[プロレス観戦記]DDTRoad to Ryogoku 2015 in KOKURA~ドラマティック・ドリーム・鶏かしわ飯~(2015年4月11日土・北九州パレス)

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この前のゼロワンがたたられてるといったが、実をいうと北九州のプロレスシーン自体が危機に瀕している。長い間親しまれてきた会場である北九州パレスが本大会をもって、プロレス・格闘技には貸し出さない意向になったためで、このDDTがパレスラストの大会になってしまった。そういう意味ではしっかり括目していこうと思っていた。たぶんもう二度と来ることはないだろうし。

オープニング

試合前かなり早く着いたので、ロビーでゼロワンの観戦記を書きながら時間をつぶしていた。居心地としては最高の会場だし、北九州では珍しい無料の駐車場完備というのも、私のような遠方の人間には大変ありがたかった。

もちろんそれだけではなく様々な思い出も尽きない。色んな試合も見てきたし、書ききれないほど色んな記憶がよぎっては消えしていた。

DDTは今後も継続参戦してくれるということだけど、そうなると手頃な会場探しがまた問題になるかなあ。意外とそういう箱がないというのも北九州の特徴だったりもするし。

第一試合:オープニングマッチ 30分一本勝負

○福田洋 vs 梅田公太●
6分52秒 エビ固め
※レッグドロップ

試合前、オープニングアクトをつとめたのが、前日の大分大会で負傷欠場した遠藤だったのだが、その代打としてユニオンの福田が参戦!全日レンタル移籍が流れ、もうこっちではあまり見ることがないだろうなと思っていたので遠藤には悪いけどこのカード変更は、正直メチャクチャうれしかった。でてくるなりいきなり、星条旗を振り回し、明らかにヒギンズのマネする福田。「ひとりアメリカンプロレス」全開!いや、噂には聞いていたが、いざみるとソックリ!だけど会場のほかのお客はあきらかに置いてけぼり。

そのあとも、フレアーチョップに4の字固めや、フィニッシュに使ったホーガンばりのレッグドロップといい、フォームもタイミングも完ぺき!いやあ、福田見たかったからなあ。私的には大満足!まさに福田ワールド。梅田もいい体験になったのではないだろうか?DNAの中で頭一つ抜けても上にはこんな先輩がいるんだから、気が抜けないよなあ。

第二試合 30分一本勝負

男色ディーノ&○大石真翔&鉄生&ダイナマイト九州 vs 高木三四郎&藤田ミノル&パンチくん●&セクシーロージィ
11分43秒 横入り式エビ固め

ここ数年は大社長組とMIKAMI組にわかれて対戦することが多かったがむしゃら組。今回はこの枠に藤田ミノルに、大石まこりん、そして復帰後なぜか頭を丸めた男色先生が加わる形になった。

最初に男色チームは全員ホ○ユニットである、というお馴染みのマイクがあって、入場テーマが鳴るとなぜか鐘の音からの読経!「これはまさかイントロだけ人生バージョンか?」と思いきや、何と人生のテーマそのまま流して男色チーム入場!

「どっかで聞いたことあるぞ!」と元みちのくの藤田が叫ぶと、上半身「だけ」巡礼姿の男色先生を先頭に皆合掌しながら入場。しかし男色先生だけは一礼してから男性客を襲っていく。

リングインしてからの所作も完ぺきに人生モードなんで、対戦している藤田が「どうしちまったんだ?人生さん!」「俺の知ってる人生さんはこんなんじゃなかった!」と明らかに困惑。しかし、それをよそに男色人生は何と拝み渡りまで披露。何気にクオリティの高さを誇示。

だが大社長組も負けてはいない。試合前に「我々が勝ったら小倉を○イ巡礼札所にする」というまこりんに対して大社長が「我々が勝ったら(まこりんに想いをよせる)ロージーと大石が一夜を共にする」ことを逆提案。かくして混乱した試合は二転三転しながら展開。がむしゃら組も埋没することなく試合に入っていたが、やはり男色ワールドは強烈だった。

最後はどうしても一夜を共に過ごしたくないまこりんが強引に丸め込んで見事小倉はゲ○巡礼札所に!前に使ったネタでもちょっとネタを変えて新しい展開にしていくDDTらしい頭のよさが垣間見える試合だった。

第三試合:30分一本勝負

●アントーニオ本多&竹下幸之介 vs MIKAMI&松永智充○
8分49秒 サムソンクラッチ
※本多のいつでもどこでも挑戦権が松永に移動

ここまでサクサク進んであっと言う間に二つ試合が終わってしまった。ここはいつでもどこでも挑戦権をもつアントンを、虎視眈々と付けねらうMIKAMI&松永といういやらしいベテラン2人。ハッピーモーテル的には遠藤を欠いて若干苦しいのだが、若い竹下がここは頑張った。やはり彼の勢いはさしものベテランチームでもやすやすとは止められない。なればとアントンに狙いを定めた松永は一通り攻めたあとに「まつ・なが・ともみつ!」とどこかでみたようなポーズで挑発。このニセYTRポーズをなぜか羨ましがるアントン。何度かトライするものの、ベテランチームに阻止されてしまう。

逆に松ちゃんは本家より高確率で「まつ・なが・ともみつ!」を決めて精神的にも優位に立つ。それでいてMIKAMIとともにちょこちょこやらしいテクニックで竹下とアントンを翻弄。いや、松永&MIKAMIがこんないいチームだとは思いもしなかった。最後は松ちゃん自らアントンから3カウントとって、悠々と「まつ・なが・ともみつ!」と奪ったいつでもどこでも挑戦権を誇示。最近松ちゃんがなかなかいい感じなんでぜひチャンスをものにしてほしいのだが。

第四試合:30分一本勝負

飯伏幸太&●宮武俊 vs HARASHIMA○&ヤス・ウラノ
16分41秒 体固め
※蒼魔刀

ここはK-OD無差別現王者飯伏というより若い宮武がキーポイントかなと思って見ていた。いやあ、うっとおしいキャラだとは聞いていたが、ヤバい薬?も含めてこの濃いメンツの中で結構際立っていたのはすごかった。やっぱK-ODを巡ってのHARASHIMAと飯伏のやりとりが、メインになりそうなところで、しっかり自己アピールできていたのは大したものだと思う。

しかもゴールデン☆ストームライダーズというチームの色さえ宮武は変えてしまった。リアルキチ●イの飯伏が新日では見せない顔をのぞかせるようになっていたからだ。中盤ヤスのコスチュームの飾りをひきちぎって両手をロープに固定したまま対角線のロープに振ろうとしたり(当然くくられたヤスは動けない)、宮武と二人で散々ヤスをいたぶったり、もうそれはヒールのファイトスタイルのまんまだった。新日みたいに華麗に飛んだりするのが飯伏だと思っている層の人には、かなり斬新に映ったのではないだろうか?個人的には通常営業の飯伏だったんだけど。

こういうあくどい小技を使うのはヤスの方が多かったりするんだけど、耐えてHARASHIMAにつなぐという図はなかなか新鮮だった。小技という点ではリング内をHARASHIMAに任せて、リング外で飯伏封じにでたあたりがそうだったかもしれないけど、意外と宮武が粘ったので、これも分断されてからが結構長かった。だが宮武へのクスリの注入もむなしく、一度は返した蒼魔刀であえなく撃沈。試合後にらみ合うHARASHIMAと飯伏。まだベルトをめぐる戦いは続きそうではある。

第五試合:セミファイナル 30分一本勝負

△彰人 vs 佐々木大輔△
30分0秒 時間切れ引き分け

この日のベストマッチがこの試合。

そもそもこのカードは、春日部大会で行われるK-ODエクストリーム級選手権の前哨戦ということだったが、ふつうそれだと地方ならまずタッグで対戦という形をとるのだけど、ノンタイトルとはいえ、同一カードのシングルを前哨戦にもってくるなんて聞いたことがない。

そもそもDDTは地方大会でも絶対テクニック合戦に終始する試合をひとつ必ずいれてくるのだが、だいたい担当はまこりんだったり、この試合に出てる佐々木や彰人だったり、あるいは松ちゃんだったりする。

まあ、そのいつも担当してる2人なんでいかようにも見せられる試合にはなるだろうと思っていた。しかしふたを開けてみたらこれがド本気のぶつかり合い。飛んだり跳ねたりという攻防がほとんどなく、ひたすら足殺しに終始する両者。しかもカウントが3数えられる前に次の技に移行するなど、明らかにお互いを消耗させる方向で試合を進めていくんだから驚きである。

この内容なら今日ベルトかけてもいいんではないだろうか?って本気で思ってしまった。ただ真っ向から勝負する彰人に対して、セコンドの宮武を上手に介入させる佐々木はやはり頭の点では一歩リードしていたように思う。

状況もよくみえていたし、リング外でもう少しダメージをあたえられていたら、どうなっていたか?というくらい外では佐々木優位だった。しかしテクニシャンでもある佐々木をリング内できりきり舞いさせていたのは、彰人の方だった。もうそこには若手という影もない。本当にベルトに似合う王者として堂々と佐々木のすべてを受けて、これを跳ね返していった。

だから耐えるだけでなく、佐々木同様に彰人が二手三手先を読んで流れを自分に引き寄せようとしていた展開が続いたので、グラウンドが多い攻防でありながら一瞬たりとも退屈しなかった。全盛期のUWFでもここまでの攻防はなかっただろう。

そのくらい卓説した職人芸の極みだった。一瞬たりとも間を生まず、ひたすら攻め合った2人は30分をまさしく完走してしまった。引き分けという結果にもかかわらず大きな拍手が沸き起こったのも当然だろう。

試合後、GMが入ってきて、彰人にマイクを向けるとなんと「30分じゃ足らないです。60分で」とアイアンマンマッチを要求。「王者がいいんならいいけど」と佐々木に意向を確認するとこれも異議なし。

ということで決着戦は60分のアイアンマンマッチに。「60分で決着つかなければ何回でもやろう」と最後は健闘をたたえ合った。

いや、すげえな。2人ともできる選手だということは知っていたけど、ここまでの試合を地方で見せてくれるとは・・・・これだからDDTは侮れない!

第六試合:メインイベント KO-D6人タッグ選手権試合 60分一本勝負

KUDO&坂口征夫&●マサ高梨〈18代王者組〉 vs 石井慧介&入江茂弘&高尾蒼馬○〈挑戦者組〉
14分9秒 エビ固め
※ジントニック。第18代王者組が初防衛に失敗、チームドリフが第19代王者組となる。

この2チームは変動の激しいDDT内にあっては息の長いチームになった。このタイトル自体もとったりとられたりを繰り返している。それだけに裏の読みあい、掛け合い、さらには一歩上回るための連携と、まあ攻撃パターンの多いこと!特に全日でも経験を積んでいるドリフは、いつの間にかベテランKUDOや高梨を翻弄するかのような仕事ぶりを発揮。

やっぱここでのキーマンは高尾だと思っていたのだけど、営業頑張ったからチャンピオンになれるかというとそうではない。だが、この日の高尾は一味もふた味も違っていた。狡猾な高梨の策中にはまっても危機らしい危機を感じなかったし、ぎりぎりで入江や石井につなぐこともできていた。

もちろんお互いに連携は出したし、各自がそれぞれ捕まったし、ピンチらしいピンチも両方にあった。

酒呑童子の誤算はやっぱり再三にわたり、高尾だけでなく石井も入江も孤立させたのにあと一歩が及ばなかったことだろう。逆にひとりになっても辛抱して味方につないだドリフが上手だったということ。

最後はタカタニックまでくらって万事休すの高尾が起死回生のジントニックで、まさかの3カウント!いや正直この試合も大熱戦だった。はじめてみた人もこのセミとメインで十分満足がいったことと思う。

ラストは高尾が締めることになったけど、やっぱ慣れてないせいか締めのマイクはぐだぐだ。でも自分が切符売って歩いたお客さんの声援があってのタイトル奪取だったから感慨もひとしおだっただろう。

後記

いや、終わってみれば満足のいく興業だった。本当これがパレスの最後になるのは惜しいとしかいいようがないけど、DDTがまた来年会場が変わってもきてくれることを祈りたい。ゼロワンイオンがああいう形になってしまったけど終わりよければすべてよし。DDTのおかげで最高の一日になった。ありがとう!

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