プロレス的発想の転換のすすめ(137) プロレスにおける権威性の法則
権威が放つ心理的影響
今回は「権威性とプロレスファン」というテーマで、その心理的メカニズムを紐解いてみたいと思います。
そもそも「権威」とは、専門知識、地位、あるいは圧倒的な経験を持つ個人や組織に対し、人が無批判に従おうとする心理的性質を指します。
これはアメリカの心理学者ロバート・チャルディーニさんが提唱した「影響力の6つの原理」の一つとして、非常に有名な概念です。
信頼を築く力の正体
たとえば「タイトル獲得」「伝説のレスラーが絶賛」「業界シェアNo.1」といったフレーズは、この「権威性の法則」を巧みに利用したものです。
Webサイトの運営においても、特定の分野で読者や検索エンジンからどれほど信頼されているかを示す重要な指標となります。
要するに「この人の発信する言葉なら信じてみよう」と思わせる力、それこそが権威の本質なのです。
無名から脱する困難さ
同じ内容であっても、影響力を持つスター選手と無名の一般人が発信した場合、一般人の言葉はまず歯牙にもかかりません。
仮に注目されたとしても、それは宝くじに当たったような幸運に過ぎないのです。
私自身、いわゆる「バズ」の経験はありませんが、意図しない形で広まることはあっても、自分の真意を正しく世の中に伝えるのは、プロレスの「闘い」と同様に非常に難しいことだと痛感しています。
スターへ至る分かれ道
とはいえ、最初からスターだったレスラーは存在しません。
優れた才能、独自の技術、時代のトレンドを掴むセンス、そして運。さらには強力な人脈や、自分自身を効果的にブランド化するセルフプロモーション戦略が複合的に作用し、無名の存在から団体のシンボルへと駆け上がっていくのです。
上谷選手の成功事例
この要素をプロレス界に当てはめてみましょう。有名選手と無名選手の差は、メディア露出の差から生まれます。テレビやネット配信、SNSで広く認知されている選手は「メジャー」と呼ばれます。
特に地上波への出演は、ファンの認知度を飛躍的に高める起爆剤となります。スターダムの上谷沙耶選手がブレイクしたのは、まさにこの流れを体現した好例でしょう。
上谷選手はアイドル出身という経歴を武器にしつつ、メディア露出を通じて「スターダムの顔」としての権威を戦略的に構築しました。
独自の個性を磨く闘い
もちろん、プロレスにおいて最も重要なのはリング上のパフォーマンス、すなわち「闘い」そのものの技術です。
上谷選手は、空中殺法という華やかな技術を磨き上げ、ワンダー・オブ・スターダム王座の最多防衛記録を樹立しました。
実績という名の「権威」を自らの手で掴み取ったのです。高めた知名度をリング上の「闘い」に還元するその姿勢に、異論を唱える者はいないでしょう。
ファンが発信する時代
現代では、レスラーでもマスコミでもない一部のファンが、インフルエンサーとしてもてはやされるようになりました。
独自の視点による試合のレビューや「闘い」の展開予想を発信し、SNSで熱心に交流することで、いちファンが専門家のような権威を持つ時代になったのです。
特定の団体やハードコア、ジュニアヘビー級などに特化し、ニッチな層を開拓する発信者も増えています。
継続の先にある信頼
しかし、権威は一夜にして築けるものではありません。
コンテンツを定期的に更新し、ファンと交流を続ける根気こそが、遠回りのようで一番の近道です。
大切なのは、自らの情熱と知識を広く伝え、存在感を高め続ける継続性です。最終的には、その努力を続ける自分自身をどこまで信頼できるか、そこにすべてがかかっている気がします。
自分らしい発信の形
私個人は有名になりたいというより、自分の意見を形として遺したいという意図でブログやYouTubeを続けてきました。
SNSも告知程度に留めています。ゆるく、長く、無理なく取り組むのが私の性に合っています。
そうなると「自分に権威性は必要なのか?」という疑問も湧きますが、武器にできるなら使いたいという本音もあります。
結局は「自分がどうしたいのか」という意思が、何よりも大事なのかもしれません。
権威性とファン心理
プロレスにおける「権威」とは、ベルトという形ある証だけでなく、その選手が積み上げてきた「闘い」の歴史そのものです。
ファンが特定の発信者に権威を感じるのも、その人物がどれだけプロレスを愛し、深く考察し続けてきたかという「キャリア」を認めているからです。
ここで、人間心理とプロレス界を交えて考えてみましょう。かつてファンは熱狂すると同時に、どちらが「真の強者(権威)」であるかを厳格に見極めようとしました。
人間には、自分が信じる対象が「最強である」という正当性を確認したいという根源的な欲求があるからです。
熱量の連鎖
リング上のレスラーが勝利を得るために心技体を磨き続けるように、ファンもまた、自らの言葉に説得力という名のベルトを巻くために、発信という名の「闘い」を続けていく。
その熱量の連鎖こそが、プロレスという文化をより深く、権威あるものへと押し上げていくのです。
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