プロレス的音楽徒然草 HEAVEN KNOWS(西村修のテーマ)
プロレスラー・西村修という存在
2025年2月28日、プロレスファンに衝撃が走りました。
新日本プロレスなどで活躍し、後年は文京区議会議員としても活動していた西村修選手が、ステージ4の食道がんのために逝去されたのです。享年53。
リングでも政治の世界でも、誠実に闘い続けた彼の姿を、多くの人が記憶しています。
そんな西村修選手の数ある入場テーマ曲の中でも、特に印象的なのが「HEAVEN KNOWS(ヘブン・ノウズ)」。
この記事では、この楽曲に込められた意味、音楽的特徴、そして当時のエピソードを振り返っていきます。
「HEAVEN KNOWS」とは ― 西村修の象徴的テーマ曲
「HEAVEN KNOWS」は、1998年頃から使用された西村修選手の入場テーマ曲で、次のテーマ「無我 GOVERN」が登場するまで長く愛用されました。
初出はおそらく『新日本プロレスリング30周年記念 超戦士の聖奏(バイブル)』というCDアルバムに収録された音源です。
制作を手がけたのは、新日本プロレスが当時立ち上げたオリジナルレーベル「WOODBELLレーベル」。
このレーベルは永田裕志、天山広吉、小島聡といった“第三世代”を中心に、多くの有名テーマ曲を生み出した、プロレスファンにはおなじみの音楽ブランドです。
「HEAVEN KNOWS」は、まさに西村修の試合スタイルを体現した一曲です。
力強いドラムビートとシンセサイザーの旋律が融合し、静かに燃える闘志と精神的緊張感を漂わせます。
その冷静沈着なファイトスタイルに完璧にマッチしており、ファンの間でも“西村修といえばこの曲”という印象を残しました。
新日本プロレスとWOODBELLレーベルの関係
現在、「WOODBELLレーベル」の権利は株式会社ペコカンパニィーが所有しており、当時のテーマ曲を新日本プロレス側が使用するには使用料の支払いが発生しているとみられます。
つまり、オリジナルレーベルで作られたにも関わらず、現在は新日本と権利関係が切れているという、少々複雑な状況です。
そのため、「永田裕志」「天山広吉」「小島聡」といった選手のテーマ曲も、配信やアーカイブでは差し替え対応となることが多いのです。
特にNJPW WORLDの配信では、著作権処理の都合から、入場シーンがオリジナル曲でないケースもしばしば見られます。
毎週膨大な試合数を配信・保存していることを考えれば、経費的にも大きな課題であることが分かります。
「HEAVEN KNOWS」が響いた名場面 ― G1クライマックス2002
私自身、「HEAVEN KNOWS」とともに思い出すのは、2002年のG1クライマックス、対・安田忠夫戦です。
8月7日、福岡国際センター大会。試合前、安田選手がオープンフィンガーグローブを西村選手に投げつけ、西村はそれを拒否――。
まるでプロレス対格闘技の象徴のような緊張感が場内を包みました。

結果はわずか1分36秒。西村選手が卍固めで勝利を収め、観客からは「大・西村コール」が巻き起こりました。
このとき会場に響いた「HEAVEN KNOWS」は、まさに彼の生き様そのものでした。
現在の「HEAVEN KNOWS」入手状況と聴く方法
2025年現在、「HEAVEN KNOWS」はデジタル配信が確認されていません。
新日本プロレス関連のテーマ曲は、権利関係の都合上、SpotifyやApple Musicなどのストリーミングサービスでは提供が限定的です。
ただし、以下の方法で一部を聴ける可能性があります:
新日本プロレス公式YouTubeチャンネル
WOODBELLレーベル関連のプロモーション動画
中古CDショップ(ディスクユニオンなど)
『新日本プロレスリング30周年記念 超戦士の聖奏(バイブル)』(2002年発売)
特に最後のアルバムは、中古市場で入手できることがあります。
価格は状態により1,000円~3,000円前後が相場。ただし在庫は限られているため、見つけたら即購入をおすすめします。
入場テーマ曲コレクションの魅力と注意点
プロレス入場テーマ曲の世界は、希少盤ともなると何十万円することも珍しくありません。
一方で、今は比較的入手しやすい音源も、将来的には再販されない可能性があります。
大切なのは、「無理をせず」「心から楽しむ」こと。
お財布と相談しながら、自分の感性に合ったテーマ曲を少しずつ集めていく――それもまた、プロレスファンとしての豊かな楽しみ方でしょう。
まとめ:「HEAVEN KNOWS」は西村修そのもの
「HEAVEN KNOWS」は、単なる入場テーマ曲ではなく、西村修という人間の静かな情熱と哲学を象徴する楽曲です。
冷静で知的、しかしリングでは誰よりも闘志を燃やす――そんな彼の姿が、今もこの曲を通して思い起こされます。
もしあなたが西村修というレスラーをもう一度感じたいなら、ぜひ「HEAVEN KNOWS」を探してみてください。
きっと、あの“無我”の精神とともに、リングに立ち続ける彼の魂が聞こえてくるはずです。
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