[プロレス観戦記] イベント試合: 熊本・大分地震災害復興支援チャリティーイベント‼︎『がむしゃらパワープロジェクト』~プロレスで元気を届けよう~ (2016年6月19日(日)門司赤煉瓦プレイス)

イベント試合:熊本・大分地震災害復興支援チャリティーイベント‼︎『がむしゃらパワープロジェクト』~プロレスで元気を届けよう~

(2016年6月19日(日)門司赤煉瓦プレイス)

イントロダクション

この日は朝から大連航路上屋で、私が参加しているR65コミュニティのイベントの一つであるH.O模型の展示にお手伝いで参加。13時半に中座して赤煉瓦に向かう形になった、

蒸し風呂の様な大連と違い、冷房完備の赤煉瓦は天国であった。

【第1部】第一試合

×美原 輔 & ジェロニモ vs ○パンチくん & タシロショウスケ

イベント試合ではもはや恒例化?しつつあるストロングパンチくんが今回も降臨。がむしゃら選手勢にユニット問わず、試合内容で喝を入れまくるその強さは、ある意味素顔の時より鬼気迫っていて怖い。

その怖い、怖いストロングパンチくんに対するのが、かつて久保希望にボコボコにされ、さらなるプロレス愛に目覚めてしまったジェロニモと、デビュー2戦目にしてその高い壁に挑む美原である。

パンチくんを軸にして考えると、じゃあタシロはどうなんだ?となるが、後輩にいいところをもっていかれては立場がないし、パンチくんの側に一番いて間近で見てきた分、せっかくチーム凱入りした以上、何か爪痕を残さないとマズイだろう。

そのタシロは今までの馬場ムーブに加えてコブラツイストも加えてきている。背丈を生かした有効な技だし、拷問式に移行して絵になるのはタシロしかいない。

もともとコブラツイストは馬場さんと猪木さんが使っていた必殺技だが、馬場さんのコブラがより見栄えするので、猪木さんが卍固めにフィニッシュを変えたいきさつもある。大事に使えばギブアップだってとれる。

今のカナディアンバックブリーカーと二本立てにすればかなり有効だろう。

一方美原は若々しいファイトスタイルがウリ。窮地を脱するのにドロップキックを使うのも好感度が高い。

しかし、ストロングパンチくんに初の場外戦を挑まれ、しかも試合中に瞼の上を切って大流血!アクシデントとはいえがむしゃらで流血戦になるのは珍しい!

その流血にもひるまず、前に向かう美原の姿は泥臭くて不恰好でも人の心をうつ。技は決して華麗に決めたりかっこよく放たなくてもいいのだ。

最後はヤングライオンばりに美原をボストンクラブで締め上げたパンチくんだが、やはりそれは自分の肉体に刻まれた経験であり、試合を通じてそれが伝承されていく場面だったのかもしれない。

私的にはとても感慨深いシーンだった。

【第1部】第二試合

 ○陽樹 & 七海健大 vs× MIKIHISA & L.O.C.キッド

当初の発表から会場だけでなく、大幅なカード変更もあり、gWoジュニアコンビ対凱ヘビー級ツートップの変則タッグマッチに。

背丈からしてMIKIHISAは肉さえつけばヘビー級になれる素材だけに対ヘビー級というのは、将来的にありうる話である。

gWoとしても、がむしゃらプロレス全体としても、次世代ヘビー級戦士の育成が急務だけにここはMIKIHISAの奮闘に期待がかかるところ。

そこで課題の一つになるだろうと思われるのがMIKIHISAの蹴りである。今でも十分に殺傷能力の高い必殺技ではあるのだが、モーションの割には、音がしない。

もちろん鋭い蹴りなんでそれはわかるんだけど、やはり破壊力を表現するには迫力ある音が欲しい。

究極いえば迫力ある音が出て、かつ一撃で倒せる蹴りなら申し分ない。最初からないのではなく、既にあるものをどう表現していくか?

それはプロレス独自の技術論であり、同時に奥深い面でもあるのだ。

【第1部】第三試合

③佐々木貴 & 尾原毅 & ×トゥルエノ・ゲレーロ vs ○杉浦透 & 鉄生 & YASU

これもまさかのカード変更で、なんと杉浦がgWo入り!先週のFREEDAMSでgWo入りした?GENTAROにこっぴどい目にあわされて心がわりしたのか?急ごしらえの割にはノリノリ。

しかもスギウラマンのキャラはそのままでヒールになっているので、暑苦しいことこの上ない。ある意味同じチームにいながらYASUと鉄生は交通事故にあった感じかもしれない。

この中では、尾原の動きに注目していた。かつてがむしゃらプロレスはプロとの交流には一線をひいていた時代があり、その頃の中心選手だった尾原にしてみれば、慣れない環境にいきなり放り込まれたのでは不安を感じて当たり前だろう。

しかし、そこはチームリーダーが殿と杉浦なんで、見ている側からしたら全く不安要素はなかったし、本人たちが思うほど不自然さもない。素晴らしいタッグマッチだった。

特に実は初のタッグ結成になるゲレーロ、尾原をあたかもずっとチームを組んでいたかのように見せた殿の技術と腕の確かさには改めて舌をまく。

こういう試合を見ていると改めてプロと絡むことはたくさん勉強になるという、がむしゃらレスラーズの証言が現実味を帯びて伝わってくる。

それにしても杉浦は終始ごきげんで勝った勢いで、gWoメンバーを全員呼び寄せリング上でポーズを取り出す始末。

すっかりスギウラマン色に染められたもんだから、さすがのgWoも困惑を隠せない。

呆れた殿が「おまえ、いつからgWoになったんだ?」と言いながら、一人で飛行機に乗れない杉浦の裏話?をばらしていたが、この日の杉浦を見ていたらそんな風にはとても見えなかった。

第三試合のケリが一通りついたのを確認すると片付けの約束していた大連に戻ることになった。

第一部終わりで大連に戻りイベントの撤収を手伝って汗まみれで赤煉瓦にUターン。入るとアニスピガールズのライブの途中だった。

【第2部】第一試合

鉄生 & ◯MIKIHISA vs ×タシロショウスケ &尾原毅

この試合のポイントは鉄生と尾原においてみていた。なぜなら鋼鉄の肉体を纏う代わりに柔軟性を捨てた鉄生の身体は、もともと硬いのもあるが、基本関節技は天敵みたいなところがある。

だから真っ向勝負系の選手とは非常にいい試合をするが、相手が尾原だとそうはいかない。仮に蹴りに耐えられても関節とられると一気にピンチに陥る。

そのリスキーな自分の特性をどう生かしていくか?が見どころになると思っていたが、警戒しながらも、やはり攻めないと持ち味がでない。

しかし、同じ技を連発していくとあっという間に切り返される。この日もカウンターで肩や腕を決められる場面がやたら目立った。

やはりパワーがあってかつ柔軟性が高いというと、プロでも往年の坂口征二くらいしか事例になる選手がいない。

そういうことでいうと、打たれ強く、パワーを備えてなおかつ柔軟性がある身体を作るのは不可能ではないが、難易度は高いのだ。

さて、もう一つポイントがあるとしたら凱サイドのタシロになる。同系のタイツ同士ながら尾原と違う個性があるので、かつてタッグトーナメントを制覇した尾原&フランケンの再来も期待できる。

しかし、馬場ムーブを必殺技まで高めないとなかなか現状打破は厳しいだろう。幸い尾原の生真面目さはタシロにもよい影響を与えそうな感じがしたので、結果はMIKIHISAにとられて敗北を喫したものの、そう悲観することはないかもしれない。

ただ、後輩に追い抜かれたという事実は事実として

【第2部】第二試合

◯YASU & L.O.C.キッド vs×ジェロニモ & トゥルエノ・ゲレーロ

この試合は結果的に門司赤煉瓦プレイスで行われたからこそ良かった気がする。門司港の屋外も悪くはないが、おそらく同じことをしても、見ている側の受け止め方がかなり変わったのではないだろうか?

そう思うとこれは単なる偶然の積み重ねだけでは片付けられないと私は思う。

物事をやり続けることにも才能とエネルギーがいるように、それまでやり続けてきたことを一旦やめてでも新しい道を歩み出すということにもエネルギーと才能がいる。

一番安易なのは、自分と向き合わず、自分のやりたいことに責任を負わないで、全てを他人任せにして、変わらないことを選択することである。

続けるにせよ、新しい道を歩むにしろ、明日には変わる自分を受け入れ続なければできないこと。

そういう意味ではその闘いをリング上で続ける選択をしたのがYASU、ジェロニモ、ゲレーロであり、キッドはそれ以外の戦場を選択したにすぎない。

特にLOCキッドほどの生真面目な男が少しリングから離れたくらいで闘うことから逃げ出すはずもない。彼は見えないところでこれからも闘い続けていくのだ。

多分つぎに現れる時にはもっともっと凄いキッドが見られるだろう。それが今から楽しみで仕方ない。

【第2部】第三試合

◯佐々木貴 & 杉浦透 vs 陽樹 &×七海健大

キッドの休養発表に続いてこちらも熱い熱い試合になった。第一部でジュニアの壁になった2人が更に高い壁に挑むというこれ以上ない胸熱な組み合わせは、やはりこの赤煉瓦で見て良かったと思えるシチュエーションだった。

パワープロジェクトの名にふさわしく、アクシデントでさえ、エネルギーに変えてしまう磁場がこの大会にはあったように私には感じられた。

第一部ではチームごとに高みに導くような試合をしていた殿が、第二部ではその高みから叩き潰すプロレスに転じていたのも興味深い点だった。

この日のマイクでも殿が口にした「リングにあがるからにはプロもアマも関係ない!」という言葉を地でいく非情な攻撃を繰り出していく。

それはプロとアマの力の差を見せつけるというよりは、プロレスへの愛の深さ、プロレスにかける想いの大きさを見せつけていたかのように、私にはみえた。

陽樹・健大が食い下がれば、叩き潰し、食い下がれば、叩き潰しする展開は、何度も何度も苦難を跳ね返しするプロレスの王道そのものだった。

それはがむしゃら勢が殿や杉浦の手の中で踊らされていたという意味ではなく、彼らが望んで上に這い上がり、叩き落とされた結果生まれたものである。

これは殿と杉浦が心からがむしゃらプロレスへの愛と敬意と信頼を持っていなければできることではない。

その上でおそるべきはその高みにいながら、スタミナも切らさず、平然とふたりの壁であり続けた殿と杉浦の集中力は恐ろしいとしかいいようがない。

赤煉瓦がいつも以上の熱狂に包まれたのは、こうした要因がいくつもいくつも積み重なって出来上がったからで、誰か1人が頑張っただけでは決してできるものではない。

私の頭の中にあるプロレスではプロレスラーはプロレスを構成する一要素。もちろん彼らがいないと成立たないのは承知の上だけど、大切なのは、そこにレフェリーがいて、裏方がいて、お客がいて、会場があって…様々な要素がひとつのチームになってプロレスを作り上げる。

だからこれは偶然の産物ではない。ある意味必然的な感動であったといえるだろう。

【第2部】第四試合

全選手参加バトルロイヤル (七海健大勝ち残り)

で、休む暇もなく(実際は休憩入ったけど)メインの2人は青息吐息での参加になる。

面白いものでここでも凱対gWoの対決になり、さっきまで組んでいた殿と杉浦が、試合開始と同時にふたグループに別れていたこと。

だったらイリミネーションルールでもいいかな?と思いながらも、随所にバトルロイヤルにありがちなユルさも交えつつ、それでも激しい感じでぶつかり合う形になった。

多分イベント的には総花的な華やかさでフィナーレというのも理想の形だろうけど、復興支援という意味ならこの日のような表現方法も悪くないな、と思った。

そしてバテバテの七海健大が休んでいる間にバタバタ脱落者が出て、また殿や杉浦に集中砲火を浴びる健大という図式が再び浮上。

図らずも第三試合の続きのような形になっていったが、これも場に求められた流れなんだろう。

結果的には二試合の厳しい攻めを耐え抜いた健大がまさかの勝ち残り!

最後の最後で七海健大が劇的な勝ち方をしたのは、ミラクルではあるけれど、一番良い形で収まった感じがする。

彼が全てを持っていったのは、彼の頑張りがわかりやすい形で報いられたためで、単純なラッキーとかいう問題ではない。

終わってみればキッドの休養発表あり、健大や陽樹の粘りがあり、そうしたうねりが大きくなってムーブメントになっていった。

プロレスの中でも最もプロレスらしい王道エッセンスが散りばめられた素晴らしい大会だった。プロレスはやはり素晴らしい!

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