[プロレス観戦記] プロレスリング華☆激古賀☆エストレージャ(15.6.6土、古賀市民体育館)

華☆激古賀☆エストレージャ観戦記(15.6.6土、古賀市民体育館)
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ちょっと前なら年に一回行けたら、だいたいいいかな?と思っていた華☆激の興行へ行く回数がここのところ増えてきた。アステカとはかれこれ16年以上の付き合いになるけど、割と付かず離れずという俯瞰から見る感じでこの団体の歴史的を眺めてきた。
浮き沈みはどこにでもあるので、初期の満員記録を連発していた大会も、空席がイヤというくらい目立つ大会もみてきた。イジメ撲滅チャリティーはそんな模索していくなかから発生した大会スタイルだと思われる。それまではよくも悪くも、淡々と試合だけをこなすだけで、ストーリーラインも何もない華☆激に変化をもたらした。大会テーマがしっかりしてくると、それに沿った試合を選手が意識するようになる。
たぶん今の華☆激の変化の兆しはそんなあたりから生まれてきたのかもしれない。怪我の功名かもしれないが、結果オーライだったわけだ。そして興行形態もさざんぴあを中心とした形から、福岡市周辺のプロレス過疎地?へと変わっていった。実は交通機関でも車でも博多に行けない距離ではない、福岡市周辺の地方都市を綿密に回る団体は意外と存在しない。ここから篠栗や古賀といった金の鉱脈を探し当てたのは素直に評価していいと思う。
旗揚げからしばらくは所属やレギュラー参戦のフリー選手を含めると結構な人数を抱えていたけど、今は名古屋組のコスモを入れて5人。フットワークの軽さも今では強みになっている。いやはや何が幸いするかわからないものである。しかもアステカの無駄に広い人脈は提携団体だけでなく、普段九州ではあまり見られない選手までしれっと呼んできてしまう。五月のみなと祭りではRayが、古賀ではジンベイザメ~ンやFMWの吾作や五代目ブラックタイガーまで呼んできていた。
だが団体だけ頑張ってもムーブメントが成功するとは限らない。篠栗にしろ、古賀にしろ、地元の商工会、後援企業や市町村、大人から子どもまであらゆる人たちが、自分の街のプロレスに尽力を惜しまなかったことが、大成功につながっていると思う。
今回の古賀大会でもその例外にあらず。実に多様な街の人々がプロレスで真剣に「町おこし」をしようとしていた。イジメ撲滅チャリティーというのが前提にあるのはもちろんだが、やはり福岡市と宗像市の間にあって、他県人からみると特色の薄い古賀の復興というのも当然気持ちとしてはあったと思う。
もうひとつ特徴的だったのは古賀市民が予想以上に熱かったこと。大人から子どもまで本当に真剣で熱い思いをプロレスにぶつけてきていた。その数なんと850人!有料大会でここまで集めてしまうというのは、正直すごいとしか言いようがない。初期の満員記録を作っていたころの華☆激以上の圧倒的な熱を持った多くの観客がこの日の大会を大いに盛り上げた。結論を先に言うとこの日のMVPは古賀のみなさんだった。それは断言できる。
さて個人的にはちょっと観戦がたてこんだこともあって、珍しく下道とおって古賀までいってみた。20代の頃はよくこうして博多まで観戦にいっていたけど、25年ぶりに通るとなんか懐かしい感じがした。会場についてみるとTVの取材はきているは、法被着たくさんの人がいるはでちょっとびっくり。中は土禁だけにシートがひかれていてその上にじかに座る形式(みちのくスタイル)だった。最前列に座っていたので気が付かなかったが、ふと後ろを見たらみたらあれよあれよという間に満員に!これはすごい!まさに立錐のよりもないとはこのことで、たって移動するのも大変なくらいの入りになってしまっていた。
いじめ撲滅チャリティーは試合前にプロレス教室があって、ルール説明をして、試合開始となる。このプロレス教室は華☆激だけでなく他の団体もやってるけれど、どこもかしこも場所によっては盛り上がりに欠けることがあったりする。しかし古賀の市民はアクティブ!最初にやった大人のプロレス教室はいきなり定員オーバーの人数が手を挙げ、リングに上がった人の中には65歳の方までいた。さらに子ども教室はあまりに参加希望者が多くて二部制になってしまうほど。おかげでプロレス教室はプログラムよりだいぶん時間オーバーすることに!
我々みたいに試合にしか興味のないスレたファンは「早く試合はじまんねえかな」と心の中で思っていたのだが、今思い返してみてもリングに上がった老若男女のすべてがキラキラしていたし、あれはやっぱやってよかった。参加した人たちにとってもかけがえのない思い出になったのではないかと思う。で、試合がはじまったのは夕刻になってからだった。
① チーム・マッチョオヤジ vs まだら狼はぐれ軍団対抗戦
小川聡志&ジンベイザメ~ン(ユニオン)&ゼファー(北九Z) 1/30 アズールドラゴン(タフス)&五所川原吾作(FMW)&A.K.(ダブ)
○小川聡志(16分1秒 片エビ固め ※YAMAKASA)A.K.●
※二代目上田馬之助が急遽、負傷欠場により、アズールドラゴンに交代
試合前、会場には来ていた二代目上田馬之助が足を引きずっていたので、大丈夫かなと思っていたらアズールが代打で二試合こなすという。まあこの時点でまだら狼がいなのでヒールがただのはぐれ軍団になってしまったのだが、まあそれにしても面白い顔ぶれがそろったものである。小川以外は所属選手ではない上に、所属団体も各自違う。でも寄せ集め感がないというのがまた面白い。このバラエティーに富んだ選手の参戦というのが今の華☆激には大きな売りにもなっている。
プロレス教室でも大活躍していたジンベイザメ~ンは沖縄プロレスにいたときのキャラで、普段は素顔でヒール。ユニオンがこっちにこないし、なかなか見る機会がないのでここでみられたのはよかった。素顔でもみてみたいけど、ジンベイザメ~ンというマスクマンとしてもなかなかいい味を出していた。ちなみに多忙を極める大社長にかわって、アズールとともに7.5DDT博多大会の宣伝もしっかりしていた。これに触発されたのか?ホームではグダグダだったゼファーも負けじと頑張っていた。受けにまわるともろいけどこのメンツの中ではぼろを出さずに済んだのは幸いといっていいだろう。
ここ数年イマイチ元気のなかった小川も復調していて、馬之助が欠場しても手ごわいヒール軍に攻め込まれながらも頑張っていた。まあ小川は元気ないと他の持ち味も死んでしまうんで、それがみられただけでもよしとしたい。
ジンベイザメ~ンの他には広島のダブプロレスかたらきていたA・Kもいい選手だった。できたら継続参戦してもらいたい選手だけど、マスクマンが多い中にあって素顔の悪役というのはなかなか貴重だし、それだけでなく選手としてのクオリティも高かった。
ただ吾作はもうちょっと体をしぼってきてほしいなあ。ブランク明けの復帰というのはわかるけど、あれはプロの体つきではない。だらしない感じがしてみっともなかった。
②石橋葵(世界プロレス協会) 1/30 神田愛実(世界プロレス協会)
○石橋葵(9分21秒 ギブアップ ※ジャストフェイスロック)神田愛実●
世界プロレス協会というと古いファンにとっては90年代末に九州一円で活動していた「世界のプロレス」を連想してしまうけれど、こっちはもとFMWの上林愛貴がたちあげた団体名。しかし今回参戦してきた石橋も神田も九州出身で、なぜか九プロにも華☆激にもはてはFREEDAMSにまで同じカードで連続参戦してくる。だいたい九プロか華☆激かどっちか上がると片方にはでられないというのが、九州のプロレスシーンでは当たり前になっているのだが、こういう形での参戦は非常に珍しい。
年齢でいえばほとんど違いがない神田と石橋だが、15でデビューした石橋はすでにキャリア6年。もともとキックボクシングも習っていた素養もあって、すでにベテランの風格がある。一方の神田はまだまだこれからだなあという感じがした。でも東京の団体ではなかなか経験できない地方大会をこうして団体をまたにかけて体験できるというのは貴重なことだと思う。巡業という形でなくてもくした形でもとめに応じて参戦してスキルアップしていくのは大事だと思う。やっぱ代表のミスモンゴルこと上林もFMW時代にそうしてきた体験があるからだろう。加えて彼女の人脈と人柄もたくさんのコネクションをもっている。これは大きな強みだろう。そうしたスキルをおしみなく後輩に伝えチャンスを与えているのは素晴らしいと思う。
石橋も神田もまだまだ成長していける素材だし今後が楽しみではある。この第二試合という位置でいい感じに色合いを変える働きをしていたので、彼女たちも定期的にこういう大会には参戦してほしいと思う。
③イジメ撲滅プロレス公式戦
コスモ☆ソルジャー&新泉浩司 1/45 5代目ブラック・タイガー(フリー)&アズールドラゴン
●新泉浩司(16分42秒 片エビ固め ※ダイビングエルボードロップ)5代目ブラック・タイガー○
アズールはこの日二戦目だが、スタミナ切れした感じはない。タフス単体では大橋のお祭りしか大会を開いていないが、DDTや各団体に参戦しているのでこうした不測な事態にもしっかり対応できている。しかもFTOではダークサイド入りした五代目ブラックタイガーがパートナーだからこれ以上条件といっていいだろう。
そのブラックはなぜか序盤はおふざけモード。歴代のブラックタイガーとはまた違う色合いを作っているのが興味深い。まじめ一直線なコスモや新泉はこういう変化球投げてくるタイプの悪役には、あまり耐性がないのかもしれないが、真っ向勝負にいこうとするとすかさせるので、やりにくかっただろう。だいたい九州のヒールは割とわかりやすい悪役が多いから五代目ブラックみたいなタイプは、貴重だと思う。
もちろん中の人は今さら言うまでもない実力者なんで、普通にプロレスさせるとさらに強いから厄介なのだ。華☆激組が狙うとしたら二戦目のアズールだったんだろうけど、それほどスタミナをロスしてない上に、ブラックに攪乱されては、さすがにどうしようもなかったのかもしれない。
こういうパターンになると最近メキメキ頭角を現してきた新泉といえどもいかんともしがたい。お客さんの大声援があとおしするも、最後は力尽きた。全体的にいえることだが、今大会ではヒール選手が実にいい仕事をしていた。このカードも然り。篠栗ではこの五代目ブラックとアズールが篠栗88タッグのベルトに挑戦するけど、これは思わぬ難敵になるかもしれない。
④イジメ撲滅プロレス公式戦
博多タッグ選手権試合
[王者組]アステカ&KING 1/60 スカルリーパーA-ji&ヴァンヴェール・ネグロ[挑戦者組]
○アステカ(18分49秒 片エビ固め ※聖☆スプラッシュ)ヴァンヴェール・ネグロ●
※アステカ&KING組が防衛に成功
序盤で先発したネグロをアステカが「あっちいけ」と追い払いA-jiを呼び込んだシーンがあった。キャリアの面でも上回るアステカがはやるネグロをいなした格好だったが、ここで黙ってネグロが引き下がったあたりで、ちょっとこの試合でネグロがタイトルとるのは難しいかなと思ってしまった。挑発されてそのままのっていける自信があったらそうやすやすとは引き下がらなかっただろう。自己主張が強すぎてもだめだけど、ベビーフェイスに挑発される悪役というのもちょっとどうかと思う。公私ともにネグロを知るアステカが、熱い男ネグロを試したシーンだったけど、この場合正解というのはない。ただ駆け引きにおける点で悪役としてのネグロが正直すぎるところが露呈されたシーンではあった。
とはいえ、ヴァンヴェールネグロは最近とにかく成長著しい選手である。自らメキシコ武者修行にでて、プロレスをたっぷり体感して帰ってきた。そのくらい期するものがあったというのはよくわかる。実際ルチャの動きからプロレスの動きにシフトすると急にぎくしゃくしていた昨年と比べると不自然さがなくなっているし、全体的にレベルアップしているのはよくわかる。中盤アステカのマスクはぎに挑んだあたりも去年とは違う面だったと思う。
精神的にも肉体的にもひとまわり違うネグロに、ではなにがかけていたかというと、ひとつは毎回指摘されているスタミナ面。
試合中盤で急に電池切れおこすパターンは今回も変わらずだった。正直A-jiが手足のようにネグロを使えていたのは前半までだったし、後半はセコンドについていた五代目ブラックやアズールまで動員しての総力戦を挑むことになったのも、たぶん手ごまとしてのネグロに見切りをつけたからではないのだろうか?一見すると悪役のセオリー通りのことをやっているようにもみえるけど、毎回セコンドを乱入させているかというとそうでもなかったりするので、今回の場合は中盤でネグロを見限ったとみるのが正解だろう。
とはいえ初タッグなんで見切りをつけるには早いのではとも思えるが、ここにもうひとつの問題がある。ネグロが所属しているブラックドリームとFTOの関係性である。ブラドリのKAZEはFTOに参戦する時は正規軍サイドにいて、ダークサイドとは敵対関係にある。よって北九Zにダークサイドを呼んでも一緒に結託することがない。ダークサイドもブラドリとは一線を引いている。で、本人はどう思っているかはさておき、結果的にどっちにもいい顔をしようとしているようにみえるネグロを腹の底から信用しろ、といってもこれは無理な相談だろう。従って、同じダークサイドで行動を共にしているアズールやブラックの方がより信用もおけるし、いい仕事もするわけで、ネグロの意気込みとは裏腹に実はもうタッグとして挑戦者チームは最初から機能していなかったのである。
で、実際負けたネグロをダークサイド全員が罵倒。ぼこぼこにされたあげく一人悔しげにリングの上の勝者組をにらみつけるネグロにはなんとも言い難いものを感じてしまった。
試合自体で非常に心に残ったのはとにかくお客の声援が熱かったこと。だいたい○○コールする時は、マニアが先にコールし出して、あとから一見さんがついてくることが多いけど、この日扇動していたのは子どもたちだった。とにかく懸命に応援をするのだ。それも実に熱くて純粋な、我々マニアがえてして忘れがちなピュアなエネルギーをもっている。「アステカ、タイトルかかっているんだぞ!しっかりしろ!」とか「アステカ、博多魂だ!」とかいう声が全部子どもたちから発せられているとうのも新鮮だったし、そして大人たちもまた子どもに負けじと熱かった。
この熱がどの試合にもあってそれがメインでさらに昇華して大盛り上がりになったのだから、やっぱ一部のマニアより熱い初心者の心を掴むって大事だよなあとつくづく思う。逆にいうと一見さんを熱くできないレスラー・団体はプロ失格ともいえるので、そういう線引きがしっかりできるという意味では古賀のお客さんのレベルは高かったと思うのだ。
いや、それにしてもこういう大会をみせられるとは正直おもいもしなかった。単純に850年集めることも勿論難しいことなんだが、その全員が熱を持って観戦するということはなかなかあることではない。そういう意味ではわざわざ片道二時間かけて古賀まで行った甲斐があったというものだ。できたら篠栗とは時期をずらして開催してもらえると本当にありがたいけど、これが年一回から2回、3回開催につながっていく可能性は十分あると思う。
もう一回、この日のMVPである古賀のお客さんに大いなる敬意を表したい。本当に素敵な夜をありがとう。

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