OPGオールスターサミット2019(2019年2月24日(日)会場:岡山武道館)
2月24日は、広島でプロレスリングBARARAがはじめて中国地方で大会を開く。また福岡のプロレスリング華☆激は、年に一度の名古屋大会。
さらに2日前の木曜には山口県でアブドーラ・ザ・ブッチャーとのサイン&撮影会があり、色々盛りだくさんだったのだが、私は現在の自分の体調も考慮して、OPG行き一択とした。昔なら広島に降りてBASARAも見て帰ることができたと思うけど、もうこの年齢と健康状態では無理というもの。
さて、2年連続の観戦になるOPGオールスターサミット。実は昨晩ヨガで知り合ったプロレスファンとヨガ終わりで、4時間語り合ったあと、帰宅して新日本ワールド観て寝たので、気分は爽快なんだが、微妙に身体はだるい。当然のども痛いし(笑)
しかも、翌朝起きてすぐ新日本・土曜の後楽園の第1試合だけ見て、家出たので今週はずっと切れ目なくプロレスに浸っている感じがする。まさにスカイハイならぬプロレスハイである。だが、新幹線は約1時間40分ほどでつくので、車中では微妙に眠れない。行きはウキウキしてるし、帰りは観戦後でテンションおかしくなってるし(笑)まあ、そんなこんなで行きも帰りも色んなことがあった。→詳しくはこちらから
今回、OPGのメインに抜擢されたのはがむしゃらプロレスの鉄生。チャンピオン上原智也が在籍するジョロキアとは、ユニット的に友好関係にあるLCRだが、そのLCRは現在内部に、KENTA対鉄生という「火種」を抱えた状態。そのおかげでチーム内の立ち位置的にはかなり鉄生は微妙な立場にある。しかも昨年末に痛めた足は完治していない。
とはいえ、がむしゃらではタイトルマッチと遺恨が、何かしらの形でセットになっている鉄生にしたら、久々になるであろう純粋な王座戦。これには期待せずにはいられない。ぶっちゃけこのカードがある事も、岡山行きを後押ししたので、自分的には後悔はない。
OPGオープニングアクトは、歯科医・タンジマン&教師・グレートムタイガーによるOPGのテーマから。そういえばがむしゃらプロレスもオープニングで歌ってたよなあ(笑)どっかいったけど。さらには昨年キビダンゴベルナブレス・ハポンを結成しながらメンバーが集まらなかった反省からか、先にメンバーを集めてから結成したという、THE ELITEならぬTHE CILOTE(ザ・シロート)なるユニットが登場。
素人っていう割には、スレたメンバーしかいないし、アメリカンな人やら青いマスクの人やらは、そもそもOPGですらないんだが、いいんだろうか?しかもその間もTHE ISHIとミル・マスカッツが延々と小競り合いしてるし、何がやんだかよくわからないままに大会はスタートした。
第1試合 オープニングマッチOPGランブル
出場選手いっぱい!!(勝ち残り・鷲羽THEタイガー)
例によって誰が誰だかよくわからないランブルマッチ。実況がアナウンスしても見分けがつかないが、こういうごちゃごちゃしたのも、わからないなりに楽しめるのがプロレス。なぜなら、出てくる選手のいずれもが超個性派揃いだからだ。したがって全然見ていて飽きないのだ。
開場時から延々と小競り合いしているISHIとマスカットをリングから見つめるタンジマンが呆然とみてたり、カオスな絵面は延々と続く。もちろんリングの上でも ISHIとマスカットの戦いは続き、そのまま失格→退場。人気のミスター鏡餅は、ISODAのピラミッドパワーの餌食に!ピラミッドを被せられ、アンドロメダ・パワー?のせいか、ミスター鏡餅はピラミッドを被ったまま動けなくなる始末…などなどという文章にするとひたすら訳がわからない展開が続く。
まあ、昨年も見ているとだいたいグダグダになるのは、もはやお約束なんだが、やはりムタイガーの弟子であり、OPG肝いりの新人・鷲羽THEタイガーが出てくると、雰囲気がガラリと変わる。
なんでも空中戦に関しては飯伏幸太のアドバイスを受けているそうだが、これだけバタバタした試合になると、残念ながら飛び技以外のいいところが見出せなかった。残念。
鷲羽THEタイガーあたりがOPGのジュニア戦線に絡むとまた面白くはなろうけど、それにはまだ時期尚早な気もするし。難しいところ。結局、なんだかんだでいつのまにか鷲羽THEタイガーが勝ち残り、優勝。
第2試合
乱魔&嵐弾次郎(丹の国プロレス)&Smith(がむしゃらプロレス) VS ハイパー長州アイハラ&ゆうき・ざ・ぼうりんぐ&レオパルドン横山
なんだかよくわかんないという点では、この試合も引けをとらない。ただ救いなのはここに、ミスターがむしゃらプロレスのスミスがいる事と、がむしゃらでは既にお馴染みの「アメージング」嵐弾次郎がいること。
乱魔は、昨年のオールスターサミットでも、またがむしゃらプロレスでも試合をみているし、ハイパー長州やユウキも試合は見ているので、あとはレオパルドン横山がどういう選手なのか、を見極めたいと思う。
と、行きの新幹線の中で見所を整理していたら、何と朝になってカード変更!それも・・・・
ハイパー長州アイハラ46歳(英語教師)試練のハンディキャップマッチ
〇ハイパー長州アイハラ
対
乱魔&ゆうきざぼうりんぐ&嵐弾次郎&SMITH&×レオパルドン横山(THE CILOTE)
え?5人がけ?なんか某○州力の最初の引退試合みたいじゃないか!そもそも試練のなんとか勝負って若手がやるやつだし、なんで46歳のベテランがやるんだ?
確かに以前スミスもマスクドPTに嵌められて(PT本人は否定)ハンディキャップやってるけど、あれはリージョンオブカオスを裏切ったスミスへの制裁という意味があった。だが、今回は…??どうする、どうなる?ハイパー長州アイハラ?
…と思っていたんだが、オープニングの挨拶で微妙な空気が流れていたTHE CILOTEのメンバーが、場慣れし過ぎている上に、寄せ集め感を醸し出し、そもそもユニットとして機能していない。最初だけ5人でアイハラを襲撃したが、あとは各人各様に戦っている有様(笑)
スミスは相変わらず自分が美味しいところだけでてくるけど、絡んで面白くなさそうなとこは絡まないし、嵐弾次郎はアイハラとの肉弾戦が楽しくなっているらしく、これまた連携する気がない。
一方アイハラは年齢に似合わない八面六臂の大活躍。昨年も思ったが、長州と関連があるのはラリアットだけ。それもどちらかといえばリキラリアットではなく、ベイダーハンマーに近い。テーマ曲は棚橋の旧テーマ、HIGH ENERGYだし、果てはキンシャサ・ニーストライクまで繰り出して、もはや誰が誰だかわからない!
しかもそのうえ、5人を一人で蹴散らかす強さ!これで、引退とか言ったら「ええええ???」ってなっただろうけど、強すぎてハンディキャップにしたというのもそれはそれで微妙な気がする。
フィニッシャーも棚橋リスペクト?のハイフライフロー。5人がけのアイディアは良かったが、別にアイハラが長州よろしく引退するわけでもないし、THE CILOTEのくだりはぶっちゃけいらなかった。当初の予定通りの6人タッグならまだ感想も変わったかもしれないんだがなあ。
第3試合
×駿之介&佐々木良和&彰 VS TOSSHI&KENTA(がむしゃらプロレス・LCR)&○X(Xは”brother”YASSHI)
さて、LCRと組むXが誰なのかが気になるところだが、久々に見る駿之介とTOSSHIのジュニアならではの攻防はみていてワクワクもんになるだろうし、初めて見る彰や佐々木良和も個人的には注目したい。
入場後マイクを持ったTOSSHIがXを呼び込むと、出てきたのはまさかの”brother”YASSHI!しかも例によってノリノリのマイクでOPGを挑発すると、いかにも今まで在籍していたかのように、LCRのメンバーになって戦っていた。喋ればうまいし、試合しても上手い。しかも、KENTAやTOSSHIが、ホームではなかなか味わえない純ヒール路線まで難なく誘っていく。
まさにプロの手練手管をみた思いだったが悪い言い方すると、完全に”brother”YASSHIショーになっていた。最後も”brother”YASSHIのジャーマンがフィニッシャーになったわけだし。
強いてほかの見どころをあげるならば、キャリアの若い彰が非常に善戦していたことくらいだろうか?タッパもあるし、キックもキレがある。何より若さと勢いが見ていて非常に気持ちが良い。がむしゃらプロレスで誰に相当するか、色々考えてみたが、意外と「いない」タイプだったのだ。
これはぜひ、がむしゃらプロレスのHIROYAとはいいライバル関係になってほしい選手だと思った。意外と将来のOPGは、彰の双肩にかかっているかもしれない、と私は感じた。あと、試合を見るのは、約一年ぶりになる駿之介も相変わらず動きがよく、OPG側のリーダーとしても頑張っていたと思う。最後はジャーマンの前に屈したけど。
ただジュニア戦線でまわせるのが、西江、山内、ZAKA、駿之介というルーティンになるとそれはそれでつまらない。かといって早々に鷲羽THEタイガーを引き上げてもそれはそれで問題だろう。新鮮な挑戦者が不足しているのは、がむしゃらジュニアもそうだが、OPGジュニアの課題でもあるのかな?
第4試合 スペシャルタッグマッチ
グレートムタイガー&○アントニオ片山 VS ミステリコヤマト&×ALLマイティ井上(松江だんだんプロレス)
松江だんだんのヤマト代表と、ヤマトが留守の間、臨時代表をしていた井上とのタッグは今更言うに及ばずだが、OPGの31年という歴史そのものであるムタイガー&片山の重鎮タッグもまた味わい深い。
実力派同士のぶつかり合いは、ごちゃごちゃ考えるよりひたすら堪能した方がより楽しめるだろう。
やはりベテラン同士の試合は若手にはない味がある。中でも長いブランクがあったミステリコヤマトは、復帰後も以前以上に磨きのかかった蹴りに、巧みなインサイドワークで前半はOPG勢を翻弄。加えて肉弾戦では他を圧倒する井上のパワーファイトに、後手後手に回るOPG代表タッグ。
しかし、タッグ歴でいえばOPG誕生から数えて、だんだんの三倍の長さを誇るムタイガーと片山は、ヤマトではなく井上にターゲットを絞った。このあたりはなかなかやるな、と私は思った。まあ、見た感じヤマトが標的になりやすいといえばその通りなんだが、井上が狙われるというのは、正直想定外だったかもしれない。
当然必要以上に真正面から打ちあわず、ヤマトを分断した上で、井上に的を絞ったOPGコンビ。だが、井上もただでは終わらない。度々ピンチを自力で跳ね返すが、片山が2度目の卍固めをがっちり決めて万事休す。巨漢の井上に卍固めはよほど効いたのか、ノーサイドで握手を交わす際も、1人だけ腰を抑えていた。
まあ、たしかに井上に卍固めかける発想はなかったし、片山にも意地があっただろうけど、セレクトする技によっては、無敵のALLマイティ井上にも風穴が開けられたという意味では画期的な試合だったと思った。
第5試合 OPG Jr.ヘビー級選手権試合
(王者)○山内拓也 VS ×西江悠(挑戦者)
今や、OPGのベルトを独占し勢いにのるヒールユニット・ジョロキアの山内と、何とかそれに一矢報いたい西江。ジョロキアの怖いところは、クレバーな上にテクニシャンが揃っていることで、西江も簡単にはいかないことは百も承知しているだろう。そもそもここに駿之介が入って3wayをやってまんまと山内に足元すくわれた西江にしてみたら、リベンジできる絶好のチャンス。
しかし、その西江の意気込みをスカすように、正攻法で攻めてくる山内。セコンドにはスコヴィルもいるのに介入すらしようとはしない。ある意味、ジョロキアらしさを封印した山内は西江の土俵で戦っていたわけで、これは西江には屈辱だっただろう。
だからどうしても西江の攻めが後手後手に回り、山内の余裕を崩せない。これは思った以上にチャンピオン完勝と呼べる試合になったかもしれないな、と思った。
セミファイナル OPGタッグ選手権 SWA認定山陰統一タッグ選手権 ダブル選手権試合
(OPGタッグ選手権者)グリーク&×ZAKA VS マツエデラックス&○KOZZY(SWA認定山陰タッグ選手権者・松江だんだんプロレス)
SNSをみていたら「酒の勢い」で決まった?ダブルタイトルマッチ。しかし双方とも実力者同士。強いて穴があるとしたら1人軽量級になるZAKAの存在だが、これがジョロキアのハンディになるとは思えない。しかし、山陰タッグの連携は昨年末がむしゃらで目の当たりにして驚愕させられた。こちらもそう簡単に勝てる相手ではない。果たしてどうなるのだろうか?
予想外だったのは、OPGサイドがあきらかにマツエデラックスを狙っていたこと。厄介な相手を最初に潰すという意味では、ジョロキアの目論見は当たっていた。
それはグリークという社会人屈指のパワーファイターがいてこそ。実際誰と闘ってもまず打ち負ける事がないマツエデラックスが終盤スピードが鈍るくらいに、グリークのアタリは強烈だった。SNSでマツエデラックス本人が「打ち負けた」と反省の弁を述べるくらい「圧倒的」だったのだ。なかなかOPG外では見られない強豪だけに、もし他団体に本格的に進出してきたら、これは脅威だろう。
だが、チームとしては完璧なジョロキアではあるが、ことこの日のZAKA&グリークは連携に若干の難があったように思う。特にZAKAは、マツエデラックスと必要以上に対峙しすぎたように思う。終盤にKOZZYから連続攻撃を受けてしまったのは、やはりダメージの蓄積によるものだろう。
フィニッシュでは、KOZZYがZAKAの顔面をPKで撃ち抜いて、OPGタッグを強奪。あまりに勢いよく入りすぎてしまい、ZAKAが試合後もダウンしたまま。完全にあれは事故だった。団体対抗戦で、タイトルマッチというのは、得てして意地の張り合いになるので、こうした事態もおきやすい。観ていてヒヤッとした場面だった。
慌ててヤマトら、だんだんのセコンドも入ってきて、ZAKAの様子をみていたが、大事には至らなかった様子。やはりZAKA本人が避けられないくらいにダメージを溜め込みすぎていたのかもしれない。
こうして、マツエデラックス&KOZZYは、山陰ベルトと合わせて、二冠王に!OPGのタッグベルトも他団体流出!昨年のオールスターサミットで、だらずプロレスから奪い返した至宝はまたしても山陰に流出する羽目になってしまった!
メインイベント OPGヘビー級選手権試合
(王者)○上原智也 VS ×鉄生(挑戦者・がむしゃらプロレス・LCR)
鉄生が他団体に出陣した試合で、メインを張った記憶は、私の頭に残っている限り過去には「ない」はず。他団体の最高峰タイトルに挑むのも異例なら、他団体のビッグマッチのメインというのもまた異例。しかも鉄生は手負いの状態で味方の援護も期待できない。果たしてこの重圧は鉄生にどんな化学変化をもたらすだろうか?
そして、チャンピオンの座にありながら、攻めの姿勢を忘れない上原にとっても、退路を絶った以上、引けない試合ではある。鉄生とは別な重圧がかかっている事は想像に難くない。果たして勝つのはどちらか?
一番危惧していたのは2月3日に内紛を起こしたKENTAと鉄生との関係だったが、入場時には鉄生&TOSSHIと共に普通に入場してきた。その後もジョロキア勢が先に試合に介入すると、負けじとLCRも介入し、KENTAも積極的に、鉄生をアシストしていた。
少なくとも表向きはギクシャクした感じはなかった。まあ、がむしゃらのストーリーをOPGに持ち込んでも、岡山のお客さんは「?」だったと思うから、これはこれでよかったと私は思う。
そこから先はひたすら上原と鉄生がバチバチやりあう展開に。お互いのプライドをかけて身を削りあう死闘になっていった。やはり因縁が絡まない鉄生の試合は、面白い!陽樹やスミス相手ではこうはいくまいが、実力を思う存分発揮できたという点では、この試合が文句なく全大会中のベストバウトだった。
惜しむらくは、鉄生の足が完治していなかった点。上原はそこを狙う手もあったはずだが、それはやらず。ひたすら真っ向勝負にこだわった。最後は上原が鉄生のこめかみにラリアット一閃!王座防衛に成功!
試合後上原が「あなたと闘えたことを光栄に思う」と鉄生を称えた。鉄生は「次勝てると思うなよ」と上原と拳を合わせた。感動的なラストだった。
試合後はヒール・ベビーもノーサイドでリングに上がって集合写真を撮ったが、中でも上原と鉄生は、皆が解散したあともエプロンサイドに座りこんで話し込んでいたのが印象的だった。
後記
プロレスは生の感情がぶつかり合うから面白いと私は思っている。
だから因縁自体も否定はしない。しかし、あまりに因縁にとらわれすぎても面白くない。たまには鉄生の因縁が絡まない試合が見たかったので、結果は残念だったけど、上原戦が実現したことは、よかったんではないだろうか。
鉄生的には是非とも借りは返したいはずだが、今度はGAM1なんかで2人がぶつかり合うところもみてみたい。
私としても二年連続でOPGを観戦した事は間違いではなかったと思う。非常によい気分で帰路につけた。岡山のみなさん、ありがとう!また来ますね!