[アニメソング] アニメ的音楽徒然草 涙の法則
今回は、満を持して?「劇場版・戦国魔神ゴーショーグン」主題歌「涙の法則」をご紹介します。個人的には、80年代で最も好きなロボットアニメの一つであるゴーショーグンはいつか取り上げたいと手ぐすねひいては待ち構えていたのですが、やっと手がけらるタイミングがやってきました。
劇場版とは言うものの、映画のゴーショーグンは当時としてもかなり画期的な作品でした。テレビ版から抜き出した2エピソードを、新作画によるコマーシャルでつなぐという構成になっていました。当時アニメーターとして活躍されはじめていた、いのまたむつみさんが、この新作画を担当されています。
どのくらい異質だったかというと、アニメパロディ漫画家として活躍していた、ゆうきまさみさんがネタにしたくらいだったのです(わかりにくいか…笑)。
涙の法則は、この劇場版ゴーショーグンのエンディングに使用されていますが、コマーシャル部分には「フラッシュレディ」という曲が使われています。歌われているはねおか仁さんは、もともとはシャンソンやポップス系の歌手で、アニソン畑の方ではないそうですね。
テレビ版ゴーショーグンのサウンドトラックには、はねおか仁さんが歌われている「悪のクレスト」という挿入歌が収録されています。これは、敵方ドクーガの幹部の一人、ブンドル局長をイメージしたような内容の歌詞がつけられているのですが、大人気を博したブンドル局長の美学を表現した秀作だと私は思っています。
ゴーショーグンではもう一つ画期的なことがありました。それは「シリーズ構成」という役職を誕生させたことです。事実上日本初のシリーズ構成担当になったシナリオライターの故・首藤剛志さんは、ゴーショーグンの実質的な原作者の一人でした。
ゴーショーグンは後に「時の異邦人(エトランゼ)」というオリジナルビデオアニメや、小説版(未完)で続編が作られていきます。これはしかし「首藤ワールド」のゴーショーグンだと私は思っています。
テレビ版ゴーショーグンから一貫した演出に「洋画的な会話劇」という要素があります。これは80年代の、ましてやロボットアニメとしてはかなり画期的な試みでした。このような会話劇をシナリオに積極的に取り入れていたのが首藤さんでした。
しかし、ゴーショーグンの最大の魅力はそうした洋画的会話劇が「ロボットアニメ」に組み込まれていたミスマッチにありました。加えてテレビ版ゴーショーグンでは「メカは友だち」というテーマも終始一貫して描かれていました。この概念は形を変えて現代のとあるメジャー作品にも反映されていると私は考えています。
そのメジャー作品…「ポケモン」、そしてゴーショーグンを演出していたのが湯山邦彦監督であり、湯山監督なくしてゴーショーグンはなりたたないと私は考えています。
そんなゴーショーグンの劇場版というのは、ちょうど湯山ワールドと首藤ワールドの狭間にうまくおさまった印象を私は持っています。「涙の法則」を聴くたびに、私はそんなことを考えているのです。