[プロレス観戦記] DDT レスリングとんこつ2021~水炊き~(夜の部)

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昼の部はこちらから

昼の部終えて、地下で490円のカレー食って、カフェでジュース飲みながら、昼の部の観戦記を書いて、時間になってから西鉄ホールに上がる。天神みたいな場所で、千円以内の飲食ができたのはありがたい。

さて、昼の部を踏まえての夜の部。本来ならこれがDDT西鉄ホール大会になるはずだった。結果的に1日2試合になる選手もいる中、不入でも開催してくれた事には感謝するほかない。

サイン会で後ろの人が詰めてきたので、距離あけようとしたら、前の人と距離が近くなり「距離あけてもらえませんか?」とすごい目で睨まれて怒られた。わざとではないんだが、こんな事でギスギスするのは、嫌だなあ。

さて、昼のオープニングはHARASHIMAだったが、夜の部はかつてルームシェアをしていた男色ディーノ&アントーニオ本多だったのだが、トイレにいたアントンはアナウスンスが聴こえておらず、滑り込みでリングイン。

メインで戦う竹下&上野の同級生コンビに対して「お互いの排泄物を知らない若手に負けるわけがない」と訳の分からない論理で、同級生タッグとの優位性を強調し、大会はスタートした。

○オープニングマッチ 30分一本勝負

○彰人&勝俣瞬馬 vs 高木三四郎&●中村圭吾(9分52秒 サソリ固め)

最近はサウナ部やデスマッチファイターの側面がフィーチャーされがちな勝俣だが、昼の部に続き、夜は彰人とオリジナルALL OUTでのチームで試合に臨む。

一方大社長と組む中村は、DDTの新人グループでは一番の先輩でありながら、後輩の背中を追う側になっている。果たして大社長は中村をどう操縦していくか?

試合が始まってみると、早速第社長は先発で、サイバーファイト副社長・彰人を指名。これに応えつつ、勝俣と2人で盛んにファイヤーポーズで、大社長を逆に茶化し始める。

まあ、大社長がこの程度で動揺するメンタルの持ち主でないことは、2人とも百も承知だろう。おそらく2人が挑発していたのは、中村だったのだから。

なぜなら、彰人&勝俣は、大社長のファイヤーポーズを見せつけるだけ見せつけて、片手間で中村を相手にしていたからで、この扱いにはさすがに中村もカチンときたのだろう。

しかし、それが結局彰人&勝俣の老獪さというやつで、まんまと罠にハマった中村は、彰人のファイヤーポーズ付きサソリ固め(要するに手を離した状態で足は殺している)で、屈辱のタップアウト負け。

中村も岡谷に先を越され、小嶋がデビューした今、安穏としていられないのはわかりが、焦ると今日みたいな落とし穴に落ちてしまう。プロレスはなかなか奥深い。

○第二試合 30分一本勝負

○樋口和貞&坂口征夫&赤井沙希 vs クリス・ブルックス&MAO&●納谷幸男(8分23秒 ブレーンクロースラム→体固め)

昼の部ではいいところなくダムネにやられた納谷。今度は相手が樋口である。リアルもと力士にして、でかい身体とパワーを差武器にしている樋口に、納谷がどこまで食い下がれるか?

試合は、イラプションの奇襲でスタートするが、乱戦の中赤井が、クリスとMAOにつかまってローンバトルに。

焦る納谷は場外で坂口にいたぶられていて、また蚊帳の外。しばらくして樋口とぶつかりあうが、やはり身体の使い方で2人の差はかなり違う。

納谷もだいぶよくなったとはいえ、覚醒してそのはるか先を走る樋口にしてみれば、巨漢の納谷も苦にしない。イラプションは、実際樋口がポイントを締めているケースが多い。

それだけチームの要にいるという事でもある。ただ人数合わせで試合に参加している納谷とは責任の重さが違う。

結局、イラプションはクリスとMAOの変幻自在なコンビネーションには苦しめられたものの、樋口が納谷をブレーンクローで捉えてピンフォール勝ち。昼大会の溜飲を自ら下げた形になった。

○第三試合 30分一本勝負

○火野裕士 vs ●岡谷英樹(8分45秒 ダイビングボディプレス→体固め)

新人の岡谷にしてみれば、まさに試練になりそうな試合。背丈はともかく横も厚みも圧倒的な火野に対して、今あるものを全てぶつけていけるのかどうか?

実はこの試合にはちょっとしたハプニングがあり、リングに敷いてある板の不具合を察知した火野が「おい、ここ気いつけろよ!」と、レフェリーと岡谷に口頭でアドバイス。ヒールなんだけど、不測の事態で怪我されては後味が悪い。火野の心中を想像するに、多分そんなところだったのだろう。

そういうわけで、試合は火野がチョップ中心で流れを作り、岡谷が乗っかる形で進んでいった。途中火野が決めたセントーンはリング板の不具合場所から避けた、コーナー近くで決めていたし、こういうアクシデントにも動じないで、試合を作っていくという点では、岡谷にも勉強になった試合だったと思う。

○第四試合 30分一本勝負

○HARASHIMA&相島勇人 vs 大鷲透&●平田一喜(10分50秒 蒼魔刀→片エビ固め)

こちらもDDT九州大会には欠かせない相島勇人が、HARASHIMAとの強力タッグで、大鷲に挑む形になる。まあ、平田がうまい具合に潤滑油になると、DDTらしさもでてくるし、意外とキーになりそうなのは、平田かもしれない。

通常営業の平田ならお笑い一択だが、現在はKO-D6人タッグ王者であるわけで、その辺の腕の見せ所にも注目したい。

滅多にないDISASTER BOX対決ということで、張り切る平田だが、睨みをきかせる相島にはビビりまくる。結局大鷲とHARASHIMAのマッチアップで試合はスタートしたが、いいとこで代わろうとする平田が出てくると、HARASHIMAはさっさと相島に交代。

とはいえ、大鷲対HARASHIMA、大鷲対相島は流石に見応えがある流れになり、滅多にない同門対決を盛り上げる。

しかし、平田の奥の手である手刀はHARASHIMAには効いても、相島には効かない。あげくいつのまにか相島が3人に増殖し、なぜか途中から試合が2対2ではなく、4対2になってしまう。

増殖した相島軍団は場外で大鷲をボコると、リングに残された平田を、HARASHIMAが一度はかわされた蒼魔刀を叩きこんで、決着。

休憩前の締めに入ろうとするHARASHIMAは、後ろに控えた相島軍団に戸惑いつつも「鍛えているからだー!」で中締めした。

しかし、相島軍団の中にとてもよく知っている顔がいたんだが、多分気のせいだろう(笑)

○セミ

ファイナル  30分一本勝負

○遠藤哲哉&佐々木大輔&高尾蒼馬 vs 大石真翔&●渡瀬瑞基&岡田佑介(14分0秒 シューティングスタープレス→片エビ固め)

オリジナル準烈とは不協和音が漂う岡田。特に渡瀬が岡田を認めてない感がバリバリに漂っているため、DAMNATIONとしてはつけ入る隙は十分にあるわけだ。

だが、秋山準がいない今こそ準烈は存在感を示さねばならないわけで、仲間割れしている場合ではない。さて、この組み合わせが吉とでるか?凶とでるか?

入場時から既に岡田とは距離をおく渡瀬。渡瀬のキャラ的に我が道を行くというのは、もともとあるんだけど、そもそもDDTでいろんなキャラをこなせる素地がある上に、芸人としての顔も持つ渡瀬が、簡単に意地っ張りキャラを演じているわけではなさそうなのは、試合からみてとれた。

ガチで岡田が嫌いなのもあるだろうし、お客さんを、あたかもチームが空中分解しそうで、ハラハラさせられるのもエンターテイナーである。

とはいえ、その競争意識が悪い方に出ているのが、今の渡瀬で、結果的に準烈のチームワークをかき乱して、自分が敗北するというパターンを、昼夜2回繰り返してしまった。

試合後、KO-D王者が苦言を呈していたが、準烈がいざこざを抱えたまま、勝てるほどDAMNATIONは甘くない。秋山は蚊帳の外だが、王者は目の前の準烈メンバーより、秋山準1人がすでにロックオンされている。

さあ、2.14のカルッツかわさきではどちからが凱歌を浴びるか?

メインイベント しぇからしか!博多名物スペシャルタッグマッチ 30分一本勝負

○竹下幸之介&上野勇希 vs 男色ディーノ&●アントーニオ本多(22分53秒 ジャーマン・スープレックス・ホールド)

この試合の前に、リングの板が限界に来たため、急遽がむしゃらプロレス勢も混じり、DDTの若手と松井レフェリーが総出でリングを修復。メイン前に余計な時間があくのは、エンターテインメントとしてはあってほしくないアクシデントだけど、作業終了後、リングを修復した全員に拍手が送られた。プロレスファンは本当に暖かい。ギスギスしている人ばかりじゃない事が、誇らしくもあった。

さて、最近シリアスな試合が多かった竹下と上野にしてみたら、ある意味原点回帰。ある意味別な意味での試練かもしれない。

とはいえ、先輩後輩でありながら、実は高校の同級生である上野と竹下。だが、後輩の上野はユニバーサルのチャンピオンで、竹下は現在無冠。

そして、男色ディーノは小4の竹下少年のファーストキスを奪った相手であり、アントンと竹下はかつてハッピーモーテルというユニットで共に活動していた。そのハッピーモーテル時代の竹下をみて、プロレス入りを決意したのが上野である。

つまり、この試合は単に同級生タッグ対ルームシェアメイトタッグという図式には収まらない、幾重にも重なった人間模様の上に成り立つ試合でもあった。

男色ディーノ自身久々のメインとなるこの試合、やはり年齢差からくる衰えは本人も実感していたのかもしれない。しかし、ここ一番でみせる男色ディーノは、面白試合だけしているディーノとは一味も二味も違う。

男色殺法に織り交ぜた多彩なグラウンド技術。ゲイ道クラッチに代表される切り返し技に加えて、一発逆転のあびせ蹴りと、がッデムからのSTF、さらには裏STFとつないでいった。この日の男色ディーノは、自らの歴史を鼓舞する事で若い2人に立ち向かっていたのだ。

もちろん、アントンも各種アメリカンプロレスリスペクトの技を繰り出し、こちらも普段開けない引き出しをたくさんあけてきた。

正直40代の選手が20代バリバリの選手と、20分越えの試合をするのは、体力的にきつかったと思う。しかし、それでもムキになって、第一線の選手たちに食いついていった男色ディーノとアントーニオ本多の意地が間違いなく試合を面白くしていた、と私は思う。

最後は粘るアントンに敬意を払った竹下の、こだわりジャーマンが炸裂し、熱戦にピリオドがうたれた。

後記

試合後のマイクで、竹下が謝意を述べ、悔しそうにディーノが「次は、オメエらホントにナメてんじゃねえぞ。ナメるのはこっちの仕事だ。」と返していたのも印象的だった。

そして、アントンが「、私と男色さんはルームシェアして過ごした日もありましたが、やっぱり俺たちはプロレスシェアだから。下がっていく人間、上がっていく人間、立場は違えどシェアしているものはプロレス。プロレスシェアです。これをいいこと言ったふうにきょうは収めたい。最後は『1、2、3、プロレスシェア』で締めてくれるか」とマイク。

これを受けた竹下が「「いまリング上にいる僕たち4人、プロレスシェア、そして今日この会場に来てくださったみなさんもプロレスシェアの一員です。みんなでプロレスを盛り上げて、僕たちもまた、次は1年後とは言いません。すぐに福岡に帰ってきて、またプロレスを盛り上げたいと思いますので、よろしくお願いします。」と挨拶。

お客さんも含めて声が出せない中、リング上の4人と会場がひとつになって、「3.2.1.プロレスシェアー!」で夜大会は幕を閉じた。

メイン前の拍手と、メインの予想外の激闘。彼らの歴史が数々の困難や延期を乗り越えて大団円を迎えられた。これがプロレスの力なんだ!2021年のプロレスはじめが、DDTで本当によかった!暖かい気持ちで帰路につけた。プロレスはやはり素晴らしい!

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