プロレス的発想の転換のすすめ(76) 英雄の影に潜む熱き献身
漫画とプロレスの縁
今回はプロレスとコラボレーションの話題をお届けします。
プロレスと漫画のコラボレーションは、時代によってその熱量や形がさまざまに変化してきました。
伝説を継ぐマスクマン
一番有名な事例はやはり『タイガーマスク』に尽きますが、その次に有名な存在となると、やはり獣神サンダー・ライガー選手になるでしょう。
当時、夕方16時から放送していた『ワールドプロレスリング』の直後、17時からアニメ版『獣神ライガー』が放送されていました。
巨大ヒーローとの乖離
プロレスファンとしてつとに有名な漫画家、永井豪先生の肝いり企画でしたが、残念ながら原作もアニメも、作品単体としてはイマイチメジャーになりきれませんでした。
そもそも原作とアニメのライガーは、巨大ヒーロー(バイオアーマー)の設定でしたから、当初は小柄なライガー選手がリングで躍動することに違和感を感じるファンも少なくなかったのです。
鳴り響く不朽の主題歌
しかし、30数年の時を経てアニメファンの記憶から作品自体が薄れても、その主題歌はプロレス会場で鳴り響き続けました。
ついには、元の設定である巨大なライガーの方にむしろ違和感を覚えるほど、プロレス界に浸透したのです。
もし『獣神ライガー』が最初からプロレスアニメだったなら、ひょっとすると実在のライガー選手とともに、より深く後世に名を残していたかもしれません。
格闘技ブームの荒波
ライガー選手がマスクマンになった時代は、UWFのブームを受け、世の中が「格闘技路線」へと流れていました。
ましてやライガー選手の中の人は、UWFに移籍した藤原喜明組長の元で、船木誠勝選手や鈴木みのる選手らとともに汗を流した藤原道場の門下生でもあります。
船木選手や鈴木選手がUWFに移籍した際、彼らに追随すると目されていたほどの実力者でした。
デビルマンへの変身
しかし、ライガー選手は敢えて新日本プロレスに残り、さらにマスクマンになる道を選択しました。
これには前日譚があり、ファン感謝デーでライガーになる前のY選手が、一日限り「デビルマン」になって試合をしたことがあります。
このときは一夜限りの変身と思われていましたが、もともとマスクマンへの願望が高かったY選手は、新日本プロレスに対する恩義を優先し、師匠の誘いを振り切ってリングに立ち続けたのです。
プロレスへの帰還を支援
結果的に、選手生命が短い真剣勝負の世界から船木選手と鈴木選手がプロレスにカムバックするにあたり、ライガー選手が尽力したのは有名な話です。
強さを極めるために一度はプロレスから離脱した「Uの戦士」たちが、強さも表現のひとつとしてプロレスへ回帰していった背景には、ライガー選手の存在が非常に大きかったのではないかと私は考えています。
世界の獣神の情熱と功績
ライガー選手がプロレス界に残した功績は、単なる人気レスラーという枠に収まりません。彼はアニメという架空の存在にプロレスラーとしての命を吹き込み、ジュニアヘビー級というカテゴリーを世界基準へと押し上げました。
たとえ物語としての連載が終わっても、リング上というキャンバスで「闘い」を表現し続けることで、キャラクターを永遠のヒーローへと昇華させたのです。
その情熱は、まさに彼が得意とした垂直落下式ブレーンバスターのように、観客の心に深く突き刺さり、今もなおマット界を照らす光となっています。
にほんブログ村



コメント