[プロレス観戦記復刻版] 全日本プロレスANIVAERSARY TOUR 2010 第10戦下関大会

せかぷろ

全日本プロレスANIVAERSARY TOUR 2010 第10戦下関大会観戦記 (2010.10.22.FRI:海峡メッセ下関)

イントロダクション

この日も当たり前に職業訓練基金の授業受けていた。 で、実は直前までいく気はなかったのだが、毎日がハード過ぎて、心がぼろぼろになっていた。加えて、普段あいていない時間の居残り自習が出来ると聞いて19時開始でしかも学校から歩いて5分のメッセに大好きなプロレスが来ていて素通りしろというのは無理な話。そもそも下関で数少ない生観戦の機会。 昼休みに散歩兼ねてメッセまで歩いていってみたら丁度リングを組み立てていた^^

で、自習も終わり、10分前に出てケータイ開いたら登録したはずのマスターの番号が入っていない。困り果てていたら、先にいらしていたジェロニモ選手が声をかけて下さりなんとか入る事が出来た。リングではヒールのジェロニモ選手がこのときは神に見えた。本当に私のケアレスミスを救っていただいて感謝感謝!!

オープニング

当然大和のマイクから完全にみる事が出来た。でもマイクは大和のみ。いつもだと邪魔してくるブードゥーマーダース(VM)も出てこなくて何か拍子抜け。

第1試合 シングルマッチ 30分1本勝負

〇西村 修 対 ●NOSAWA論外(12分29秒:逆さ押さえ込み)

第一試合からいきなり渋い組み合わせまあ人間性では、問題があっても西村はうまいし論外の実力は折り紙付き。 ロックアップからリストやアームの取り合い...を先に仕掛けたのは何と論外の方からだった。 西村のブランクは自業自得なのだが^^
まあ試合に出られるだけの準備というか 今までの貯金がものいったかな^^

論外の引き出しはああ見えて意外に多い選手なのだ。今回は完全に「西村の土俵で相撲とって」いた。ちゃんとヘッドアームシザースからの倒立も(二度目には)成功させて見せ場も作る事を忘れない。 そして中盤からしっかりと西村の膝に攻撃を畳みかけ、4の字の攻防に持って行ったのは見事。途中西村が反転させるも、 論外が再びひっくり返すという古典的ムーブをまさしく「教科書どおり」に見せた論外のこの日の組み立てこそ「無我」だった。

西村の商品価値を下げず、自分の仕事はきっちりこなしたまさに「プロフェッショナル. レスリング」だった。最後はこれまた渋い逆さ押さえ込みの攻防を西村が制したけど、論外プロレスを本格的に堪能したので文句ない^^

最後も自ら礼を求めていった論外の方がよっぽど「無我」だった。でも選挙で鍛えられたのか西村の説法が短かったのは救い。
しかしあの口ぶりだとまだ政界に色気たっぷりといった感じだった^^

第2試合 タッグマッチ 30分1本勝負

〇カズ・ハヤシ&KAI 対 大和 ヒロシ&●BUSHI(14分12秒:後頭部蹴り→片エビ固め )

カズには横浜で防衛戦やる前の最後の試合。武藤戦をどの辺で意識しているのか気になっていた。ただ相手は同じジュニアでしかも格下(失礼!)である。先発はカズ対大和で序盤はいわゆる「チェーンレスリング」の展開に。しかしカズは一旦間を外してリング下へ。

ここでKAIにスイッチすると大和もBUSHIへスイッチ。すると静かな立ち上がりから一転ルチャムーブに移行。場外にたたき出したKAIにBUSHIがトペ敢行!しかしBUSHIの技は全体的に軽くてKAIの反撃をあっさり許すと再びカズが出てくる。ここではBUSHIのムーブにカズがつきあう感じに。

で再びKAIと入れ替わり、カズは大和を牽制。その間にBUSHIをハーフボストンで絞るKAI。カズ組はダブルで攻撃をしかけて
とどめにカズがBUSHIの背中に強烈サッカーボールキック。だが何とか大和のフォローもあってBUSHIは大和にタッチ。変わってでたKAIに大和が強烈スピアー。そしてコーナーから投げ捨てると起き上がりこぼし式で続け様にミサイルキック。

大和押せ押せの展開もKAIの三角跳び蹴りで形勢逆転!空中弾ありいのでジュニア戦らしい展開に。ここで大和はBUSHIにタッチするも変わったカズは、BUSHIが一瞬サードロープにのぼる間に出来た「間」を見のがさない。BUSHIがパワーボム狙いに来た所をこらえてBUSHIの後頭部にカズが強烈な蹴り。これで勝負あった。

第3試合 シングルマッチ 30分1本勝負

浜 亮太 対 MAZADA(7分37秒反則(KENSOとKONOの乱入)

まあ、これも地方向けというか、わかりやすいカードである。要するにMAZADAが動き回って浜にぶつかって派手に吹っ飛ばされれば、それだけで絵になるのだ。

で、実際その通りの展開に序盤は終始。しかしそれだけだと単調になるので、そこは経験豊富なMAZADAだけにうまく間を作って、リング下に降りる。「お前、降りてこい」「お前こそ上がってこい」のやりとりに会場から「(浜の)足狙え」というヤジにMAZADA「順番あるから」とうまい返し。

そして今度は「自分の土俵」に浜をのぼらせる。うまいタイミングで間を外すMAZADAにいらついた浜は若さ故か口車に乗って場外にでてしまう。が、でようとした瞬間を狙ってMAZADA巧妙にロープを浜の股間に激突させ、これで悶絶した浜をいよいよ「料理」にかかる。足をぐりぐりさせながら「ごめんなさいといえ」といったかと思えば、今度は浜の膝のテーピングさして「はがせ」コールを要求。しかし間をたっぷりとって浜を「やすませた」MAZADAは、お約束通りヒップブッシュの餌食に。そして巨漢のお約束「ブッチャー式毒針エルボー」で畳みかける。

ところがここで何とVM入りしたKONOとKENSOが乱入!浜の足をパイプイスであっという間に固定!続け様にKENSOがイスの上からイスで一撃。ここで反則とられて浜の辛勝。しかしKENSOのイスさばきは鮮やかだった。

第4試合 6人タッグマッチ 30分1本勝負

〇船木 誠勝&鈴木 みのる&近藤 修司 対 TARU&チャーリー・ハース &●稔(13分44秒:アンクルホールド)

基本第3試合からは全て善悪の対決図式。船木はともかくみのるのベビーというのはプロレス回帰してはじめて見たかもしれない。とにかく全国的知名度では抜群の二人にみたまんま悪そうなTARUさん達にしてみればやりやすい仕事だったと思う。

それはみのるも分かっていたらしく入場から手拍子要求。会場は当然「か.ぜ.にな.れーっ」の大合唱。最近マイクを握っていなかったTARUさんが「おい、ようきいとけ。ここにおるチャーリーハース、もとWWEのチャンピオンだった男や。今日はチャーリーがお前らにプロレス教室をしてやるから、あんじょう授業うけいや、ほな、はじめまひょか」とこの一言で会場では「見慣れない外国人」だったハースが一躍船木.みのる達と同格かそれ以上かも、という認識を観客に与えた。うまいね~^^

先発はそのハースとみのる。もとチャンピオン様がどんなモノかなと低いタックルで突っ込むみのるをサッとかわすハース。手4つからハンマーロックへ移行するのも実に基本的。そして大舞台慣れしているので、基本的ムーブがシンプルでも伝わりやすい。なればとみのるは「パンクラスモード」の引き出しを開けて、膝十字。これはハースも警戒していたみたいでロープへ。

みのるは、船木にスイッチ。今度はハースの「受け」が試される番。船木は目的が三冠に絞れたせいか、夏のような「流した」プロレスではなくキチンとした「船木流」でまずキックの速射砲を決めていく。しかし蹴り足をキャッチさらハースに足4の字に持って行かれるが、冷静にこれをさばいて、デスロックに移行。

ここでブレイクした両者、それぞれ近藤、稔にスイッチ。キックで先制する稔をパワーで圧倒する近藤。このなかでは埋没しそうな近藤がしっかり存在感をだしていた。だが早くもTARUさんが場外から近藤にちょっかい。ここでみのる激怒してレフェリーに猛口撃。完全にベビーを楽しんでいる^^目的がなさそうな試合でもしっかり自分にテーマを課して遂行してしかも楽しんでいる。すばらしい!

そしていよいよTARUさんの登場だ。近藤との「闘龍門」対決!しかしTARUさんもプロ。「今のスタイル」で近藤の顔面をかきむしる。更にタイツの下に隠した凶器で近藤をめった打ち。そしてハースも続いて、キックからサイドネックロックで近藤を締め上げる。

スタンドに移行して活路を見いだしたい近藤だったが相手は上背もある。エルボー合戦を制したハースに馬乗りになられてマウントパンチ。しかしカウンター狙いに来たハースを近藤がパワースラムで斬ってとるとみのるにスイッチ。ここで出てくるVM
勢をあっという間に蹴散らしていく。そしてハースに卍固め!

更に介入してきたTARUさんにはドロップキック。だが手練手管のTARUさんはいつの間にか外していたタッチロープでみのるを絞首刑。ギリギリで難を逃れたみのるは船木にスイッチ。お互い蹴りが武器の達人同士。船木がマシンガンなら、TARUさんは一撃必殺のかかと落とし。両者とも譲らない。

ここで手勢を介入させ船木に総出で襲いかかるVM。みのるが辛くもカット。ここいらで乱戦の様相を呈してきた。

稔は船木を羽交い締め。しかしTARUさんの後ろにはいつの間にかみのるが。必殺チョークスリーパーでしめおとす。ここぞチャンスと船木は伝家の宝刀「アンクルホールド」で見事稔をタップアウト。

終わってみれば見応え十分の好試合だった。

第5試合 タッグマッチ 30分1本勝負

〇太陽 ケア&曙 対 ビッグ・ダディ・ブードゥー(BDV)&●ヘイト(12分13秒
TKO→片エビ固め)

曙って海峡メッセでみるのははじめてかもしれない。そしていつの間にかこの二人世界タッグ王者になっていた。だが入場時はなぜか曙が2本のベルトを肩にかけて入ってきた。やはり全国区の知名度は抜群で大.曙コールがおきる。

しかしBDVも曙に勝るとも劣らない巨漢。先発した両者がぶつかり合うだけで大歓声と大声援。BDVもただのデカ物ではない。曙のラリアットも「HAHAHAHA」と余裕で笑って受け止める。そしてケアにも大きな声援が。しかしヘイト先輩もなんか「小悪党」の定位置に落ち着いてしまった感が。このままでいいんやら...まあ、扱いにくい位置にいつもいるよね。この人。

まあ曙に踏み台にされたりやられ役としては役目を果たしていたけど。叫び声は「ディーッ」なのに巨漢故に浜同様ブッチャー式毒針でエルボーを落とすがカウントは2。しかし代わったケアがヘイト先輩をコーナーにつめてエルボー。しかし悪の連携はヘイトがケアをロープにふって外にいたBDVがカウンターでのど輪落とし。

ここでMAZADAが介入。混乱のウチにケアがつかまる。今度はBDVがロープをつかんだ状態でケアを踏みつけ。更にロープで腕を固定してのアームロック攻め。意外とでかいだけではないインサイドワークも見せた。

試合はここからVMがおせおせ。なぜかヘイト先輩がテリーばりのジャブをみせたりしてノリノのVM。だが曙にスイッチうると形勢逆転、エルボーからボディースプラッシュ...した上にBDVが曙の上からスプラッシュ。これでヘイト先輩ダメージ倍加^^

しかしMAZADAを介入させての勢いもここまで。ケアの2発目のハワイアンクラッシャーでへイト先輩ノックアウト。

とここで客の一人が何か「粗相」をやらかしたらしく若手につまみ出されていた。何があったのかは確認できなかったけど。

第6試合 6タッグマッチ 60分1本勝負

〇諏訪魔&真田 聖也&征矢 学 対 KENSO&KONO&●レネ・デュプリ(20分56秒:ジャンピングパワーボム→片エビ固め)

諏訪魔組はなにげに全員タイトルホルダー。いつの間にかアジアとっていた真田と征矢、そして三冠王諏訪魔。新世代軍の時はもうなにかひとつ足りないと思っていたが、果たして以前のような「お膳立てされたチャンプ」から脱却できているのかどうか?

そうそうKENSOもよく考えたら生で見るのははじめて。ケンゾーではなくてケンソーにしたのはメキシコからなのかな。体は以前より絞った感じ。言われなければ、もとラガーマンとは思えない。で、このKENSOにしろデュプリにしろ、モーションが大きく一発一発がわかりやすい。そしてシンプルで効果的な見せ方を熟知している。TAJIRIも然りだが、本当に表情の作り方、そして間合いの取り方、且つちょっと琴線に触れるか触れない程度のイヤミさ。このあたりは世界を知ったと自称するだけあってまさに「本物」だった。そしてうけっぷりもまたいい^^時々甲高い声で「ホーッ」と叫んではコールを要求するさまは、自信に満ちあふれていた。

まあこのなかでは征矢が一番難があったかな。背が小さい分逆水平を下から上へ押し上げるように打つより、そのままみぞおちに決めた方が逆に効果があったのでは?対巨漢対策ではまだ経験不足かもと思ってしまった。

とにかくKENSOとデュプリの「世界を知る料理人」に対して肝心の諏訪魔はどうだったか。まあこれだけ長い事くすぶって
いたおかげで、三冠とっても正直どうよ?という気で見ていた。もっとぶっちゃければ、まな板の上にお膳立てしても食えなかったのが今までの諏訪魔という素材だった。夏に見た時はみのるの料理のおかげでやっと「食材」に昇格した。

そして...ついに眠れる大器は覚醒した。まだ正直言えばVMのお膳立てあってのチャンピオンという感は否めない。が、
この日の諏訪魔はどんなに辛口の点数つけても申し分ない「メインイベンター」だった。アマレスエリートという下地を生かしつつ恵まれた体格を駆使しての攻撃は見応え十分。

対する長身のKONOがまだ「お勉強中」という感じなのと比べるとなおさら頭一つ以上抜け出しているのは間違いない。VMの乱入による6人がけ攻撃も耐え、乱戦に持ち込まれても、あわてないし逆にKONOのイスを同士討ちさせて、投げっぱなしジャーマン、立て続けにジャンピングパワーボムで見事デュプリから殊勲の...いや、もうそう言ういい方は失礼だろう。「順当」に三冠王者が見事メインを「締めて」「魅せた」!!

もしかしたら天龍効果かもしれないが、間違いなく、これならば全日本に武藤なきあとも「明るい未来が見えた」と思う^^

後でパンフ見たら表紙を飾っていた諏訪魔はいい表情していた。そしてリング上の諏訪魔もいい顔をしていた。くすぶり続けた男が長い眠りから覚めたのを見られたのは本当にラッキーだった。やはりプロレスは長く見ておくものだなぁ^^

締めのマイクも堂に入っていて「おい、VM、悪い奴はなフグの毒にでも当たって出直してこい」と西村がもう地元でも陰の薄い安部前首相の名を出したのとは対象的。まあちぃとベタではあったが^^

なおも食い下がろうとするVMに「早く帰れ」と諏訪魔が促すと場内から昭和ファン感涙の「カ.エ.レ」コールまで!そう、場内のお客も諏訪魔をメインイベンターとしても認めたのだ。「おい、KENSO!よーく聞け、俺が三冠王者の諏訪魔だーっ!」と高らかに吼えてベルトを掲げる諏訪魔は本当に格好よかった!

後記

ところが帰りに予想外の事が。何とどこの団体も配った事のないメッセの駐車券をスタッフのひとが配っているではないか!

ちくしょう。知っていたら車移動していたのに。結局倍の駐車料とられた。損した!でもまあ、当日で入ったと思えばいいか。
とにかく行ってよかった!!これでまた来週から頑張れそうだ!

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