プロレスリングMY WAYアートマーケットプロレスinルネッサながと
(2024年3月3日・日曜日)
イントロダクション
白内障手術にまつわる不便な日々が続き、がむしゃらもOPGもぼんやりした視界で観戦してきた2024年。
ようやくメガネも新調し、運転も大丈夫そうなんで、急遽チケット押さえて長門市に向かうことに。
プロレス観戦でいうと長門市農業者トレーニングセンターという会場があり、かつてはそこが長門市でのプロレス観戦におけるメッカだった。
しかし、同会場は温泉街からはめちゃくちゃ近いのだが、市街地からはかなり遠い。
逆にいうと、自宅からは近距離なので、市街地よりやや海寄りにあるルネッサながとは、遠いイメージしかなかった。
さて、昨年MY WAYは青海島で廃校プロレスを開催し、そのご縁でフリーマーケットに呼ばれてきたのが本大会。
昨年の今頃は母の入院直前でストレスマックスだった事を思うと、多少不安はありながらも、何とかなりそうな気がするから不思議なもんである。
下関→ルネッサながと
「ルネッサながと」とナビにデータ入れたら、片道約1時間20分とある。
自宅から北九州の黒崎あたりまでがそのくらいの時間かかるので、行けない距離ではない。
途中までできている長門道のおかげで部分部分スムーズに行けたが、山中の曲道は相変わらずで、結構ぐるんぐるんとうねるカーブルートに苦戦しながらルネッサながとに到着。
フリーマーケットが飲食スペースとして、観覧席を解放していたので、そこで開場まで観戦記の冒頭を書いて過ごす。
山口みたいな田舎ほど無駄な箱モノたくさんつくりがちだが、人口の割にルネッサながとって普段からこんなに利用されているのか?
アリーナみていると新日がきてもフルハウスは厳しそうな気がしたけど。
そもそも長門市に新日はこないだろうなあ。
開場
フリーマーケットとプロレスは別々の場所で開催されるため、入場口が開くまでしばし待機するため、30分前までのんびりしていたら、いつのまにかすごい行列が!
1時間前にきていて、誰もいなかったせいで、列並ばなかったのは失敗だった。
会場によっては事前に列が作れない場合もある。それだけにタイミングを見誤るとこうなるのだ。
オープニング
大阪のエディオンアリーナみたいに、ルネッサには第二競技場のようなスペースがあり、そこにリングが設置されていた。
まだ行ったことはないが、オートスタジオなら気にならないであろうポイントが、こうしたイベントではいくつか個人的に引っかかったため、それを交えながら観戦記を書いていこうと思う。
第一試合
○BEAST&ウラカン・マリーノ対×スエーニョ&ドラゴン・ユウキ
昨年末に見た時はまだデビュー前だったスエーニョに注目していたこの試合。両方ともパワー&スピードと見せる役割をきちんと変えていたら、もっと見やすい試合になったかと思う。
テーマとして新人を軸にして彼がやられてもやられても立ち上がる姿を見せるのが一番わかりやすい。
ただ、今回試合前からDJタイムがあり、そこからずっと大音量で音楽が流れていたせいか、スエーニョの感情が伝わりにくかったようにも思う。
音楽は近代プロレスでは欠かせない演出の一部であり、有効に使えばプロレスの魅力を増幅してくれる。
それは入場テーマ曲マニアである私も承知している。
だが、年齢を重ねたせいか、最初から最後までクラブで爆上げしているような騒々しさがだんだん苦手になってきた。
本番のWWEなんかだとずっとチャントや声援が途切れないけど、それは多分WWEだから平気なとこはあると思う。
一応がん患者でもある以上、後部に用意された椅子席で見ていたけど、爆音が苦手そうなお子さんやお年寄りの姿も散見され、途中で席を立った人もいた。
試合はBEASTがいわゆるボム系の技で、スエーニョから勝利。ただ正直自分も第一試合で疲れてしまった。
第二試合
○エル・ファルコ&RANMA対×フリー・シン・ザックソン&レフェリーマン
(スクールボーイ)
個人的には第二試合が一番わかりやすいプロレスを見せてくれたような気がしている。
なんでかというと、SNSで絡み出したザックソンとファルコの戦いが軸になっていたからである。
とはいえ、テンションがだだ上がりしているノリノリになっている選手・関係者とは裏腹に、私は既にクタクタになりはじめていた。
第一試合、第二試合、そしてメインとそれぞれテーマがあり、それに沿うだけで大会としては上手くいくはずなんだが、プロレスはナマモノであるが故に、思ったようにはならない。
私は15年くらい前から試合写真を撮影するようになったのだが、やはり選手がフルで動き回る試合ほどブレがちになる。
だから、箸休めではないんだが、ルチャだってグラウンドの展開が欲しかったりする。
ジャベは空中戦と同じくらいルチャの華であるはずなんだが、どうもテンションが上がり過ぎると、MY WAYの選手たちは、お客さんから歓声もらいやすい方向に流れてしまうクセが見受けられる気がしてならない。
この試合もまあ、全員が飛ぶわ飛ぶわで、その都度都度会場の一部は大盛り上がりするんだが、写真整理したら使えるもんがほとんどない。
そりゃお金出していいカメラ買えばいいかもしれないが、それで済む話でもないんだよなあ。
救いは決まり手がスクールボーイというオーソドックスな技だったことくらいかな?
ちょっとこのメンバーにしては雑な印象が残った試合だった。
この試合のあと、特別アナウンスもなく、休憩タイムみたいになった。
しかし、爆上げBGMはそのままで、このあたりで椅子席に空席が目立ちはじめたので、場所を移動してみる事にした。
メインイベント
○ヴァンヴェール・ジャック&COCO対×ヴァンヴェール・ネグロ&竹村豪氏(シューティングスタープレス)
ヴァンヴェール親子の面白いところは親が先を走る子の姿を追ってくらいついている姿を見せられるところ。
最近ネグロがようやくジャックやCOCOの壁として立ちはだかるレベルになった事で、若手対ベテランの構図が成り立つようになってきた。
さて、ネグロとタッグを組む、現役下関市議会議員の竹村が地元で試合したのは、一昨年の旧下関市体育館ラストプロレスにまで遡る。
長門市も確か選挙区のはずなんで、それ以来の地元凱旋になる。
通常は地元で悪役もしくは準悪役的立ち位置には立たない竹村だが、若き次世代の壁になるという側なんで、これは特例なんだろう。
ジャックにせよCOCOにせよ、世界に出ていける才能なのは間違いないのだけど、そのためには、自分よりデカい相手に対して舐められないための懐刀も必要になる。
そういう意味ではまだまだ神の子と言えど、やらなければならない事はたくさんある。
とにかく海外に行くための引き出しはたくさんあるに越したことはない。それは空中戦や身軽さだけではない。
一発一発の説得力だったり、いざという時の強さだったり、とにかく吸収できるうちは何でも取り入れて試合でみせてほしいと思う。
最後はこの日誕生日の親父を、シューティングスタープレスで決めて、無事高校卒業した息子が「親孝行」して試合は終わった。
エンディング
試合後は、ジャックが親父に対しての感謝と誕生日を祝うマイクをしたが、あとはいらなかったようにも思う。全員しゃべらないといけないルールはないんだし、そもそも撤収時間が迫っているのに、まだ喋ろうとしていたのは、ちょっとくどいような気がした。
私個人はプロレスで伝えられないものを、ラストでいちいち言葉に乗せて付け足すのは、あまり好きではない。
だから、冗長になりがちなマイクはそれだけでげんなりする。プロレスの試合に生き様を乗せられないのなら、言葉にも生き様は刻みにくいのだ。
ルチャの才能については疑いようがないヴァンヴェール親子だが、マイクで締めるのは3人とも苦手で、最後は無理やりジャックが締めてしまう形で終わりを迎えた。
ただ、どの言葉より雄弁だったのは、苦しい中ルチャと高校生活を両立させ、感極まったジャックが、親父のネグロと抱き合う場面だった。
色んな気持ちは言葉にしなくても、伝わるもんは伝わるから、マイクはいっそ最小限にするか、持たない方がいいのかもしれない。
ただ、今のお客さんはそれを許さないんだろうなあ。
後記
今回のながと大会は、私の苦手な方に色んなノイズが足された「足し算のプロレス」だった。
だけど、ベースになる強さや、飛ばない勇気も時には必要なのかな、とも思った。
それではルチャじゃないのか?と言われたら、それもルチャなのだ。
会場ではネグロの誕生日(3月3日)を祝った私だが、帰りはこの日命日になるハヤブサのテーマ曲を聴きながら帰路についた。
現実は残酷で、何にでもなれるはずの未来が、ある日突然こなくなる事だってある。
事故は誰も望まないが、若くて将来ある選手たちが一時の快楽に身を任せて、無謀の闇に堕ちる事がないよう祈りたい。
次は5.4の巌流島でMY WAYが大会をやるらしい。今度は紫外線との闘いもある。そもそもまだ行けるかどうかもわからない。
ただ、みんなご無事で、また会えますように。