プロレス的音楽徒然草 FIGHT WITH DREAM(ハヤブサのテーマ)
不死鳥の産声
今回は、かつてFMWなどのリングで眩い光を放った「不死鳥」ハヤブサ選手が最初にその翼を広げた際の入場テーマ曲『FIGHT WITH DREAM』にスポットを当てます。
この楽曲は、まさに伝説の幕開けを告げる象徴的な旋律でした。
川崎球場の衝撃
1995年5月5日、ハヤブサ選手は海外修行から凱旋し、FMW川崎球場大会のメインイベントに立ちました。大仁田厚選手の引退試合の相手という大役を務め、自身初となる電流爆破マッチという修羅場に身を投じた際に流れたのがこの曲です。
爆破の火花が散る前の、嵐の前の静けさのような緊張感の中で響き渡りました。
正体不明の作曲家
作曲クレジットは「ハヤブサ・プロジェクト」となっています。
当時の制作チームの総称ですが、生前のハヤブサ選手も「実は直接お会いしたことがなくて、どなたなのか分からないんです」と自身のブログで語っていました。まさに正体不明の覆面レスラーのような謎めいた誕生秘話です。
荒井代表の問い
凱旋が決まった際、当時のFMW代表である荒井晶一さんから「専用の曲を作ろうと思うが、どんなイメージがいい?」と相談を受けたそうです。
ハヤブサ選手は「Jカップや、大阪でのサブゥー選手との激闘を観て感じたイメージで作ってください」とリクエスト。そうして究極の空中戦を、魅惑の幻想で包み込むような『FIGHT WITH DREAM』が産声を上げました。
旋律の変化と進化
しかし、初めて聴いた際のハヤブサ選手の率直な感想は「少し地味かな」というものでした。実戦で使ううちに「静かすぎる」と感じ、より会場を煽るような雷鳴や風音を加えたアレンジを施して完成したのが、長年愛された『FIGHT WITH DREAM Ⅱ』です。
まさにビルドアップを重ねた肉体のように、楽曲も進化を遂げたのです。
廃盤になった名曲たち
『HA・YA・BU・SA!』は番組の企画で石井竜也さんにコスチュームのデザインをお願いした、一夜限りのプレミアムハヤブサのテーマ曲です。
この曲以外は FMWオフィシャルテーマ曲集に収録されており、『FIGHT WITH DREAM Ⅱ』 は「FMWオフィシャル・テーマ曲3rd~デッド・オア・アライヴ」に収録されています。
入手困難な宝物
現在、かつてのFMWオフィシャルテーマ曲集はほとんどが廃盤となり、手に入れるのは至難の業です。
2026年現在では、1999年発売の10周年記念盤には約9000円というプレミア価格がついていました。
継承される不死鳥
2015年、車イス姿で「超戦闘プロレスFMW」の会場に現れたハヤブサ選手。下関の地でその勇姿を目撃できたことは、私にとって一生の宝物です。
その半年後、2016年3月3日に惜しまれつつハヤブサさんは旅立たれましたが、その魂は潰えませんでした。2025年4月27日、プロレスリングZERO-ONEのリングで「新生ハヤブサ」が鮮烈なデビューを果たしたのです。
新時代の空中決戦
2026年現在、新生ハヤブサ選手は、かつてのハヤブサ選手が誇った驚異的な跳躍力を彷彿とさせる戦いを見せています。
特にZERO-ONEのジュニア戦線において、ハイフライヤーとしての地位を確立。往年のファンだけでなく、新たな世代をも熱狂させています。「不死鳥の系譜」は、新時代のキャンバスに再び描き出されたのでした。
夕暮れの幻想曲
今後も新生ハヤブサ選手とともに『FIGHT WITH DREAM Ⅱ』が語り継がれていくのでしょう。
しかし5月5日の川崎球場。夕暮れが迫る空の下、引退を控えた大仁田選手に挑む若きハヤブサ選手を包み込んだ、どこか幻想的な『FIGHT WITH DREAM』の調べを、私はどうしても忘れることができません。
あの日の熱い闘いは、今も胸の中で鳴り響いているのです。
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