プロレス的発想の転換のすすめ（4）継続は力なり
「続ける」極意と休息の美学
今回は「続ける」ということについてお話しします。
プロレスの世界も同様ですが、好きなものはとことん続けてこそ、いつか大きな花が開くことがあります。
もしこの「続ける」ことに抵抗感があるならば、それは「続けたくない」という思いや、あるいは「続けないことで自分に何らかの得がある」というメッセージが無意識の中に隠れていると考えられます。
「続ける」ことで自分が不利益を被るからやりたくない――そう考えてみてください。これは善悪の問題ではなく、自分自身がちゃんと自分の身を守るために反応しているだけなのです。
この抵抗感さえなければ、体力と時間が許す限り、人はいくらでも走り続けることができます。
基礎をつくる過酷な特訓
私の場合、かつて某プロレス週刊誌の投稿常連会である「プレッシャー」というところに入っていました（今も籍はあるのですが）。
この会は昔、プロレス週刊誌に連載を持っていて、毎週の締め切りに追われつつ、1記事200字ちょっとの短文を毎週14〜15本も書いていました。
もっとも、これでご飯を食べていたわけではなく、別に本業があって、あくまで余暇で文章を書いてプロレスを観戦していたので、若い時代だからとはいえ、よくあんなエネルギッシュな闘いをしていたなと今では思いますね。
さきほども言ったように、会として連載を持っていたので、当然ながら採用・不採用という振り分けがあり、没もたくさんあったわけですが、これをかなり長い年月続けていきました。
そのおかげで結構掲載されていたこともあってか、たまに当時のペンネームで「向維新です」と名乗ると、50代後半くらいのプロレスファンからは「名前を見たことがあります」と言われることも時々あったりします。
基礎が作る不屈の魂
まあ、連載していたと言ってももう十数年以上前の話ですし、若い方にはなんのことだかさっぱりなんで、普段は自分から名乗ったりはしません。でも、ここで作った基礎は今あらゆる面で役立っています。
よく「あんな長文をあんなスピードで書けますね」と言われます。しかし、私からすると20年来の習慣ですから、ある意味当たり前なのです。
ただ、続けるというのは「したい」からできることであって、「しなくてはならない」では長続きしません。
プロレスでも入門時にはスクワット（屈伸運動の一種）を何千回とやって強靭な下半身を作ります。それは、その先に「プロレスラーになりたい」「スター選手になりたい」などの願望ありきでこそできる努力だと私は思います。
たぶん文章を大量に書いていた時代というのは、プロレスラーのトレーニングに似た感覚があったな、と今は勝手に思っています。
限界を見極める目
要は、ここで鍛えられた時期があって今、長文も短文も抵抗なく書けるようになっているので、やはり一定の量をこなし続けることっていうのは、ある種の上達への必要条件ですね。
ただ、続けられないからダメだということではないのです。
先ほども言った通り、続けることで不利益を被るから続けられないのであって、私の場合は不利益を被るとは思っていなかっただけのことです。
もっとも、いいことばかりというわけではありません。嫌なことでもかなり無理して続けてしまうと、知らないうちに限界を超えて健康な生活を失ってしまいます。
本当は抵抗を感じていたはずなのに、無理して続けると体や心を病んでしまいます。
また、仮に好きなことであったとしても、インターバルや休息も必要です。常に新鮮な形で接するためには、四六時中関わっているより、どこかで風向きをコントロールするのも大切なことです。
偉大な先人たちの生き様
物事にはやはり限度があるということは、自分で知っておくべきでしょう。いくら好きなことでも、休息なしでは続けられません。
漫画の神様・手塚治虫先生は「漫画が本妻、アニメは愛人」という名言（迷言？）を残していますが、寸暇を惜しんで作品を作り出した結果、60代で亡くなられてしまいました。
かたや、「ゲゲゲの鬼太郎」で有名な水木しげる先生は、何より「寝ること」を大切にしていたため、およそ100歳近くまで生きてあの世にいかれました。
どちらを選ぶかはあなた次第です。
私なら、昔は手塚先生の生き様に憧れていましたが、今なら水木先生のライフスタイルも素敵だな、と思えるようになりました。
ですので、前日が遅くなった場合は必ず翌日は休息に充てています。
仕事に趣味に常に全力投球し続けてきた時代からすると、我ながら信じがたい話ですけど、これも今は自分の中ではアリなんですね。
人生という名のリング
人生という名のリングは、長く険しいものです。 時には激しい場外乱闘や連戦が続くこともあるでしょう。しかし、どんなに強い選手であっても、ずっと技を受け続け、攻め続けることはできません。
大切なのは、ここぞという場面で「執念の必殺技」を放つためのスタミナを残しておくこと。そして、カウント3以内で肩を上げるための休息を取ることです。
あなたの人生という闘いが、最高のメインイベントになるよう、時にはコーナーポストで息を整えながら、長く、熱く、走り続けていきましょう。
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