【プロレス入場テーマ曲】 プロレス的音楽徒然草 超闘王のテーマ

[プロレス入場テーマ曲]プロレス的音楽徒然草

プロレス的音楽徒然草 超闘王のテーマ

怪物・北尾光司の軌跡

今回は、かつて「ナイフ評論家」にして「スポーツ冒険家」とも自称されていた、北尾光司(光覇)選手のテーマ曲「超闘王のテーマ」をご紹介します。

北尾選手は大相撲で横綱までのぼり詰めた逸材でしたが、志半ばで廃業。1909年(明治42年)に優勝制度が導入されて以降、唯一「優勝経験のない横綱」となりました。これをきっかけに、後の横綱昇進審査は慎重な見方をされるようになり、「大関として連続優勝、またはそれに準ずる成績」が厳格に求められることになったのです。

伝説のドームデビュー

大相撲の電撃廃業から約2年後の1990年2月10日。北尾選手は新日本プロレスの東京ドーム大会でプロレスデビューを果たしました。

当時は「鉄人」ルー・テーズ氏のもとで数ヶ月間みっちりと修行を重ねた、という触れ込みでの帰国。デビュー戦の相手にはクラッシャー・バンバン・ビガロが選ばれましたが、これは「箒(ほうき)ともプロレスができる」と評されたビガロの卓越した技量が見込まれてのことでした。

この日はジャンボ鶴田選手や天龍源一郎選手ら全日本プロレス勢の参戦により、「プロレス界のベルリンの壁」が崩壊したといわれる伝説的な大会です。その大舞台で「プロレスラー・北尾光司」が初披露されました。

過剰演出と失笑の嵐

北尾選手のデビュー戦は、好角家としても著名なデーモン閣下に作曲を依頼した入場テーマ曲「超闘王のテーマ」が鳴り響きました。次々とスモークが吹き上がり、無数のスポットライトが照らす中、派手なコスチュームに身を包んだ北尾さんが現れるという、新人としては異例のド派手な演出が施されていました。

リングに上がった北尾選手は黄色いタンクトップを引き裂くパフォーマンスを見せ、しきりに声を上げては決めポーズを取る、アメリカン・プロレスを意識したスタイルを展開。デビュー戦を勝利で終えたものの、その試合内容はファンの失笑を買い、相撲廃業時と同様に世間から厳しい目に晒される結果となりました。

幻のリングネーム秘話

「超闘王のテーマ」は、北尾選手が大相撲時代から親交のあった聖飢魔IIのデーモン小暮閣下が手がけた渾身の作品です。ただし、CD収録バージョンとデビュー戦で使用されたバージョンは若干異なります。私の想像ですが、デビュー戦で使用されたのはデモバージョンだったのではないでしょうか。

実は、北尾選手は当初「サンダーストーム北尾」というリングネームでデビューする予定だったそうです。

実際には本名でデビューしましたが、曲中には「Break down Thunder Storm…」というコーラスが入っています。もしこのリングネームが採用されていたとしても、やはり失笑は免れなかったかもしれませんね。

超レア曲の数奇な運命

「超闘王のテーマ」は書き下ろしのインストゥルメンタルとして世に出ましたが、後年、聖飢魔IIの大経典(アルバム)『有害』に、歌詞をつけた「THUNDER STORM」が収録されました。

この「THUNDER STORM」をガッツワールドのガッツ石島選手が自身のテーマ曲に使用したことで、晴れてプロレステーマ曲の仲間入りを果たしました。「インストとして書き起こされた原曲の、オリジナルアーティストによるセルフカバー版が、別の選手の入場テーマ曲になった」という経緯を含め、この楽曲は非常にレアな存在といえます。

規格外のパワーと苦悩

いかにもデーモン閣下らしい勇壮な盛り上がりとは裏腹に、この曲から私が連想するのは、デビュー戦での妙なロープワークや、後にみちのくプロレスに現れた怪覆面K・K(正体を考えると余計に面白いのですが)も真似した「北尾ポーズ」ばかりです(苦笑)。

その後、格闘家としてUWFインターナショナルに参戦した際の変貌ぶりには驚かされましたし、天龍源一郎氏率いるWARに武輝道場勢として参戦した際は、超危険な角度の「北尾ドリラー」で暴れ回っていました。

あのパワーを正面から受け止められたのは、身体が頑丈なWARの選手たちだったからこそでしょう。北尾選手は常に、その規格外のパワーを持て余していた印象が強く残っています。

2月10日に刻まれた終止符

プロレス引退から5年後の2003年、フリーの立場で第7代立浪部屋のアドバイザーに就任しましたが、1年で退任。以降は糖尿病の悪化により、2010年代前半から寝たきりに近い状態だったといいます。

そして2019年2月10日。北尾選手は55歳の若さでこの世を去りました。奇しくも自身のプロレスデビューと同じ日に亡くなられたことに、なんとも数奇な運命を感じずにはいられません。

晩年はプロレス界とも接触を断っていたそうですが、かつて武輝道場に所属していた望月成晃選手も、試合前にその一報を聞いたといいます。こうしてまた一人、時代を象徴する人物が退場していくのは寂しい限りです。あらためて、北尾光司さんのご冥福をお祈りいたします。

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