プロレス的発想の転換のすすめ(128)プロレスと自己満足
満足感の出発点
自己満足とは、自分の行動に満足している状態を指し、客観的な評価に関わらず自分自身の基準で納得できていることです。
もともとは心理学的な用語ですが、現代では「独りよがり」といったネガティブなニュアンスで使われることが少なくありません。
しかし、自己満足は必ずしも悪いことではありません。
何事も過度に執着して周囲が見えなくなると問題になりますが、そうでなければ、人生を豊かにする重要なエッセンスとなります。
実際、私が行っていた両親の介護も、半分は自分自身の心の平穏のための「自己満足」としての側面を持っています。
今回は、プロレスにおける「闘い」と自己満足の深い関係についてお話しします。
闘いに宿る自己満足
プロレスという「闘い」は、四方を観客に囲まれた特殊な環境で行われます。
レスラーがいかに自分を飾り立てようとしても、心の底にある迷いやネガティブな感情は、観客に敏感に伝わってしまいます。
だからこそ、一流の選手は自分自身を満足させる「闘い」を追求し、その熱量で観客を圧倒しようとします。
自己満足の枠を超え、独りよがりに溺れることがプロレスラーとしての致命傷になることを、彼らは痛いほど理解しているのです。
では、ファンである私たちが自己満足を通じてプロレスをより深く楽しむには、どうすればよいのでしょうか。
楽しさを分かち合う
真の意味で価値のある自己満足とは、まず「あなた自身が楽しい」と感じることが大前提です。
そのポジティブなエネルギーを周囲に分け与えることで、初めて健全なシェア(共有)が成り立ちます。
自分だけが楽しい状態から一歩踏み出し、その喜びを広げていくことで、世界は今よりもっと優しくなるはずです。
私がプロレスという「闘い」を楽しみたいとき、以下のような行動をとります。
- 好きな選手や団体の試合を観戦する
- プロレス雑誌やブログを読み込む
- お気に入りのグッズを収集する
- プロレス仲間と熱く語り合う
これらは入り口こそ「自己満足」ですが、そこから派生するSNSでの感想投稿、記事へのリアクション、グッズの交換、試合展開の分析といったコミュニケーションを通じて、幸せの輪が広がっていきます。
独りよがりを防ぐコツ
自己満足が問題となるのは、その状態に「溺れてしまった」ときです。
自分を客観視できなくなると、周囲との温度差に気づけず、本来の目的を見失ってしまいます。
もし「心から楽しめていない」と感じたら、以下のステップを試してみてください。
- 自分の言動に対して周囲の反応を確認する
- 自分の行動がどのような結果を招いたか振り返る
- 「なぜそれをしたいのか」という目的を明確にする
- 自分の発信した言葉に責任を持つ
これらはすべて「自己反省」のプロセスであり、自分自身をアップデートするために欠かせない作業です。
理想への固執と拒絶
「自己満足」と「自己反省」の狭間で揺れ動き、劇的な成長を遂げた象徴的な事例が、新日本プロレスの内藤哲也選手のエピソードです。
かつての内藤選手は「新日本プロレスの主役になる」という強い理想を掲げ、誰よりも激しい「闘い」を繰り広げていました。
しかし、彼の理想が強すぎたあまり、当時のファンが求めていた熱狂とのズレが生じます。
2014年の東京ドーム大会、最高峰のベルトを懸けた一戦であったにも関わらず、ファン投票によってメインイベントから引きずり下ろされるという、前代未聞の事件が起きました。
これは、彼の「自己満足」が観客を置いてけぼりにした結果、起きた悲劇でした。
自己反省が生む逆転
内藤選手はこの絶望的な状況を、徹底的な自己反省によって打破します。
彼はメキシコへ渡り、それまでの「ベビーフェイス(正義の味方)として認められたい」という執着を捨て去りました。
自伝『トランキーロ 内藤哲也自伝 EPISODE 1』や当時のインタビューの中で、彼はその心境をこう言語化しています。
「結局、周りの目を気にして、新日本プロレスの提示する『正解』を演じようとしていた。でも、一度すべてを諦めたとき、自分がプロレスを一番楽しむことが何より大事だと気づいたんです。俺が俺自身のやり方に確信を持って楽しんでいれば、それでいい。その結果、誰に何を言われても、その責任はすべて俺が取ればいいだけのことですから」
彼は、周囲に合わせるための自己満足ではなく、自分を解き放つための「覚悟を持った自己満足」へとシフトしました。
これが、社会現象ともなったユニット「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン」としての再出発の原点です。
自己反省による成長
心理学において、自己反省は「自分を否定すること」ではなく「ありのままの現状を認めること」から始まります。内藤選手は、かつて拒絶された過去を否定せず、むしろそれを唯一無二のストーリー(原動力)に変えました。
この内藤選手の「覚悟」を私たちの日常生活に落とし込むなら、それは「他人の評価を前提とした満足」から脱却し、「自分の納得に責任を持つ」という行動指針になります。
- まず自分が楽しむ: 他人の目を気にする前に、自分の心が動いているかを確認する。
- 責任を自覚する: 自分の選択が招く結果(批判や失敗)を他人のせいにせず、すべて飲み込む覚悟を持つ。
- 客観視を忘れない: 自分の楽しさが独善的になっていないか、時折立ち止まって「今の自分はどう見えているか」を内省する。
自分の満足だけを求めていた男が、自己反省を通じて「自分の信念を貫き、その責任を負う」という強さを手に入れたとき、彼はプロレス界全体を牽引する本物の主役へと進化しました。
このプロセスこそが、私たちが日常で直面する「行き詰まり」を打破し、最高の結果を導き出すための鍵となるのです。
この記事を読んでいただきありがとうございます。 内藤選手のように、自己を振り返る勇気を持ちつつ、一緒にプロレスという最高の「闘い」を楽しみましょう!
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