[プロレス観戦記] がむしゃらプロレス・イベント試合・第14回 撥川(ばちがわ)ホタル祭り

がむしゃらプロレス観戦記

がむしゃらプロレス・イベント試合・第14回 撥川(ばちがわ)ホタル祭り

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イントロダクション

撥川ほたる祭りは昨年に続き、がむしゃらプロレスとしては2回目の開催になる。更に2年連続で晴天にも恵まれた。ただ、小文字祭同様屋根のない屋外スペース。しかもキャンバスが黒いがむしゃらプロレスのマットは、こういう天候下ではまさに天然のフライパン状態になる。

それでなくても、全国的に5月とは思えない猛暑に襲われている2019年の日本列島。もちろん北九州だって例外ではない。ほたるの出る時期がどこかに行ってしまったかのような酷暑では、お祭りを最初から楽しめる余裕はない。

オープニング

というわけで、下関から戻ってなるべく体力を温存しつつ、だいたいプロレスがスタートするであろう時間帯目指して家を出た。黒崎までは、割とあっという間に到着したもんで、時間まで日陰でライガー出演のラジオ聴きながらイベントをぼんやりみていた。

やはり日差しの強い中、出し物見るのは自殺行為。去年は要領がわからなくて、炎天下でずっとイベントみていたんだけど、昨年の反省から今年はなるべくプロレスと関係ない時には近寄らないようにしている。

ちなみに、リングはステージがわりに使われており、先にロープを張らない状態でイベントがスタート。プロレスの時だけロープを張り、後半のイベントのためすにロープを外していく、というスタイルで行われる。今更だが、この作業に関しての手際の良さには感心するほかない。

さて、撥川ほたる祭りというのは、先週の小文字祭とは一見さんの層がまるで異なる。昨年も感じたことだが、黒崎の子どもたちは非常に元気がよくて素直。だからこそ、プロレスを通じた地域貢献をがむしゃらプロレスがしたいのであれば、十分に注意が必要になってくる。このあたりは長くなるので最後にまとめて書いておこうと思う。

▼タッグマッチ(30分1本勝負)

①×リキ・ライタ & 豪右衛門 vs ○KENTA & シドニー・昌汰・スティーブンス
(岩国プロレス)(7分50秒/SUPER NOVE)

3月のラーメン選手権内の門司港イベントで、いきなり「汰コントラ汰」で敗北を喫してリングネームを剥奪された力 雷汰あらためリキ・ライタ。その門司港以来となる因縁の相手、シドニー・昌汰・スティーブンスが再来襲。再びリキと対峙することになった。

前回はgWo側にいたシドニーだが、gWo解散と共にLCR側につき、豪右衛門との対決が実現。これは見所の一つになるだろう。味方になれば心強いが、敵に回すとやっかいな存在。

試合は豪右衛門とシドニーのマッチアップでスタート。予想以上に迫力のある攻防に見入ってしまった。シドニーは荒削りだが、パワーに関してはがむしゃら随一の豪右衛門と真っ向勝負ができる逸材であるのは間違いない。

一方、先週は口も試合も自由気ままだったリキは、序盤にドラゴンスリーパー、後半にドラゴンスクリューからの足4の字固めと、なぜかドラゴン色全開のファイトスタイルで頑張ってはいたが、いかんせんシドニーと当たるとどうしても体格差が攻略できずに当たり負けしてしまう。

このあたりは、「内弁慶」なリキ・ライタがクリアしなければならないポイントかもしれない。体格的には上背に恵まれていないにも関わらず、ヘビー級で闘う以上は、シドニークラスの攻略は必要不可欠。真っ向勝負で勝てないなら、変化球でもなんでもいいので丸め込むとか、いろいろ工夫していくと道が開けていくかもしれない。

▼タッグマッチ(30分1本勝負)

②TOSSHI & ×鉄生 vs HIROYA & ○トゥルエノ・ゲレーロ
(12分31秒/レランパゴ)

四月の大会でgWoを解散に追い込みながら、その直後に内紛をおこしてKENTA派と鉄生派に別れたLCR。対するGWAタッグチャンピオンチームになったHIROYA&ゲレーロとしては、ノンタイトルとはいえ、強敵を相手にするわけで、ドリームチューバーとしても正念場になる対決である。

チーム力としては、チャンピオンチームより長い鉄生&TOSSHIは巧みなインサイドワークで、若いHIROYAと鉄生を翻弄していく。場外戦でも常に優位に試合を進め、仲間割れしたはずのKENTAも加勢に入っていつの間にか2対3の様相を呈してきた。

だが、ここから大崩れしないのがさすがチャンピオンチーム。タイトル挑戦時もゲレーロの負傷というハンディを乗り越えて見事戴冠しただけに、もう駄目だというピンチすれすれのところで、うまい具合に味方にスイッチできていた。

なんとか自分のペースを逃したくないLCRはお互いが得意な打撃をもって、HIROYA攻略に出てきた。これに関してはキャリアの短い選手をねらってのことなんで作戦としては間違っていない。しかし思った以上にHIROYA&ゲレーロはタッグチームとして急成長していたし、ゲレーロがカットできるくらいに元気だったのも、LCRの誤算だったのではないだろうか?

結局、終盤まで常にツープラトンで攻めていた鉄生とTOSSHIが、最後の最後で分断され、なんとTOSSHIを場外に出してドリームチューバ―は鉄生をターゲットに定めてきた。

最後はドリームチューバ―の連携もズバリと決まり、最後はHIROYAがアシストしてゲレーロのレランパゴがさく裂。見事ヘビー級殺しのジュニアとして、チャンピオンチームがお家騒動にゆれるLCRを一蹴した。

エンディング

撥川ほたる祭りの場合、割とスケジュールがタイトになりやすい。これは黒崎ひびしんホール前の曲里の松並木公園が私有地ではなく、北九州市の管轄になっているためだと思われる。要するにイベント終わりだけでなく、撤収時間込みで市から場所を借り受けているはず。その割には出し物が非常にたくさんあるため、一チームあたりの持ち時間が短くなるし、延長する余裕もなくなってしまう。これはお祭りを運営する側の問題。

で、撥川ほたる祭りがタイトなスケジュールで進行している以上、持ち時間の中で伝えたいことを伝えきらないといけない。プロレス教室にしてもそう。単純にリングを体験してもらうというだけでなく、プロレスというものを肌で感じて、プロレスってプロレスラーってすごいんだ!と子どもたちに思ってほしい、と私はいつも願っている。

子どもは正直だから、一人を二人がかりで攻撃すると「いじめだ」「卑怯だ」という声が上がる一方で、「マスク」「はげ」「からあげ」など選手に敬意のない言葉もあびせかける。後半では「死ね」とまでいっていた子もいた。この子達がそのまま大きくなったら、北九州のスポーツ観戦が課題にしている汚いヤジの一掃どころか、汚いヤジを飛ばす大人を拡大再生産しかねないと私は危惧している。

では、マナーについての注意をする時間がない場合どうしたらいいか?それはイベントにありがちな実況をつけるとか、プロレス教室の中で注意するとかいくつか方法はあるだろう。

その場合、選手をちゃかしたような表現も控えたほうがいいかなとも思う。それはがむしゃらの常連にとってはファンサービスなんだけど、一見の子どもさんたちには区別がつきにくい。それがプロレスや選手への敬意を抱かなくなることにつながっていくだろう。

また、場外乱闘も「あえて」選手には近づかないよう促すことも大切。結果、乱闘に巻き込まれて子どもがけがをしたら、イベント自体が中止になりかねない。その場合のダメージは計り知れないものがある。このあたりが今回の撥川ほたる祭りで浮かび上がった課題ではないかと私は思う。

後記

うるさいことをいうようだけど、私はこの初夏のお祭りはとても雰囲気も良く、好きな空間であるだけに、このお祭りを通じて、子どもたちによりプロレスを好きになってもらいたい。私が守りたいのは特定の団体・個人ではなく、「プロレスそのもの」だからこそ、ここまで書いた。

イベントは水物だから失敗して悪いわけでもない。試行錯誤しながら少しずつ良くなっていくといいわけだし、うまくいかなかったときは次回にその反省を生かせばいいだけのこと。がむしゃらプロレスの次回に私は大いに期待を寄せている。

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