[プロレス観戦記] プロレスリングFREEDAMS『いざゆけ無敵の自由軍団 2021』

せかぷろ

イントロダクション

抗がん剤治療のため、11月15日に退院して、24日に再入院するまで、しばしの自由を満喫することにした。

そもそもこのスケジュールは、20日のFREEDAMSと、来月5日のがむしゃらプロレスにいくため組まれたもの。治療は前倒しも延期もできないので、入院期間を先生に無理言って調整してもらった。

そこまでしてもらった以上、目一杯楽しまなければ、申し訳ないと言うもの。ましてや、1年半ぶりの北九州大会にして、個人的には2011年以来10年連続の北九州皆勤賞更新大会でもある。

オープニング

鍼灸終わりで、昼飯済ませて門司赤煉瓦プレイスに到着したのが、午後2時。開場が午後四時半なんで、早すぎるっちゃ早すぎるんだが、待ち時間はプロレスファン同士でプロレス話ができるんで、苦にはならなかった。

無事チケットも入手し、中に入ってグッズを購入。売り場にいた殿に挨拶すると、自分の体調を心配していただいた。この日のために、治療に支障ない範囲でスケジュール組んだので、目一杯楽しむ旨を告げて、自分の席に座ると、周りががむしゃら席のせいか?いつものお馴染みメンバーで固まってしまった(笑)

オープニング挨拶は前日KOFチャンピオンのスギウラマンこと杉浦透。相変わらず勢いと暑苦しさはそのまんまだが、久々の北九州大会を、心から待ち望んでいた事は痛いほど伝わってきた。

第一試合◇がむしゃらプロレス提供試合

●鉄生&陽樹 vs ○トゥルエノ・ゲレーロ&HIROYA

がむしゃらプロレス提供試合は、Re:ZARD対DREAM TUBERのユニット対決でもあり、ゲレーロ&HIROYAにしてみたら、12.5に控えるGWAタッグ戦を目指しての実戦となる。

純粋ながむしゃらプロレス提供試合は久々になる。いつもなら、FREEDAMSの誰かがプラスしてのタッグマッチが定番だからだ。

そして、がむしゃらプロレスは、メインならメイン、第一試合なら第一試合の作法をきちんと守って試合ができる。ロックアップからスタートして、腕の取り合い、バックの取り合い・・・非常に見ごたえがあった。

ともすればプロ団体でも疎かにしがちな、第一試合の作法がきちんとできているのは、団体や選手の信用にもつながる。

社会人でありながら、プロ団体からもオファーが絶えないのは、こうした基礎的な部分を疎かにしない姿勢が信頼されているからこそである。

自分たちだけが目立っても全体のバランスを崩してしまう。試合順もされことながら、自分たちが興業全体でどういう役割を果たしているのか?を考えて試合できる団体、選手は今や希少。それだけにがむしゃらプロレスの試合と、進対吹本の試合は異質だった。

役割に準じた結果、忠実になった方が浮かび上がって見えたのもプロレスならではの不思議さであり、奥深さだったと思う。

第二試合◇タッグマッチ

GENTARO&●ドラゴン・リブレ vs ○土屋クレイジー&YASU with 大向美智子

こちらもGWAタッグに絡む土屋&YASUが登場する。ただしこちらは、対角線上に難敵・GENTAROがいる。

しかし、事実上大向美智子の介入が入る土屋&YASUは、多分あの手この手で撹乱してくるだろう。

経験値だけでいえば狙われる確率が高いリブレがどう出てくるか?

試合開始前、土屋がGENTAROに「レスリングしましょうよ!」とレスリング勝負を挑んだのは「おっ!」と思わせる部分だった。序盤は静かながら見応えのある応酬に思わず見入ってしまった。

ただし、これはタッグマッチであり、さらにいうと土屋側には大向美智子がついている時点で、乱戦になることは十分予想できた。というか、その選択肢しかないし。

たまには大向さんの乱入なしで、土屋の試合をじっくりみてみたいのだが、こればかりはどうしょうもない。よって、予想の範疇を出ることなく、数の優位で土屋組が押し切って勝利。

この試合も層なのだが、この日は全体的にバタバタした試合が多くなったように感じる。デスマッチというアイテムが使えない会場では、それなりに皆カラーも工夫してくるのだが、今回はMY WAYとの対抗戦の前哨戦も軸になっており、これは仕方ないところかもしれない。

第三試合◇FREEDOMS対MYWAY6人タッグマッチ

○神威&平田智也&香取貴大 vs 聖氣&エル・ファルコ&●ユーセー☆エストレージャ

イーグルプロレスの香取は後楽園で見て以来か?片や、MY WAYのメンバーは4月の華☆激以来になる。

23日に全面対抗戦を控えたMY WAYとしては、FREEDAMS勢に一太刀あびせたいところだが、果たしてどうなるか?

MY WAYが、対抗戦という、旗揚げ以降最大の大ばくちに打って出ていることはよく理解できる。ただ、それによって全員の視野が狭くなっている感じがした。以前見たときよりも「俺が、俺が」という部分ばかり目立つ結果になってしまった感が否めない。

当然だが、この日の大会においての自分たちの立ち位置も、この日のような有様では見えてこない。プロレスは勝った負けただけでは価値を見出せない特殊な競技でもある。

対抗戦をやる上で、自分たちの試合順や立ち位置まで理解して試合をするのは、困難でもあるのだが、その視野の狭さは結局勝ちにも繋がらない気がする。

MY WAYの視野が狭くなっていた一番いい例が、ユーセーを序盤からローンバトルにしたこと。

本来ならファルコなり聖氣なりがやらなくてはならない役割を、結果的にユーセー一人が背負ってしまった。これでは勝てるものも勝てないだろう。

逆にFREEADAM勢は、神威の視野がやたら広かった事が印象的。平田と、香取を上手にコントロールしながらついに自軍の選手をローンバトルにさせなかった。この日はMYWAYは負けるして負けたと思う。

さて、23日は観にはいけないけど、このままだとMY WAYが危ういことには違いないだろう。

第四試合◇シングルマッチ

〇進祐哉 vs●吹本賢児

すっかりNOAHの人というイメージの進だが、久々にみるホームでの試合は、デスマッチファイター吹本とのシングルマッチになった。

デスマッチ団体にいながら、デスマッチとは一線を画する進がどういう試合をするだろうか?

果たして、序盤からこの試合は異質だった。特に第二、第三試合がバタバタしすぎていたため、進が吹本の身体を崩す時に、膝の裏側を蹴ったり、ス目を踏んだりするバリエーションの豊富さを見せつければ、吹本は股間を蹴り上げてからの丸め込みや、帯を使った首絞めなど、悪の小技が冴え渡る。

小さいテクニックだけでなく、見所の多い試合になったのは、二人とも全体を見渡せる視野の広さと、自身の立ち位置をよく理解して試合を進めていた印象があったからだと思う。

最後は丸め込み合戦から、進が逆転の丸め込み返しで吹本から一本とって勝利!最後は悪党殺法ではなく、テクニックと小技で勝負が決まったというもも、味があってよかった。第一試合の次にこの試合がよかったと個人的には思っている。

第五試合◇FREEDOMS対MYWAYタッグマッチ

マンモス佐々木&○正岡大介 vs ヴァンヴェール・ネグロ&●ヴァンヴェール・ジャック

こちらも、23日の全面対抗戦を控えたMY WAY対FREEDAMSのカード。ヴァンヴェール親子は、当日佐々木貴&葛西純というFREEDAMS2トップとぶつかるだけに、前哨戦は落としたくないだろう。

ただ、残念ながらヴァンヴェール親子も自分たちの立ち位置がよく見えていなかったように思う。この親子の試合をたくさん見てきている私からすると、「こんなもんじゃない」はずだ。

実際MY WAYはあまりに23日のことしか頭に入っていなかった感じがする。ヴァンヴェール親子ですらこの有様では、正直23日(24日に入院なんでもともといけないんだが)にいけたとしても、この日の内容を見るにつけて、興味自体は大分そがれた感じがした。

対して、マンモスと正岡は視野も広く、自分の立ち位置もよく理解できていたと思う。自分たちの大会だからと言うだけでなく、一歩引いて試合を見られるというのは、プロとして大きな武器になる。

それをキャリアというならそれまでかもしれないが、そういう意味ではヴァンヴェール親子も発展途上なんだなと思わされた一戦だった。

メインイベント◇6人タッグマッチ

葛西純&佐々木貴&○杉浦透 vs ビオレント・ジャック&●佐久田俊行&植木嵩行

フリーとして大日本から離れ、FREEDAMSを主戦場にする佐久田と植木。ここ最近はFREEDAMSのトップどころに食い込んで、日夜抗争を繰り広げている。

ここにビオレントジャックが加わったEREの布陣は強力。対するFREEDAMSも佐々木&葛西&杉浦というトップ3を出す以上、下手な事はできない。果たして、血で血を洗う抗争はどうなっていくだろうか?

ERE対FREEDAMSという「対抗戦」という形はとっていたが、やはりメインまでのドタバタした試合とは一線を隠した感じはした。FREEDAMS勢はもとより、EREも全員に「華」が感じられた。

6人が6人ともメインの役割を理解した上で、ちゃんと緊張感のある闘いをしていたのは、さすがというほかない。EREという対抗馬がうまれたことで、久々に佐々木・葛西・杉浦が同じコーナーに立つ絵はなかなか新鮮。

終盤になると、力で押し切ろうとするFREEDAMSと、崖っぷちに来ても尚逆転の目を残そうとするEREの攻防が二転三転。正直どっちが勝ってもおかしくはなかったが、最後は杉浦が粘る佐久田を振り切ってFREEDAMS軍が勝利した。

試合後、リングに残った佐々木・葛西・杉浦はドン・タッカーイズムのTシャツに袖を通して、がむしゃらプロレスと協力して北九州をプロレスで盛り上げる、と宣言。最後は杉浦が締めて大会は無事終了した。

後記

やはり間引いた席の並びでもあったんで、残念ながら満員と言うにはほど遠い入りではあった。二年というブランクは西の聖地であっても例外ではなかったと言うことだろうか?

ただ、大会自体は盛り上がった。それは確かだし、同時に同じような試合が多かったと言うことでは課題も多かったけど、二年空けてもなお継続して、西の聖地の灯を消すまいというFREEDAMSとがむしゃらプロレスの強い意志を感じた大会だった。

「北九州をプロレスで盛り上げる」という意思を改めて示したことで、プロレスリングFREEDAMSの西の聖地化計画は仕切り直しのスタートをきったといっていい。来年こそは殿の宴込みで復活を期待している。

これで、入院前に元気をもらえたのは確か。やはりこの大会を選んで間違いなかった。みなさん、ありがとうございました!






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