[プロレス観戦記] がむしゃらプロレス・GAMSHARA MANIA 2021

がむしゃらプロレス観戦記

(2021年12月5日・門司赤煉瓦プレイス)

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イントロダクション

早いもので2021年のラスト観戦になった。

2021年がスタートした時には、まさか自分が年内にガンを患い、入退院を繰り返す羽目になろうとは想像もしていなかった。

ただ、生死に関わる病気になった事で、自分なりに死生観と向き合う結果になった事で、いろんな気づきが得られたので、この体験を活かすも殺すも自分次第となる。

ガンに関しては、自分はそれでも生きて帰る気満々だったので、病気云々よりも9月に友人が早逝した事の方が、より大きな出来事であったかもしれない。

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死生観と本気で向き合い出した元を辿れば、やはりそこにいきつくかな。彼は居酒屋がむしゃらには連れて行ったんだけど、がむしゃらプロレスは未観戦のまま旅立ってしまったので、そこは残ったものの勝手ではあるが、心残りだったりする。

オープニング

さて、迎えた当日。諸事情でぎりぎりの出立になり、ギリギリで会場入り。体調を考慮したのと、別件で用事もあっため。

門司赤煉瓦プレイスはこの時期、吹き荒ぶ海風に耐えねばならないと覚悟してきたのだが、思ったより過ごしやすくて一安心。

オープニングアクトは、ゲレーロとSMITHがつとめる…はずなのに、SMITH代表まさかの遅刻。セミを除くメインまでの見所を紹介したところで、GWAタッグに挑戦するYASUと土屋クレイジーが登場。

ここに、久々の揃い踏みになるRe:ZARDが現れて、セミファイナルのメンバーを雑魚呼ばわりし、返す刀でメインのチャレンジャー尾原毅をも挑発。

これに怒ったNASTY OUTSIDERSが加わって、リング上は大混乱。収拾がつかない中、SMITHが強引に大会スタートを告げたのであった。

第一試合:▼新人対決リベンジマッチ(30分1本勝負)

〇KENZO vs ×HAGGER(4分57秒)

プロレス歴が長いベテランがメインを飾り、デビューして間もない選手が第一試合を飾る本大会。

ベテランがみせるのは、まさに歴史であるわけだが、新人であるKENZOとHAGGARがみせるのは、がむしゃらプロレスの未来である。

私が見ている範囲内だと、実は第一試合から出世して、やがてメインでも組まれるようになった同期生対決は、がむしゃらプロレスにはないように思う。

プロと違い、仕事ありきで活動する社会人プロレスラーには、なかなか新人時代から、同期が切磋琢磨するというプロレスにありがちな出世物語を描きにくい。

だからこそ、HAGGARとKENZOには、がむしゃらプロレスだけでなく、己の未来も試合で提示してほしいのだ。

試合が始まってみると、直接対決で白星をあげたHAGGARが、KENZOを上から目線で迎え撃つ形になっていた。

やはり同期相手にギブアップ勝ちというのは、自信に繋がるのか?デビュー戦の頃は声の出てなかったHAGGARが、感情むき出しで戦っていたのは、面白かった。

とはいえ、ある程度手の内をさらけ出した先に何かがないと、同じような実力をもつKENZOに連勝は難しい。

その上、HAGGARが得意であろう肉弾戦は、KENZOの十八番でもある。加えてがむしゃらプロレスでしか試合してないHAGGARと比べ、他所でも試合をしているKENZOは、確実にスキルアップしていた。

これはKENZOが恵まれているわけでもなく、HAGGARが悪いわけでもない。たまたまそうなっただけなのだが、明暗を分けたのは、その肉弾戦にあった。

HAGGARの肉体はおそらく見せるために特化した筋肉で、防御力は高くない。頑丈さでいえば、KENZOの肉体の方が理想的なのだ。

そのKENZOの身体がセカンドロープから降ってきてHAGGARは悶絶。そのまま3カウントをきいてしまった。当たりどころも悪かったのだろうが、あっさり決着がついたのも意外だった。

しかし、これで一勝一敗のタイになった事で、二人のライバルストーリーからはますます目が離せなくなってきた。

第二試合:▼疲れん程度一本勝負

〇リキ・ライタ & ダイナマイト九州 & The Ishi vs ×パンチくん & ブラックスティック & ミル・マスカット
(13分49秒)

疲れん程度の新たなる刺客として、岡山から送り込まれたミル・マスカットとThe Ishi。

この二人の対決は、ある意味OPGを代表するかもしれない名物でもあり、OPGを愛するファンには広く周知されている。

しかし、そんな名物ならば西日本中に知られていてもよさそうなものだが、この通称「イシマス対決」はなぜかOPGでしか見られない。

その理由の一つに、The Ishiが新幹線の切符を自分で買えないというものがあるらしい。それを今回は「引率の先生」こと上原智也が先導することで実現したわけである。

入場は、リキ&九州と、黒棒&パンチくんがまず先行入場。そして大トリにThe Ishi とミル・マスカットが入場。The Ishi は、「ジンギスカン」、マスカットは「スカイハイ」と、これまた物凄い選曲。

しかもマスカットは張り切ってオーバーマスク投げ入れまで行うが、これはセコンドが回収してしまう。

もう、入場だけでお腹いっぱいなんだが(笑)The Ishi はマジック○ポレオンズもかくやのマジックやら、凶器のスティックを一瞬でみせたり、明らかによそ行き仕様。マスカットも負けじとゴムパッチンを繰り出してきた。

これに負けじと九州もいつものムーブで大張り切り。とはいえ、試合の主役が石マスになってしまったのは、今回ばかりは仕方あるまい。

更に試合後、勝ちを収めたリキ・ライタがKENTAレフェリーをフォールして、九州ダイナマイト級ベルトを強奪。ダイナマイト九州は、石マスに対してOPG乗り込みを宣言。返す刀でセコンドにいた美原輔に次回大会の日時を告げる事も忘れなかった。

第三試合:▼愛媛プロレス vs がむしゃらプロレス

〇凡人パルプ & ジャコ天☆KID vs 鉄生 & ×SMITH(13分13秒)

久々の登場になる凡人パルプは、師弟関係にあるジャコ天☆キッドとのチームで出陣するわけだが、対戦相手が現・がむしゃらプロレス代表&副代表コンビ!

愛媛師弟タッグは、Twitterで「対戦相手が豪華すぎる!」と嘆いていたが、その豪華すぎる顔合わせが問題なのである。

まず、普段からユニットが違う上にプロレス観も違う。住んでる場所すらバラバラだし、代表は基本マイペース。そもそもチームとして機能するのかどうかすら疑わしい。

四国統一タッグチャンピオンになったばかりという、凡人パルプと ジャコ天☆KID。体格的にも上背に恵まれ、肉体もよくトレーニングされている。

オープニングアクトで、久々の試合ゆえか?SMITHが珍しく警戒していたのだが、序盤はそのSMITHが会場を煽って拍手を要求。

しかし、凡人パルプも同じように拍手をもらえてしまい、この勝負は痛み分け。問題はSMITHと鉄生の連携なんだが、あまりに渋々組んでいるのがアリアリと伝わる鉄生は、なかなか試合に絡もうとしない。

とはいえ出て来れば、相手はそれなりの実力者なんで、お笑いには付き合わないものの、試合には絡まざるを得ない形になっていく。

しかし、誤算と思われたのは、SMITHが考える以上に、四国統一タッグは、チームとしての連携がとれていた。凡人パルプの、頭のティッシュが抜かれて無力化するくだりも含めて、気がついたら試合の流れが愛媛側に傾きはじめていた。

こういう時に、 ジャコ天☆KIDの若さは大きな武器になる。多彩な足技を絡ませたパルプとの連携で、あっという間にSMITHを追い詰めると、最後はパルプが背負ったSMITHを叩きつけて3カウント!

最初に登場した時はお笑い寄りだったパルプの真の実力を思い知らされた試合だった。

第四試合:▼Re:ZARD vs NASTY OUTSIDERS

×サムソン澤田 & 上原智也 vs 〇久保希望 & MIKIHISA(11分14秒)

ジョロキアに入る前、ベビーフェイスだった頃の上原は、確かなし崩し的にナスティ所属になっていた記憶がある。ジョロキアとしてヒール転向後は、特にがむしゃらのユニットとは適宜距離をおいていたが、今回Re:ZARD側に加わって、「古巣」と対峙するカードが組まれた。

といっても上原にナスティ愛があったかというとそうでもなかったろうし、どっちかというと久保&MIKIHISAとは闘った方が味が出そうだとは思っていた。

Re:ZARD側は揃って同じTシャツで登場。対するNASTY OUTSIDERSも当然Tシャツを揃えているので、否が応でもユニット対抗戦の様相を呈してくる。

多分、澤田と上原のタッグ自体は初のはずだが、とてもはじめて組んだとは思えない動きで、MIKIHISAと久保を翻弄していく。

このあたりは、上原のタッグ職人ぶりが際立つ結果になった。

しかし、対するNASTY OUTSIDERSにも久保希望という一癖も二癖もある人間がいるわけで、タッグならではの駆け引きが見ていてとても楽しかった試合になった。

MIKIHISA&久保というチームも純粋に組んだかい数はそう多くはないはずなんだが、なんだかんだで好フォローをいれていく久保の妙技が、少しずつRe:ZARDのリズムを狂わせていた。

最後は、澤田と久保の丸め込み合戦となり、久保が自身の身体をローブ側に持っていっての丸め込みで一本!

なかなか隙を見せなかったRe:ZARDの一瞬の隙を見逃さない見事なフォール勝ちだった。

セミファイナル:▼GWA 無差別級タッグ選手権試合

[挑戦者組]土屋クレイジー & ×YASU vs 〇HIROYA & トゥルエノ・ゲレーロ [第14代王者組](23分33秒)

10月3日に開催されたドンタッカーイズムのセミファイナル後、マイクをとった土屋は、まずチャンピオン・ゲレーロからフォールをとったことでタッグ挑戦を表明。

かつてがむしゃらタッグ戦線で名勝負を残したYASUと土屋が再合体!さらに「俺が原因でなくなってしまったGWO。俺が(タイトルマッチを)勝ってGWOを復活させる!」と、まさかのGWO復活宣言をした。

これに怒ったゲレーロは「昔話してるんじゃねえ!俺たちはドン・タッカーのいない今のがむしゃらプロレスを生きているんだ!」と、土屋の挑戦を受諾して決まったのが、このタイトルマッチ。

入場から両チームとも合体テーマを使用。gWo側はジャンボ原をセコンドにつけて入ってきた。

当然介入ありきなわけであるが、それだけgWo復活の夢をこのチームで成し遂げたいという強い想いを感じた。

とはいえ、あくまで現在進行形のがむしゃらプロレスを公言するチャンピオンチームも負けられない。

試合は、甲乙つけ難い白熱したものになった。途中、ゲレーロがYASUをコーナー最上段から雪崩式を狙いながら、ダメージの蓄積からか、まさかの両者場外転落!

幸い試合は続行されたが、それだけお互いが本気でこの試合を取りにきていたのである。

試合は20分を超え、四者四様に疲労の色を濃くしていく。ジャンボの介入も決め手にならず、逆にゲレーロの場外弾を喰らい、青息吐息の土屋&YASU。

終盤になると、土屋も声は出るが、カットに入れないくらい疲弊していた。こうなると、若さで分があるチャンピオンは、簡単には倒せなくなる。

gWoの誤算は、前半で介入でもなんでも王者組に致命的なダメージが与えられなかったことだろうか。

いや、ダメージは与えていたんだが、想像以上にゲレーロとHIROYAに粘られてしまったからかもしれないな。

最後は大熱戦の果てにHIROYAがYASUを振り切って防衛に成功。

試合後、マイクをとったゲレーロは「年末にふさわしい相手」と土屋&YASUに敬意を払い、共に時代を走る同士の様に呼びかけた。

gWo復活は幻で終わったが、土屋&YASUは、gWoがなくてもやっていける。彼らもまた今を生きる選手たちだからだ。

メインイベント:▼GWA ヘビー級選手権試合

〇[挑戦者]尾原 毅 vs ×陽樹[第14代王者](22分38秒)*尾原毅が第15代王者に

尾原がGWAヘビー級王座に挑戦するのは、2012年4月8日の小倉北体育館大会以来となる。そこで、当時の王者マスクドPTに破れ、結果的に後輩の急成長を促してしまった。

それ以前にGWAタッグ挑戦者決定トーナメントに出場し、優勝しながらタイトル挑戦を後輩の野本・林組(準優勝)に譲ってしまってもいる。理由は社会人故に仕事を優先したためであるが、こんなドラマはプロではまず描けないだろう。

尾原毅という選手はそういう意味でもっているのかどうなのか、よくわからない選手なのだ。

ただ、長年観てきた側から言うと、新時代の扉を開く手伝いだけしてきた男が、約10年前の「忘れ物」を取りに来た、という事実だけで、すでに胸が熱くなっている。

対すするは尾原毅が開いた新時代の扉から現れ、自分の時代を築いた男・陽樹である。二人の対戦は2018年のGAM1でシングル初対決が実現してるが、この時は、非情に徹して二手三手畳み掛けられなかった尾原が敗北している。

しかし、尾原にダメージを刻まれた陽樹は決勝まで進みながら、大ダメージを負ってしまい、優勝をKENTAにかっさらわれてしまう。

実は対陽樹も尾原にとっては「忘れ物」のひとつになる。果たして10年越しの伏線回収はなるか?それとも現王者が時計の針を戻させないか?

序盤はなかなか組まず、組んでも手探りな状態が続く。しびれを切らした陽樹がリング下に降りて挑発すると、尾原がリング下に降りたタイミングでリングイン。

しかし、陽樹が片足フォールにいったところを、すかさず下から極めにかかる尾原。一瞬も気が抜けない展開が続く。

とはいえ、陽樹もカウンターは警戒しているようで、Re:ZARDの介入ありきで、場外戦を挑む。これはRe:ZARDのアイデンティティからすると、至極まともで、自分のフィールドに引き摺り込みたい思惑がみてとれた。

しかし、どれだけ自分のフィールドで戦ったとしても安心できないのが、尾原毅という選手。一撃必殺と一発逆転の牙がある以上、十分にダメージを与えきれないと、すぐに形成は逆転してしまう。

だからこその一点集中攻撃だった。しかし、それは陽樹だけでなく、尾原毅も同様の攻めを見せてきた。

こうなると、先に集中力の切れた方が負けになる。序盤場外に降りた時にブツブツと「クソオヤジが!」と尾原を睨みながら、陽樹が毒づいていたが、もしその時点でイラついていたとしたら、そこが落とし穴だったのだろう。

終盤、介入に動いた鉄生がチェーン付きラリアットを陽樹に誤爆。その鉄生を久保が排除し、リング上は再び1対1に!セミもそうだったが、介入した方が負ける流れがこの日はあったのかもしれない。

最後は、尾原毅の電光石火のハイキックが決まり、そのままフォールされた陽樹がカウント3をきく結果になってしまった。

涙の戴冠を果たした第15代王者。しかし、戴冠して終わりではない。今後は防衛し、どういう王者像を示すかが問われてくる。

2021年は尾原毅ががむしゃらプロレスの顔になるのだ。今までの様な地味な実力者で終わり、ではすまされない。それは本人が一番わかっているだろう。

後記

終わってみれば、全6試合いずれも内容の濃い大会になった。久々にGAMSHARA MANIA らしい内容の詰まった素晴らしいものになっていたと思う。

余談だが、今回ゲスト参戦されていた吉野レフェリーが以前開催したワークショップに、がむしゃらレフェリーも参加したと聞いた。

カメラを構えているとわかるんだが、レフェリーが選手の邪魔にならないポジションに必ずいて、すごく撮影しやすかった。

細かいところは微調整が必要かもしれないが、レフェリングまで学べる環境にあると言うのは幸せな事だと思う。

私の2021年の観戦はこれで終了。次回がむしゃらプロレスは2月13日。多分治療スケジュールからは外れてるはずなんで行けると思う。

みなさん、1年間お疲れ様でした!

プロレス観戦記
プロレス観戦記についてプロレス観戦記の魅力とは?プロレスファンにとって、生で観戦した大会の記録は貴重なものです。しかし、その記録をブログに公開するというのは、なかなか勇気がいることではないでしょうか?私は、ブログ「せかぷろ」を運営しているプ






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