プロレス的発想の転換のすすめ(81) プロレスと自己証明
アイデンティティとは
今回はアイデンティティとプロレスについてお話しします。
アイデンティティとは、自分が自分であるという実感、さらにはその自分が他者や社会から認められているという感覚のことです。
日本語では「存在証明」と訳されることもあります。
承認が生む自己肯定
通常、人間は単なる思い込みではなく、他者から「あなたはかけがえのない人だ」「あなたの能力は素晴らしい」と認められる過程で、アイデンティティを形成していきます。
しかし、社会から否定的に評価され、負のアイデンティティを植え付けられてしまう場合もあります。
存在意義を見失う時
否定的な評価を受け続ける人の心理的負担は大きく、「自分には価値がある」と思いたいのに周囲がそれを許さない状況では、アイデンティティの危機に直面します。
この確立に失敗すると、自信を失い、自己嫌悪や無力感に陥り、主体的な選択ができなくなってしまいます。
挫折から再起への道
私個人の話をすれば、小中学校でいじめを受け、社会人になっても仕事に馴染めず、生きづらさを抱えたまま何度も失職し、最終的にうつ病を患いました。
では、一度存在証明の確立に失敗した人は、永遠にアイデンティティを築けないのでしょうか。
ドラッカーの教え
実はそうではありません。マネジメント研究の第一人者であるピーター・ドラッカーさんは、次のように述べています。
「効果的な行動のあとには静かな振り返りを行おう。その静かな振り返りから、より効果的な行動が生まれる」と。
価値観を探求する
自らの言動を振り返ることで、自分が大切にしている価値観が見えてきます。
振り返りを通じて、理想と現実の乖離を埋め、自らの価値観を体現し続ける。
そうすることで、アイデンティティは自らの手で形成していくことができるのです。
闘いの中で築く自我
自己認識は常に変化するため、アイデンティティの確立は生涯をかけるテーマです。
プロレスの世界でも、レスラーは時に悪役に、時に善玉になることで、選手としてのアイデンティティを確立させていきます。
まさにリング上は、自己を証明するための「闘い」の場なのです。
変化し続ける生き様
日本のプロレスは役割分担以上に「試合内容」が重視される傾向があります。
若手としてデビュー後、激しい闘いを経てキャリアを積み、レスラーとしての自我を形成してスター選手へと登り詰めます。
そのアイデンティティの積み重ねを年月かけて見守ることも、プロレスの醍醐味です。
多様性と自己の証明
多様性が尊重される現代において、アイデンティティは単一の固定されたものではありません。
例えば、ある選手が「期待される若手」から「挫折した敗者」へ、そして「不屈のリベンジを果たしたベテラン」へと変化するように、人間心理もまた、置かれた環境や闘いを通じて多層的に積み重なっていきます。
失敗や否定的な評価すらも、後の「逆転劇」というアイデンティティの一部へと変えていけるのがプロレスの魅力です。
私たちは、選手が過去の傷を背負いながらも新しい自分をリングで表現する姿に、自分自身の人生を重ね合わせます。
多様な生き方が認められる今だからこそ、固定観念に縛られず、過去の自分を更新し続ける「アイデンティティの積み重ね」こそが、現代を生き抜くための最も力強い闘い方となるのです。
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