[プロレス観戦記] がむしゃらプロレス・GAM1 CLIMAX’2019~竜騰虎闘~

イントロダクション

今年のGAM1は、例年と違うパターンがいくつか見られる。まず昨年試験的に?導入された優勝者がGWAヘビーもしくは、インターコンチのベルトへの第一挑戦権を得て、準優勝者は優勝者が選ばなかったタイトルに挑戦が可能になるというシステム。

2018年は優勝者のKENTAがインターコンチを選択、準優勝者の陽樹がヘビーに挑戦し、いずれもタイトル奪取している。この流れを引き継いだ形になっているようだ。

注目ポイントはもう一つある。例年になく多い他団体参戦選手の存在である。

★Aブロック
MIKIHISA、嵐 弾次郎(丹の国プロレス)、豪右衛門、HIROYA

Aブロックでは、特に近年参戦数・評価・人気ともに急上昇している丹の国プロレスの嵐弾次郎は個人的にAブロックの代表候補でもある。

MIKIHISAと豪右衛門が同門同士で潰し合うというカードもあるが、難敵HIROYAを倒せば、一気に駆け上がっていく実力がある。

対するがむしゃら勢はまずHIROYAが勢いもある嵐弾次郎を止めてみせたら、一気に優勝候補にもなりうるだろう。豪右衛門とMIKIHISAは、同門対決の結果如何で流れが変わってくるだろう。

★Bブロック
サムソン澤田、原口知弥(鳥取だらずプロレス)、シドニー・昌汰・スティーブンス(岩国プロレス)、鉄生

かたやBブロックは超激戦区。鉄生が本命なのはいうまでもないが、近年ポテンシャルをあげてきている原口と、経験値さえあれば勢いで上がっていきそうなシドニーと気の抜けない相手がひしめいている。もちろんサムソンだって気を抜けない選手には間違いない。混戦必死のBブロックは、見応え充分。

▼オープン二ングマッチ(20分1本勝負)

①×リキ・ライタ & BIG-T vs ○尾原 毅 & 久保希望
(15分08秒)

残念ながらGAM1の選からは外れてしまったBIG-Tと尾原だが、昨今の活躍からすると仕方ないかな、と思う。スケジュール的にも社会人にはこういうことがおこりうるのは寂しいが仕方ない。

そうなると、脱テキーラがポイントになるリキと、対角線にいる久保の存在がキーになりそうだ。

そもそも全10試合もある中で、全員の見せ場を等しく作るわけにはいかない。だから最初こそシャンパン(なぜかテキーラではなかった)で、尾原を煽ったリキも尾原の土俵で戦いを挑んだものの、やはりまだ無謀といえば無謀。

逆に久保がBIG-Tやリキの良さを引き出していたし、ぶっちゃけ久保と尾原の手のひらの上で二人が踊っていた試合だったかな。

まあ、それでも15分くらい続けられて、ダレたとこもなかったし、悪い試合ではなかった。けど、リキやBIG-Tが同じ内容をキャリアが下の選手相手にできるか、と言ったら正直厳しそうだな、としか思えなかった。

▼GAM1トーナメントAブロック1回戦 第1試合(30分1本勝負)

②○MIKIHISA vs ×豪右衛門
(9分46秒)

初っ端からまさかの同門対決が実現。せっかくまた同じユニットになったばかりで、この顔合わせは因縁めいたものを感じるが、今年のGAM1唯一のがむしゃらプロレス同士の対決とあれば、やはり注目せざるを得まい。

体格差からしたら豪右衛門がスーパーヘビーで、MIKIHISAはジュニアになるから、これは如何ともしがたい。だが、打撃では一日の長があるMIKIHISAは、キックで突破口を開きたいところだが、トーナメントを考慮したら、豪右衛門はパワーで短時間で叩き潰したいだろう。

序盤はやはりパワーで押す豪右衛門が圧倒していく。守勢に回ったMIKIHISAは、なんとか挽回しようとするが、なかなかタイミングがつかめない。

もしかすると豪右衛門は体格差で叩き潰すより、グラウンドで乗っかっていった方が良かったのかもしれない。短期決戦だからダメージを与えるには投げ技は、確かに有効。

しかし、一番身近で豪右衛門を見ているMIKIHISAには真っ向勝負より奇策に出た方が良かったかもしれない。結局、勢いが止まった時点でMIKIHISAに隙を突かれる形になり、3カウントをきいてしまった。豪右衛門よもやの一回戦敗退。

▼GAM1トーナメントBブロック1回戦 第1試合(30分1本勝負)

③○サムソン澤田 vs ×シドニー・昌汰・スティーブンス
(5分08秒)

簡単に言うとパワー対テクニックの対決になるこの対戦。よりチャンスを求めてLCR入りしたサムソンに対して、荒削りながら素質はピカイチ、何より規格外のパワーと体躯だけでも反則級のシドニーとの対決は非常に興味深い。

序盤は体格に勝るシドニーに対して、スタンディングで勝負を挑む澤田という図式。しかし、これはMIKIHISAが豪右衛門に仕掛けたように、サムソンの誘い水になっていた。

寝かせてしまえば体格差は関係なくなるし、何より柔術がベースにある澤田にしてみれば自分のフィールドで闘える。強いて言うなら首や足の太いシドニーに関節技が通じるかどうかが問題だった。

だが、若いシドニーはまんまと澤田がまいたエサに食いつ脇固めを回転して逃れtまではよかったが、続けて澤田が決めた腕ひしぎでギブアップ負け。

▼GAM1トーナメントAブロック1回戦 第2試合(30分1本勝負)

④○嵐 弾次郎 vs ×HIROYA
(9分06秒)

若さと勢いでいうなら今のHIROYAが、がむしゃら随一というのは誰しもが認めるところだろう。

しかし、HIROYAに無くて嵐弾次郎にあるのは「キャリア」である。対戦カードが決まるやいなや、嵐はSNSで「作戦がある」と早くも心理戦を仕掛けてきた。体格的にもパワーでも実力でもひけはとらないHIROYAだが、嵐弾次郎という難敵を倒せば、勢いで勝ち上がる可能性もある。

試合を見ていると、嵐には、真っ向勝負に応じているようで、HIROYAが勢い付く前にすきあらば仕留めたいという思惑もみえていた。

嵐弾次郎にあって、シドニーや原口にないのが、昨年GAM1 CLIMAXに初参戦した経験である。昨年はHIROYAも初エントリーだったわけで、GAM1に限っていえば経験値はHIROYAも嵐も実は同じなのだ。

そうなると、選手としてのキャリアが勝つか、若さが勝つかという話になるので、勢いで押しきれなかったHIROYAの完敗といえるだろう。ここまで勝っても負けても順当に成長してきたHIROYAにとっては試練というべき一戦だった。

▼GAM1トーナメントBブロック1回戦 第2試合(30分1本勝負)

⑤×原口 知弥 vs ○鉄生
(7分29秒)

近年鳥取だらずプロレスで頭角を現してきている原口が2年ぶり二度目の参戦。その体格とパワーは山陰だけでなく、西日本レベルで通用する逸材であるだけに、鉄生も一筋縄ではいかない相手と対峙することになるわけだ。

果たして原口は体格だけでなく、全てにおいて鉄生と同格かそれ以上の選手になって帰ってきた。ただ惜しむらくは、ブーイングを浴びる気概で挑んだにも関わらず、鉄生のウィークポイントである左脚攻めが徹底できなかったこと。

逆に言えば鉄生が、ダメージを負う前に爆発力で原口に打ち勝った事が商売の分かれ目になった。これはやはりワンデイトーナメントを経験しているか否かが大きかった。

とはいえ、鉄生より約10キロ超重い原口の攻撃は予想以上にダメージを刻んでいたようで、勝つには勝った鉄生は、脚を引きずりながら退場していった。

▼スペシャル6人タッグマッチ(30分1本勝負)

⑥×ダイナマイト九州 & トゥルエノ・ゲレーロ & 菊タロー vs ○パンチくん & SMITH & レイ・パロマ
(14分53秒)

8月のデスマッチカーニバルでも顔を合わせているパロマと菊タローが、それぞれパンチくん&SMITHと、ゲロQを従えての6人タッグ。

当然序盤から菊タローは、客いじりやら立会人のハチミツ二郎を挑発して、自分がチョップ受けたりすれば、かたやパロマはタイツをずりおろしてTバックになるわ、とデスマッチカーニバル以上にやりたい放題。

この中で埋没しなかったのはやはりベテラン二人。特に九州は自らSMITHを指名してやる気満々。最近では他団体からのお声がけも増えた九州と、関西近郊の社会人団体を総なめにしているSMITHは、がむしゃらプロレスの中でも、西日本エリアでの知名度では一、ニを争う。

そして意外にもがむしゃらでは今まであまり絡みがなかった新鮮な顔合わせでもある。欲を言えばもう少しじっくり見てみたかった。

試合は六者六様の個性のぶつかり合いになり、最近は組むより闘うことが多いパンチくんが、丸め込み合戦を制して九州から勝利した。

▼GAM1トーナメントAブロック準決勝戦(30分1本勝負)

⑦×MIKIHISA vs ○嵐 弾次郎
(5分41秒)

MIKIHISAにとっては、一回戦に続いて重量級の対決になる。しかも相手は豪右衛門とは全然タイプが違う嵐弾次郎。

GAM1 CLIMAXは厳正なるくじ引きによるものなんで「もしも」はないにしても、同じ体格差ならシドニーの方が与し易い相手だっただろう。

確かにMIKIHISAは、この試合で嵐弾次郎の剛腕に深いダメージを与えられた。が、シドニー対サムソンに近い展開になりながら、結果は真逆。これが二回戦と一回戦の違いといえばそれまでだが、あらゆる面でMIKIHISA不利は否めなかった。最後に飛べる大型選手でもある嵐の空中弾をくらって万事休す。

▼GAM1トーナメントBブロック準決勝戦(30分1本勝負)

⑧○サムソン澤田 vs ×鉄生
(5分52秒)

Bブロック二回戦は、奇しくもLCR同士の対決。と言っても内紛状態のLCR内では、一応サムソンはKENTA派になり、鉄生とは微妙な距離になる。

鉄生にとってよかったのか、悪かったのか、ほかのLCR勢がこの後のスペシャルタッグに登場するため、この試合は、セコンドもいない状態。しかも身体が固い上に、原口に散々攻められた左脚は完治からは程遠い。

パワーで押し切るにしても、一回戦での消耗がでかい鉄生に比較すると、澤田は短時間で一回戦を突破したため、ダメージが少ない。この試合もそうだけど、今回のGAM1はくじ運によって勝敗が大きく左右された大会になったように思う。

普通のシングルマッチだったら。それでも鉄生有利は動かなかったかもしれない。だが、これはトーナメント。その経験値が高いはずの鉄生も負ける要素が重なると負けてしまう。それがGAM1 CLIMAXなのだ。

▼スペシャルタッグマッチ(30分1本勝負)

⑨×TOSSHI & YASU vs ○KENTA & 陽樹
(12分03秒)

そもそも発表時のカードは、KENTA&TOSSHI対陽樹&YASUだった。しかし、リング上でマイクを持ったYASUは、ジュニア対ヘビーの対決を提案し、強引にカード変更してしまった。

鉄生&陽樹とかならこうは簡単にいくまいが、KENTAと陽樹は最近両者がそれぞれヘビーとインターコンチのチャンピオンになったせいか、因縁らしい因縁も生まれていない。

元を正せば二人ともかつてはチーム凱にいたチームメイトであり、数年前は煩雑にタッグも組んでいた。そのせいか割と久々にもかかわらず息もあっていたし、非常にタッグマッチとしては完成度の高い試合にはなった。

だが、こうなると内紛の火種を抱えたLCRにしろ、ユニットがなくなって未だ行き先がない元・gWoにしろ、そろそろ選手がユニットという形に飽き始めていて、違う何かを模索していようとしているのかな?とも思った。

そして、試合後KENTAを急襲したのは、先にインターコンチ挑戦を表明していたゲレーロだった。あらためてからあげ選手権での挑戦をアピールし、ドン・タッカーもこれを(渋々?)認めたため、次回インターコンチ戦はKENTA対ゲレーロで決定した。

▼GAM1トーナメント決勝戦(30分1本勝負)

⑩×嵐 弾次郎 vs ○サムソン澤田
(11分19秒)

他の選手には申し訳ないけど、個人的には一番観たいカードが決勝戦で実現したのは、感慨深い。確かに時代的には陽樹とか鉄生の番は来ているのだが、プロレスに限らず一番面白いのは、新陳代謝がおきる時であり、チャンピオンは不出場ではあるものの、この場に鉄生も陽樹も、そしてKENTAや豪右衛門すらいないという光景はなかなか新鮮ではある。

さて、またくじ運の話になるのだが、嵐弾次郎は二回戦、決勝ときて関節技が得意な選手とぶつかる羽目になってしまった。しかも彼の経験値のなかではそれほどないであろうワンデイトーナメント一日3試合目という巡り合わせ。

しかし、これはサムソン澤田にしても同じ条件ではある。ただ、対戦相手にパワーファイターはいても、同じテクニシャンタイプはいなかった。加えて比較的短時間で勝敗を決めて勝ち上がっているという点では、どうみても嵐弾次郎より有利。

あとは、背負ったハンディを嵐がどうはねのけていくか?だけだったのだが、正直スタミナも切れていたようだったし分が悪かったのは一目瞭然だった。だから序盤で嵐がトぺを繰り出したのも、明らかに短期決戦ねらいだった。

ただ、両者とも死力を尽くして戦ったので、決勝戦に相応しいクオリティになったと思う。試合後、勝ったサムソンは陽樹に対して挑戦を表明。これによって準優勝に終わった嵐は、からあげの王座戦で闘うことが決定したKENTA対ゲレーロの勝者に挑戦が決定した。


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後記

全10試合、どれも内容が良かったし、乱入や反則暴走という決着もなかった。今回のように他団体の選手をまぜての開催も新鮮だったし、何より今後加速していくであろう西日本全域を巻き込んでいく社会人プロレスの流れからすると至極当然かもしれない。

ただし、オールスターの場ではGAM1のようなシングルトーナメントはそぐわないと私は思っている。GAM1はその中でも独自色を出せているので、オールスターとのすみわけは十分にできている。まだ出場経験のない選手でもでたがっている人は多いだろう。また来年以降も楽しみな大会になってきた。

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