[プロレス用語辞典](カ行) 喧嘩マッチ
ルールのある喧嘩
「プロレスは、ルールのある喧嘩ですよ!」と言ったのは、かの力道山選手だそうです。
若手時代のマンモス鈴木選手が不甲斐ない試合をした際、「どうもスランプのようで・・・・」といったところ、「バカ野郎!!プロレスは喧嘩だ!喧嘩にスランプがあるか!!」と力道山選手は返したそうです。
もちろん鉄拳制裁付きで、ですね。
まさに名言
そして、普段プロレスを扱わない一般雑誌のマスコミが、「プロレスを一言で言ってください」とナメた質問をしてきた際、怒りの表情で「プロレスは、ルールのある喧嘩ですよ!」と即答したそうです。
どちらも力道山選手のプロレス感を見事に凝縮した、まさに名言です。
世間に対する「怒り」
このポリシーを継承したのがアントニオ猪木さんが創設した新日本プロレスでした。
本来「ストロングスタイル」や「キングオブスポーツ」というキャッチフレーズには、世間に対する「怒り」が込められていたと私は考えています。
タダの「好試合」
いくら美しい技の攻防を繰り返そうと、それはタダの「好試合」にしかなりません。
「怒りのないところ」に、プロレスの名勝負は絶対に生まれないと私は考えます。
人様に見せるための喧嘩
しかし、ここは外せないところですが、プロレスは「人様に見せるための喧嘩」なのです。
そこにはルールがないといけません。レフェリーも必要です。だからプロレスは「ルールのある喧嘩」なのです。
体験談
私の体験談を一つご紹介しましょう。
昔、プロレス観戦帰りに、酔っ払ったおじさんが車道に飛び出そうとしていた事がありました。
結局、警察を呼んでことなきを得たのですが、警察官が帰ろうとしたら、また道路に飛び出したのです。
いきなり暴れ出し
慌てて警官が静止したら、そのおじさんはいきなり暴れ出しました。
結局、近所の消防署からも消防士がかけつけ、警官ともども10人がかりでひとりのおじさんと乱闘になりました。
その光景をみて私はドン引きしました。
金出してまで
街中のリアルファイトやリアル捕物というのは、金出してまでみたいと思わせる光景ではなかったということなんです。
プロレスにおける「喧嘩マッチ」は必ずしも「名勝負」とイコールではありません。むしろ名勝負になった割合は小さいのです。
行き過ぎてしまうと
そして、行き過ぎてしまうとお客さんを置いてけぼりにしてしまう「不穏試合」にもなりかねません。
ですが、「喧嘩マッチ」は、半端な好勝負の何倍も記憶に残ります。
プロレス=怒劇
それはプロレスの試合に一番要求される「怒り」が詰まっているからに他なりません。
プロレスを怒劇と表現したのは、かつてあまたある番組の司会者として著名だった上岡龍太郎さんでした。
怒の部分に敢えて
もちろんプロレスでは、喜怒哀楽の全てを表現できます。
ですから、楽しいプロレスもあってもいいんです。
しかし、名勝負にはならないかもしれないけれど「怒」の部分に敢えて賭けて試合しようと試みるプロレスラーというのは、やはり魅力的だし、惹かれますよね。