プロレスリングFREEDAMS | 『福岡自由人化計画2023』
(2023年10月21日(土)福岡・西鉄ホール)
イントロダクション
プロレスリングFREEDOMSとしては、博多スターレーンで開催された2011年の3月26日以来の博多大会。
その間、ずっと北九州を「西の聖地」として、博多では大会を開いてこなかった。
それは生前のドン・タッカーとの約束を殿が忠実に守ってきたからこそ。そこからやがてMY WAYとの接点も出来て、北九州大会も満員になり、博多再進出は秒読みだと個人的には思っていた。
残念なのは博多スターレーンが既になく、デスマッチOKの会場が北九州も含めて現状全くない事ではあるが、それでもFREEDOMSが面白い団体であることには変わりない。
今回は昼間に仙女、夜がFREEDOMSという形で開催されていたが、体調の問題も考慮して、夜のFREEDOMSのみの観戦とした。
仕事してなかったら昼夜観戦もありだけど、こればかりは仕方ない。チケット代のためには働いてこそだし、かといって体調も考慮しないといけない。
下関→西鉄ホール
比較的早めに家を出たのは大正解。なぜなら土日祝日の関門トンネルは大渋滞をおこすパターンがよくあるからだ。
ただ、土曜日は母の洗濯物回収して洗って干して、晩飯こしらえてからの出立になるため、在宅時はめちゃくちゃ慌ただしい時間が過ぎていった。
幸いにも24時間一律500円の駐車場が空いていたので、そこから徒歩で小倉駅へ向かい、新幹線で博多入り。駅から結構遠いのはこの際目をつむるしかない。
ここ最近の物価高のせいか?今月28日をもって長年愛用してきた、土日祝日限定の小倉→博多間往復用「よかよかきっぷ」が販売終了とのこと。
来週のNOAH福岡国際センター大会は自宅観戦することにしたため、今回がよかよかきっぷを利用する最後の観戦になる。
そう思うと感慨深い。
開場までまだ余裕がありそうなんで、西鉄バスで天神へ。かつては100円で行けた博多〜天神間も昨今の値上がりブームで150円になっている。
確かに急ぐ時は地下鉄が確実だが、値段を考慮したらまだバスの方がリーズナブルなのだ。
開場
中に入ると、事前に聞いていた通り、雛壇なしのスタイル。
雛壇出さない場合、西鉄ホールは真正面のライトが撮影の妨げになるケースが多々ある。
ここは、意外と動いてる選手撮るのが難しい会場でもある。iPhoneでも結構難しい。
とはいえ、雛壇出してガラガラになるよりは満員感は出せるので、悩ましいところ。
今回はパンフと、9.10にいけなかったお詫びにジャックの写真集を買わせていただいた。
オープニング
オープニングアクトは現二冠王のスギウラマンが登場。名実ともに現在のFREEDOMSでは間違いなく顔になっているのは間違いない。
とはいえ、12年前の博多大会ではまだ入団すらしていなかったスギウラマンがこうしてうるさいオープニングを飾るのも感慨深い。
しかも、やたらとSNSでの拡散を強要するので仕方なくその場で下の写真を投稿しておいた。
第一試合◇6人タッグマッチ
高岩竜一&ドラゴン・リブレ&○拳剛 vs 政岡純&ヴァンヴェール・ネグロ&×ヴァンヴェール・ジャック(11分18秒逆さ押さえ込み)
MY WAY提供試合ということではなく、FREEDOMSの闘いの中にMY WAYが組み込まれるというのがミソ。
ネグロと拳剛は組んでよし、戦ってよしの間柄だし、ジュニアのレジェンド高岩との対戦はMY WAYにとっても大きな財産になるだろう。
なかなか生で見に行けないMY WAYだけど、こうして久々に観る機会が得られたのはありがたい話だ。
私が期待していた超竜とMY WAYの絡みはあまりなく、ジャックはリブレと、ネグロは拳剛とやり合う場面が目立った。
全く絡みがなかったわけではないんだが、やはりジャックあたりは、あのベテランに自分から噛みついてほしかったなあ。
私としては今回みたいなケースなら、もっとベテランを怒らせてもよかったのになあ、と思ってしまった。
FREEDOMSと関わると言うことは、この超竜との接点が出来ると言うことで、むしろその首を取れば、MY WAYの名は更に轟く。
もちろん、あれだけのベテランを本気にさせるというのは並大抵のことではないのだが、高岩竜一を振り向かせられれば今よりもっと上のランクに行けるのは間違いない。
結局、高岩は怒らず、淡々と仕事をこなして終始余裕の表情。MY WAYも爪痕残すまでは至らず、ジャックが逆さ押さえ込みでフォール負けという結果になってしまった。
この結果をもっとMY WAYは悔しがってもいいのではないだろうか?個人的にMY WAYが輝くのは格上の選手に必死で喰らいつくとこなんで、次にチャンスがあれば、そういう場面をもっと見てみたいと思う。
第二試合◇シングルマッチ
○GENTARO vs ×鉄生(8分32秒腕ひしぎ十字固め)
がむしゃらプロレスから唯一参戦の鉄生には試練が課せられた。何とある意味FREEDOMSの象徴でもあり、かつては九州を拠点にして活躍していた先輩・GENTAROとのシングルマッチである。
GWAのタイトルマッチを控えた鉄生としては、当然一発喰ってやってほしいが、相手が相手だけに軽くいなされて終わりと言うこともありえない話ではない。さて、どうなるだろうか?
がむしゃらプロレスでも突出してプロとの絡みが多い鉄生。
そんな鉄生の前に立ちはだかったのは、FREEDOMSきってのテクニシャンにして、非常に厄介なGENTARO。
ちなみにGENTAROの試合は、それこそマスクマン時代から長らく観てきたけれど、ノリノリの時は、いろんなレジェンドになり切った試合運びをみせることがある。
この日は赤いタオルを首に巻き、さながら燃える闘魂といった様子。ただ、GENTAROの凄いところは、ただレジェンドのモノマネをしているわけではないところでもある。
近年のプロレスからは失われた試合開始前の視殺戦にはじまり、指先からみなぎる気迫が感じられるロックアップまでの間。まさに殺気の部分で猪木さんを自分の財産として再現できるのが今のGENTAROなのだ。
マスクマン時代は、それこそショーン・マイケルズのムーブをそのまま完コピしていたけれど、その歴史を踏まえて今がある。
だから、鉄生が勝つにはGENTAROお得意の動きを封じる必要があった。だからこそパワー主体で時に場外戦を織り交ぜながら、GENTAROの闘魂を封じようとしていた。
しかし、猪木さんには類い稀なる受けの美学がある。
やられてもやられても立ち上がり、相手の良さを引き出した上で最後には勝つという流れが持ち味でもあった。
この日のGENTAROはそちらの猪木だった!
だから、技らしい技は弓矢固めくらいしか出していないにも関わらず、全体から「猪木イズム」を感じる試合になっていた、と私には感じられたのだ。
しかもこの弓矢固めは、身体の硬い鉄生には結構なダメージになる。最後はミサイルキックから、たっぷり溜めを作ってからの腕ひしぎ。
終わってみたら、最初から最後までGENTAROワールドに染まった試合だった。
試合後握手を拒否した鉄生は、明らかにGENTAROのペースに乗せられてしまった悔しさを顔に浮かべていた。
第三試合◇シングルマッチ
○竹田誠志 vs ×ドブネズミ・フッキー(8分0秒 メガラバ)
SNS上でも竹田が対戦を楽しみにしていたフッキーとのシングル。なかなかありそうでないシングルだと思うが、デスマッチ禁止の西鉄ホールでどう闘いをみせてくれるか?
通常のシングルマッチにはなりそうにないのが、戦前からプンプンしてくる感じがもうたまらない。
入場時から凶器を持ち込んで気分はデスマッチモードの竹田誠志と、ドブネズミ・フッキーとのシングルマッチ。
「あー、血を流してえなあ」と試合中も繰り返す竹田だったが、当然西鉄ホールはデスマッチ禁止の会場。
しかし、竹田はデスマッチだけしかできない選手ではない。元をただせば田村潔司の門下生であり、グラウンドは大の得意。
もちろんフッキーが只者でないだけに、場外でお客さんのペットボトルを凶器に、憂さ晴らしも忘れない。
本当はペットボトルの中身より血を流したかったのは誰が見ても明らかだったが、最後まで竹田はルールの範囲内でプロレスをしていた。
結局、凶器も使わず、グラウンドでもフッキーを圧倒し、最後はメガラバでギブアップを奪った。
それでも勝ち段取りを受ける竹田は、どこか浮かない表情をしていた。
やっぱり久しぶりに来る福岡、久しぶりに来る博多ではデスマッチをしたかったっていうのが本音なのだろう。
それを思うとちょっと切ない気分になったが、 どこかデスマッチOKになるような会場があれば、 FREEDOMSはもっと生き生きとして見られるのになあ。
セミファイナル◇タッグマッチ
マンモス佐々木&○正岡大介 vs 藤田ミノル&×山下りな(13分47秒トルネードクラッチ)
昨年の大会では観られなかったマンモス佐々木。実は彼がデビューしたての頃の試合を観ているので、彼が既にベテランになって風格を漂わせているのが何とも頼もしい。
かつて北九州に居を構えていた藤田ミノルにとっては、博多はプチ凱旋になる場所でもある。2011年の時にはまだFREEDOMSのレギュラーでもなかったことを考えると、時間の経過って本当に早いし、感慨深い。
最初から何やら仕掛けようとする藤田と山下は、 何となく不協和音が出そうで出ないようなチームワークで、相手をかく乱しようとしていたが、さすがに山下が一人でマンモス佐々木に 真っ向勝負を挑んだのには恐れ入った。
これができるのはやっぱり山下しかいないと思う。
片や藤田ミノルは例によって「いつも通り」の戦いぶりでFREEDOMSチームを翻弄していく。
その藤田は終盤になって山下りなに道具扱いされていたが(笑)この日は山下りなが俄然光っていた。
ただ、パワーとテクニックに関して言うと、FREEDOMSチームの方が1枚も2枚も上手だったように思う。
最後は仕留めに入った山下を正岡が体をひねって反転させ、そのまま 逆転勝利。
見ていて男女の差をあまり感じないというのもすごいなと思った。よく考えたら凄いことしているんだけど。
メインイベント◇6人タッグマッチ
○杉浦透&葛西純&佐々木貴 vs ビオレント・ジャック&植木嵩行&×佐久田俊行(15分17秒スイフト・ドライバー→片エビ固め)
このメンバーの中で2011年の大会に出ているのは殿と葛西だけになってしまった。加えて杉浦が今やFREEDOMSの新エースとして団体を引っ張って行っているのがまた感慨深い。
2023年5月に大けがからの欠場を経て復帰したE.R.Eの植木としても、久々の博多でいいところを見せたいところだろう。
このメンバーでむしろハズレになることは考えにくい。盛り上がること必至!
試合は、ほぼお約束のようにE.R.EがFREEDOMS勢に襲いかかり、乱闘からスタート。場外戦は派手な展開になり、 あちこちでE.R.Eが暴れ回る。
先手を取られたものの、リングに上がってからは徐々にFREEDOMS軍が盛り返してくる。
場外で竹串を刺された葛西も、そこからエンジンがかかってきたのか、杉浦と一緒に決めたダブルのドロップキックなどで大いに会場を盛り上げる。
ただ、先輩たちにいいところを取られるわけにはいかない。現・二冠王の杉浦は自ら場外に飛んでこの日1番の見せ場を作ったものの、なぜか決めポーズは先輩の葛西に持ってかれてしまった。
それでもデビューの頃に比べて随分頼もしくなったなという感じはした。
最後も杉浦が佐久田から取ってFREEDOMS軍が勝利を収め、無事12年ぶりの福岡大会を締めることができた。
エンディング
マイクも杉浦が握り、 2人の先輩を従えるような形で記念撮影タイムを行い、最後は また福岡に帰ってくることを約束して大会を締めた。
西鉄ホールはとにかく 終わりの時間が早めに設定されているため、なかなか 長時間の興行を打つことは難しい。売店も8時10分までとアナウンスがあったように、撤収時間も結構厳格に決められていたようで、 その辺もスターレーンとはちょっと勝手が違うような感じがした。
ただ、久しぶりのFREEDOMSを福岡の人たちも歓迎していたようだったし、
またこの流れで福岡にも来てくれるのであれば、 北九州と並んでFREEDOMSを見る機会が増える。
そういう意味では、福岡大会も定着してほしいなと思っている。
後記
帰りのバスの車内でチャンピオンがマイクで言っていた通り各種SNSにアップ。
杉浦はなぜかmixiにこだわっていたので、mixiにも久しぶりに写真をアップしたけれど、 本人が確認しているのかどうかはわからない。
とりあえず久しぶりの福岡大会は盛況のうちに終わった。内容も良かったし、また来てくれることを個人的には望みたい。
行きは渋滞にはまって大変な目にあったけれど、帰りはそういうこともなくサクサクと帰ることができて、21時には下関の自宅に戻ることができていた。
行きと帰りでえらい違いだなと思ったけれど、やっぱりプロレスを見終わった後の気分は最高である。
ちなみにFREEDOMSの福岡大会と北九州大会は今のところ、12年続けての皆勤賞。がむしゃらプロレスの有料大会14年に続く長さなんで、これは個人的にいけるところまで続けてみたいと思っている。