北九州マットプロレス(2018.12.20 木)
イントロダクション
マットプロレスが小倉に帰ってきた!はやくも前回から二ヶ月が経過。まさか、その二ヶ月の間に我が身がとんでもないことになっていようとは、あの時は想像もしていなかった。
ということで、前回自分がバービックで滑ったことすら忘れているくらい、いろんなことがありすぎた年末。今回は夏にいろんな意味で旋風を巻き起こした菅沼修がやってくる!しかも、あのレイパロマと対戦するカードが組まれた!これにワクワクしないプロレスファンはいないだろう!
今回は自分の体調も考慮して20日は完全オフにして、身体を冷やさないように細心の注意を払って、夜が来るのを待った。私にとっても、2018年の観戦納めになる。はじめてマットプロレスが北九州で開催された頃は、小倉魚町でプロレスが年に何度も見られるなんて想像もしていなかった。
今やくいしんぼう仮面率いるマットプロレス一座にとっても、中国・九州のツアーは恒例行事になった。今回から新しく博多がツアー先に加わったが、多分そう遠くない将来、立ち見がでるくらいの盛況になるだろう。
プロレスの聖地・博多スターレーンが、耐震工事のため4月からしばらく使えないので、各団体とも代替会場を探しているはずだが、マットプロレスなら問題ない。今回見に来たお客さんがきっと博多も盛り上げてくれるだろう。北九州がそうだったように。
オープニング
今回も立ち見がでるほどの大盛況。試合もはじまっていないのに、すでに飲んでいる菅沼修に、試合開始前からタオルを売りまくるタコヤキーダーと皆それぞれやりたい放題。
でも試合開始時間はきちんと守るのが不思議なところで、主がちょっと留守をしていたくいしんぼう仮面のグッズ以外はいつの間にかきれいに撤収されていた。
▽ウルトラタッグマッチ
①×HIROYA&タコヤキーダvs〇鉄生&オカダツヨシ
満場一致で、2018年のがむしゃらプロレス新人賞に選ばれたHIROYA。対戦相手には、松江だんだんプロレスの広島大会で、強烈なキックをぶち込んできたオカダツヨシと、がむしゃら屈指の重量級ファイター・鉄生。タコヤキーダーは百戦錬磨のつわものではあるが、並みの新人なら分が悪いと捉えても仕方ない。
そもそもHIROYAはまだデビュー1年未満の選手なんだから、通常ならこれが大抜擢と言っても差し支えあるまい。だが、今年の春から大躍進を遂げたHIROYAを、もはや新人などと思うものはいないだろう。実際、それだけの内容を残してきたのが、今年のHIROYAである。まさに新しい時代の到来を予感させる出来事だった。
HIROYAの話ばかりしているが、実は鉄生も年末に大事な試合をひかえている。実戦で調整できるのは、この試合が最後になる。ぶっちゃけ他人の心配をしている場合ではないのだ。
広島の時同様、オカダは容赦なくHIROYAに蹴りを打ち込むし、それに食い下がるHIROYAも素晴らしかった。試合配分はタコヤキーダーが上手く流れをみていたみたいで、こういうキーになる選手が一人いるだけで、試合はぐっと締まったものになる。
無論、シリアスな攻防にお笑いを混ぜるのはお約束なんで、プロに乗せられる形で、鉄生もHIROYAも実力以上のものを出し切ったと思う。特に鉄生がプロ相手に挑んだ打撃戦は、年末のマグニチュード岸和田戦に向けて、いい予行演習になったと思う。
成長著しいHIROYAは、へたすると勢いだけで、ほかの選手を食いかねない感じだったが、そこは先輩の意地で、鉄生がショートレンジの剛腕ラリアットを振り抜いて、HIROYAを強引に抑え込んでカウント3。
鉄生のショートレンジラリアットは、やはりふつうのリングではあまり見られない、マットプロレス対応型だと思うけど、通常のリングでもチャンスがあれば使ってほしい技。もっともHIROYAにこれが通用するのは、長くもって2年だろう。マットプロレスという経験を積んだHIROYAは、そのくらい急激に進化しているからだ。
▽スペシャルタッグマッチ
②〇青木いつ希&菅沼 修vsレイパロマ&×くいしんぼう仮面
年の瀬は社会人にとって誠にせわしない時期である。しかも裏でラジオの本番があるため、がむしゃら勢は二分されている…という状況下、北九州マットプロレスでは珍しいプロオンリーのカードが登場した。
青木いつ希にしてみれば、前回の参戦で因縁ができたレイパロマが相手で、しかもパートナーが、菅沼というハードルの高い試合になってしまった。そんな青木いつ希に味方するように?パロマの入場曲がまたしても飛び飛びになるというアクシデントも!でもこの程度ではめげないパロマ様は結局踊り切ってしまった。
先発は菅沼とくいしんぼう。歴史の点ではくいえべ対決には劣るものの、クオリティではなんらひけをとらない両者の対決は、何回見ても飽きがこない。しかも何気に菅沼は前回自身の物まねをした鉄生を意識している!
両チーム交代して青木が出ると、当然パロマもでてくるのだが、序盤からセクハラする気満々なパロマは大ブーイングを浴びてしまう。しかし、それでもパロマは己のキャラを貫き通すので、さらなるブーイングが飛ぶというお約束も。
とはいえ、ここまでの流れは夏の対戦カードを受けてのもの。この試合で見たかったのはやはり菅沼対パロマの組み合わせだった。ここで、菅沼は「いくぞ!マイティ井上!」と若い層にはわからないサンセットフリップをパロマに決め、続けさまに「こけし」コールを要求。そのまま小こけしを決めるというパクリに打って出た。
観ていて感心したのは、さすがはプロというか、4人が4人ともに四方への見せ方がうまいということ。そしてマットという限られた空間で、きちんとプロレスができていることろも素晴らしい。もともとプロレスのうまい選手たちがやっているので、当たり前っちゃ当たり前なんだが、これがプロの底力なんだなというものを観た思いがした。
最後は青木が菅沼を踏み台にしてくいしんぼうにダイビングフットスタンプを決めて勝利。なおもしつこくからもうとするパロマを蹴散らかして堂々の勝ち名乗りをあげたのだった。
▽プロレス居酒屋がむしゃらpresents③全選手参加バトルロイヤル
優勝:鉄生
(退場順:HIROYA→青木いつ希→オカダツヨシ&くいしんぼう仮面&レイパロマ[三人同時]→菅沼修→タコヤキーダー)
前回はまさかの絵本読み聞かせという形からスタートしたバトルロイヤルだったが、菅沼がここでも序盤では美味しい場面をかっさらう。当然全員が菅沼を狙っていくのだが、なぜかキックアウトして難を逃れた菅沼。これをかばうように鉄生が「いじめはよくない」と言い出したもんだから、さらに収拾がつかない形に。
この試合のハイライトはなんといってもHIROYAのギャグに尽きると思う。菅沼のギャグに乗っかる形で、鉄生もHIROYAも後に続くのだが、鉄生はともかくHIROYAのあれは放送事故級にやばかった。
いかにスーパールーキーとはいえ、お笑いに対する免疫が薄い分、こうした濃いメンツの中でギャグを披露するというのはハードルが高かったか。しかも容赦なく観客が「もう一回」コールをするもんだから、HIROYAはメンタルに大ダメージを負ってしまう。
結局、タコヤキーダーと菅沼、そして鉄生が勝ち残って試合は終盤。ここでも笑いの標的になる鉄生だったが、漁夫の利で二人をうまく丸め込んでピンフォール勝ち。
後記
試合後、くいしんぼうにマイクでしめるようにいわれた鉄生だったが、さすがにメンタルが持たなかったか、すぐにくいしんぼう仮面にマイクを渡して、締めとなった。
全三試合、いずれもクオリティの高い試合ばかりだったけど、個人的には見どころがいっぱいあった第二試合と、その流れをうまくいかしたバトルロイヤルが特に印象に残った。まじめに闘うのもプロレスだけど、こうしたお笑いも生かしつつ闘えるのもプロレス。間近で見る迫力と、本気で笑かしに来る選手とのやりとりもまたプロレスである。
このふり幅の大きさと度量の広さはプロレスにしか存在しない。だからこそ唯一無二のスポーツエンターテインメントになりうるのだ。残念ながら体調の問題もあって、アフターパーティー出席は辞退したけど、いずれまた宴席に戻れるように、明日から治療も頑張ろうと思う。年内最後に素晴らしい試合をみせてくれた全選手に感謝したい。ありがとうございました!