「GAM1 CLIMAX」~勇者よ!熱くなれ~観戦記(12・7・29(日)於:門司赤煉瓦プレイス)
イントロダクション
九州プロレスが終わって一路門司へ。もはや私にとってのG1は新日のそれではなくこっち!そして期待にたがわぬ大会になった事でそれは確信に変わった。本当は某選手がたそがれてて門司で駐禁きられたとか面白い話も一杯きけたのだが、全部割愛します。それだけ中身が濃かったから^^
しかしドンタッカーがとうとう車いすで入場した時にはなんかまずいことになってるのか?と思ったけど普通にリングインして「代告屋」ネタをかましたあたりまでは結構和やかな雰囲気だったがこれが試合が始まると様相が一変したのである。
本当にまずい?ことになったのはここからだった。確かに選手入場式でもなんか変なオーラを感じていたけど・・・・
第一試合GAM-1 CLIMAXAブロック1回戦(30分1本勝負)
●鉄生vs○野本一輝
がむプロ初の門司大会において事前の抽選会から殺伐としていた両者。確かにTVにもでて一躍人気者になった後輩に先輩がジェラシーを燃やさないはずはないのだが、それ以前に試合でもあきらかになんか心にくすぶったものを抱えていたように感じられた野本がいきなり初回から全力ダッシュ!
先に仕掛けたのは鉄生だったんだが倍返しであきらかにフォールとかではないKO狙いの張り手、キックの連打でたちまち形勢は逆転。
どっちもつぶしあいにでたのだ。危惧されたプロレスにならないんではないかという大方の予想を裏切ってプロレスで真っ向勝負した二人にはおおいに拍手を贈りたい。
お互いの一歩も引けない意地と意地のぶつかり合いはもはやプロとかアマとか関係なしに一人の男としてのプライドのぶつかり合いだといっていい。ここしばらくナリを潜めていた野本の牙がこんな形で蘇るとは予想だにしてなかったが、これは嬉しい誤算でもあった。
鉄生に勝機があったとしたら肩固めを決めた時に非情に徹して野本のダメージを倍加させて鋼鉄のど輪にいければあったと思うが、そこまで詰め切らず反撃を許して
しまったのが敗因かもしれない。
LOCの介入を拒んで自らの力で勝負した鉄生は素晴らしかったし、G1の名に恥じない試合だったと思う。ただこの流れで行くと一枚岩だったはずのLOCに亀裂が入り始めてるのかなと思ったんだが…
二試合:GAM-1 CLIMAX Bブロック1回戦(30分1本勝負)
○SMITHvs●ニコラス今中ジョリー
復帰後、いい時と悪い時が交互に出ている今中の相手はよりによって最年長でありながら無類のスタミナの持ち主SMITH。ブランクと不規則な仕事でなかなか調整が難しい今中にとっては試練の相手。しかし、見た目緊張してたのはSMITHだった。
普段は試合前会っても軽口の一つも叩く余裕があるんだがこの日は全くなし。
要するに今中をくみしやすしとは思ってない証拠。しかも腕にテーピングをした状態でお世辞にも万全とはいえないSMITH。下手をすれば・・・という感じはあったのだが、今中は序盤からやはり攻勢をとりSMITHが守勢に回る展開になった。
一番心配してたのは今中の技の精度だったが今回は相手がよく見えていたようで焦って次の技に走る傾向はなかった。しかし、これは負けた人間全員に共通するのだが、トーナメントの闘いに対してのイメージを十分に描き切れてなかったのではないかなという事と、あとは必殺技を返された後の二手三手が打ててなかったことでここはやはり課題になったと思う。この試合だとムーンサルトを返された後に今中の手駒がないことまでSMITHが読んでいたかのような試合運びだったことがその証拠だったと思う。
でも今年復帰後では今中の一番の試合になったと思う。これを機にまたステップアップしてくれると面白くなるのだけど。次にまた期待してますよ^^
第三試合:がむプロおまけの6人タッグマッチ(疲れん程度1本勝負)
パンチくん&GAMA&○セクシーロージィwithダイナマイト九州vs●ブラック☆スティック&アリマティ&ガムコツくん
ここでやっといつものがむプロがでてきた。殺伐もいいけどこういうのもないとがむしゃらではない。期待の新人?ガムコツくんはこれがデビュー戦。しかし無駄に幅が広い3人に曲者九州が混ざった相手に対してどうでるか?アリマティ組はかなりハンディがあったけど・・・・
やっぱその通りになったというか。ロージーの振り切りぶりがすさまじく圧殺に次ぐ圧殺で、存在感出しまくり。もはやがむしゃらの新しい顔になりつつあるロージーは欠かせない存在になっている。
ここにはプロがさらっと絡むことがあって今回も一名混ざってはいたんだけどガムコツくんも頑張ったと思う。ある意味試練だったから。消えそうな存在感の中で自己主張もできていたんじゃないかな。
試合はもう九州の介入ありの、GAMAの祇園チョップありの、で好き放題したあげくロージーが三人まとめて圧殺刑で同時に3カウント。
肩すらあげられないアリマティ組はそのまましばらくのびていた・・・・
第4試合GAM-1 CLIMAX Aブロック2回戦(30分1本勝負)
●野本一輝vs○林 祥弘
この同日デビュー組の対決は未来のがむしゃらのメインカードにならねばならないカードでもある。昨年はチームメイト同志の対決で非常に爽やかだったけど今回はなんか雰囲気が違っていた。
鉄生にジェラシーを燃やしていた野本はそのままのオーラで今度は林に牙をむいたのだ。もともと攻撃先行でラッシュかける野本と耐えて忍んでファルコンアローでかえす林の試合は林が防戦するイメージが強い。でもそこをつかれてタッグのベルトはおとしてしまった。自分が負けて失ったわけではない野本はあの日から胸にもやもや
したものを抱えていたのかもしれない。
鉄生戦でかろうじてプロレスの試合にしていた野本の琴線が林を目の前にしてキレてしまったのか?
とにかくもとチーム同士の対決とはとても思えない殺伐としたムードの中、野本が林をスリーパーにとらえ、ロープエスケープの指示にも従わず締め続けレフェリーの雄大を蹴り倒し、なおも締め続けた野本はこれにより反則負け!
釈然としない野本はレフェリーに詰め寄るが一度ならず二度までレフェリーに暴行しては反則はやむを得ないだろう。
試合後「おい!そんなに林やSMITHに勝たせたいのかよ!いつからがむしゃらはこんなになった?誰がそうした?ドンタッカーか?今のがむしゃらにはな!闘いがねーんだよ!」とまくし立てて去っていく野本に林も「ベルトを失った今、お前と組む理由はもうねーんだよ!」と、とうとう絶縁宣言。
これでまた新しい火種が生まれてしまった!!!
第5試合GAM-1 CLIMAX Bブロック2回戦(30分1本勝負)
○SMITHvs●七海健大
さて二試合目になるSMITHからは緊張の色がまだ消えない。一方シードされ、しかも春には
タッグ王者になって勢いにのる七海は「優勝するぞー!」と雄叫びをあげて入場。
しかし必殺エクスプロイダーをかわしてもラリアット(しかも痛めた左腕で)で勝った
SMITHの底知れなさは七海も十分警戒していたと思う。だからこそ左腕破壊にでたのは
極めて全うな手段だったと思う。
実際苦悶のSMITHに攻勢の七海ではやはりどうしてもSMITHに分が悪い展開になってしまう。実の所押せ押せできていたのは七海の方だった。
だが往年のアメリカンプロレスのレジェンドよろしく相手の攻め疲れを待てるスタミナと
上手に試合中に休むテクをもってるSMITHは旗色悪そうで実はいろ~んな仕掛けをかくし
もっていた。それがドラゴンスクリュー!
地味に足殺しに狙いを定めていたSMITHは相手が大技狙いに来たところを見事にすかして、とどめをさした。
さらに執拗な足殺しの後はテキサスクローバーホールド!4の字みたいに逃げられる可能性を封じたことで七海たまらずギブアップ!
まさかここでテキサスクローバーにくるとは予想だにしてなかった。しかも決めていたのはまたしても左!
さすがに試合後は青息吐息だったが新世代の壁をよせつけないSMITHの恐ろしさはさすが!としか言いようがなかった。
第6試合 正規軍vsL.O.C.対抗戦(30分1本勝負)
TA-KI&YASU&○HANZO SASAKIvsジェロニモ&DIEZEL&●TOSSHI
ワンデイトーナメントだけあってトーナメント出場者には負担がかかるので通常の試合も組まれていたが、ここでも波乱が起こった。
入るなり「相手がこんなクズどもか」とクズよばわりしておきながらTOSSHIはなんとTA-KIをLOCに勧誘!
理由はジェロニモと闘った4月の大会で握手を求めたことに端を発してあれがLOC入りの意思表示という強引な解釈で誘いをかけたのだ。
ゆさぶりをかけてきたLOCはそこからコール後、奇襲!クズといいつつTOSSHIの狙いはやはりYASU!この二人はなんだかんだいいながら段々闘いの精度があがってきている。
因縁という意味ではYASUもTA-KIもDEIZELにはJr王座で苦杯をなめている。
ジェロニモの水攻撃は受けたもののTA-KIはDEIZELの毒霧をかわして遂に毒霧を攻略!
しかしキャリアで劣るHANZOがでてくるとLOCは照準をチェンジ。散々いたぶりはじめた。
流れを寸断され救出もままならない正規軍は次第にチャンスを失っていくがここをこらえたのは誰あろうHANZOだった。
尾原の厳しい蹴りに耐え抜いたデビュー戦以降、数々の試合でその根性を見せつけたHANZOは自力でなんとこのピンチを脱出!
最後は自ら先輩から逆転の丸め込みでデビューからついに初勝利(たぶん)!
喜びもつかの間、またしても襲いくるLOCは再度TA-KIを勧誘。一度はLOCTシャツ
に袖を通したTA-KI・・・まさか・・・・
・・・の瞬間猛然と襲い掛かりLOCをけ散らして「お前、どさくさに紛れて呼び捨てにすんな!誰がLOCなんかに入るか!バーカ!」と一蹴。
いや、この試合は色んなことがあったけど見どころ多かったな。今後に繋がるところも多かったんではないだろうか?
第7試合:GAM-1 CLIMAX 決勝戦(60分1本勝負)
●林祥弘 VS ○SMITH
今回二回目の休憩をはさんで決勝戦。とうとう絶対王者マスクドPTが姿を現し、決勝を見届けるという。一瞬また席とられるのではと危惧したが本部席にすわってくれてほっとした・・・^^
さてシードの林に比べると三試合目のSMITHはどう考えても不利。しかも年齢のハンディとタッグ王者を経験してスキルアップしてきた林はもはや最大の難敵になっていたといっていい。
考えてみたら09年の小倉北でGWAを奪取し、LOCを離脱したSMITHとその日にデビューした林が年月を経て同じベルト獲りを目指すとはやはり長い事みてると色んなドラマが生まれてくるんだよね。プロレスは奥が深い!
しかし・・・・
こんな事はもうくじ引きで試合が決まった時点でもう織り込み済みだったのだろう。しかも受けて耐える林のスタイルはこういう連戦では負担がでかい。ここをさらっとウケて流して休むところはしっかり休みしてるSMITHはやはりしたたかだった。むしろこの試合に限っていえば今まで抑えていたリミッターを外して試合にでてきたのだ。
最初はスタミナに難ありで短期勝負かと思いきや・・・・なんと真っ向勝負になったのだ。これでは林に分が悪い。連戦の経験自体は実をいうと両者ともに少ないはずだが
普段から別な競技をかけもちしてるSMITHにとってはロングランマッチはむしろ苦手意識はなかったんではないか?その上、これで試合が終わるわけだから温存も何もしなくていいという点で思い切りいけたというのもあったのかもしれない。
しかもあろうことか若い林の方が先に「電池切れ」したのだ。確かに前の試合が不完全燃焼ではあったとはいえ、やはりスタミナ勝負で10も上の人間に負けたのは試合結果以前に本人が一番悔しかったはず。
体力とメンタル、頭脳のいずれも林はSMITHを越せなかった。いや、正直ここまで開きがあろうとは思わなかった。確かにとどめのエクスプロイダーは相当えぐかったし、二発目のクラッチ式は決まったら返せない。そこまで出させたのは林の成長だけど、そこを乗り越えて欲しかった。
シングルをねらうというのはそういう事なんだろうなあ・・・・
エンディング
試合後のあいさつでSMITH自身が「イメージトレーニングは大事です」といっていたが終わって考えてみたら三試合を一つの試合として構成していたのかもしれない。必殺のエクスプロイダーを連発せず最後に温存し勝てるあたりの計算はさすが10年選手でないと不可能だろう。ベテランといってもレジェンドほど年いってるわけでもないんで油の乗り切ったSMITHが間違いなく11月のチャレンジャーになった事には誰も異論はさしはさめまい。
それがわかるだけにずっとコーナーですわっていた林が握手の手も払いのけたのは象徴的だった・・・・あれは悔しかったろうなあ。ベルトとられた時以上に悔しかっただろう・・・・
そしてマスクドPTをリングにあげると「なんかしゃべれ!」とマイクを渡した。絶対王者は正直望んだとおりの相手がでてきた嬉しさをにじませつつも「正直びっくりした」と勝者を珍しくたたえSMITHも「反則とか乱入とかなしでやろうや」と応じるとなんとPTはSMITHの差し出した手を握り返した!
これに憮然としたのが配下のLOC勢。PTに対していちゃもんをつけるがPTはこれを恫喝して一蹴。
しぶしぶと引き上げるLOCメンバーの下がる先には先ほど「闘いがない」といった野本がいた・・・・この試合を見てアクションを起こさなかったということは、なんらか感じるものがあったのかもしれない。
リング上にはその野本以外の正規軍メンバーがそろって「3.2.1がむしゃらー!」で締めた。
後記
しかしこれだけ色んな種がまかれた後の11.23は果たしてどうなるんだろうか?今まで見てきた世界が一瞬で瓦解し新しい光景がでてくるようなそんな予感がした。
終わってみれば本家G1をはるかにしのぐボリュームと内容。プロの提供試合なしでこれだけの動員とこれだけの試合ができるがむしゃらプロレスは今間違いなく九州で
一番アツい団体になっている!!!