[プロレス試合レビュー] 私はこう見た!〜ハーリーレイス対ボブ・バックランド
[プロレス試合レビュー] 私はこう見た!
NWA王者対WWF王者
今回レビューしてみたいのは、YouTubeに上がっていたハーリーレイス対ボブ・バックランド戦です。
ボブさんがWWF王者時代にも二人は激突しました。
おたがいのタイトルをかけてニューヨークとセントルイスで2回、闘っています。
実現することに意義がある
1980年9月22日マディソン・スクウェア・ガーデンでおこなわれた第1戦はレイスさんが反則負けとなり、1980年11月7日キール・オーデトリアムでおこなわれた第2戦はボブさんが反則負けを喫しています。
試合結果そのものよりも、実現することに意義のあるタイトルマッチだったのかもしれません。
メモをもとに
唯一1976年4月23日にはNWAの総本山ミズーリ州セントルイスにて、ボブさんはレイスさんを下しミズーリ・ヘビー級王座を獲得していますが、今回レビューする試合が、そこに該当するのかどうか、決め手に欠いたので、断言はしません。
さて、ここからは動画でわかる情報をもとに書き出したメモをまとめていきます。
テクニカルな攻防は
アマレス出身のボブさんと、プロレスの酸いも甘いも噛み分けてきたレイスさんの対戦となればテクニカルな攻防が期待できるかな?と私もワクワクしながらみていました。
しかし、序盤から手四つで手堅くいこうとするレイスさんに対して、自分だけ派手なムーブでお客さんを沸かせようとするボブさん。
かみ合わなくなって
試合開始時点からはやくもレイスさんとは噛み合わなくなってきます。
ボブさんは当時まだ若きチャンピオンだったようで、血気にはやるのはわかるとしても、勢いだけ空回りしている印象があります。
どこまでいっても平行線
どっしり構えてボブさんの技を受けているレイスさんとはスタンスがどこまで行っても平行線です。
アメリカンスタイルでもオールドスクールなプロレスは、長時間の試合であっても節目節目に見せ場と山場があり、観客を飽きさせない工夫をしています。
レイスさんがいなかったら
この試合ではあくまで自分しかみえていないボブさんと、会場の全てを受けながらコントロールしているレイスさんという対比が最初から最後まで崩れません。
レイスさんがいなかったら、多分かなり退屈な試合になっていたでしょう。
長すぎたヘッドロック
その証拠としてあげたいのが、この試合中にボブさんが再三繰り出すグラウンドでのヘッドロックです。
これがまあ長い!ボブさんで長いといえば「長すぎたショートアームシザース」が有名ですが、さしずめ長すぎたヘッドロックと言えるかもしれません。
効果的に使えば
ヘッドロック自体は効果的に使えば終盤に繰り出す大技への布石になりますし、決める気ならそれだけで試合を終わらせることもできる技です。
もちろんかける側がスタミナ回復することにも使えます。
試合にリズムがなくなり
この試合に限っていうなら、ボブさんがひとしきり自分のムーブをやったあとの箸休め的にヘッドロックを使用しているため、試合にリズムがなくなり、退屈な場面に変化しているのです。
ボブさんは、ヘッドロックをかけながら、何かしらアピールするわけでもなく、ひたすら締め上げるだけです。
悪い意味で実直
悪い意味でボブさんの実直さが出ている場面は、この試合ではたくさん見られます。
一方でレイスさんは空いている腕でキャンバスを叩いたり、拳を突き上げるなどして試合にアクセントをつけています。
レイスさんが頑張っている
長時間のヘッドロックに耐えながら観客にアピールする様は、まるでベビーフェイスのようです。
しかし、こうでもしないと試合が平坦な内容になりかねないので、ヒール王者のレイスさんがかなり頑張っています。
後半の布石には・・・
このボブさんのヘッドロックが後半の布石になっているかというと、全くそうはなっていません。
後半になっても、相変わらず自分の出したい技を出していくボブさんに対して、レイスさんは、ニースタンプを顔面に落としてからのスタンディングヘッドバットと、やや厳し目な攻撃をみせます。
ダーティーな展開
これに対してナックルでレイスさんの額を割るボブさん。ニューヨークの太陽らしからぬダーティーな展開です。
試合は思わぬ形で流血戦になり、結果的にお客さんは盛り上がっている様子です。
ギリギリまで我慢して
結局、終盤繰り出したボブさんのスリーパーでレイスさんが締め落とされ、レフェリーがボブさんの勝ちを宣言して試合は終わります。
ボブさん自身は非常に好人物で業界の評価も高い方ですが、この試合ではそれが悪い方に出てしまった感じがします。
それゆえにレイスさんもぎりぎりまで我慢して試合を成立させたのかもしれません。
立ち位置がベビー
にしても、一人で戦っているレイスさんに対して、ボブさんにはマネージャーにパット・パターソンさんがついていたり、どうみても悪役なんですよね。
しかし、そんな立ち位置でも、ボブさんのキャラクターがひたすら陽なんで、ベビーフェイスにみえちゃうのが面白いと思います。
ワンランク上の
ただ、試合後左目付近に青タンを作っているボブさんをみると、決してレイスさんの攻めが緩いものでなかった証明になっていると私は思うのです。
ミスターNWAの爪痕は確かにニューヨークの太陽に刻み込まれ、ボブさんはこの試合からワンランク上のプロレスラーになっていったのかもしれません。
今回はニューヨークの帝王とよばれたボブ・バックランド選手の若き日の試合をレビューしてみました。