[プロレス観戦記復刻版] 新日本プロレス『WORLD TAG LEAGUE 2014』博多大会(14.12・2博多スターレーン)

新日本プロレス『WORLD TAG LEAGUE 2014』博多大会(14.12・2博多スターレーン)

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11月は体調不良でドラゲーの観戦を断念。その後の交通事故で23日のがむしゃらは見に行けず、結局観戦は0。ということでほぼ禁断症状がでかかっていたタイミングでの新日観戦。正直でるはずだったヨシタツが欠場、ケニーもこないとなると、残る楽しみはROHのマリア・ケネリスくらいしか見どころがない!とはいっても二年連続前売り完売というスターレーン大会の雰囲気自体は好きなんで、これだけでも味わいにいく価値はあるなと思った。そもそもプロレス自体に飢えていたんで正直なんでもよかったんだけど。

小倉は今年初の雪天だったが博多の天気は比較的穏やかだった。前回は18時半試合開始だったが、今年は19時開始。正直まだこれでも間に合わない人も多かろうけど、全9試合をほどよく終わらせるにはこれが最善かもしれない。試合前キンプロのアリストトリスト杯の優秀者表彰がリング上で行われた。プレゼンターの蝶野の代読屋としてリングにあがったのは棚橋弘至!現IWGPチャンプが代打というのはすごい贅沢なんだが、こういうのを頻繁にやってくれることで売り上げもあがるんだろうなあ。さすがブシロード。こういうところはホント抜け目ない。というか今までプロレス業界がいかに知恵を絞らなかったかがよくわかるよなあ。新日が最先端いってるようにみえるけど、エンタメの中でのファンサービスとしては、至極オーソドックスなものではあるし。

そう、最近の新日は意外とファンをリングにあげることが多い。かつて神聖視して素人にはまたがせなかった場所をこうして思い出の場としてファンに提供するというのは本当に試みとしては素晴らしいことだと思う。九プロなどがやっているプロレス教室もひとつの手だけど、大手メジャーがこうした取り組みをしているのは大変にいいことだと思う。

第一試合:
×小松 洋平&獣神サンダー・ライガー[07分51秒](タイチ式ライガーボム→エビ固め)
エル・デスペラード&○タイチ

タイチ個人の入場っていつ以来だろう?たいがい鈴木軍の乱闘要員としてしか見てないので、タイチのテーマ曲自体聞いたことがなかったのだが、スタンドマイクをもってエア歌唱しながら入ってきた。まあ、今年はいろいろあったけど、元のタイチに戻っていたので少しほっとした。

そういえば新日も第一試合とはいわずに、いつからか「オープニングマッチ」っていうようになったけど、日本プロレス以来の伝統で若手同士のシングルをここで・・・というのは、正直難しいのかなあとも思う。ヤングライオン杯も長いこと開催されてないし、若手の頭数もそろわない現状と、出場選手があぶれている現状では、若手が大先輩と組んででも試合に出られるだけましともいえる。そんな小松を立ててライガーが試合をしているのは本当にすごい。小松も田中も「雲の上の人」といっているライガーが自ら露払いをしてくれるというのは、恐れ多いんだろうけど、ツアーに出ている選手の中で最年長のライガーがこうした姿勢をみせることで、いつか小松たちが上に立った時にライガーの姿勢を受け継ぎ、後輩の見本になるような選手になっていってほしいなと思う。

試合後、デスペラードが場外のライガーへいきなりトペコンヒーロを敢行。そして、本部席に保管してあったライガーが持つNWA世界Jr.ヘビー級ベルトを肩にかけ、マイクで激しく挑発。ベルト挑戦をアピールした。が、これが唐突すぎたのと、声がこもっていて何言ってるかが、全くわからなかった・・・・

第二試合:
○田口 隆祐&小島 聡&天山 広吉[09分28秒](アンクルホールド)×BUSHI&中西 学&永田 裕志

第一試合はともかく、やはりこの後のことを考えてか、相対的にバタバタした試合展開になった。とはいうもののやっぱお馴染みな選手が多数登場することもあってか会場内は大歓声。他団体でゲストとして登場する時は第三世代にしろ、ライガーにしろメイン待遇だからなあ。それが自団体ではこの位置。つくづく考えると新日の選手層の厚さは半端ない。試合も昔だとヘビー対ジュニアの流れになって大概ジュニアが負けるというのが相場だったけど、この試合のようにジュニア同士で決着がついたのは珍しい。しかもこのあとのタイトル戦線にBUSHIが絡んできそうな流れにもなっていたし、ジュニアも飯伏一強だったころから比べると混沌としてる感はあってこれはこれで面白いと思った。相変わらず元気がいい第三世代同士のぶつかりあいに、ジュニアのスピーディーな攻防と見どころも多かった。時間は短かったけど^^

第三試合:
本間 朋晃&○真壁 刀義[07分51秒](こけし→キングコングニードロップ→体固め
)× ジャックス・ダン&ロブ・コンウェイ

GBHは相変わらず会場人気が高い。個人的には本間はそれほど好きな選手ではない。かといってNWAコンビも別にNWAのギミックいらないと思うしなあ。何か別のキャラクターで勝負すればもっといい位置にいけそうな素材が多いのに、あの怪しい社長がでてきて全部もっていかれて、胡散臭くなる集団の中に埋没してるのはもったいないなあ。何回聞いても「ギャラクシーエキスプレス」は新日本には似合わないし。
せめてロブの隠れた売りになっている、クラシカルなレスリング勝負もみてみたかった。序盤エルボーで試合を組みたてるあたりは何となくランディ・サベージっぽかったし、もう少しそういう味わいを楽しみたかったんだけど。面白い外国人選手がそろっているのになあ。NWAが色んな意味で足枷になってるという印象は変わらなかった。

そういえばフィニッシュにこけしが絡んだのってはじめてみたような^^会場でも「こけしが決まった!」みたいなこといってる人がいたけど皆そう思ってるんだなあ^^

第四試合:
デイビーボーイ・スミスJr&○ランス・アーチャー[06分25秒](キラーボム→エビ固め)
×タマ・トンガ&バッドラック・ファレ

今のNWAってIWGPの下位に位置する扱いになっているのがイマイチ納得がいかないんだけど、昔のNWA知らない人にとってはその程度の扱いでもいいのかなあ?タイトル戦線には積極的に絡ませられない第三世代や、次期IWGPの挑戦者候補が巻くベルトになっているし、実際そうなっているし。で、もとIWGPタッグ王者のKESが現NWAタッグ王者。そして対するバレットクラブもまあIWGPには手は届かないが、タッグ戦線にでてきても不思議ではないチーム。だが、そうした余韻もなくこの試合もバタバタ。トンガとファレはDAWN RAIDを狙って身構えるが、スミスが場外からファレの足を掴んで妨害。トンガが1人だけで突っ込むと、アーチャーが身をかわしてコーナーに激突させ、ラリアットでファレを場外に追いやったところで、スミスがトンガへブルドックボムを仕掛けるが、トンガが頭部にパンチを連射して抵抗。しかし、スミスがそのままトンガを捕まえ続け、アーチャーとキラーボムにきってとってフィニィシュ。大会場ではわかりづらい細かい攻防がみたかったんだが。

第五試合:
○柴田 勝頼&後藤 洋央紀[10分00秒](PK→片エビ固め)×飯塚 高史&鈴木 みのる

笑ったのは、「風になれ」でみのるが入場して、二番の「か・け・て・い・けー!」のタイミングでそれまで暴れていた飯塚がリングインしたこと。狙ってやったんなら大したもんだけど、お客もちゃんと「か・ぜ・に・な・れー!」と同じように「か・け・て・い・けー!」って合唱してたもんなあ。まあそれはともかくみのるが最初から柴田つぶしで仕掛けていったのはさすがというか、何というか。桜庭もそうだけど、格闘技からターンしてそのままの流れで格闘スタイルをやっている選手にはみのるは容赦ない。この日も後藤の出番は割とあったものの、ラスト以外はほとんど柴田の出番はない。まあ鈴木軍はタッグワークというものがあるようでないんだけど、自由に暴れていてもみのると飯塚とはそれなりに疎通しあえてるのが不思議といえば不思議。

一方同級生コンビは逆に連携もばらばらだったけど、飯塚の誤爆から柴田が飯塚を羽交い絞めにし、後藤のラリアットがクリーンヒット。間髪入れずに柴田がスリーパーホールドで絞め上げ、最後はPKでとどめを刺す形で久々の勝利。しかし試合後、鈴木がパイプイスを持ち出してエプロンへ上がり、ロープを挟んで再び柴田と睨み合いになる。セコンドたちが必死で制止したが両軍の興奮はおさまらない。こうしてたぶん桜庭以降の遺恨を着々と作っているのがみのるらしいところ。ちゃんと次の手を考えているのだ。

第六試合:
×キャプテン・ニュージャパン&棚橋 弘至[09分44秒](ヘルメリー→片エビ固め)○マイケル・ベネット&マット・ターバンWITHマリア・ケネリス

休憩明けはこのカードから。待望のマリア・ケネリスがでてくるのだ!もともとはヨシタツの欠場により、昨年のパートナーであるキャプテンが棚橋とタッグを結成。棚橋組が『WORLD TAG』公式戦で闘う予定だったROH勢と対決することに。でも結果としてはこれでよかったと思う。なぜならヨシタツにはできなかったであろう、マリアとの絡みにおいてはむしろキャプテンの方が適任だからだ。色香に迷うキャプテンがいると棚橋もそっち方面に舵を切りやすい。ヨシタツが同じことしてもあまり絵が浮かばないし、ここまで面白くなったかどうか?

ROH勢がディーヴァ連れででてくる、ちょっといけ好かない外国人ヒールを好演出していて、キャプテンと棚橋には大声援が集まる。このあたりも実にいい仕事をしていた。そしてキャプテンが珍しく大活躍して大キャプテンコールを浴びると、すかさず、マリアがエプロンへ上がってセクシーポーズで挑発。完全に心を奪われたキャプテンがフラフラと近づくと、マリアは張り手をお見舞い。その直後、ターバンがトラースキックを浴びせるも、棚橋がドラゴンスクリューで報復。ここで棚橋は倒れたキャプテンに近づいて大声で呼びかけるが、棚橋もマリアの色気に惑わされてしまいドロップキックを被弾。孤立したキャプテンを、ベネットとターバンが二度目のヘルメリーをさく裂させ、見事勝利。せっかくなんだから勝利した以上、リング上で勝ち名乗りをうけてほしかったなあ。リング下でポーズ決めたのは時間の関係かなあ?ちょっともったいなかった。この日のベストバウトはこの試合でいいと思う。ROH勢の実力も十分伝わったし、なんといってももとWWEディーヴァのマリアを生で拝めたのは本当にうれしかった。次回は試合もみてみたいなあ。本人はもともとイベント業に興味があって、そのために大学に通って(しかもWWEからの奨学金を受けて通っているという!)キャリアアップしているくらいだし、ディーヴァデビューも最初はマネージャーとしてだったから難しいかもしれないけど。

第六試合:
高橋 裕二郎&○AJスタイルズ[10分21秒](スタイルズクラッシュ→エビ固め)ドク・ギャローズ&דザ・マシンガン”カール・アンダーソン

それぞれが握手とウルフサインのキスで挨拶し、結束をアピール。同門ということもあってか?AJの前でアンダーソンはいきなり大の字になって試合がスタート。もちろんこれはフリでどちらも素早い応酬で譲らず、アンダーソンがサミングで不意打ちし、直後にAJもサミングをお返し。何も見えなくなった2人は、それぞれ相手側のコーナーに行ってしまうが、もちろんタッチはできない。このあたりちょっとコミカルな味をまぜてくるあたりがAJのパフォーマンス能力の高さを証明している感じがした。

戦闘能力の高さでいえば他の3人もそれなりにすぐれてはいるんだけど、やっぱ世界のレベルというのは頭一つ何か違うものをもっている。特にAJは博多でいきなりオカダからベルトを奪取しているだけに、いち早くそれを目撃した博多のファンからはさかんにAJを応援する声が飛んでいた。スタイルズクラッシュに行く前にブラディサンデーを挟むのももはや当然というか、AJの技にみえるから不思議なんだよなあ。

試合後、4選手がお互いの健闘を称え合い、AJがアンダーソンの手を掲げる。そして、4人でそろって記念撮影に収まったところで、もういつものバレットクラブに戻っていた。バレットクラブもスタート当初は正直どうかなあと思っていたけど、AJが加わったことでこのチームは激変した。やっぱすげえなあ。

第七試合:
×石井 智宏&中邑 真輔[12分07秒](裏霞)桜庭 和志&○矢野 通

この試合も同門対決。正直同じ大会に何度も同門対決組まないでほしいんだけど、このカードに関して言うと、石井対桜庭とかちょっとレアな組み合わせがみられるので期待していた。しかし、身体焼く、焼かないの話をしていたわりに、桜庭は上半身もコスチュームで隠してしまっていた。せっかく「驚きの(肌の)白さ」を売りにしたいんだったら、せめて上半身は脱いでもよさそうなものを・・・・しかも手の合う中邑としかからもうとしないもんだから、会場も「あの人ってプロレスラーじゃなくて格闘技の人なんでしょ」「なんでプロレスの試合しないの?つまんない。」とかいわれる有様。IQレスラーと呼ばれたのが2000年度初頭。今新日見に来ている10代前半のファンとかは桜庭の全盛期を知らない可能性は高い。昔からグラウンドの展開は静まり返って流れをみていくファンが多かった観戦傾向があったけど、桜庭の出番ではあきらかにお客が退屈していた。もうグレイシーハンターの名では今のお客さんには通用しないのかなあ?この事実を新日も桜庭も悟るべきなんだよなあ。同じ格闘畑からでてきて石井とも好勝負している柴田が、なぜ今の新日ファンに受け入れられているのか?そのあたりをよく考えた方がいい。そしてこういう場に中邑を使わないでほしい。正直もったいないよね。桜庭要員として中邑を使うのって。今の桜庭ははっきりいってメインやセミをつとめられるコンディションにはないといってもいいだろう。残念だけどそれが現実。

その分矢野が普段やらないであろう石井とのバチバチ合戦をやったりして、一人で孤軍奮闘していたのが気の毒ですらあった。もともとタッグやりたいっていって新日きたはずの桜庭が依然タッグでは結果出せてないっていうのはそろそろやばいんじゃないかなあ。

ここではっきりいっておきたいのは、桜庭のスタイルを否定するわけでもないし、今の新日に闘いがないとかいうつもりもない。ましてや格闘技が下でプロレスが上ということもいいたいわけではない(そもそも比較しようがないし)。旗揚げから40数年の時を経ていけば人も選手も団体もまた変貌していくし、お客が求めるものだって変わってくる。昔が良かったと思う人もいれば、今の方がいいという人もいよう。ただし、今はこれだけ団体があって、Uスタイルも、ストロングスタイルも新日でなければ表現できないというわけでもない。今の新日に求められているものを提示できないのであれば闘う場所を変えたっていい。移籍に関しても馬場・猪木時代と違ってドロドロした引き抜きもない。トレードだって成立している。昔に比べたらずっと選手にとっても選択肢も多い。

だからお金という条件面でいうなら新日が一番なのはいうまでもないことなんだけど、そこで求められているものと自分が表現したいものに埋めがたい溝があるのであれば、無理にあわせることまでしなくていい。今の桜庭は正直痛々しいと思う。IQレスラーだってできないことはある。ここまでプロレスが多様化した昨今では描けない絵だってあっていいと思う。桜庭には己の信じた道を貫いてほしいのだ。レジェンドと呼ばれる男であるからこそ。

第9試合:
ラ・ソンブラ&○内藤 哲也[14分29秒](スターダストプレス→エビ固め)×YOSHI-HASHI
&オカダ・カズチカ

正直、この試合がメイン?と思ったけど、最近波に乗りつつあるYOSHI-HASHIと、内藤とは二年続けての出場になるソンブラがいることを思うとそう悪くはない。この試合はさすがにメインだけあって時間を気にしない展開で白熱した。ややオカダが攻め急いだ感があったが、YOSHI-HASHIは思った以上に頑張ったし、ソンブラの好フォローで内藤もなんとかダメージを負わず、スターダストを久々に決めて勝利。ちょっとオカダの出番が少なすぎた以外は特に文句のつけようのない試合だった。

試合後、内藤が「今日は、俺のベストパートナーのソンブラが、皆さんにひとこと言いたいことがあります。まずは、ソンブラにマイクを渡したいと思います」とマイクアピール。
「ソンブラ」コールの中、マイクを受け取ったソンブラが「ハカタノミンナ! アリガトー!」と日本語で挨拶。自ら「内藤」コールを扇動すると内藤が再びマイクを掴み、超満員のファンに感謝の挨拶。最後は、『WORLD TAG LEAGUE』の主役は~~! 俺たちやけん!!」と宣言し、博多スターレーン大会を締めくくった。

まあ内藤が勝って締めるとは思ってなかったんで意外っちゃ意外だったけど、それでもそれほど嫌な気はしなかったし、内藤の穴をソンブラがよくフォローしていたんでボロもでにくかったともいえる。なんといっても大観衆の博多スターレーンの熱気が素晴らしい。本当今の新日はマジですごい。これに匹敵しうるのはやっぱDDTかドラゲーしかいないというのが現状だと思う。もう何団体かこの流れに追随してくれるといいんだけど、まあしばらくは新日一強の時代が続くかなあ?アメリカでもケーブルで放送がはじまるらしいけど、どうなるかは楽しみ。できたら博多以外の土地もまわってほしいところなんだけどなあ。

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