[プロレス入場テーマ曲]プロレス的音楽徒然草 Separados

[プロレス入場テーマ曲]プロレス的音楽徒然草

デビュー前

 今回は究極龍、ウルティモ・ドラゴン選手の入場テーマ曲「セパラドス」をご紹介します。

ウルティモ・ドラゴン選手は高校卒業後、新日本プロレスの入門テストを受けますが、体が小さいことを理由に不合格となります。

しかし、その熱意を認められ、山本小鉄さんから道場での練習許可を得て、半年ほど新日本道場に通った経歴を持ちます。

メキシコへの旅立ち

小鉄さんと繋がったことで、来日していたUWAのカルロス・マイネスさんと遭遇。小鉄さんがUWA側とコンタクトを取り、メキシコへ渡ることになりました。1987年の渡墨後、1988年7月29日には当時の最年少記録でUWA世界ウェルター級王座を獲得。日本では1990年、ユニバーサル・プロレスリングの旗揚げに参加し、エースとして団体を牽引しました。この時、すでに「セパラドス」を使用していました。

究極龍の誕生と進化

1991年にオファーを受けて9月にEMLL(現:CMLL)へ移籍し、覆面レスラー「ウルティモ・ドラゴン」に変身。当時EMLLがWWF(現:WWE)と提携関係にあったことから、日本国内でもWWFと業務提携していたSWSに主戦場を移すことになり、天龍源一郎さんとの縁が生まれます。

念願の王座奪取へ

同年12月、SWSの東京ドーム大会に参戦し、ウルティモ・ドラゴンとして日本初試合を行いました。1992年のSWS崩壊後はWARに入団し、新日本プロレスとの対抗戦にも出場します。かなり遠回りとなりましたが、同年11月22日、ついに新日本のIWGPジュニアヘビー級王座を獲得しました。

前人未到の八冠王

ウルティモ・ドラゴン選手の全盛期を象徴するのが、1996年に達成した「ジュニア8冠王座」です。これは各団体のジュニア王座を統一したもので、IWGPジュニア、世界ジュニア、NWA世界ジュニアなど、合計8本ものベルトを同時に保持するという、前代未聞の偉業でした。

10本のベルトを保持

さらに驚くべきことに、8冠王者として米国のWCWに参戦した際、WCW世界クルーザー級王座と、自身が保持していたNWA世界ミドル級王座を加え、一時的に「10冠」の状態となりました。全身に10本のベルトを巻き、入場してくるその姿は、文字通り「究極」の神々しさを放っていました。

闘龍門の設立と育成

以降、WCWではクルーザー級戦線の立役者のひとりとなり、WWF(WWE)でも活躍。1997年にはメキシコ・ナウカルパン市にルチャドール養成学校「ウルティモ・ドラゴン・ジム」を設立。闘龍門の旗揚げ戦を行い、後進の育成にも着手して現在に至っています。

伝説のテーマ曲とは

さて、プロレスラーは時として髪の毛やマスク、時には引退を賭けて試合をすることがありますが、今回ご紹介する曲は「負けた方が入場テーマ曲として使用禁止になる」という極めてレアな条件で争われたものです。

その曲こそが、ルイス・ミゲルの「セパラドス」でした。ルイス・ミゲルは1985年にシーナ・イーストンとのデュエット曲でグラミー賞を受賞。以後、メキシコおよびラテンアメリカを代表する歌手となり、これまでに5回のグラミー賞に輝いています。

二人が使ったテーマ

1988年にルイス・ミゲルが発表した8枚目のアルバム『Busca una Mujer』に収録されており、日本国内では『ロマンセ』以前の日本未発表曲を収めたコンピレーションアルバム『Sentimental』でも聴くことができます(同アルバムには北斗晶のテーマ曲「オーロ・デ・レイ」も収録)。この「セパラドス」を入場テーマに使用していたのが、ウルティモ・ドラゴンとザ・グレート・サスケの2人でした。

衝撃のサスケ版登場

しかし、イントロに「さくらさくら」を付け加えたバージョンの「セパラドス」をサスケが使い始め、あろうことか自身でセルフカバーしてCDまで発売してしまいました。

この破壊力たるや凄まじいもので、公私ともに破天荒なサスケならではの出来事といえるでしょう。ちなみに現在でもこのCD音源を聴くことは可能です。怖いもの見たさでチェックしてみるのも一興かもしれません。

曲を賭けたシングル

この「セパラドス」を賭けて、ウルティモ・ドラゴンとサスケはシングルマッチを行いました。1994年7月、WAR両国国技館大会で両者が対戦。敗れたサスケはこの試合を最後に「セパラドス」の使用を放棄しています。

メキシコ流に言えば「セパラドス・コントラ・セパラドス」。この結果、晴れて「ウルティモ・ドラゴンの入場曲」として定着し、現在に至っています。

切ない別れの歌

余談ですが、「セパラドス」は日本語に訳せば「別れ」という意味になります。別れの歌を入場テーマに選んでいる時点で2人とも相当尖っていますが、曲調は日本人が想像する「別れ」のイメージとは異なり、非常に勢いのある入場テーマ向きの楽曲です。

使用場所には要注意

プロレスファンはこの曲の歌詞の意味を考える以前に「プロレスの入場曲」として刷り込まれている面もあるでしょう。ただ、本来の意味を考えると、結婚式などのおめでたい席には不向きな歌かもしれません。同じく失恋をテーマにしたミル・マスカラスの「スカイ・ハイ」同様、時と場所を選ぶ入場テーマ曲ですね。

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