦なく潰しにかかる杉浦は、多分平田にも、もちろん土屋にも情け容赦はしないだろう。ホームとはいえ試練の闘いになることは想像に難くない。

ただ、杉浦もヘイゼンバーグを引っ張る立場としてシングルと同じ戦いかたはできないのだ。そこらへんがどう明暗を分けるか?

先発からバトンを繋いだ土屋は杉浦にグラウンド勝負を挑む。これに対して杉浦は難なくリードしてしまう。総合格闘技をバックボーンにもつ土屋の動きを簡単に見きって、あっという間に優勢に立つというのは、驚くべきことである。

寝てはグラウンドで圧倒。立てば渾身の打撃を振り抜いてくる杉浦の圧力の前には、土屋はもちろん、平田も圧倒される。特に中盤で土屋に見舞ったキャメルクラッチは陽樹にかけた時と同様に厳しい決まり具合。青息吐息でロープブレイクに成功した土屋だったが、シングルだったらヤバかったかもしれない。

しかし、勝ち目があるとしたら、キャリアで劣るヘイゼンバーグであり、見た限り平田と土屋も狙いをつけていたようだった。杉浦がいくら一人で二人をなぎ倒しても、ヘイゼンバーグの出番で潮目が変わるというのは、やはり勝敗に大きく影響を及ぼす。

しかも、杉浦が土屋を深追いしすぎてリング外で派手な場外戦を繰り広げている間に、リング上では粘るヘイゼンバーグを平田がボストンクラブに捕獲!なかなかタップしないヘイゼンバーグに、ならばと平田は片逆エビ固めに切ってとり、ついにヘイゼンバーグは力尽きた。

杉浦にしてもまだ発展途上の選手ではあるけれど、誤算はやはり土屋を深追いしすぎたことにつきよう。逆に土屋からしたら、そこまで杉浦が自分を意識してきたことについては「してやったり!」だったのではないだろうか?

メインイベント・タッグマッチ

進祐哉&×ドラゴン・リブレ vs 近野剣心&〇青木雄基(ダブプロレス)(ノーザンライトスープレックス)

群雄割拠其の三ではunchain にいいとこなく敗れ去った近野も、ホームで再起をかけた一戦。とはいえ元々広島人である進にしてみたら、これは凱旋試合になるわけで、アウェイ感はそれほどないだろう。

しかも進と近野のファイトスタイルは極めて似ているというハンディもある。残念ながら経験値の差では進に分があろうから、近野としてはホームだからという気負いなく、闘えると面白くなってきそうだ。

加えてはじめてみる青木のスキルも気になるところ。ダブにはイキのいい若手も多いので、是非ともこの中に埋もれない活躍をしてほしい。

言っても大会のメイン。地元ながら他団体の大トリなんて、そうそう体験できるものではない。やはりこの試合がメインにふさわしい試合になるためには、ダブ勢の奮起いかんにかかっている、私は思っている。

さて、初めてみる青木はなかなかの実力者。筋肉質な肉体は肌の白さが気にはなるものの、しっかり練習しているであろう跡がうかがえる。

私がポイントとしてみていた進と近野の絡みはやはり進がグラウンド、蹴り共に近野を圧倒。まだまだ実力にに開きがあることを見せつけていた。どうも近野は脇腹を痛めていたようで、テーピングしての出場だったけど、動き自体に影響はなかったようにみえた。

むしろ、進のコンディションの良さが際立つ結果になったとも言える。ただ、この四人の中で、唯一飛び抜けた力がないと見受けられたのが、ドラゴン・リブレ。

やはりダブの狙いもリブレだったようで、進を深追いはしない。逆にリブレの出番の時は二人がかりで追い討ちをかける。ホームの優位性も味方につけて、進に主導権をとらせなかったという意味では、近野と青木の作戦勝ちだったのではないか?

後記

試合後、マイクを持ったリブレが自身と青木の関係に言及。その上で「今度広島でヤングダムスをやる時は必ず青木さんから勝ちたいです」と宣言した。キャリア的には若手の成長を促す立場の進にしても、それは望むところだろう。

逆に近野たちダブ勢はアウェイでの闘いっぷりに課題があるわけで、ホームのようなのびのびしたファイトが後楽園でも出来るようになれたら、いよいよ本物だろう。

全体的にやはりベテランとの力の差は明らかだけど、若手の経験値をあげるためにはこうした大会は必要だと私は思う。できれば新木場や広島だけでなく、全国でヤングダムスが見られる日が来ると、それはそれでおもしろいと思うが、全ては若い世代の頑張り次第。ヤングダムスをFREEDAMSのブランドに育てていくのは彼ら自身なのだから。

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